コバルト60・γ線照射によるノシメコクガの羽化阻止線量と不妊化線量を求め,同時に卵についてふ化阻止線量を,卵,幼虫について蛹化阻止線量を求めた。
(1) 0日令卵および2日令卵のふ化阻止線量は,それぞれLD
99が約2.8Kradおよび35Krad, LD
50が1.5Kradおよび22Kradであった。つまり0日令卵の方が,2日令卵よりγ線感受性がきわめて高かった。
(2) 0日令卵,2日令卵および幼虫の蛹化阻止線量は,おのおの1Krad, 10Kradおよび15Kradであった。また羽化阻止線量は,それぞれLD
99が1.4Krad,5.6Kradおよび9.2Kradで,LD50は0.6Krad, 3.3Kradおよび5.3Kradであった。
(3) 蛹のγ線感受性は,LD99が35.5Krad, LD50が16Kradであった。すなわち発育令類が進むに伴ってγ線感受性は低くなる傾向,つまり卵<幼虫<蛹の順に抵抗性が強くなった。
(4) 卵,幼虫および蛹の不妊化線量は,おのおの,4.5Krad, 5Kradおよび20Kradであった。
以上の結果,ノシメコクガの殺虫を目的にγ線照射を行なう場合,40Krad照射が必要で,不妊化を目的とする場合は20Krad照射で十分である。
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