日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 12 号
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  • (第1報) パッケージ照射における吸収線量分布
    久米 民和, 青木 章平, 伊藤 均, 渡辺 宏, 佐藤 友太郎
    1975 年 22 巻 12 号 p. 577-581
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    20×30×30cmのダンボール箱にウィンナーソーセージを詰めて(平均密度0.27g/cm3),γ線を照射したときのパッケージ内の吸収線量分布を測定し,次の結果を得た。
    (1) y方向(線源と平行方向)における吸収線量は,線源の中心線付近では変化なくほぼ均一であった。
    (2) z方向(高さ方向)における最大,最小吸収線量の比(Dmax/Dmin)は線量率5×105R/hrの位置で1.10であった。空間の線量分布についても同様の結果(Dmax/ Dmin 1.11)が得られたことから,パッケージ内z方向の吸収線量の不均一性にはz方向の空間線量分布の不均一性が直接影響しているものと考えられた。
    (3) x方向(深さ方向)における吸収線量分布にはかなり大きな不均一性が認められ,線量率5×105R/hrの位置で反転照射したときのDmax/Dminは1.12であった。
    (4) 大線源を用いて低線量率の位置で照射することにより吸収線量の均一性をよくすることができ,140,000 Ciの線源を用いて1.7×105R/hrの位置で反転照射した場合,±6%程度の線量均一度で照射することが可能である。
    本報告をまとめるにあたり,有益な御助言をいただいた当研究所の田中隆一氏に感謝いたします。
  • (第1報) 阻害物質の存在とその性質v
    谷口 宏吉, 鎌田 良造, 稲富 秀夫
    1975 年 22 巻 12 号 p. 582-589
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    グルコースに対して高い特異性と感度をもつGlucose oxidase-Peroxidase系酵素定量法によっては,ソバ抽出液の遊離グルコースの測定は不可能であった。これは他の種子には認められないソバに特有かつ普遍的に存在する物質がこの酵素反応系を阻害しているためである。
    阻害物質はこの酵素反応系のうちのPeroxidase反応系に対して阻害を与えているものであって,Glucose oxidase反応系に対しては直接影響を及ぼしていない。
    阻害物質は熱,酸,アルカリに対して極めて安定な透析性物質である。またタカジアスターゼによる酵素処理によっても阻害力に変化がなく,さらに完全加水分解処理を行なっても,なおかなりの阻害力を残していることより,阻害物質は複合体としてでなく,単体として効力を有している。しかし過酸化水素による酸化に対しては極めて不安定な物質であり,このことはまたGlucose oxidaseによって生じた過酸化水素と反応する可能性を示唆するものである。
    ソバ抽出物中の阻害物質をSephadex G-10を用いたゲル濾過法により分離を試みた結果,有効成分は単一なものでなく,分子量700以下の少なくとも3成分が存在した。またこのゲル濾過法によって相体活性が11倍の分画区分を得ることができた。
    本研究の経費の一部は三島海雲記念財団よりの奨励金によったものである。同財団に対して深くお礼を申し上げます。また実験に当って種々御協力戴きました当研究室の坂本哲郎氏,荒川公一氏,佐飛真理子氏に感謝の意を表わします
  • (第7報) 保香糖液の調製法
    小島 健正, 田畑 けん吾, 木村 恵太郎, 杉沢 博
    1975 年 22 巻 12 号 p. 590-593
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    結晶性の糖であるシュークロースが糖固形分中60%以上であるようなコーンシラップとデキストリンとの混合物を使って,芳香成分(d-リモネン)の保持に優れた無定形で,且つ過飽和の濃厚な糖液の調製法につき検討し,無定形糖液中の糖の溶解状態について考察を加えた。
    糖混合物を水溶液として溶解する場合に,水の量が18%では開放型攪拌槽で加熱攪拌を行っても見かけ上溶解しているが,冷却すると結晶が発生し,d-リモネンと乳化後乾燥した際の保持率が低かった。これに対して密閉型攪拌槽では加熱後も難結晶性の糖液となった。また開放型攪拌槽で水の沸点以下(95℃)までにしか加熱しない場合も水の量が60%位では,加熱後減圧濃縮して難結晶性の糖液となり,一方密閉型攪拌槽で加熱しても結晶性の糖であるシュークロースの含量が85%以上になると糖液は結晶の発生が容易でd-リモネンの保持率も低かった。
    このことから糖が濃厚溶液として溶解する場合に,糖はミセルコロイドとして溶解する状態と分子状に分散して溶解する状態とが考えられ,前者の状態から個々の糖分子に分散溶解する後者の状態への移行には攪拌力にもよるが,その他に溶媒効果と加熱効果の相乗作用が必要と考えられる。難結晶性の糖液では異種の糖が個々の分子として分散溶解し互いに隣接し合っていて,粘度も高く結晶発生のための同種の糖の拡散集合の困難な状態のものと思われる。一旦このような難結晶性となった糖液はそのまま乾燥しても,糖の配列は変らず無定形の糖粉末となり,これは水を添加,混合すると容易にもとの難結晶性の糖液に復元する。
    本研究の大要は昭和49年4月の日本食品工業学会大会(東京)で報告した。
  • (第8報) 保香糖組成物の製造時,及び貯蔵中の水分含量の検討
    小島 健正, 田畑 けん吾, 木村 恵太郎, 杉沢 博
    1975 年 22 巻 12 号 p. 594-597
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    2糖類を固形分の50%以上含有し,水分含量が7~20%の糖混合物水溶液による揮発成分保持の状況並びにその乾燥後の揮発成分保持粉末の貯蔵性について観察を行った。
    (1) モデル揮発成分がアセトンとd-リモネンとでは保持率に差が認められた。前者の場合は保持率は低く,かつ糖濃度に強く依存し糖液の水分含量約8%以下になると急激に高くなる。後者の場合には保持率は糖濃度に関係なく,高くかつほぼ一定の値を示した。
    (2) 糖液と揮発成分の混合液を真空乾燥する場合の発泡は,内部対流によって一時的に相対揮発度支配の状態を生じ,著しい揮発成分のロスの原因となる。
    (3) 揮発成分を保持した乾燥糖粉末の貯蔵中の固結性は,水分含量に強く依存し,長期の保存には水分含量を少くとも約2.5%以下にすることが必要である。また固結性に対しては,糖の組成や貯蔵温度も明確な影響を及ぼす。
    本研究の大要は昭和49年4月の日本食品工業学会大会(東京)で報告した。
  • (第1報) 赤ニンニク(Allium sativum L.)および赤タマネギ(Allium cepa L.)のアントシアニン
    劒持 久仁子, 片山 脩
    1975 年 22 巻 12 号 p. 598-605
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    赤ニンニクおよび赤タマネギのアントシアニン色素を抽出し,分離,同定を行った。赤ニンニクおよび赤タマネギのアントシアニン色素は6~8個に分離できた。そのパターンはきわめてよく似ており,未詳の一色素以外はいずれもCyanidin配糖体であると考えられた。赤ニンニク,赤タマネギの両者とも主色素はCn 3-Gluであった。ただし収穫直後の赤タマネギの湘南レッドにはCn 3-Gluと同程度量のCn 3-Araと思われる色素が存在した。量的にこれらの主色素に次いで存在する色素成分は,Cn 3-Lamであろうと推測した。
    おわりに,実験材料の入手に御尽力頂いた佐賀県果樹試験場江口浩室長および神奈川県農業総合研究所根岸正好科長,またGLCによる糖の分析に御協力頂いた食品総合研究所安井健技官に深謝する。
  • 永島 俊夫, 浅利 喬泰, 小原 哲二郎
    1975 年 22 巻 12 号 p. 606-610
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 温州みかんの貯蔵を目的とし,150kradの電子線を照射した場合の果皮香気成分の変化について,ガスクロマトグラフィーにより検討を行なった。
    (2) 官能によると,照射貯蔵区(試料3,照射区)に褐変を生じ,異臭も感じられた。
    (3) 褐変の発生については小島らの報告24)と一致しなかった。これは貯蔵後,試料を輸送した際の振動や温度変化などの諸条件が関係しているものと思われる。
    (4) ガスクロマトグラフィーによると,含酸素化合物は照射直後に変化が現われたが,炭化水素化合物は照射貯蔵後に現われ,D-リモネン,β-ピネンなど,数種の成分に顕著な差が認められた。この事より,各成分の量的割合が変化して官能でも異臭を感じたものと考えられる。
    本研究を行なうにあたり,電子線照射その他で大変お世話になりました理化学研究所,岡沢精茂博士,大阪府立放射線中央研究所,小島懋博士,それに香気成分の抽出およびガスクロマトグラフィーについて御助言をいただきましたお茶の水女子大学,食品化学研究室の山西貞博士に厚く御礼申し上げます。
  • 1975 年 22 巻 12 号 p. 611-613
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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