日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 4 号
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  • (第11報)リンゴ果実のMalic enzymeについて
    村木 弘行, 山崎 岩雄, 増田 博
    1975 年 22 巻 4 号 p. 137-142
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リンゴ酒醸造に当って,macerationによる減酸効果の大きさを調節するための条件を見出す目的で,完熟したデリシャス種リンゴ果の果肉組織からMalic enzymeを抽出し,約40倍に精製してその性質を検討した。得られた標品は電気泳動的に完全に均一ではなかったが,かなり均一に近いものとなった。この標品は基質L-リンゴ酸の低濃度(3×10-3M)では6.2~6.6の最適pH値を示したが,リンゴ果汁のそれに近い濃度(5×10-2M)では,7.6となった。共存物質がない状態ではpH 5前後が最も安定で,このpHからはずれると不可逆的失活がおこりやすい。タンニン酸は酵素活性を低下させるが,かなり高濃度のタンニン酸を用いても,なお50~60%の活性は残存する。Mn2+存在下でHg2+は強い阻害を示すが,Cu2+による阻害はこれに比べて強くない。
  • 渡辺 研, 渡辺 知紀, 岡本 奨
    1975 年 22 巻 4 号 p. 143-147
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脱脂大豆粉の水抽出物よりえた11Sグロプリンにとむ画分(11S)と7Sグロブリンにとむ画分(7S)に,それぞれ蛋白質と脂質の比が5:1, 5:2, 5:3, 5:4となるよう大豆油を加え,全固形分濃度を5%および10%としてホモジナイズし,約80℃に加温して湯葉膜を生成させ,その皮膜について電子顕微鏡観察,物性測定を行ない,またこれら皮膜をエーテルついでクロロホルム-メタノール混液で抽出し脂質の抽出率を調べた。
    その結果蛋白質のみの皮膜と比較して脂質を添加したものは破断強度,伸度とも1.5~2倍の値を示し,特に11Sに強い影響を与えた。抽出率については7Sの場合は両溶媒で大部分抽出できたが,11Sの場合は組成5:1, 5:2では非抽出分が50%以上もあった。11S,7S膜は電子顕微鏡的には差異が認められなかったが,物性および脂質抽出率では大きな差異があり,特に天然豆乳の組成に近い5:2附近で上記の特色が著しかった。
  • (第2報)加熱による品質変化
    越後 多嘉志, 竹中 哲夫, 江沢 真
    1975 年 22 巻 4 号 p. 148-153
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    蜂蜜を加熱することによって生じる糖含量,酸度,色および細菌生育阻止力の変化について調べた。
    (1) 加熱温度,時間の増加に伴い,フラクトースとグルコースの含量比およびシュークロースとフラクトース,グルコース含量との比は小さくなる。総酸度にはほとんど変化ないが,ラクトン酸度と遊離酸度の比は大きくなる。
    (2) 蜂蜜を加熱するとHMFが増加し,褐変反応によって蜂蜜は着色する。この反応の1経路としてHMFを経由する反応系が考えられ,蜂蜜のような酸性液中ではグルコースよりもフラクトースが反応しやすく,容易にHMFを生成し,しかもこの反応はアミノ酸なしでも進行する。しかしHMFからの反応は進行しにくい。
    (3) Staphyloccus aureusに対する蜂蜜の生育阻止作用は高糖濃度,酸成分および過酸化水素によると考えられ,特に過酸化水素は蜂蜜中のグルコース・グルコースオキシダーゼ反応系によって生成している。蜂蜜を加熱して阻止作用が失われるのはグルコースオキシダーゼが失活して過酸化水素が生成しなくなるためと考えられる。
    (4) 上記結果の実際の裏づけとして,工場での加熱工程における蜂蜜の品質変化を調査した。
  • (第1報)プロテオリピドの分離
    山内 文男, 本木 正雄, 柴崎 一雄
    1975 年 22 巻 4 号 p. 154-158
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆からプロテオリピドを分離する方法を検討し,脱脂物のクロロホルム:メタノール(2:1)抽出物を,クロロホルム:メタノール(2:1)と水に対して透析し,フラッフを形成させて分離する方法によって0.04%の収率で薄層クロマトグラフィーで単一なプロテオリピドを分離した。その組成は窒素含量から求めた蛋白質(N×5.7)と残余を脂質とすると,両者の比は約2:1であった。
  • 市川 朝子, 藤井 聡, 河本 正彦
    1975 年 22 巻 4 号 p. 159-163
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    製造方法の異なるカラメル(A: glucose-NaOH-(NH4)2SO3, B: glucose-NH4OH, C: glucose-Na2SO3-(NH4)2SO3, D: sucrose+加熱)のリノール酸に対する抗酸化力について検討した。結果は以下に示すとおりである。
    (1) 4種類のカラメルは,いずれも添加量の増すにつれて,抗酸化力は急激に大きくなる。各カラメルの抗酸化力は,BHAの効力と比べ,カラメルBがほぼ1/11,A, Cが1/100, Dは1/500とみなされた(図1)。
    (2) 抗酸化力の経時的変化を検討した結果,一般にPOVは時間と共に値は上昇し,抗酸化力の低下が認められた。
    カラメルBの抗酸化力は,経時的に最も安定でかつ強く,A, C, Dの順に弱くなった(図2a, b)。
    (3) カラメル透析物の抗酸化力は,いずれのカラメルも非透析物の方が透析物より強かった。また,種類別にみると,カラメルBが透析物,非透析物共に最も抗酸化力が強く,カラメルCは,非透析物のみに強い抗酸化力が認められた(図3)。
    (4) カラメルの色価と抗酸化力の関係は,カラメルおよび非透析物では,色価の大きいものほど,抗酸化力が大きかった(図4)。
    (5) カラメルの窒素含有量と抗酸化力の関係は,一般に窒素含有量の多いものほど抗酸化力は大きい傾向にあった(図5)。一方,還元力と抗酸化力の間には顕著な関係は認められなかった(図6)。
  • (第2報) 卵黄の乳化力に及ぼす食塩及び酢酸の影響について
    押田 一夫
    1975 年 22 巻 4 号 p. 164-169
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食塩及び酢酸が卵黄の乳化力に及ぼす影響をO/W型エマルジョンを作り,W/O型に転相する時点における注入油の重量を測定することによって観察した。
    食塩と酢酸がそれぞれ単独で存在する時は,食塩濃度が15%以上の時は水相の粘度が上昇し,注入する大豆油が系全体に均一に分散乳化することが困難な状態を呈した。また,酢酸濃度6%以上の時は卵黄がゲル化し,均一なエマルジョンを作ることはできない。
    食塩と酢酸が共存する時は両者の相乗的な作用があって,低濃度でもゲル化が認められ,マヨネーズを製造する条件として均一で滑らかなエマルジョンを形成せしめるには,食塩濃度が10%以下,酢酸濃度が4%以下の組合せが適当であることを認めた。
    また,この濃度以下の範囲であっても食塩と酢酸の濃度が低いほど乳化力は高く,両者が共存する時は相乗的に乳化力を低下せしめることも認めた。
  • (第1報)天然調味料の香味成分の分画
    石田 賢吾, 山本 淳
    1975 年 22 巻 4 号 p. 170-175
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 牛肉エキス,酵母エキス並に市販されている天然調味料製品の香味成分を,セファデックス,アンバーライトXAD-2を用いるカラムクロマトグラフィーによって分画を行い成分とフレーバーとの関係を検した。
    (2) これらの各試料は(I)高分子ペプタイドを中心とする区分,(II)中級ペプチド,(III)低級ペプチドを中心とする区分,(IV)遊離アミノ酸を中心とする区分,(V~VII)芳香族アミノ酸,核酸関連物質を中心とする区分の7つの画分に分画された。各画分の構成比は調味料の種類によって著しく異なる。
    (3) 画分(I)~(III)は牛肉エキスに多く呈味成分として(III)が特に重要である。酵母エキスではアミノ酸を含む画分(IV)に典型的な酵母臭が認められたが,アンバーライトXAD-2によるカラムクロマトグラフィーによって呈味成分と酵母臭を分離することができた。植物蛋白を原料とする酸分解型と称せられる市販の天然調味料製品においては画分(I)~(III)は少なく(IV)が主成分であった。
    (4) ゲル濾過のパターンを比較することによって各種の天然調味料の香味特性を明らかにできるばかりでなく,市販の代替物ではそれらの製造法をも推測することができた。
  • 押田 一夫
    1975 年 22 巻 4 号 p. 176-179
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マヨネーズの振動に対する安定度の測定法を検討した。遠心分離機による遠心法,振動機による振動法は不適当であること,本報の振動遠心法は油を分離するが,水を分離せず,しかも再現性のあるすぐれた測定法であることを確認した。
  • (1) ひらたけの培養
    吉川 光一
    1975 年 22 巻 4 号 p. 179-181
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    柑橘類加工産業における副生物として,多量に生産される果皮類を,食用菌類培養用培養基としての適否について,はじめにひらたけを用いて検討を行なった。その結果,乾燥果皮を主要成分として調製した培養基でのひらたけの生産は,特殊な手法を講ずることなく従来の広葉樹材のこくずを用いる栽培法に充分匹適することが認められた。
  • 1975 年 22 巻 4 号 p. 182-188
    発行日: 1975/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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