日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 5 号
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  • 吉岡 慶子
    1975 年 22 巻 5 号 p. 193-198
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    凍結食品の適切な解凍方法を得るため,解凍温度,解凍速度の観点から凍結鯨肉を試料として,0, 10, 20,30および50℃における空気解凍と高周波解凍を行い,これら解凍条件が,解凍肉の品質に及ぼす影響を検討した。
    解凍温度の上昇に伴い,重量減少率およびドリップ流出率は増加し,ヤング率および最大降伏時の歪エネルギー量も低下し,また,応力-歪曲線の傾きの低下が認められた。組織学的観察によると,30℃, 50℃の高温度では,肉組織および筋肉繊維の損傷が認められた。一方,ドリップ流出率とヤング率の間には高い逆相関関係が認められた。ドリップ中の全窒素含有率は,0℃,30°および50℃で高い値を示した。
    空気解凍の場合,解凍温度10°,20℃におけるものが,その品質変化の点から好ましかった。とれらに次いで,高周波解凍であった。しかし,高周波解凍の場合,解凍ムラがみられたので,これには,一考を要すると考えられる。
  • 山野 善正, 江尻 健一, 遠藤 健, 千田 貢
    1975 年 22 巻 5 号 p. 199-204
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    モデル包装食品を用いて,蒸気-空気混合系加圧式レトルトによる伝熱解析を行ない,次のような結果を得た。
    (1) 用いたフィルム(全厚62-65μの2および3層ラミネートフィルム)では,フィルム差および,処理温度(105~120℃)の相違による,伝熱パラメーター,fの変動は無視できる。
    (2) 無限平板型試料での実験結果から,実用有効蒸気比の範囲(65-90%)では,表面伝熱係数(h)は1.13±0.05×10-2cal・cm-2・sec-1・deg-1であり,それ以下では,hは小さくなり,55%蒸気比では,0.826±0.117×10-2cal・cm-2・sec-1・deg-1である。
    (3) 実用型に近い,有限平板型試料での伝熱パラメーター,fは,実用条件である蒸気比65%以上で,試料厚さが2.5cmの試料で,特によく理論解で説明できた。
  • (第3報)混合物の抽出および魚油の拡散係数
    酒井 信, 三木 正之
    1975 年 22 巻 5 号 p. 205-210
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    混合物の抽出において,抽残率曲線から拡散係数の分布を求める一般的方法を示した。また拡散係数の分布が正規分布であると仮定した場合の抽残率曲線を作成し,抽残率曲線に及ぼす標準偏差の影響を調べるとともに実験結果である抽残率曲線から平均拡散係数および標準偏差を求める図を作成した。
    魚油に素焼板を浸漬し,素焼板からの魚油の抽出実験を行ない,抽残率曲線から魚油の拡散質としての性質を解析した結果,使用した魚油の拡散係数の分布がほぼ正規分布であることおよび平均拡散係数の温度依存性が通常の物質の拡散係数の温度依存性と同じであることがわかった。
  • (第1報) インライン式とチョッパーパルパー式搾汁機による温州ミカン果汁の品質の差異について
    伊福 靖, 前田 久夫
    1975 年 22 巻 5 号 p. 211-216
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国の温州ミカン果汁製造法の代表的搾汁方式であるインライン式とチョッパーパルパー式搾汁機を用いて1973年11月から1974年3月にわたり製造した2種の果汁品質の差,加熱による変化および時期別成分の変化について検討した結果は次のようであった。
    (1) 果汁収率はチョッパーパルパー式により搾汁した果汁CPJの方が,インライン式により搾汁した果汁ILJよりも5.8~6.9%高かった。月別にみると両果汁とも11月が最高で順次低くなり3月が最低であった。
    (2) 濁度はCPJの方がILJよりも高かった。パルプ含量,ブラバノンおよびヘスペリジン含量もCPJの方が若干高い値を示した。
    精油量はILJに0.011~0.022%含まれ,CPJには微量であった。これは両果汁の顕著な差異といえる。
    (3) 加熱によるアスコルビン酸含量の変化は両果汁とも少なかった。100℃,120分加熱においてCPJの方がわずかに減少傾向を示した。
    (4) 果汁の色調は,ILJの方がCPJより11~1月において強い黄色を示したが,2~3月になると黄橙色であるCPJの色に近くなった。この傾向はΔEによって最もよく示された。
    (5) カロチノイド吸収スペクトルは,生果汁のときCPJの方が高いが,90℃,2分加熱でその差が縮まり,90℃,20分加熱でわずかに逆転した。
    (6) 生果汁中のペクチンエステラーゼ活性は両果汁とも90℃,30秒加熱で完全に失活した。
    以上を総合すると,CPJは果汁収率が高く果汁の色調で黄橙色を示し,ILJは搾汁能率がよいので省力化ができ,色調で黄色を示し,精油を含むため風味の点ですぐれていた。
  • (第2報) 温州ミカン果皮より分離した精油について
    伊福 靖, 前田 久夫, 沢村 正義, 筬島 豊, 芥田 三郎
    1975 年 22 巻 5 号 p. 217-221
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカンを1973年11月から1974年3月にわたり,インライン式搾汁機により搾汁した粕の洗浄液より精油を分離し,時期別に精油の物理化学恒数および精油成分について調べ次の結果を得た。
    (1) 精油収量は12月,1月,2月の順に多く11月と3月が少なかった。11月が少ないのはこの時期の原料ミカンが早生温州であるためと,3月は原料ミカンの貯蔵期間が長いためと考えられた。
    (2) 精油の物理化学恒数のうち,比重,屈折率は時期別にみてほとんど変らず,酸価は11月が最低で順次高くなり3月が最高値を示した。エステル価は3月,11月が高かった。アルデヒド含量は11月が高く順次低い値となった。
    (3) DEGS, PEG-6000の2種のカラムの比較で,低沸点成分に対してはDEGSの方が分離良好であったが,高沸点成分および昇温に対してはPEG-6000が分離良好で,昇温で26成分が分離できた。
    (4) 精油の芳香成分中98%前後がd-limonene,r-terpinene, myrcene, α-pinene, β-pineneなどのテルペン系炭化水素で占められており主成分はd-limoneneであった。その他高沸点部の微量成分としてテルペン系アルコール,セスキテルペン炭化水素などが含まれていた。
  • 久保田 悦郎, 原 利男, 中川 致之
    1975 年 22 巻 5 号 p. 222-227
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 茶の色の科学的判定法を確立するために,色差計による測色値と官能検査評点との関係を調査し,ハンターのa値およびa/b値と官能検査評点との間に非常に高い負の相関が認められた。とくに,ハンターのa/b値と官能検査評点との間に-0.9以上の相関があり,官能検査に代って測色値を使用できることが認められた。
    (2) 市販包装煎茶の品質の尺度として窒素分析値と測色値を使用し,2変量管理図を作製すれば,上,下の2階級に区分できることを認めた。
  • 安息香酸酢酸およびその他の酸の存在
    児玉 雅信, 別所 康守, 久保 進
    1975 年 22 巻 5 号 p. 228-233
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカンおよび夏ミカンの揮発酸についてシリカゲルカラムクロマトとガスクロマトグラフィーによる検討を行なった結果
    1) 安息香酸および酢酸をp-Bromophenacyl誘導体として融点,IRなどにより同定確認した。
    2) ギ酸,イソ酪酸および酪酸の存在を推定した。
    3) 安息香酸を水蒸気蒸溜液のpH 2における紫外部吸収により測定した結果,温州ミカンおよび夏ミカン果皮の新鮮物で約0.04%,温州ミカン果汁で約0.006%であった。
    4) 安息香酸は結合型として存在するものが多いことが推定された。
  • (第8報) ゆでうどん中成分に及ぽす過酸化水素の影響
    棚田 益夫, 内田 晴彦, 和田 時子
    1975 年 22 巻 5 号 p. 234-238
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ゆでうどん中成分に及ぼすH2O2の影響について検討した。
    (1) アワ,ライ麦及び小麦粉のタンパク質区分はH2O2を触媒的に水と酸素ガスに分解し,タンパク質自身はH2O2により酸化されないと考えられた。
    (2) ゆでうどん中タンパク質のアミノ酸組成及びゆでうどんに添加されたグリシン,リジンはH2O2 850ppmの添加でもほとんど変化しなかった。
    (3) ゆでうどんに添加されたチアミン塩酸塩,ジベンゾイルチアミンはH2O2添加量に従い分解され,蒸熱処理後37℃で7日間貯蔵後の残存率はH2O2 170ppm添加の場合で無添加対照区に比べてジベンゾィルチアミン82%,チアミン塩酸塩68%であった。
    (4) 通常のグリシン,H2O2併用使用によるホルムアルデヒドの生成の可能性はゆでうどんの場合は否定された。
    (5) 以上の結果からゆでうどんに対する通常のH2O2使用は食品栄養及び衛生上ほとんど問題がないと考えられた。
  • 牧 充子, 岡部 芳江, 鈴木 静子
    1975 年 22 巻 5 号 p. 239-243
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    白ソースは冷凍による品質劣化が著しい,その冷凍による影響については,粘度,チクソトロピー,離水量,官能検査などにより差異を検討した。
    (1) 白ソースの-25℃~-28℃で1週間の冷凍により,上記の各項について品質の著しい劣化が認められた。
    (2) レシチン,カラゲーナン,混合添加物(レシチン,アルギン酸ナトリウム,カラゲーナン各等量混合)などの0.1%添加した場合,冷凍白ソースの品質劣化防止には効果が認められないが,アルギン酸ナトリウムでは多少の効果が認められた。
  • 1975 年 22 巻 5 号 p. 244-248
    発行日: 1975/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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