日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 6 号
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  • (第2報)かつお節類の連続乾燥のためのモデル実験
    石川 正人, 本杉 正義, 土肥 慎吾
    1975 年 22 巻 6 号 p. 253-258
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    節類の焙乾工程に連続乾燥技術を導入して乾燥時間を短縮し,労働力および熱エネルギーの節減をはかることを目的として,温湿度の制御可能なモデル乾燥装置を用い,連続乾燥のための条件を検討するとともに,その製品についても化学的成分および物性の両面から従来法の製品と比較した。その結果
    (1) 連続乾燥条件としては,乾燥の初期に水分を急速に除去するために乾湿の差を大きくする必要があるが,20時間以後においては節表面の過乾を避けるため環境温度70~80℃,相対湿度60%で乾燥し,さらに乾量含水率100%まで乾燥した後は相対湿度50%の条件で乾燥するのが適切であると考えられる。
    (2) 適切な温湿度プログラムに従って乾燥を行なう場合,70~80時間の連続乾燥によって節の乾燥を行なうことができた。
    このようにして製造された製品は表面のひび割れもなく,形状としても満足すべきものであった。
    (3) 呈味成分を比較したところ,現行法で製造された製品は燻煙を付与されているため,燻煙を付与せずに連続乾燥した製品に比べて酸味があることおよび酸化が防止されていることが認められた。
    (4) 魚肉組織の凝集性などの測定結果から判断して,低温で乾燥した場合の方が節の内部からの水分の浸透がより容易に行なわれること,および高温・低湿度条件で製造されたものほど脆弱な物性を示すことが明らかになった。
  • (第3報)トマトジュース缶詰のカルボニル化合物
    森 光國
    1975 年 22 巻 6 号 p. 259-264
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    トマトジュース缶詰の品質指標を選定するため,全カルボニル化合物について分離・同定した。また揮発性カルボニル化合物についてもガスクロマトグラフで測定した。その結果大要次のことが明らかになった。
    (1) 主要なカルボニル化合物として3-デオキシグルコソン,3-デオキシペントソン,HMFおよびフルフラールが分離同定された。
    (2) これら主要カルボニル化合物のうち,量的に多いのは3-デオキシグルコソンおよびフルフラールで,HMFは高温下に貯蔵した場合にのみ多量に生成した。これに対し,フルフラールは室温下でも明らかに生成した。
    (3) いっぽう揮発性カルボニル化合物としては9成分のn-アルカナール類,3成分のn-メチルアルキルケトン類およびフルフラールが検出され,このうち貯蔵によりけん著に増加するのはフルフラールであった。
    (4) 以上のことからトマトジュース缶詰の品質指標をカルボニル化合物からみた場合にはフルフラールが適当と思われる。
  • (第4報)フルフラールを指標とするトマトジュース缶詰の品質評価
    森 光國, 鈴木 健次郎, 若竹 紀子
    1975 年 22 巻 6 号 p. 265-269
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    トマトジュース缶詰の品質評価のための指標として,フルフラールを用いる可能性について検討したところ,次のことが判明した。
    (1) 減圧蒸留液をエーテル抽出したのち,アニリン比色法でフルフラールを定量したところ,再現性および回収率ともほぼ満足すべき結果が得られた。
    (2) トマトジュース缶詰のフルフラールの生成は,高温下ではけん著であるが,常温下でも経時的に増加するのに対し,HMFは高温下でのみ生成がみられた。
    (3) 官能評価とフルフラール量との相関性については,フルフラール量が大体100μg/lを越える試料は,対照のものと有意に識別された。
    (4) このレベルに達するには37℃では約4ヵ月,室温下では約4年を要することがわかった。
    (5) アスコルビン酸は温度条件に比例して経時的に減少していき,その分解経路はフルフラール経由をたどることが判明した。
  • (第1報)フラボノイドの抗酸化力の比較とトコフェロール及びメラノイジンとの相乗性
    山口 直彦
    1975 年 22 巻 6 号 p. 270-274
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    12種のフラボノイドの抗酸化力の比較及びメラノイジン,トコフェロール及びクエン酸に対する相乗性を試験した結果は次のとおりである。
    (1) フラボノイドの抗酸化力はゴッシペチン及びフェルバセチンに顕著に認められた。ケルセチン,タキシホリン,ルテオリン及び4種のカテキン類なども抗酸化力を示したが,前記した2種のフラボノイドに比較して著しく弱い。
    (2) フラボノイドとメラノイジンとの相乗性はゴッシペチン,フェルバセチン,ケルセチン,ケムフェロール,ルテオニン及びカテキン類との間に認められた。またフラボノイドとトコフェロールとはゴッシペチン,フェルバセチン及びカテキン類と相乗性を示した。さらに,クエン酸とゴッシペチン,フェルバセチン,ケルセチン,タキシホリン及びカテキン類との間にも相乗性が認められた。
    (3) ゴッシペチン,メラノイジン及びトコフェロールの3者による2者ずつ併用区の相乗性の試験では,ゴッシペチン+トコフェロール区<トコフェロール+メラノイジン区<ゴッシペチン+メラノイジン区の順に相乗性は大となった。3者併用区はさらに,ゴッシペチン+メラノイジン区よりも3倍の誘導期間の延長を示した。
    (4) フラボノイドのDPPHに対する単位還元力当りでの抗酸化力を測定した結果,フラボノイドの還元力のみによって,その抗酸化力を説明できなかった。
    (5) ケルセチン及びメラノイジンのプレカーサーであるキシローズ添加ビスケットを試作し,ビスケット中のラードの酸化安定性を測定した結果,ケルセチン及びキシローズ併用区の安定性は著しく向上した。
    (6) フラボノイドの構造を1個所変えることによって生じる抗酸化力の最も大きな変化は8位のOHであり誘導期間にして24~28日の差であったが,他の位置の変化では5日程度の誘導期間の変化にすぎなかった。
  • (第2報)プラスチックフィルムによる温州ミカン果汁粉末の防湿
    米安 実, 井山 満雄
    1975 年 22 巻 6 号 p. 275-280
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁粉末の防湿包装を行なうための資料を得る目的で,パルプ質含量が異なる果汁(10, 15, 20,25%)から製造した温州ミカン果汁粉末の吸湿速度定数(K)と,それぞれの温州ミカン果汁粉末を5種類のプラスチックフィルムで包装したときの吸湿速度定数(K')を25℃, 92.0%RHの条件で測定した。その結果,KとK'は,それぞれ310×10-5~546×10-5 hr-1,1×10-5~36×10-5 hr-1の範囲であって,温州ミカン果汁粉末の吸湿速度定数がプラスチックフィルムで包装したことによって,1/20~1/350に減少することが認められた。また,原果汁のパルプ質含量が少ないほど,KおよびK'が大きく,包装したプラスチックフィルムの透湿度(Q)が大きいほど,K'が大きいことが認められた。さらに,log Kとlog K'の間には直線的関係が認められ,KとQが与えられれば,K'をある程度推定できることがわかった。
  • (第2報)プロテオリピドの構成成分について
    本木 正雄, 山内 文男, 柴崎 一雄
    1975 年 22 巻 6 号 p. 281-285
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脱脂した大豆から分離したプロテオリピドを脂質と蛋白質に分離して,それぞれの構成成分の検討を行った。脂質部分では市販大豆レシチンに比べて,糖脂質が少なく大部分がリン脂質で,そのうちPCとPE, PAが主に認められた。蛋白質部分のアミノ酸組成は疎水性アミノ酸が非常に多く,酸性アミノ酸が減少し相対的に塩基性アミノ酸が増していた。これらのことから脂質と蛋白質の結合は,疎水結合と,静電結合の可能性が示唆された。蛋白質部分は電気泳動によって2個の組成に解離し,N末端はアラニンと少量のグルタミン酸の2個であった。
  • 滝野 慶則, 今川 弘
    1975 年 22 巻 6 号 p. 286-291
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 紅茶浸出液がクリーミングをおこす条件について検討し,浸出液の濃度,pH,カフェイン含量,温度などとの関係を定量的に調べた。結果はFig. 1~3に示すとおりである。
    (2) 紅茶のクリーミングを防止する試みの一つとしてタンナーゼ処理を行ない,明らかに効果のあることが認められた。その際,濁度の低下は没食子酸の遊離量とほぼ平行していることを認めた。通常の濃度の紅茶浸出液(1.8g/100ml)では,液4mlにタンナーゼ100 unitを添加し,50℃に1時間処理すると,2℃の低温にしてもほとんどクリーミングをおこさない。
  • 黒河内 邦夫, 松橋 鉄治郎
    1975 年 22 巻 6 号 p. 292-294
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ショートニング配合比率(小麦粉に対するパーセンテージ)を0, 3,および6%として製造したパンの脂質定量分析の結果,ショートニング配合比率(Fs)と脂質定量値(Fa)の間に直線関係が認められ,その回帰式は
    Fs=0.93Fa-1.41 (Fs≤6)
    であった。
    長野県内の学給パンの抜取り品17点について脂質を定量し,上記の回帰式からショートニング配合比率を推定した結果,(5.26±0.89)%であった。
  • 窒素自動分析機の標準物質の検討
    松本 清, 藤城 ひとみ, 筬島 豊
    1975 年 22 巻 6 号 p. 294-296
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) Nコーダー法において尿素が馬尿酸に代わる標準試料として使用し得ることを明らかにした。
    (2) 数種の一般的食品について,尿素を標準物質とした場合のNコーダー法とケールダール法の分析値を比較した。
  • 1975 年 22 巻 6 号 p. 297-303
    発行日: 1975/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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