日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • (第3報)大豆食品中のプロテオリピドについて
    佐々木 正治, 本木 正雄, 山内 文男, 柴崎 一雄
    1975 年 22 巻 7 号 p. 309-313
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    代表的大豆食品として豆腐,凍豆腐,納豆をとりあげ,脱脂後C:M抽出物をC:M溶液と水に対する透析によって,それらに含まれているプロテオリピドを分離できた。収量はいずれも0.05%前後で,脱脂した大豆の収量とほぼ同じであった。
    脂質部分のリン脂質組成は,市販大豆レシチンと比べるといずれもPCとTLCで原点附近のリン脂質が多くなり,また脂質部分の脂肪酸組成はC16:0が最も多く,C18:2が最大約50%を占める大豆リン脂質や,脱脂した大豆のプロテオリピドと異っていた。蛋白質部分のアミノ酸組成は脱脂した大豆のプロテオリピドと同様に,大豆グロブリンに比べて疎水性アミノ酸が多く,酸性アミノ酸が減少していた。
  • 伊東 清枝
    1975 年 22 巻 7 号 p. 314-319
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) 各種味噌の粘稠特性を濃度および温度の関連において検討した。
    (2) 豆味噌けんだく液は90~100%の濃度において逆ずりチキソトロピー性を示し,濃度依存性,ヒステリシスループなどの点から粘稠特性範囲であると考えた。また流動性に関与する物質は,濃度と温度の影響があり,ヒステリシスループを描き,非線型性の下限の存在,そしてpH条件における粘性挙動から,短小なタンパク態窒素の不規則的集合体であると考えた。
    (3) 米味噌けんだく液では白味噌は20~60%,仙台味噌は20~70%が粘稠性適用範囲と考えた。
  • (第1報) 乳化特性におよぼす基本的因子について
    青木 宏, 長野 宏子
    1975 年 22 巻 7 号 p. 320-324
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    未変性脱脂大豆の水抽出液,酸沈澱タンパクおよび上澄液の乳化特性について検討し次の結果を得た。
    (1) タンパク濃度が増すに従って乳化力および比界面張力は減少し,乳化安定性は増加した。
    (2) 抽出液および酸沈澱タンパクの乳化力および乳化安定性はpHにより影響をうけ,pH 4.5付近で最低の値を示した。上澄液はpHによりあまり大きな変化を示さず全般的に高い水準を示した。
    (3) 抽出液,上澄液の乳化力および乳化安定性は,タンパク溶液の加熱処理によって低下する傾向を示したが,酸沈澱タンパクはその比界面張力とともにほとんど変化しなかった。乳化物のジェリー強度は,タンパク溶液の加熱処理によって全般的に増加する傾向を示し,とくに酸沈澱タンパクおよび抽出液では70℃以上の加熱によって著しい増加を示した。
    (4) 抽出液および酸沈澱タンパクの乳化力におよぼす食塩添加の効果は比較的少ないが,乳化安定性におよぼす効果は大きく,0.1M以上の濃度においてとくに顕著に現われた。乳化物のジェリー強度も食塩の共存により増加し,0.05M以下の濃度からその効果が認められた。
  • 渡辺 研, 岡本 奨
    1975 年 22 巻 7 号 p. 325-330
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆グロブリンの湯葉状皮膜の組織と生成過程を走査型電子顕微鏡観察,呈色反応などで検討した。
    (1) 皮膜は水分含量が60~80%であるが,凍結乾燥によって上部に氷結晶の跡が認められない組織化の比較的進んだ層と,下部に組織化の低い層をもち,後者は肥厚しながら約40μまでは経時的に前者に移行する。ミロン試験とキサントプロテイン試験で皮膜表面は鮮明な呈色反応をし,裏面はほとんど反応しなかった。また大豆グロブリンのペーストを加熱して得られるゲルはミロン試験で微紅色にとどまり,湯葉状皮膜と加熱ゲルの組織の相異が示された。
    (2) 成膜初期に気液界面に形成される層をモデル固相,たとえばアセチルローズ,セロファン,ニトロセルローズ,フィブロインあるいは羽毛ケラチンなどのフィルムでおきかえても,この固液界面に皮膜を生成することができた。表面での水分蒸発速度が0.049mg/cmcm2・min以下のフィルム面では成膜しなかった。モデル固液界面で生成した皮膜は従来の製法による湯葉皮膜と同様の組織をもつことが観察された。またこの皮膜は湯葉独特の表面のシワがなく,セロファン面で得られたものでは破断強度が従来の製法のものより大きくなった。
    なお,7Sおよび11Sグロブリンは分子構造や皮膜 強度において顕著な差異があるにもかかわらず,皮膜の組織においてはきわだった差異がみられなかった。
  • 山沢 新吾, 吉崎 繁, 前川 孝昭, 丹 信吾, 佐俣 純
    1975 年 22 巻 7 号 p. 331-336
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本報は,果汁の凍結濃縮について氷結晶成長の観点から,一次元方向の伝熱による果汁の氷結につき,氷結長さ,氷結果汁の結晶形および結晶成長界面,に関して顕微鏡観察を行ない,若干の検討を試みた。得られた結果を示せば,以下のとおりである。
    (1) 果汁の氷結は,STEFANの理論式からも知られるような純水の氷結とは異なり,氷結果汁成長界面には氷結果汁成長界面には氷結晶の成長が一時停滞する第一期平衡氷結長さの存在を確認した。
    (2) 果汁の凍結操作においては,未氷結果汁は濃縮されず,果汁中の水が氷結し,この氷結晶間に果汁成分が取り込まれた状態になるにすぎない。
    (3) 果汁の氷結長さLは,冷却時間θ,冷却温度差ΔT,果汁糖度C,第一期平衡氷結長さLMの関数で表わされ,その実験式は,L/LM=tanh aθで示される。ここで,LM, aは実験より求められ,ΔT, Cの関数である。
    (4) 凍結操作条件の違いによる結晶形の違いは,冷却温度差が大きいほどこまかな結晶が得られ,さらに果汁濃糖度の高いものほどこまかな結晶が得られた。なお,緩慢冷却すると,40, 50°Bxなど高濃度果汁は,樹枝状の結晶を析出させることが観察された。
  • 真部 孝明
    1975 年 22 巻 7 号 p. 337-342
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁の加熱に伴う異臭生成について,低沸点物質をヘッドスペースガスでのガスクロマトグラフィーによって検討した。その結果,ガスクロマトグラムにおけるジメチルサルファイドのピークの挙動が異臭生成と密接な関係があった。
    (1) ジメチルサルファイドの加熱による生成は,脱皮果汁ではほとんどなかったが,じょうのうおよびアルベド添加で急増した。
    (2) pHが3.5以上になると生成量が増大し,pHの高いミカン果汁に起り易いことを認めた。
    (3) ジメチルサルファイドは,蒸溜水や脱皮果汁では揮発性が高かったが,じょうのうやアルベドの入った果汁では,約1/2に抑制された。
    (4) 脱皮果汁を加熱しても,ヘッドスペースガス中のジメチルサルファイドは0.08ppm程度であったが,アルベドを添加したものでは,0.7~0.8ppmに達した。異臭は0.2ppm以上で感じた。
  • (第8報) トマト果実の追熟に伴う揮発成分の生成と脂質の関係について
    南出 隆久, 緒方 邦安
    1975 年 22 巻 7 号 p. 343-348
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    トマト果実の追熟に伴う二,三のアシル水解酵素(リパーゼ,フォスフォリパーゼ,ガラクトリパーゼ),UFAを酸化するリポキシゲーゼや分解により生成されるカルボニル化合物,揮発性低級脂肪酸の変化を調べ,揮発成分と脂質との関連性について追究した。
    (1) トマト果実をmature green期で収穫し,追熟させるとlight pink期ごろから揮発成分が生成され,それに伴って揮発性カルボニル化合物が増加することがわかった。
    (2) 脂溶性カルボニル,揮発性低級脂肪酸,TBA価も同様,追熟とともに増加するのに対し,果実中のC18:2,C18:3などの遊離脂肪酸は着色時にもっとも少なくなった。
    (3) フォスフォリパーゼ,ガラクトリパーゼ,リポキシゲナーゼ活性は,果実が着色する時期でもっとも強く,その後追熟が進むに従い低下したが,リパーゼは追熟とともに増大する傾向にあった。
    (4) これらのことから,トマト果実の追熟に伴い糖脂質,リン脂質に含まれているUFAは,着色する時期にガラクトリパーゼ,フォスフォリパーゼにより加水分解され遊離脂肪酸となり,さらにリポキシゲナーゼによって酸化され,それが分解し,揮発性低級脂肪酸やnhexanalなどのカルボニル化合物となってトマト果実の揮発成分の一部となることが指摘された。
  • 田中 伸三
    1975 年 22 巻 7 号 p. 349-350
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    緑茶浸出液の加熱による浸出液の色の変化と成分変化について検討を加えた結果,加熱により450nm付近の吸光度が増加し,褐変物質の有機溶媒分画により,この主要成分は水溶性であることがわかった。化学成分では,4つのカテキンならびにアスコルビン酸の減少が著しく,本実験ではアミノ酸類ならびに遊離還元糖の変化はほとんど認められなかった。
  • 1975 年 22 巻 7 号 p. 351-355
    発行日: 1975/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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