ジペプチドの抗酸化力及びd-δ-トコフェロールとの相乗性を測定した結果は次のとおりである。
(1) アラニンをN末端とした9種のジペプチドとペプチド構成アミノ酸との抗酸化力の比較では,いずれのペプチドともアミノ酸区より抗酸化力は増大したが,なかでもAla-His, Ala-Met, Ala-Ty及びAla-Tryの抗酸化力は顕著に増した。
(2) チロシン,ヒスチジン,メチオニン及びトリプトファンをN末端とするジペプチドの抗酸化力の比較では,ヒスチジン系ジペプチドの効力は構成アミノ酸区より劣ったが,他のジペプチドはMet-Pro及びMet-Metを除いて,いずれも構成アミノ酸区より抗酸化力が大であった。
(3) ジペプチド中におけるメチオニン,ヒスチジン,チロシン及びトリプトファンの位置による抗酸化力の変化を測定した結果,メチオニン及びヒスチジンはC末端にある方が抗酸化力は大であり,逆に,チロシン及びトリプトファンはN末端に位置する方が効力は大きかった。
(4) ジペプチドとd-δ-トコフェロールとは相乗性を示した。その相乗力はアミノ酸と類似した効力であった。
(5) トリペブチドであるGly-Gly-Glyの抗酸化力はGly-Glyより劣るのみならず,等重量のグリシン区より効力は弱かった。
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