日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
22 巻, 9 号
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  • 中村 博治, 鴨居 郁三, 谷村 和八郎, 小原 哲二郎
    1975 年 22 巻 9 号 p. 415-419
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    日本産大豆13品種のTIをゲル濾過法および等電点電気泳動法を用いて分画し,大豆品種とそのTIパターンの関係を調べた。すなわち各大豆より水溶性タンパク質を抽出し,セファデックスG-75のカラムクロマトグラフィーにより分画した結果,2つのタンパクピークが得られた。しかしTI活性は第2のピークに集中していたのでその画分を更に等電点電気泳動法により分画したところ,大豆品種により4~5種のTI画分を得た。各大豆とも主要なTI画分の等電点はpH 4.20~4.25,およびpH 4.45~4.55の2種類であったが,品種によりその含有率は大きく異り,この含有率の差により13品種は2つのグループに大別することができ,大豆品種により分画されるTIの数およびそのTIパターンに明らかな差が認められた。分画されたTIの等電点より考えるとpH 3.90~4.00のTIは1.9Sインヒビター,pH 4.20~4.25のTIはBowman-Birkのインヒビター,pH4.45~4.55のTIはKunitzのTIと一致する。またpH 3.70~380のTIは3品種に見出され,pH 4.95~5.05のTIは全体に含有率は低いが,12品種より見出された。pH 4.70~4.75のTIは8品種で見出されたが,大豆ではこの等電点のTIは,まだ報告が見られない。
  • 岡田 茂孝, 北畑 寿美雄
    1975 年 22 巻 9 号 p. 420-424
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    蔗糖とでん粉の混合液にcyclodextrin glycosyl-transferaseを作用させ,蔗糖にオリゴ糖の結合した水飴を作成する目的で研究を行なった。その結果
    (1) 蔗糖とでん粉の混液に酵素を作用させると反応の初期にはCDを形成したが,後期には再分解を受け,消失することが判明した。また生成物を分析したところ蔗糖を末端に含むオリゴ糖であった。
    (2) この反応には蔗糖とでん粉の比が1:1付近がもっともよく,作用条件としてはpH 5.0~6.0, 55℃が最適であった。試作した水飴は還元性を示さないなど,特長ある性質を示した。
  • (第2報) ジペプチドの抗酸化力の比較及びトコフェロールとの相乗性
    山口 直彦, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1975 年 22 巻 9 号 p. 425-430
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ジペプチドの抗酸化力及びd-δ-トコフェロールとの相乗性を測定した結果は次のとおりである。
    (1) アラニンをN末端とした9種のジペプチドとペプチド構成アミノ酸との抗酸化力の比較では,いずれのペプチドともアミノ酸区より抗酸化力は増大したが,なかでもAla-His, Ala-Met, Ala-Ty及びAla-Tryの抗酸化力は顕著に増した。
    (2) チロシン,ヒスチジン,メチオニン及びトリプトファンをN末端とするジペプチドの抗酸化力の比較では,ヒスチジン系ジペプチドの効力は構成アミノ酸区より劣ったが,他のジペプチドはMet-Pro及びMet-Metを除いて,いずれも構成アミノ酸区より抗酸化力が大であった。
    (3) ジペプチド中におけるメチオニン,ヒスチジン,チロシン及びトリプトファンの位置による抗酸化力の変化を測定した結果,メチオニン及びヒスチジンはC末端にある方が抗酸化力は大であり,逆に,チロシン及びトリプトファンはN末端に位置する方が効力は大きかった。
    (4) ジペプチドとd-δ-トコフェロールとは相乗性を示した。その相乗力はアミノ酸と類似した効力であった。
    (5) トリペブチドであるGly-Gly-Glyの抗酸化力はGly-Glyより劣るのみならず,等重量のグリシン区より効力は弱かった。
  • (第3報)大豆蛋白質の加水分解物の抗酸化力とトコフェロールとの相乗性
    山口 直彦, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1975 年 22 巻 9 号 p. 431-435
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆蛋白質を塩酸及び酵素によって加水分解し,分解物をセファディクスG-25により分画し,分解物及び分画物の抗酸化力を測定した結果は次のとおりである。
    (1) 大豆蛋白質の6N-塩酸による加水分解物の抗酸化力は分解率38~64%の範囲内では分解率の低い方が大であった。いっぽう酵素分解物においては分解率約15%付近が最も強い抗酸化力を示した。
    (2) 酸分解物とd-δ-トコフェロールとの間には相乗性が認められ,その相乗力はプライマリー・アンチオキシダントとして最大の効力を示す区分より若干高い分解率の区分との間で最も強く認められた。
    (3) 酸分解物のセファディクスG-25による分画物の単位ニンヒドリン反応度当りでの抗酸化力は分子量約1,300あたりのペプチドが最大であった。
    (4) 酵素分解物のセファディクスG-25による分画物の単位280nmO.D.当りでの抗酸化力は分子量2,500~3,000ペプチドが最大であった。また分画物とd-δ-トコフェロールとは相乗性を示し,その相乗力は抗酸化力の最大のペプチドより幾分分子量の低いペプチドとの間が最も強かった。
  • (第3報) 全脂大豆乳からの製造
    松岡 博厚, 福家 洋子
    1975 年 22 巻 9 号 p. 436-442
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    還元大豆乳および新鮮大豆乳を用いチーズよう食品の製造を試み次の結果を得た。
    (1) 還元脱脂大豆乳からのカードに比し,還元大豆乳からのカードは水分含量が低く,また乳酸発酵時間が長い試料の最終製品の水分含量も低かった。
    (2) 熟成中のTI活性は,還元脱脂大豆乳,還元大豆乳ならびに新鮮大豆乳からの試料とも変化がほとんど認められなかった。
    (3) 新鮮大豆乳からの試料の熟成中の限外濾過性窒素は熟成とともに増加を示したが,濾過画分にはTI活性は認められなかった。
    (4) 新鮮大豆乳からの試料の熟成中の限外濾過性カルシウムは熟成とともに著しい減少を示した。
    (5) 熟成中の褐色化は,還元大豆乳および新鮮大豆乳からの試料においてはきわめてわずかであった。
    (6) 新鮮大豆乳からの製品は,熟成率が還元脱脂大豆乳,還元大豆乳からの製品に比し低い傾向にあるが,新鮮さ,色調,組織などの面においては最もすぐれていた。
  • 今川 弘, 滝野 慶則, 佐藤 善博
    1975 年 22 巻 9 号 p. 443-449
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 種々のカラムクロマトグラフィーによってAsp.nigerタンナーゼの精製を行ない,比活性45,600の電気泳動的に単一な標品を得ることができた。本酵素について至適pH,温度の影響,安定性,阻害剤の影響などの諸性質を明らかにした。
    (2) 精製各段階の酵素を用い紅茶のクリーミングに対する影響を比較した結果,同一単位量の酵素を添加した場合に精製酵素よりも粗酵素の方が濁度低下の効果がやや高いことを認めた。これは粗酵素に共存している物質の影響と考えられるが,タンナーゼの作用に比較すると非常に小さいものと判断される。
  • 小田 求
    1975 年 22 巻 9 号 p. 450-454
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    天然エンソウおよび精製エンソウの熱水抽出物から,寒天を調製する方法に準じて,冷水不溶物(R)と冷水可溶物(F)を調製した。RとFを,さらにNaI分別法によって2分画し,それぞれのIRスペクトルを検索した。
    (1) 天然エンソウ粘質物中のR画分は平均15.6%であったが,精製エンソウ粘質物中のR画分は平均66.3%であった。
    (2) 天然エンソウのRおよびFのいずれにもアンヒドロ糖の存在が推定された。
    (3) NaI可溶画分は,天然,精製いずれのエンソウにおいても,R画分に少なく(14~16%),F画分に多かった(79~96%)。
    (4) 天然および精製エンソウいずれにおいても,RI,RS両画分ともエステル硫酸基による吸収が認められた。
  • 亀山 研二, 高野 博幸, 梅田 圭司, 青木 章平
    1975 年 22 巻 9 号 p. 454-457
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    タマネギの実用照射の際の参考にする目的で,タマネギを大型コンテナに詰め,コバルト-60γ線で照射した。照射は線源とコンテナとの距離を3.5m, 4.5mおよび5.5mにし,コンテナ内の線量分布を鉄線量計で測定した。その結果,両面照射した場合の均一度(最高線量/最低線量)は3.5mで2.70,4.5mで2.34,5.5mで2.19となった。そこでタマネギの許可最高線量を10Kradと想定した場合,発芽防止最少線量は約3Kradなので実用化の場合許容される均一度は3.3となる。このことは3.5mの均一度では,タマネギの密度に変動があることを考えると,余裕のある値とはいえない。
    そこで月1万トンのタマネギを処理するのに現在すでに実用化しているジャガイモ用のコンテナおよび照射施設を使った場合と,線源から4.5mの位置に1m3のコンテナを使用した場合とについて,均一度から必要線源量を算出した。その結果,前者の場合,Co 60線源は174Kci必要で照射線量は3~6.6Kradの範囲で均一照射が可能である。また後者の場合202Kci必要で,照射線量は3~7Kradの範囲で均一照射が可能であるといえる。
  • 1975 年 22 巻 9 号 p. 458-462
    発行日: 1975/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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