酵素インベルターゼを用いて粒状固定化酵素を作成し,その基礎的諸性質を検討すると共に,酵素カラムによる使用試験を試みた。その結果
(1) アクリルアミドを含まない重合素材組成で保持活性の高い(60~90%)固定化インベルターゼを作ることができた。
(2) 至適反応温度は65℃とnativeのものより5℃高かった。
(3) 熱安定性が向上し, 70℃, 2分の加熱後も70%の活性を保持した。一方, native酵素では40%に低下した。
(4) アニリン,尿素,水銀などの阻害剤に対して,より安定化したが, SDS,グアニジン,銅などには逆に不安定化した。
(5) Km値はnativeインベルターゼで1.75×10
-2moleなのに対し,固定化したものは2.45×10
-2 moleであった。
(6) 活性化エネルギーは固定化することにより, 0.9Kcal/moleだけ上昇した。
(7) 固定化酵素カラムとして使用するとき,基質濃度および酵素濃度共,高くすることが分解効率上有利であった。
(8) 固定化酵素カラムにSVIで30%蔗糖液を流し,長期間連続使用すると, 28日又は54日間基質を完全に分解することができた。
(9) 粒状固定化酵素の諸性質およびその使用試験の結果は,膜状固定化酵素での結果とほぼ同様で,固定化形態を変えたことによる大きな差はなかったが, 2,3の阻害剤に対する挙動に関して差異がみられた。
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