野菜の冷凍処理によるテクスチャーの変化を的確に測定するために,急速冷凍に相応した小型供試片に適した定速度圧縮破砕法を設定した。その測定条件を検討した結果は次のとおりである。
(1) ニンジンの生鮮時からブランチング,凍結解凍後までの広範囲のテクスチャーに対して,同一方法で,迅速に,精度よく,簡便に測定しうることが確められた。
(2) 供試片の大きさは単位断面積,単位高さ当りの破砕応力などに換算すれば影響がないことが認められた。
(3) 同一ニンジン個体内の根の伸長方向の部位では力学的性質の変異は小さい。形成層の内外層別では肉質部は芯部より生鮮時にはかたく,ブランチング後もほぼ同じ傾向であった。凍結解凍後には肉質部の軟化が著しく,かたさは逆の傾向を示した。
(4) 加熱処理,冷凍処理によりニンジンは著しく軟化し,破砕曲線は下方に凸に湾曲した。破砕応力はブランチングにより10~15%,調理によりさらにその半分に減少した。冷凍によりさらに軟化し,生鮮凍結区では対照の13~20%,ブランチング凍結区では同じく20~40%,調理凍結区では28~38%に減少した。
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