日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
23 巻, 5 号
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  • (第2報)ゆで条件とゆで時の溶出損失
    柴田 茂久, 豊島 英親, 古堂 久美子
    1976 年 23 巻 5 号 p. 175-180
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生めんのゆで条件とゆで時の溶出損失の関係およびゆで液中の溶出物の組成を検討し,次の結果を得た。
    1) ゆで時間と溶出量の関係は,始めの数分量に溶出量が急増するが,その後はゆで時間に比例して溶出量が増加する傾向を示した。
    2) ゆで温度と溶出量の関係は98.5℃が最低であり,それ以外は温度の上下によりわずかであるが溶出量が増加した。
    3) ゆで用水をくり返して使用し,溶出物の濃度が高い状態でゆでると,溶出量が大きく減少することを認め,ゆで用水中の溶出物の濃度と溶出損失は高い負の相関を示すことがわかった。
    4) ゆで液に対する生めんの量が多くなると,溶出量はやや減少することを認めた。
    5) ゆで液中の溶出物組成中には澱粉質が半ば以上も占め,その比率は時間の経過とともに増加する。食塩および直接還元糖などの低分子の物質は初期に多く溶出することがわかった。
    6) 製めん工場のゆで液の調査では,各社のゆで槽の構造およびめんの製造条件の差異から,ゆで液中の溶出物の濃度およびその組成がかなり異なっていることを認めた。
  • (第12報)リンゴ酒醸造におけるアンモニア添加macerationの効果
    村木 弘行, 増田 博
    1976 年 23 巻 5 号 p. 181-185
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リンゴ酒醸造に当り,リンゴ果のmalic enzymeの活性及び安定度を高める目的で,破砕果にアンモニアを加えてpHを3.0から3.8, 4.4,及び5.0にそれぞれ上昇せしめたのち,20時間のmacerationを試みて次の結果を得た。
    (1) pHの上昇につれ, macerationの時の酵素作用が活発となり,果汁の酸度,ペクチン,タンニンの減少が著しくなると共に,果汁収量が増加した。
    (2) 減少する酸は専らリンゴ酸であり,乳酸及びコハク酸はやや増加した。ただし乳酸の増加は微生物の作用によるものかも知れない。
    (3) アンモニア添加により,果汁の発酵速度及びエタノール生成量は増大した。
    (4) アンモニアの添加量が窒素として300mg/l程度ならば,発酵中に95%が消費され,リンゴ酒中に残存する量はわずかである。これに伴なってpHはふたたび低下する。添加量が500mg/lでは87%, 800mg/lでは84%が消費された。
    (5) mecerationによって特に異常な成分の生成は認められず,酸味の温和なすぐれたリンゴ酒が得られる。
  • (第13報)macerationの効果に影響を与える諸因子
    村木 弘行, 増田 博
    1976 年 23 巻 5 号 p. 186-190
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リンゴ酒醸造に当って,破砕果のmacerationを行うことによる果汁成分変化が,果実の破砕方法,破砕果と空気との接触面積, macerationの時間数,亜硫酸の添加及び温度などの条件によって,それぞれどのように影響されるかを検討して次の結果を得た。
    (1) 磨砕による破砕果のmacerationでは潰砕に比べるとリンゴ酸の減少効果が著しく小さい。ただし磨砕果でも空気との接触が充分であれば減酸効果は大きくなる。
    (2) macerationを長時間にすると減酸効果は増大するが濃色や異香を生じやすい。
    (3) 亜硫酸を添加するとmacerationのリンゴ酸減少効果は失なわれる。乳酸の増加もおこらなくなるが,コハク酸の増加は停止しない。
    (4) 破砕果を加温すると減酸効果は顕著になる。低温ではリンゴ酸減少量は小さく,揮発酸生成量は大きくなる。しかし破砕果を一旦凍結してから,解凍すると,解凍後にすみやかなリンゴ酸減少がおこる。
  • (第3報)保蔵中および加熱により生成するカルボニル化合物
    岩渕 せつ子, 佐藤 光子, 柴崎 一雄
    1976 年 23 巻 5 号 p. 191-195
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    味噌の保蔵中および加熱により生成したカルボニル化合物を定量的に検討し次の結果を得た。
    (1) 100℃加熱により揮発性カルボニルが未加熱時の約5倍まで増大し,加熱臭に大きく影響しているが,今回新たにそれを上回る量の不揮発性カルボニルの存在が認められた。
    (2) 100℃加熱と30℃保蔵の際の揮発性カルボニル含量と着色,および官能検査の結果から前者は着色に伴うカルボニルの生成量が多くその含量と加熱臭とに関連がみられた。後者は着色濃化が大きいが,カルボニル生成量が少ないことおよび官能検査の結果から保蔵中の香気の劣化はカルボニル含量以外に他の要素が関係していると考えられた。
    (3) 100℃加熱と30℃保蔵では生成される揮発性カルボニル化合物に違いがみられ,高温の場合,フルフラールの生成が著しかった。
  • 稲垣 長典, 本間 清一, 鈴木 緑, 山田 和子, 田中 慶子
    1976 年 23 巻 5 号 p. 196-198
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州みかんリポキシゲナーゼが果汁加熱加工中におこるオフフレバーとどのような関係にあるかを調べる目的にてまず温州みかんの熟度とリポキシゲーゼ活性との関係について検討した。試料としては神奈川山北地方の普通温州杉山(樹令約30年)の樹を定め昭和48~49年間の二年間にわたり,果肉と果皮のリポキシゲナーゼ活性と熟度との関係について実験を行なった。その結果果肉リポキシゲナーゼ活性は果皮より4~6倍高く,その最高時期は11月中旬より12月初旬までであった。また最大活性は熟度適期より4~8週間早いことがわかった。
  • 森 一雄, 澤田 玄道, 西浦 康雄
    1976 年 23 巻 5 号 p. 199-205
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    唐辛子およびその抽出エキス中のカプサイシンの化学的定量法のうち,燐モリブデン酸-燐タングステン酸比色法,紫外部吸光度法(UV法,修正UV法および標準物質添加法)について比較検討を行なうとともに官能的な辛味との関係を検討した。
    標準品として用いた純カプサイシンは唐辛子から単離したがエタノール中で231nm(E1%1cm=246), 281nm(同98.8)に, 0.5N水酸化ナトリウム中で246nm(E1%1cm=330), 295nm(同139)に極大吸収を認めた。
    修正UV法と標準物質添加法はほぼ同じ定量値を与えたがUV法では前2法より約10%高い値を,燐モリブデン酸-燐タングステン酸比色法では2~3%低い値を示した。UV法の定量値が高くなった原因は試験溶液調製におけるカプサイシン転溶率のとり方にあると推定された。
    修正UV法の定量値とScoville heat unitの関係は相関係数0.991で明らかに有意性が認められ,カプサイシンの5%蔗糖液中での閾値は0.04~0.05ppmであった。
  • (第5報)放射線共重合法により製造した固定化インベルターゼの諸性質について(その2)
    川嶋 浩二, 梅田 圭司
    1976 年 23 巻 5 号 p. 206-210
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    水溶性重合素材を酵素インベルターゼの存在下に放射線重合させ,生じたポリマー中にインベルターゼの固定を試みた。このようにして得られた固定化酵素の諸性質を前報にひきつづいて検討した。その結果
    (1) Km値は, native酵素と固定化酵素間に差が見られなかった。(夫々1.70×12-2molおよび1.95×10-2mol)
    (2) 固定化酵素の保持活性は,一定ポリマー量中における酵素量(酵素濃度)が少い程高く, 8.5~91.5%であった。
    (3) 固定化酵素は,35℃に貯蔵しても乾燥状態では長期間安定で,60日後に元の74~95%,130日後に80%の活性を示した。
    (4) 30回くり返し使用した後でも第1回目使用時の70%相当の活性を示した。
    (5) 各種阻害剤で処理した結果,固定化インベルターゼはnativeのものよりアニリンおよび尿素に対してより安定化したが,エタノール,グアニジン,水銀,銅などには逆に不安定化した。
  • (第6報)膜状固定化インベルターゼによる蔗糖液の分解
    川嶋 浩二, 梅田 圭司
    1976 年 23 巻 5 号 p. 211-215
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    低温放射線重合により膜状固定化インベルターゼを製造し,蔗糖液の分解を試みた。その結果
    (1) 小型反応容器(直径55mm,高さ90mm)中で10~40%(W/W)蔗糖液を固定化インベルターゼにより完全に分解することができた。
    (2) 同一固定化インベルターゼを,くり返し使用して前記反応容器中で10%(W/W)蔗糖液の分解を試みたが,30回使用後も蔗糖液の分解パターンはほとんど変化しなかった。
    (3) 固定化インベルターゼをカラムに充填して,連続的に基質の分解を試みた。30%(W/W)基質で,SV 3~SV 4まで100%分解することが可能であった。
    (4) この固定化酵素カラムに30%基質をSV 1.0で流して長時間連続的に使用すると,47日まで基質を100%分解した。
  • 製造後一年間の変化
    坪山 悦子, 門岡 克行, 塚本 守, 服部 隆一
    1976 年 23 巻 5 号 p. 216-219
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    スパゲティの品質に関し,製造直後から貯蔵した製品を分析して来たが,通常の流通過程とほぼ同じ温湿度条件下における変化は,1年間経過した時点で品質上の劣化はなく,むしろ調理特性を示す官能試験では向上したと判定された。一方,スパゲティを高温下に貯蔵した場合は短時日で調理特性は向上するが,さらに貯蔵を続けると次第に性格がバランスをくずし,また褐変反応が進行して,商品価値を低下させる傾向を示した。
  • 1976 年 23 巻 5 号 p. 220-226
    発行日: 1976/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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