日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
23 巻, 6 号
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  • (第5報)カロチノイド,クロロフィル含量の果令別,品種別比較
    飯島 隆志, 羽生田 義夫, 重盛 恭彦
    1976 年 23 巻 6 号 p. 233-238
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    1966及び1967年の両年, determinate type品種として, H. 1350, H. 1370, E. S. 24, E. S. 58, ローマ, indeterminate品種の大豊を供し,さらに1966年にH. 1409を,1967年に東北6号を加えて,開花後40~70日における果実内の色素を定量し,また色差計により果汁の色調を測定して,色調上から収穫適期を加工適品種の検討を試み,以下の結果を得た。
    (1) 果令別変化
    クロロフィルは開花後55日でほとんど消失し, 60日で完全になくなった。リコピンは40日では零に近いが50日で4~7mg%に達し, 60, 70日となるにおよんで急激に増加した。ただし70日になると軟果,腐散果が多く認められた。
    キサントフィルは50日, β-カロチンは55日頃までに急増したが,以後は緩慢な増加となった。果汁のa/bは50日で大豊を除く大部分の品種が1.6を越え, 60日では大豊を含めて2.0以上,70日で最高となった。
    以上により色調面のみでは収穫期は遅いほど良いが,軟果,腐散果を考慮すると開花後55~60日頃が最適であろうと判断された。
    (2) 品種間差異
    リコピン含量の高い品種は大豊,ローマ,東北6号, H. 1370などであったが,これらのうち東北6号は早生で開花後50日頃までにリコピン含量が高くなるが,大豊は60日頃にならないと高くならず,他の品種はこれらの中間にあった。
    以上の色調の良い品種のうち,大豊はindeterminate typeの品種であるので栽培労力面で,東北6号とローマは小粒のため現時点では収穫労力面で欠陥があり,既に報告した収量その他の点を含めて,供試品種のうちではH. 1370が加工用品種として無難なものの一つであろうと判断された。
  • (第6報)酸,糖,ペクチン,固形物,ビタミンC含量の果令別,品種別比較
    飯島 隆志, 村上 雄一
    1976 年 23 巻 6 号 p. 239-243
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    無支柱栽培品種(determinate type variety)のH. 1350, H. 1370, E. S. 24, E. S. 58, 東北6号,ローマおよび対照区品種として有支柱栽培品種(indeterminate type variety)の大豊を含め7品種を供試し,製品の品質に関係する遊離酸,糖,ペクチン物質,全固形物,ビタミンCの開花後40, 50, 60, 70日の果令別,品種別比較を行い,以下の結果を得た。
    (1) 遊離酸:クエン酸として滴定酸度を測定したが,多数の品種は開花後40日頃に,少数品種は50日頃に,すなわち赤熟以前にピークがあり,熟するに従って減じた。品種で少ないものはH. 1370,ローマであり,多い品種はE. S. 24, E. S. 58であった。
    (2) 糖:分析は不純物除去後ベルトラン法で行ったが全糖と還元糖は熟するほど大であった。品種では,生食兼用可能のH. 1370, H. 1350が比較的多かった。
    (3) ペクチン物質:分析はカルシウムペクテイト法で行った。果令別では40日が最高で熟するに従って減じ,品種では開花後50~60日でローマ, H. 1370, 東北6号がやや多かった。
    (4) 全固形物: 105℃常圧乾燥法によって分析した。果令別では40日頃が最高であった。品種別ではローマがやや多かった。
    (5) ビタミンC:分析はヒドラジン法で行った。果令別では40月頃が最高で熟するに従って減じた。品種では50日で東北6号, E. S. 58, H. 1370がやや多かった。
    以上の結果およびもっとも重要な色素,その輸送性,貯蔵性など考えると,収穫適明期は長野県などでは開花後50~60日頃であろうと判断された。また供試品種中では,濃縮用に収穫労力がかかる欠点はあるがローマが良く,ジュースと濃縮用の兼用種にはH. 1370が良い品種ではないかと判断された。
  • 石谷 孝佑, 平田 孝, 高井 順子, 木村 進
    1976 年 23 巻 6 号 p. 244-249
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    油脂中に添加された酸化防止剤は,加熱中に逸散したり,熱分解を受けて減少する。その減少速度は,温度が高くなるに従い急速に増し, BHAはBHTの倍以上の速度で減少した。また,単に加熱するより,揚げ物をした場合さらに急速に減少した。
    BHAの結晶を酸素気流中で180℃ 1時間加熱したとき生成する物質として,揮発性物質10種類以上,不揮発性物質15種類をガスクロで検出し, GC-MSにより物質を推定した。その結果,分解生成物中で最も量的に多かったものは,ビフェニル型の二量体であった。 BHAは加熱によりラジカルを生成し,そのラジカル同士が反応して多量の二量体を生成すると同時に,メチル基が1つ引き抜かれたり, 1つ付加したような物質も見られた。また, 2つのt-プチル基を持つキノン等も認められ,このことは揮発性物質の中にイソブタンやトリメチルアセトアルデヒド等が認められていることも符合する。
    油脂中でBHAの二量体の生成は120℃で最高の値を示した。
  • (第4報)卵黄のLow-density Fraction及びHigh-density Fractionの乳化力と安定性に及ぼす食塩及び酢酸の影響について
    押田 一夫
    1976 年 23 巻 6 号 p. 250-256
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    卵黄からLow density fraction(LDFと称す)及びHigh density fraction(HDFと称す)を調製,各々の乳化力,安定性,ならびに溶解度に及ぼす食塩と酢酸の影響について観察した。
    卵黄の場合と同様に, LDFとHDFの乳化力に及ぼす食塩の影響は弱かった。しかし,酢酸の影響は強く,pHが低下するに従って乳化力は低下した。 LDFは用いたすべてのpH域(pH 3.3~6.0)においてHDFより乳化力は高かった。特にHDFは食塩濃度7.5%, 10%で酢酸濃度3%, 4%以上の時,水相の粘度は非常に高く,均一なエマルジョンは得られず,乳化力は低下した。
    一方,安定性はHDFの方が強く,しかも経時変化が少なかった。
    LDF及びHDFの溶解度は両者ともイオン強度0.1の場合, pH低下とともに上昇した。また,溶解度が最低となるpHは,イオン強度の増加に伴ない,低いpH域へ移行する傾向がみられた。しかし,これらLDF及びHDFの溶液解性とそれらの乳化力及び安定性との間には明確な関連性は認められなかった。
    このようにLDFとHDFは両者とも乳化力と安定性をもつが,乳化力はLDFの方が強く,安定性はHDFの方が強いことがわかった。これらの原因として,HDF使用のマヨネーズが非常に高粘度であった事とともに,両者の膜の性質の違いが推察された。
  • (第6報) カボチャ果実の硝酸塩含量の生育,貯蔵中の変化
    畑 明美, 緒方 邦安
    1976 年 23 巻 6 号 p. 257-261
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    日本種「小菊」および西洋種「近成えびす」カボチャについて硝酸塩含量と貯蔵中の変化について検討した。
    (1)カボチャの硝酸塩量は日本種「小菊」で220ppm,西洋種「近成えびす」で280ppmと西洋種でやや多く,さきに報告したナス,ピーマン,メロン,イチゴに比べ果菜類のなかでは高含量を示すことを認めた。部位別硝酸含量分布は「小菊」の幼果(開花後10日,20日)では皮部に含量が高く果肉部が少なかったが,適熟果(開花後40日)では部位における硝酸含量の相違が少なくなった。「近成えびす」は適熟果のみについてみたところ,種子部は最も少なく,果肉,胎座部で多く,その含量差もなかった。
    (2)カボチャ「小菊」の生育中の硝酸塩量は幼果期に高く,完熟期ではやや減少することを認めた。
    (3)カボチャの生育期を4期に分けて採取し,果実を貯蔵(20℃)すると,幼果(開花後10日)では貯蔵中硝酸含量の減少はほとんどみられないのに対し,開花後20日以降の果実ではいずれも貯蔵中硝酸塩の著しい減少が認められた。硝酸塩が貯蔵中減少することは,日本種,西洋種共通してみられる現象で,とくに西洋種「近成えびす」では1カ月貯蔵(20℃)で約1/10にまで減少した。
    (4)カボチャ果実の貯蔵中の窒素化合物の消長については,カボチャ果肉の全窒素に対する硝酸態窒素の割合が減少し,それに対応して蛋白態・アミノ態窒素が増加した。胎座部でも同様の傾向を認めた。このことから貯蔵中に硝酸態窒素が蛋白態・アミノ態窒素に移行し,そのため硝酸塩含量が減少するものと推察した。
  • (第1報)電導度測定法に基礎を置く食品中の有機酸含量測定法
    筬島 豊, 松本 清, 岡山 謙一, 沢村 正義, 中島 正利, 橋永 文男, 白石 真一, 芥田 三郎
    1976 年 23 巻 6 号 p. 262-267
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品中の有機酸含量測定法として電導度測定法に基礎を置く新しい分析法を開発した。希薄溶液中での弱電解質と強電解質の挙動を詳細に検討することによって,強電解質共存下で有機酸から解離した水素イオンの濃度(活量)を測定し得ることを明らかにした。
    試料中の酸含量をy%,試料を適度に希釈した測定液の示す比電導度をx(μmho・cm-1)とすると関係式(1)が成立する。
    y=ax+b (1)
    ここでaは酸の解離定数に支配される定数であり, bは試料中の強電解質濃度によって決まる定数である。
    カンキツ果汁の場合にはその300倍希釈液に対して(2)式が得られた。
    y%as citrie acid=0.02678x-0.4641, r=0.998 (2)
    本回帰式はクエン酸換算0.5~3%の酸を含む果実に対して成立し,カンキツの品種,系統,産地,果実の生育ステージなどには無関係である。
  • (第14報)リンゴ圧搾粕を利用するブドウ酒の減酸
    村木 弘行, 増田 博
    1976 年 23 巻 6 号 p. 268-272
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リンゴ圧搾粕を用いるブドウ酒の減酸を試みて次の結果を得た。
    (1) ブドウ果汁にリンゴ圧搾粕を添加して発酵させ,発酵終了後に滓と共に除去する方法によってブドウ酒中のリンゴ酸を著しく減少させることができた。この減少はリンゴ圧搾粕中のmalic enzymeによると思われる。 100ppmの亜硫酸の存在下では,減少率は多少低下するが,なおかなりの減少がおこる。
    (2) リンゴ酸と共に,乳酸,酒石酸も減少し,また時としてコハク酸の増加を伴なう。これらの酸の変化はリンゴ圧搾粕中の酵素によるものとは考えられない。
    (3) 総合結果としてブドウ酒の滴定酸度は減少し,pHは上昇してソフトな味の新酒が得られる。
    (4) 発酵終了後の新酒にリンゴ圧搾粕を添加したのでは,リンゴ酸の減少は全く認められない。
  • 1976 年 23 巻 6 号 p. 273-279
    発行日: 1976/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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