無支柱栽培品種(determinate type variety)のH. 1350, H. 1370, E. S. 24, E. S. 58, 東北6号,ローマおよび対照区品種として有支柱栽培品種(indeterminate type variety)の大豊を含め7品種を供試し,製品の品質に関係する遊離酸,糖,ペクチン物質,全固形物,ビタミンCの開花後40, 50, 60, 70日の果令別,品種別比較を行い,以下の結果を得た。
(1) 遊離酸:クエン酸として滴定酸度を測定したが,多数の品種は開花後40日頃に,少数品種は50日頃に,すなわち赤熟以前にピークがあり,熟するに従って減じた。品種で少ないものはH. 1370,ローマであり,多い品種はE. S. 24, E. S. 58であった。
(2) 糖:分析は不純物除去後ベルトラン法で行ったが全糖と還元糖は熟するほど大であった。品種では,生食兼用可能のH. 1370, H. 1350が比較的多かった。
(3) ペクチン物質:分析はカルシウムペクテイト法で行った。果令別では40日が最高で熟するに従って減じ,品種では開花後50~60日でローマ, H. 1370, 東北6号がやや多かった。
(4) 全固形物: 105℃常圧乾燥法によって分析した。果令別では40日頃が最高であった。品種別ではローマがやや多かった。
(5) ビタミンC:分析はヒドラジン法で行った。果令別では40月頃が最高で熟するに従って減じた。品種では50日で東北6号, E. S. 58, H. 1370がやや多かった。
以上の結果およびもっとも重要な色素,その輸送性,貯蔵性など考えると,収穫適明期は長野県などでは開花後50~60日頃であろうと判断された。また供試品種中では,濃縮用に収穫労力がかかる欠点はあるがローマが良く,ジュースと濃縮用の兼用種にはH. 1370が良い品種ではないかと判断された。
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