日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
24 巻, 7 号
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  • 高橋 登枝子, 八尋 逸郎, 徳村 治彦
    1977 年 24 巻 7 号 p. 335-341
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    清涼飲料水の加熱殺菌条件,開栓後の保存可能期間及び合成保存料の必要量を求めるために,オレンジ果汁入り清涼飲料水,サワー,ミルク入りコーヒー,オレンジ果汁入り5倍希釈用,ティーシロップ,糖度の高い殺菌乳酸菌飲料,コーヒーシロップをつくり,これにSchizosaccharomyces Pombe, Bacillus subtilis, Aureobasidium pullurans等を接種して試験した.
    清涼飲料水に必要な加熱殺菌条件はpH,糖度及び保存料の量により著しく異なった。 pH6.7,糖度13%のミルク入りコーヒーは120℃, 10分の加熱殺菌が必要であるのに, pH3.1,糖度60%の希釈用清涼飲料水は50℃の加熱で十分であった。 pH3.1の希釈用に88mg/kgの安息香酸ナトリウムを添加したときは加熱殺菌する必要がなかった。
    開栓後の保存可能期間及び合成保存料の必要量は清涼飲料水のpH,糖度及び保存温度によって著しい差があった。 pH 3.1の希釈用は開栓後25日間は保存可能であるが,安息香酸ナトリウムを88mg/kg添加すると3カ月以上良好な状態で保存できた。 pH6.7のミルク入りコーヒーは最も速く変敗し, 38℃では6時間しか保存できなかった。 1週間保存するときは, 10℃以下にする必要があった。 700mg/kgの安息香酸ナトリウム及び140mg/kgのパラオキシ安息香酸ブチルを併用しても,微生物は増殖した。 pH5.0,糖度48%のコーヒーシロップは38℃では2日間しか保存できないが, 140mg/kgのパラオキシ安息香酸ブチルを添加すると,微生物の増殖を防ぐことができた。 700mg/kgの安息香酸ナトリウムの添加では,コーヒーシロップは変敗した。
  • 松冨 直利, 山村 益士, 太田 英明, 筬島 豊, 芥田 三郎
    1977 年 24 巻 7 号 p. 342-345
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    着色用ブドウ品種,ベーリー・アリカントA果皮のアントシアニン色素の同定を行った結果, 12種の色素が存在していた。また色素含量の定量をも行った。その実験成績は次のようである。
    (1) 最も多かったのは, malvidinとpeonidinの3, 5-diglucoside(33.0と20.7%)で,次はmalvidinとpetunidinの3-monoglucoside(9.2と9.0%)で格段と少なかった。
    (2) 続いて, malvidin-3-(p-coumaroyl)-monoglucoside(5.3%), petunidin-3, 5-diglucoside(4.6%), peonidin-3-monoglucoside(4.4%), malvidinはpeonidinの3, 5-diglucosideのp-coumarateがそれぞれ4.0と3.5%含まれていた。
    (3) 最も少ないのは, delphinidinの3-monoglucoside(3.1%)と3, 5-diglucoside(2.0%)であり, peonidin-3-(p-coumaroyl)-monog1ucosideは1.2%に過ぎなかった。
    (4) アントシアニン色素総含量は,乾燥果皮中106mg/gに達した。
  • 芥田 三郎, 太田 英明, 筬島 豊
    1977 年 24 巻 7 号 p. 346-349
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    青味が強く,よく着色した巨峯ブドウ果皮から5種の主要色素の他に, 5種の少量色素が分離され,同定された。
    青味を強くする色素として, petunidin-3, 5-diglucosideとpetunidin-3-monoglucosideが同定されたが, delphinidin系色素は検出されなかった。 malvidin-とpeonidin-3, 5-diglucosideにp-クマール酸がアシレートした色素はかなり存在した。なお,最も少量のものとして, peonidin-3-(p-coumaroyl)-monoglucosideの存在も確認された。
  • 飯野 久栄, 小曽戸 和夫
    1977 年 24 巻 7 号 p. 350-356
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    トマトの成熟過程,ならびに搾汁工程におけるペクチンの含量, DEAE-セルロースカラムクロマトグラム,およびセファデックスG-200によるゲル炉過パターンの変化を検討し次のような結果を得た。
    (1) 熟度の進行とともにWP, PPおよびHPのいずれも減少し,なかでもHPの減少が著しかった。しかし, TPに対するWPの比率は増加した。
    (2) 完熟トマトを生のまま破砕したCBPの試料は,そのまま放置すると,最初の5分間でHPが急激に減少し,その後はWPの減少が著しかった。PPは徐々に減少した。破砕後50分放置した試料のTPは破砕前の試料の約1/2まで減少した。
    (3) 破砕前に加熱して搾汁したHBPの試料は,そのまま95℃に保持したときのペクチンは, PPの減少とWPのわずかな増加がみられ, TPではわずかに減少するのみであった。
    (4) WPのDEAE-セロルースカラムクロマトグラムは,成熟段階ならびにHBP試料では変化が少なく, CBP試料は溶出位置ならびにパターンに著しい変化があり,メトキシル含量が変化していることを示唆した。
    (5) セファデックスG-200のゲル炉過でペクチンの溶出区分に分子量の相違が認められた。
    (6) セファデックスG-200のゲル炉過パターンは,成熟段階ではWPにのみ変化があり熟度の進行に伴い低分子画分のピークが出現するようになった。 CBP試料では,時間の経過とともに巨大分子画分のピークが小さくなり低分子画分のピークに著しい変化が認められた。 HBP試料では, WPにのみ低分子画分の消失がああるだけであった。
    (7) 以上の結果より,トマトの加工において, HBPは製品の粘稠度を高めるのに極めて効果のある方法であることが再評価された。
  • 小林 邦彦, 長尾 和夫, 芥田 三郎
    1977 年 24 巻 7 号 p. 357-361
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    宮川早生温州みかんを果皮の色調により熟期を緑熟から完熟まで5段階に分け,測色計により測色された色調(Hunter color solid; L, a, b)とカロチノイド含量およびパターンとの関係を研究した。
    成熟と共に全カロチノイド量は急激に増加し,カロチノイドパターンではクリプトキサンチン画分の増加が著しく,全カロチノイド量増加の主因と考えられた,またビオラキサンチン画分も増加したが,完熟期では若干減少した。一方ジオールとその5, 6-エポキシド画分は減少することが認められた。
    色調ではa値の急激な増加が認められたが, L値およびb値は緑色の消失する頃までは増加するが,その後はほぼ一定であった。従って緑色の消失以後の色調の変化はa値の増加に基ずいて色相,彩度の変化となって現われたものと考えられた。
    a値と全カロチノイド含量との間には強い相関関係があり,またa値はクリプトキサンチン画分と正の,ジオールとその5, 6-エポキシド画分とは負の相関関係が認められた。
    これらのことから成熟に伴って全カロチノイド,特に主要色素であるクリプトキサンチン画分が増加し,赤味が濃くなってだいだい色の完熟果の色調が現われて来るものと考えられた。
  • (第2報)凍結速度の劣化に及ぼす影響
    鈴木 静子, 牧 充子, 岡部 芳江
    1977 年 24 巻 7 号 p. 362-365
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    急速凍結(液体窒素による-100℃)緩慢凍結(-25℃~-28℃)の凍結速度,並びに長期保存期間中の冷凍白ソースの性状,及び,アルギン酸ナトリウム添加の影響について,離液量,粘度,チクソト戸ピーの測定により,その品質劣化の差異を検討した。
    (1) 凍結速度については,急速凍結をしたものは品質良好で劣化がほとんどないのに比べて,緩慢凍結のものは品質劣化が早く,劣化の度合も大きいことが認められた。
    (2) 保存期間については,急速凍結のものは26週間までは,その品質に大きな影響がみられないが,緩慢凍結のものは保存中の劣化が著しい。
    (3) アルギン酸ナトリウム添加は,いずれの場合にも冷凍白ソースの品質劣化に対し若干の効果はあると思われるが,実用上劣化防止の目的で使用するだけの価値があるとは思われない。
  • (第1報)1型強塩基性陰イオン交換樹脂の汚染の実態とその回生方法
    前川 文男, 川崎 耕治, 堀木 嘉夫
    1977 年 24 巻 7 号 p. 366-371
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 糖液の脱塩精製に使用する1型強塩基性陰イオン交換樹脂の汚染は,リバース法という樹脂組み合わせ上の特徴から,マグネシウム,シリカ等を中心とする無機物汚染と,色素を中心とする有機物汚染との複合的なものであり,その色素の大部分は,水酸基形強塩基性陰イオン交換樹脂による糖液のアルカリ反応によって新しく生成した色素であることが明らかとなった。
    (2) 汚染したイオン交換樹脂の回生方法として,高温下で塩酸処理を行い,次いで,水酸化ナトリウム含有食塩水で処理することが,最も有効であることがわかった。
  • 綾野 雄幸, 古橋 樹雄, 渡辺 幸雄, 本橋 和夫
    1977 年 24 巻 7 号 p. 372-374
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    α-トコフェロールの抗酸化性に対するL-アスコルビン酸ステアレートのシネルギス-作用をラードを用いてAOM法で検討した。
    L-アスコルビン酸ステアレートの単独添加では抗酸化作用はなく, α-トコフェロールと併用することによりシネルギス卜作用が認められた。 α-トコフェロール(2.5×10-4)の単独添加ではAOM時間は約25時間であったが, L-アスコルビン酸ステアレートをα-トコフェロールに対してモル比で2倍量(5×10-4M)添加すると, AOM時間は約33時間を示し,もっとも効果が認められた。さらにクエン酸を組合わせるとAOM時間は約1時間延長した。この組合わせにCu2+(0.4ppm), Fe3+(2.0ppm)を添加しても,その抗酸化性はほとんど低下しなかった。
  • 1977 年 24 巻 7 号 p. 375-383
    発行日: 1977/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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