トマトの成熟過程,ならびに搾汁工程におけるペクチンの含量, DEAE-セルロースカラムクロマトグラム,およびセファデックスG-200によるゲル炉過パターンの変化を検討し次のような結果を得た。
(1) 熟度の進行とともにWP, PPおよびHPのいずれも減少し,なかでもHPの減少が著しかった。しかし, TPに対するWPの比率は増加した。
(2) 完熟トマトを生のまま破砕したCBPの試料は,そのまま放置すると,最初の5分間でHPが急激に減少し,その後はWPの減少が著しかった。PPは徐々に減少した。破砕後50分放置した試料のTPは破砕前の試料の約1/2まで減少した。
(3) 破砕前に加熱して搾汁したHBPの試料は,そのまま95℃に保持したときのペクチンは, PPの減少とWPのわずかな増加がみられ, TPではわずかに減少するのみであった。
(4) WPのDEAE-セロルースカラムクロマトグラムは,成熟段階ならびにHBP試料では変化が少なく, CBP試料は溶出位置ならびにパターンに著しい変化があり,メトキシル含量が変化していることを示唆した。
(5) セファデックスG-200のゲル炉過でペクチンの溶出区分に分子量の相違が認められた。
(6) セファデックスG-200のゲル炉過パターンは,成熟段階ではWPにのみ変化があり熟度の進行に伴い低分子画分のピークが出現するようになった。 CBP試料では,時間の経過とともに巨大分子画分のピークが小さくなり低分子画分のピークに著しい変化が認められた。 HBP試料では, WPにのみ低分子画分の消失がああるだけであった。
(7) 以上の結果より,トマトの加工において, HBPは製品の粘稠度を高めるのに極めて効果のある方法であることが再評価された。
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