日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
24 巻, 9 号
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  • 辻 昭二郎
    1977 年 24 巻 9 号 p. 443-447
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    テンシプレッサーによる食パンのhard.の多点測定法を検討した。その結果次のことが確かめられた。
    (1) テンシプレッサーの使用により,一回の測定でテクスチェロメーターによる多点測定法と属様な解析が可能となった。従つて測定が迅速化され,試料数も少なくてすみ実用上有利となった。又誤差も小となり,測定の精度も高まった。
    (2) clear.とhard.間の回帰式の直線性はknife又は大型needl eplungerの場合極あて高く,食パンのかたさは回帰式y=ax+bで示すことができる。食パンのかたさは方向係数a又はパンをplungerでほぼおし切った時のかたさに相当する切片bの値で示すことができる。
    (3) 食パンのやわらかさは,手にごよる能感及び食べた時の食感にもとづく官能検査により容易に識別でき,その結果は前記の実験式による指標値と一致した。
    (4) 食パンのかたさは,内層の部位によつてかなり異なっており,特に中心部がやわらかいことが前記の実験式により示された。
    (5) 前記の実験式の勾配の標準偏差を比較すると,食パンの内層の中心部と周辺部ではかなり異なった。これは実験誤差よりも各部位のかたさの不均一性の差に基づくものと考えられる。これは試料にこより変動したが,一般に中心部はかたさの均一性が高かつた。
    (6) パンの老化に伴うかたさの変化も,前記の実験式により数字的に表現できる。又パンの内層の中心部と周辺部では老化に伴うかたさの変化が異なることが示された。
  • 石谷 孝佑, 木村 進
    1977 年 24 巻 9 号 p. 448-452
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    クロロフィルおよびクロロフィル誘導体の分解促進に関与する光の波長について検討した。
    クロロフィルa, bは, 300nm以下の紫外線で著しく分解が促進されると同時に,吸収極大波長附近の光線によってもかなり分解が促進された。フエオフィチンa, bはクロロフィルa, bより安定で, 300nm以下の紫外線によって分解が促進されたが可視光線ではほとんど分解が見られなかった。クロロフィリンa, bはクロロフィルより不安定であり,可視光線の影響を比較点強く受けた。
    クロロフィルaとb,フェオフィチンaとbの相対的安定性は,溶媒によって異なる結果を得た。
  • 伊藤 汎
    1977 年 24 巻 9 号 p. 453-458
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    前報1)において精糖蜜中に含まれる甘味臭の重要な成分としてマルトール系化合物およびその他の成分の存在を確認し,さらに蔗糖の熱分解によりマルトールおよびイソマルトールの生成することを確認した2)。以上の結果から精糖蜜に含はれるマルトール系化合物は蔗糖の分解により生成することが考えられるが,精糖工程中におけるマルトール系化合物の挙動についてはこれまで研究されていない。
    そこで,精糖工程における甘味奥の変化とマルトール系化合物の挙動について,原糖および同一原糖由来の各工程リカー,糖蜜,製品および再溶解糖を採取し,官能検査による比較とマルトール系化合物の工程中における増減の結果から,晶析工程において糖蜜がくり返し加熱されることにより糖が会解し,マルトール系化合物を生成し,それが糖蜜の甘味臭を増加させていることを確認し,さらにその生成メカ二スムについて,糖蜜工程中で多量に存在する蔗糖,グルコースおよびフラクトースを用いて検討した。
  • 小野 文夫, 青山 康雄
    1977 年 24 巻 9 号 p. 459-464
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    醤油エキス物溶液の示す油脂可溶化現象に関し,そのモデル水相としてのサッカロースおよびポリペプトンの混合溶液の油脂可溶化に対する挙動を検討した。
    サッカロースおよびポリペプトンからなる水相の油脂可溶化能の発現条件は,本水相のミモル形成濃度条件と一致性を示し,本水相のミセル化の進行および含油量の増加とともに可溶化生成物は粘稠化し安定化した。可溶化物を加水展開して得られるエマルジョンの濁度はこれとよく一致し増加を示した。
    本モデル水相の可溶化油量限界は醤油エキス物溶液の場合に比べ著しく高く,可溶化物の含油量として84%(v/v)前後を示した。また,油脂可溶化物の透明性は両相の屈折率差が影響し,水相の屈折率が油脂のそれに一致する点でほぼ100%の透過率を与えた。
    pHおよび加熱(90℃)は可溶化物そのものの安定性にほとんど影響を及ぼさなかったが,エマルジョン変換液はpH 4以下で分散油滴の凝集および浮上が認められた。
    以上の結果は糖,タンパク混合溶液による油脂可溶化現象の食品加工への応用に関して興味ある示唆を与えるものと考えられた。
  • 毛利 善一
    1977 年 24 巻 9 号 p. 465-471
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ショ糖脂肪酸エステルとピロリン酸カリウムを主成分とする洗浄剤と中性洗剤,クエン酸などの酸との洗浄機構の相違について,トマきを使用して検討を加え,以下の結果をえた。
    (1) ビルダーであるピロリン酸カリウムの銅イオンに対するキレート能は, pH8.15以下で認められず,トマト洗浄のような弱酸性におけるピロリン酸カリウムのピルダー効果の一環としての銅イオン除去作用は,キレート能によるものでないことがわかった。
    (2) ビルダーとして, ピロリン酸カリウムの方が,中性,弱酸性のいずれにおいても,クエン酸ナトリウム,リンゴ酸ナトリウムより分散能がすぐれていた。
    (3) ピロリン酸カリウムの銅イオン補そく能力は,弱酸性でのイオン交換反応による方が,アルカリ性でのキレート能による場合よりも大きいことが認められた。
    (4) トマト洗浄でのピロリン酸カリウムのビルダー効果には,よごれの分散安定化作用(再汚染防止作用)とイオン交換反応による金属イオン補そく作用が重要な因子となっていると考えられる。
    (5) ボルドーのような無機性農薬に対して,ビルダーが配合されていないために,中性洗剤は効力が認められなかったが,マラチオンのような有機性農薬に対しては,界面活性剤の存在により,洗浄液の表面張力低下能が大きく,中性洗剤,洗浄剤Aいずれも除去効果が認められた。クエン酸は表面張力低下能も小さく,マラチオンに対して,ほとんど効果を示さなかった。また,分散能から見たよごれの再汚染防止効果は,洗浄剤A,中性洗剤に比ベて,クエン酸のみでは,比較にならないほど弱いことが認められた。
    (6) 酸によるボルドーの除去速度は,洗浄剤A,中性洗剤に比べて,きわめて大きく,しかも酸の化学構造の違いによる選択性は認あられず,いずれもpH3以下で同一の効果を示した。
  • 片峯 伸一郎, 関本 邦敏, 持田 芳照, 志済 吉信, 古川 徳, 山中 良忠
    1977 年 24 巻 9 号 p. 472-478
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    鶏糞で汚染させた全卵液の滅菌方法を検討した後,滅菌全卵液(SWE)中での10菌株の乳酸菌の増殖及び生酸性を調べ,さらに,ある1菌株の休止細胞を用いて発酵させた場合のSWEの成分変化,特に,風味に関係する酸について検討を加えた。
    初期細菌数レベルが5.1×104/ml以下の全卵液は,58℃, 30分間の殺菌を2または3回行ない,殺菌間の卵液放置条件を37℃, 2または3時間とすることにより,完全な滅菌効果が認められた。
    各乳酸菌のスターターをSWEに5%接種し培養した結果,増殖,酸生成が認められた菌は, L. acidophilus L54(L54), L. casei L14(L14), Str. faecalis F904(F904)及びF706(F706)であった。 L14及びF904は,グルコース,ラクトースあるいはシュークロースを1ないし3%添加することにより酸生成が促進され, L54及びF706は,グルコースあるいはラクトースの添加により促進された。
    L54の休止細胞けん濁液を用いてSWEを発酵させた場合,不揮発性有機酸としては,主として乳酸が生成され,また,代謝中間体と考えられるピルビン酸が微量検出された。発酵16時間後にはSWE中のグルコースの約90%が消費され,生成乳酸は約200mg%に達した。揮発性脂肪酸としては酢酸が10時間以後,少量生成されたが,他の揮発性脂肪酸は72時間の発酵を通じて全く見出されなかった。
  • 中林 敏郎
    1977 年 24 巻 9 号 p. 479-483
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    コーヒー豆の遊離糖のほとんどを占め,焙煎コーヒーの風味形成に重要な役割を演じている蔗糖の含量について検討を行なった。
    (1) コーヒーなどポリフェノールを多く含む試料の単糖類と蔗糖の分離定量に有効な方法として,活性炭カラムクロ々トグラフィーを確立した。
    (2) コーヒーの蔗糖含量の平均値は,生豆で7.02%,メデイアムで0.33%,イタリアンで0.05%,インスタントコーヒーで0.70%であった。
    (3) 焙煎中,コーヒー豆の蔗糖含量は,クロロゲン酸の減少や褐色度の増加に先だって,速やかに低下して,遂にはほとんど消失する。
    (4) コーヒーには遊離の単糖類は含まれないが,それより低分子のカルボニル化合物と考えられる単糖類よう物質が,生豆で0.18%,メデイアムで0.28%,イタリアンで0.13%,インスタントコーヒーで1.98%含まれ,焙煎中わずかに増加した後減少する。
  • 福井 尚之
    1977 年 24 巻 9 号 p. 484-486
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販圧搾酵母菌体を原料としてICM処理により抽出,精製されたパン酵母タンパタ質粉末を添加してパンの製造実験を行った結果以下のことがわかった。
    (1) パン酵母タンパク質粉末を70℃で2時間温エタノール処理した時の脱臭効果は不充分であった。
    (2) パン酵母タンパク質粉末を95℃で10分間熱水処理した時は,味,香り共によくなったが比容積では逆に悪くなった。
    (3) 生地の醗酵時の体積に対するパン酵母タンパク質粉末の効果は,生地中の砂糖量により変わり, 5%より30%の方がよい結果を示した。
  • 松井 年行
    1977 年 24 巻 9 号 p. 487-489
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    和三盆糖に使用されているさとうきび品種は竹蔗とN: Co 310(以下N:Coと略記)で,両者から作られた和三盆糖の風味は微妙に相違するといわれている。前報では,和三盆糖の独特の風味が,禽有される不純物質によるところが大であるとの考えに基づき, N: Coのさとうきび圧搾汁,白下糖,和三盆糖の遊離アミノ酸,有機酸,舞の分析を行なった。今回は,竹蔗,N: Coの成分と比較する目的で,出所の明らかな両者の圧搾汁,白下糖,和三盆糖の分析を行なった。分析検体が1社2~3検体と少ないため,両品種の特徴を論ずることはできないが,和三盆糖関係の分析データはあまり多くないので報告する。
  • 1977 年 24 巻 9 号 p. 490-496
    発行日: 1977/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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