日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 1 号
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  • 還元加糖練乳の場合
    野田 勝彦, 遠藤 光春, 高橋 強
    1978 年 25 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    加糖練乳の増粘現象を検討する過程において,一般に増粘しやすい還元加糖練乳をとりあげ,各種試作品を小規模工場で製造し,その増粘防止法を追究するとともに増粘の要因を考察した。
    (1) 脱脂粉乳とバターオイルあるいは無塩バターを用いた試作品は製造直後においても粘度が高く,保存により急激に増粘した。
    (2) 未変性ホエーたんぱく質量の多い低温殺菌処理した脱脂粉乳を用いた試作品も増粘は速かった。未変性ホエーたんぱく質が加糖練乳の増粘に影響することは少く,むしろ均質化とかその他の製造条件の効果が大きい。
    (3) 脂肪分に乳化剤を用いて還元クリームとし,これを用いることにより無脂乳成分と脂肪分との直接均質化処理を避けて試作した試料は増粘が遅かった。均質化による増粘の促進が確認された。
    (4) 加糖練乳はそのしょ糖比が63%前後にあることによって細菌の増殖を抑制しているため,水分としょ糖量を大巾に変更することは出来ない。脂肪量を若干増加して脂肪10.0%,無脂乳固形分21.5%,しょ糖43.0%,水分25.5%として還元クリームを用いる方法で通常の加糖練乳と同程度の粘度を示す還元加糖練乳の製造が可能であった。
  • 高波 修一, 榛葉 芳夫, 吉田 勤, 中島 富衛
    1978 年 25 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    GCを用いて市販漬物(12種類)の有機酸を定量した。有機酸としてギ酸,酢酸,酪酸,イソ吉草酸,吉草酸,イソカプロン酸,カプロン酸,乳酸,グリコール酸,カプリル酸,レブリン酸,修酸,コハク酸(フマル酸),リンゴ酸,ピログルタミン酸,クエン酸を検出した。
    SA添加の山ごぼう醤油漬,味噌漬の殺菌および無殺菌品の貯蔵中におけるVFAおよびSAの経時変化を試験したが,無殺菌品においては酢酸の増加が著しかった。また無殺菌品においてはSAの減少とSAに由来する4-ヘキセン酸と推定される物質の増加がみられた。
  • 伊藤 均, 飯塚 廣
    1978 年 25 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ガンマー線照射によるリテーナ成形かまぼこの変敗の抑制を目的として各温度におけるミクロフローラと貯蔵効果を検討し以下の結果を得た。
    (1) かまぼこの変敗菌は20℃貯蔵ではB. subtilis, B. pumilusが中心であり,10℃ではB. pumilus, B. cereus, B. megaterium, Pseudomonas, Aeromonas,酵母菌などが増殖してきた。5℃ではPseudomonas, Brevibacterium, Aeromonas,酵母菌が検出された。
    (2) かまぼこにガンマー線を300~450krad照射した場合に残存が認められたのはBacillusと酵母菌であるが,照射による変敗の抑制効果は明確に認められた。そして10℃前後では約2倍に貯蔵期間が延長され,20~30日の貯蔵が可能である。
    (3) Bacillus属各菌株の芽胞は放射線抵抗性が強く,300kradでは95%程度しか殺菌できない。しかし,照射による生育遅延効果が著しく,10℃ではかなりの期間(例えば好気的条件で3日以上)静菌状態を保った。PseudomonasAeromonasは放射線抵抗性が弱く300krad以下で充分殺菌できる。
    (4) リテーナ成形かまぼこの主要変敗菌であるBacillus各菌種は主としてデンプン由来のものと思われる。そこで,ばれいしょデンプン中の菌数をしらべたところ1g中200個あり,その90%以上がBacillus属で占められていた。そして,1g中の菌数が10-1~10-2個以下に殺菌されるためには500kradの線量が必要であった。
  • 橘 禎男, 佐藤 優行, 梶 明
    1978 年 25 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Corticium rolfsii IFO 4878を用いて,デンプンを炭素源として生産させた,グルコアミラーゼの粗酵素剤について,その性質を調べ,生デンプンの糖化に応用できるかどうかを検討した。
    その結果,この粗酵素剤はトウモロコシデンプンに対して,pH 3.0で最高の分解率を示し,低pHで安定で,強い耐酸性をもっていることがわかった。また,この粗酵素剤は,細菌α-アミラーゼと併用すれば,40%トウモロコシデンプンに対して,Rhizopus属やAspergillus属の市販グルコアミラーゼ剤と同様に,ほぼ100%の分解率を示した。
    このことより,C. rolfsiiのグルコアミラーゼ剤は,酵素糖化法によるデンプンからグルコースの製造に,十分利用できるものと考えられる。
  • 久米 民和, 青木 章平, 佐藤 友太郎
    1978 年 25 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    V.Sに1.0Mradまでのガンマ線を照射したときの色の変化について検討し以下の結果を得た。
    (1) V.Sは照射により退色し,特に赤色色素成分が減少することが認められた。また,照射時に存在する酸素量が多い程退色が著しく,照射線量の増加とともに退色が著しくなる傾向が認められた。
    (2) 市販V.Sの場合99%の信頼度で退色に有意差が認められる線量は窒素置換で1.0Mrad(95%の信頼度では0.5Mrad),空気封入で0.5Mradであり,酸素置換の場合は0.3Mradですでに有意差が認められた。
    (3) 特製V.Sの場合は市販V.Sより退色し難く,窒素置換では1.0Mradまで有意差は認められず,市販包装状態(窒素気流中で包装)では1.0Mrad,空気封入では0.3Mradで有意差が認められた。
    (4) 照射V.Sの抽出色素成分の540nmおよび340nmにおける吸光度変化等から,ニトロソヘム化合物の減少およびヘム部分のポルフィリン核の開裂が生じていることが推定された。
  • 小宮山 美弘, 原川 守, 乙黒 親男, 小沢 俊治
    1978 年 25 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 山梨県産スモモ(Prunus salicina)6品種から得られたジュース中の遊離アミノ酸組成とそれらの成熟に伴う遊離アミノ酸の変化を調べた。
    (2) ジュース中の遊離アミノ酸含量は124.6~272.5mg%で,20種類のアミノ酸が同定された。
    (3) 主要アミノ酸はアスパラギン酸とアスパラギンで,両者の合計量は全アミノ酸の50~79%を占めた。つぎに比較的多いのはセリン,プロリンおよびグルタミン酸で,それぞれ7~16%, 4~13%, 2~4%の含有率を示した。また大石早生にはアラニンとイソロイシンが,メスレーにはアラニンが多かった。
    (4) 成熟に伴うスモモの遊離アミノ酸は,大石早生の場合,アスパラギン酸とプロリンが減少し,アラニンとイソロイシンが増加した。またソルダムではアラニンが増加した。
  • 坪山 悦子, 門岡 克行, 塚本 守, 服部 隆一
    1978 年 25 巻 1 号 p. 40-42
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    スパゲティの品質に関し,製造直後から3年間,通常の流通過程とほぼ同じ温湿度条件下に貯蔵して,品質の変化を追跡調査した。その結果,変化が認められたのは次の項目であった。(1)溶出率の減少(2)ごく微細な変化ではあったが,色調の褐変傾向(3)ゆで麺の物性中,硬さの増大と伸びの減少(4)官能試験に於ける食感が,1年半~2年でその得点がピークとなり,以後やや低下した。又ベタツキは良化したままであった。この変化を全般に眺めた時,デューラム100%製品の方が少々早く,且大きい傾向を示した。
    以上より3年間貯蔵したスパゲティの品質は食味の劣化を来たすような化学変化もここに示した値からは全く認められなかったし,食感より判定された商品としての性格も充分にその価値を保持しているものと考えられる。
  • 福井 尚之
    1978 年 25 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    デンプン製造工場の廃液から膜処理法により回収したバレイショタンパク質粉末を,さらに精製してタンパク質含量90%とした粉末をパンに添加して,パンの品質に対する影響を検討した結果,以下のことがわかった。
    (1) バレイショタンパク質粉末を2~6%添加して焼いたパンは,全測定項目にわたって無添加のものと比較して,同程度あるいはよりすぐれたものとなった。
    (2) 他の配合条件は,食塩量1.5%,砂糖量10%,ショートニング量8~10%,吸水量60.5%が適量であった。
  • 藤本 滋生, 岡松 洋, 村田 裕史, 永浜 伴紀, 蟹江 松雄
    1978 年 25 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    りんごをまるのまま75℃の温水中に約1時間浸漬したのち八つ割にし,徐々に圧搾すると,糖などの低分子成分は水とともに細胞膜壁を通過して排出され,一方,酵素蛋白質などの高分子成分はそのまま細胞内にとどまる。したがって,この方法で得られたりんご果汁は,最初から透明度が高く,また放置しても褐変化しないことがわかった。しかもきわめて香気が優れていた。
  • 1978 年 25 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1978/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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