日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 12 号
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  • 山本 晴敬, 菊池 栄一
    1978 年 25 巻 12 号 p. 663-667
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    レトルトパウチ入り牛乳-小麦粉ペーストモデル食品について,熱伝達速度および褐変速度を求め,伝導支配の場合の褐変度におよぼす加熱条件について検討した。
    (1) モデル食品の熱伝達曲線はsingle logarithmic curveで近似でき,小麦粉濃度が5%以上の範囲では伝導が支配的である。
    (2) 小麦粉濃度5%のペーストの褐変反応は一次反応式に従い,その活性化エネルギーは26(Kcal/g-mol),反応速度定数kの温度変化は1.17×1012exp(-13085/T)である。
    (3) 小麦粉濃度5%のペーストについて表面褐変度に関してHTST法の効果が期待できるのは食品の厚みが8mm以下の場合である。
  • 大豆タンパク質の乳化特性に関する研究(第5報)
    青木 宏, 折茂 則子, 島津 令子, 若林 啓子
    1978 年 25 巻 12 号 p. 668-672
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆の酸沈殿分離タンパク質を用い,その乳化力(EC)および乳化安定性(ES)におよぼすアシル化の効果を検討し次の結果を得た。無処理タンパク質のECおよびESをpHの函数として見た場合,等電点(pH 4.5)付近を底とする谷形の曲線をえがくが,アセチル化タンパク質はpH 4.5付近の乳化特性が向上し,酸性側からアルカリ性側にかけてゆるやかに上昇する曲線を示した。サクシニル化タンパク質のESは無処理のものと同様の谷形を示すが,その最低値のpHは約1ポイント酸性側に移動し,中性付近ではとくに高いESを示した。pH 7におけるESはアシル化度10~70%の範囲で無処理のものより一度減少し,70%以上になって増加した。85%以上のサクシニル化は無処理の2.5倍のESを示して注目された。pH 4.5におけるESはアセチル化度と共に増加した。pH 3.5におけるESは30~70%のサクシニル化で無処理の10%以下から40%まで増加し,90%以上のサクシニル化で再び付近の値まで減少した。pH 4.5における95%アセチル化タンパク質は,無処理タンパク質と同様約5%しか水に溶けないのにもかかわらず,そのEC, ESは,80%以上の水溶性を示すpH 7のそれらと同等の値を示し,タンパク質の乳化特性は必ずしも水溶性と平行関係にないことを確認した。
  • 石田 欽一, 志賀 一三, 横尾 良夫
    1978 年 25 巻 12 号 p. 673-676
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カードラン13140 (PS)-澱粉ゲルについて,レオメーターによって諸性質を調べた。
    1) PSと澱粉類を併用すると離水のないゲルが得られた。また,各種澱粉類を4%, 8%添加したときのゲル強度はいずれもPS単独ゲルよりも小きかった。
    2) 澱粉濃度の影響はワキシーコーンスターチの場合,濃度20%付近でゲル強度は最小になった。
    3) ゲル形成時の加熱時間及びPS濃度が増すに従いゲル強度は高くなった。
    4) PS-澱粉ゲルは,PS及び澱粉単独ゲルの中間的なテクスチャーを示し,澱粉濃度が低いときはPSゲルの性質が,また,高いときには澱粉ゲルの性質が強く現われた。
  • 石田 欽一, 大島 克己, 横尾 良夫
    1978 年 25 巻 12 号 p. 677-681
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    カードラン13140 (PS)-澱粉ゲルの菓子への応用を試みた。
    1) 各種風味材料添加によるゲル特性は,インスタントコーヒー添加のものはゲル強度が高く歯ぎれのよいゲルとなり,牛乳,餡の添加ではゲル強度が低く脆いゲルとなった。
    2) ゲル強度は温度依存性が大きく,品温が高いほど低い値となった。
    3) 保存中のゲル強度変化は4週間程度であまり大きくなかった。また,特に耐熱性細菌の多い例としてココア添加の場合,120℃, 15分の成形条件をとることによって1ヵ月以上微生物的変質を防ぐことができた。
  • 川崎 聖司, 野村 男次
    1978 年 25 巻 12 号 p. 682-686
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    分離酵母蛋白質(SCP)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の反応を検討するため,紫外吸収スペクトルを測定した。またSCP調製時にSDSを添加して得た試料およびその濃厚溶液の分子の変化状態をゲルロ過により調べ,つぎのことを認めた。
    1) 差スペクトル法によりSCPに対しSDSが2~5%の範囲で溶媒効果と変性との中間の状態が得られた。またそれより高濃度では変性作用が進行し,SCPの高次構造に変化が起こることが示唆された。
    2) SDS添加量を変えて調製したSCPの分子は,添加量の増加につれて低分子画分の割合が増大した。またこの時のSDS濃度は差スペクトルの結果とほぼ一致した。
    3) 上述の条件で調製したSCP濃厚溶液のゲルロ過溶出曲線より,SCPはアルカリでさらに低分子化が進み,分子量が約1~2万の比較的均一なサブユニットが主成分をなすことが確認された。
  • 温州ミカン果汁の品質改善と果皮利用に関する研究(第7報)
    伊福 靖, 前田 久夫
    1978 年 25 巻 12 号 p. 687-690
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    インライン搾汁方式で得た温州ミカン,夏柑,カボス精油およびフロリダで採取したバレンシアオレンジ,グレープフルーツ,テンプルオレンジの精油を用い,物理化学恒数,全カロチノイド量,蒸留残渣物,トコフェロール含量について比較検討を行った。
    1) 各精油間に比重,屈折率の差はみられなかった。旋光度はカボスが最も低く,温州ミカン,夏柑が中間値を示し,バレンシアオレンジ,グレープフルーツ,テンプルオレンジは高い値を示した。
    2) 精油中の蒸留残渣物は温州ミカンが最も多く11.1%で,カボスの8.5%,夏柑の8%がこれに次いだ。フロリダ産の精油は総体的に少なく1.9~4.8%の範囲であった。
    3) 精油の色調はそれぞれのカンキツ果皮の色と同様であったが,とくに温州ミカンの精油は赤橙色で,全カロチノイド量は79.8mg/100gと高く,他のカンキツ精油に比べて10~20倍量であった。
    4) POVの測定では,対照に用いた温州ミカンの蒸留油に比し,各精油ともはるかに強い抗酸化力を示したが,なかでも温州ミカンの精油は最も強い抗酸化性を示した。
    5) カンキヅ精油中のトコフェロールは,α-,γ-トコフェロールの2種類で構成され,全トコフェロール含量は温州ミカンが最も多く,精油1g中251μgで,カボスの86.8μg,夏柑の65.6μgがこれに次いだ。蒸留残渣物の多い精油程トコフェロール含量が多かったが,抗酸化性からみて本実験に用いた精油採取法は,精油の安定性のために最適の方法であるといえる。
  • 広末 トシ子, 川井 英雄, 細貝 祐太郎
    1978 年 25 巻 12 号 p. 691-694
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    日本薬局方収採の24種の生薬について,蒸留水,エタノール及びエーテル抽出を行ない。それぞれの抽出物について,リノール酸メチル・エタノール溶液を基質とし,チオシアン鉄法及びTBA法によってBHAと比較し抗酸化力の判定を行なった。
    その結果,カンゾウ及びチョウジの場合はいずれの抽出物でも強い効力を示した。とくに,カンゾウの場合は効力が顕著であり,さらにその有効成分を検索するため石油エーテル抽出物と甘味成分であるグリチルリチンについて試験を行なったが,これらには効力は認められなかった。
  • 野口 肇, 猪野 金利, 佳山 良正
    1978 年 25 巻 12 号 p. 694-697
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アルファルファの緑葉搾汁より酸沈殿と有機溶媒洗浄を組み合わせて,うすい灰白色のLPC粉末を得た。収量は新鮮緑葉100gより出発して平均1.75gであり,これは緑葉中の全蛋白量の約30%に当る。この組成は蛋白:88.4%,脂質:1.3%,灰分:2.6%,水:7.0%であった。アミノ酸分析結果によればメチオニンの含有量はやや低いが,FAOの決めた参照蛋白質の必須アミノ酸含有量より多い。このLPCの生物価は大豆蛋白よりはるかに高いことがわかっているので,有望な蛋白食品資源となりうるものと思われる。
  • 1978 年 25 巻 12 号 p. 698-703
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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