著者らは1974年,大分県産の春子干しシイタケを試料として,冬〓と香信の検討,各銘柄間の嗜好差,旨味成分と嗜好の関係,干しシイタケの綜合的な嗜好特性など,干しシイタケを嗜好の面から捉えることを試み次の結果を得た。
(1) 冬〓と香信については,形態的には菌傘の直径と厚さの比をとり,上冬〓の値を1として数値順に並べると,冬〓,香信の各系に大別された。テクスチュロメーターの測定による上冬〓と上香信の比較では,凝集性に5%の危険率で有意差が認められ,上冬〓の凝集性が小さかった。
(2) 干しシイタケの各銘柄間の嗜好差の有無をみるために官能検査を行なったところ,外観,香り,味,テクスチャーおよび綜合評価のいずれにも,各銘柄間に危険率1%で有意な差が認められた。
(3) 官能検査で得られた味の良さと,アミノ態窒素量および5'-GMP量の間には有意な相関は認められなかった。
(4) 干しシイタケの綜合的な嗜好特性は菌傘の厚さと高い相関があり,歯ごたえが良いこと,および咀嚼時の汁液放出量が多いだけでなく汁液放出の持続回数が多いなどの理由で,菌傘の厚手のものほど好まれる傾向があった。
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