日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 5 号
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  • 久保田 清, 弘中 和憲, 鈴木 寛一, 保坂 秀明
    1978 年 25 巻 5 号 p. 251-256
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    レトルトパウチ容器などに計量充填が可能な表面のべたつきを少なくした高含水率の浸漬米を製造することを目的として,過熱水蒸気処理米の浸漬に関する研究を行なった。
    生米(含水率14%)を20℃において2時間1次浸漬をして得られた1次浸漬米(34%)を,150℃において2.5分過熱水蒸気処理をして過熱水蒸気処理米(32%)を製造した。
    この過熱水蒸気処理米を(20~100℃)において2次浸漬をした結果,高温域では含水率約55%まで,低温域では約60%までのものが,表面のべたつきが少なく計量充填が可能なものとなった。2次浸漬速度式として,次に示す1次速度式を得た。
    dw/dθ=0.01492 (we-w)
    we=1.294x10-5tt2+7.870×10-5t+4.562×10-2(t=20~100℃)
    ただし,w,we:浸漬進行時,平衡時の重さ(g),θ:浸漬時間(min), t:浸漬温度(℃)
    過熱水蒸気処理米を2次浸漬をして含水率60%のものを得るための条件は,100℃で約5分,60℃で約20分,20℃で約70分であった。
  • コーヒーの品質に間する化学的研究(第7報)
    中林 敏郎
    1978 年 25 巻 5 号 p. 257-261
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー焙煎で生成される非フェノール性カルボン酸の前駆体を確かめる為に,コーヒー豆の炭水化物をモデル焙煎し,ガスクロマトグラフィーで有機酸を分離定量した結果,
    (1) 蔗糖からギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レブリン酸,修酸,マロン酸およびコハク酸が生成され,この時クロロゲン酸が共存していても同様であった。
    (2) 焙煎中,これらの酸は増減するが,その模様はクロロゲン酸が共存した方が,コーヒー焙煎時の変化に類似していた。
    (3) 単糖類から蔗糖と同様な酸が生成された。
    (4) 多糖類からの酸生成は少ないが,アラビノガラクタンとセルロースからはクエン酸の生成が認められた。
  • (第7報)加熱温度・時間の“たわみ”および色調におよぼす影響
    元広 輝重, 山下 二郎, 服部 孝雄
    1978 年 25 巻 5 号 p. 262-267
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アスぱラガスをサイズ別に湯煮し,缶容器に肉詰めした後,注汁,脱気,密封し,115.2~119.9℃でそれぞれ30分間加熱した缶詰,および115.2℃で20~50分間加熱した缶詰を作製し,内容物の褐変度と“たわみ”を測定した。得られた結果を要約すれば次のようである。
    (1) 115.2℃で加熱されたアスパラガスは,20~50分の範囲において,加熱時間の経過にともない“たわみ”が増加する。
    (2) 115.2~119.9℃で30分間加熱した場合,加熱温度が上昇しても,“たわみ”は顕著に増加しない。
    (3) 大形アスパラガスは,小形に比し,同一加熱条件下における“たわみ”は小さい。
    (4) 加熱による褐変は,サイズ別に顕著な差異は認められない。
    (5) 115.2℃の加熱では,40分以上において褐変が顕著となる。また,115.2~118.8℃の温度範囲では30分の加熱により,褐変度の差異は少ないが,119.9℃では明らかに褐変する。
    (6) G~Cサイズでは,湯煮時聞を30秒とすれば,115.2~118.8℃で30分,または115.2℃で30~40分。M~Lサイズでは,湯煮時間を15秒とすれば,115.2℃で30分。m~Sサイズでは,湯煮時間を15秒とすれば,115.2℃で20~30分が適当な加熱条件といえる。
  • 寒天の利用に関する研究(第16報)
    布施 恒明, 山口 直彦
    1978 年 25 巻 5 号 p. 268-274
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1.0%寒天水溶液に主として0.01,0.1および1.0%の濃度になるよう食品添加物,天然高分子物質を加えてゲル融解温度,ゲル強度,弾性率,脆性を調べた。
    (1) ゲル融解温度は醸造用剤,食品製造用剤,一部の天然高分子粘質物等の添加により上昇することを認めた。
    (2) 硫酸ナトリウム,L-アスパラギン酸ナトリウム,塩化マグネシウムなどがゲル強度を増大させることを認めたが,これらは寒天の溶解力を増大させるためと考えられた。
    (3) ゲル強度を増大させる添加物を加えると,ほとんどの場合弾性率は対照より小さくなること,また低分子の一部の添加物を除き脆性破壊は小さくなることを認めた。
  • 醤油成分による油脂可溶化現象(第7報)
    小野 文夫, 青山 康雄
    1978 年 25 巻 5 号 p. 275-279
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    醤油エキス物の高濃度溶液が示す油脂可溶化現象に関して,ミセル形成に対する糖質の関与を電気伝導法により検討した。
    醤油エキス物溶液の電気伝導度は粉末醤油の濃度として35%(w/v)付近にミセル形成を示唆する極大を与えた。一方,醤油エキス物申の主要糖質はいづれもサッカロースと同様に30%(w/v)付近でのミセル形成を示した。
    ミセル形成濃度下のこれらの糖液は窒素成分モデルとしてのポリペプトンの特定濃度の共存により,電導度がさらに抑制され,ミセル形成の一層の促進が示された。
    以上の結果は醤油エキス物中の糖質が窒素成分との相互作用による混合ミセルの形成と油脂可溶化の発現に関与することを示唆した。
  • 園芸食品の硝酸・亜硝酸塩に関する研究(第7報)
    畑 明美, 緒方 邦安
    1978 年 25 巻 5 号 p. 280-286
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    園芸食品の中でも最も生産,消費の多いダイコンについて生育時期別,部位別の硝酸塩含量の分布を調べ,さらに貯蔵,漬物加工時における硝酸・亜硝酸塩含量の変化,硝酸還元酵素活性について調べた。
    (1) 4月播種6月末収穫の春蒔みの早生,8月播種10月末収穫の夏みの早生二号,9月播種11月末収穫の宮重総太ダイコンの根部の硝酸塩含量は,春蒔みの早生では平均215ppmであり,他は平均450ppmであった。
    (2) 根部の硝酸塩含量の部位別分布状態は,上部に少なく下部に向うにしたがい多くなることを認めた。また中央部横断切片での皮部,維管束部,髄部の間では大差はみられなかった。
    (3) 春蒔みの早生ダイコンの生育中の硝酸塩含量は,播種後40日で葉柄部に1400~1600ppmと最も高く,根部700ppm,葉身部200~350ppmであったが,生育に伴って減少し,収穫適期には約1/10に減少した。また追肥回数の多かった宮重総太の硝酸塩含量の減少割合は約1/2であった。
    (4) 生育中の硝酸還元酵素活性は,春蒔みの早生で葉身部が最も高く,葉柄部,根部の順に低く,葉身部は生育後期に高くなったが,葉柄部,根部の活性はほとんど変化がなかった。
    (5) 春蒔みの早生,夏みの早生二号ダイコン根部の1℃, 20℃下における貯蔵中の硝酸塩含量の変化はほとんどみられなかったが,宮重総太では減少する傾向がみられた。また硝酸還元酵素活性は,夏みの早生,宮重総太とも貯蔵中比較的低かった。
    (6) 根部を糠漬けし,漬け込み後の経時的変化をみたところ,硝酸塩含量はダイコン根部中では減少していくのに対し,糠床中では増加し,漬け込み後26日でほぼ同含量となった。
    その間に亜硝酸塩は検出されたが,その量は0.4ppmと低かった。
    (7) 根部を塩漬けし,漬け容器を6℃と20℃下において硝酸・亜硝酸塩含量の変化を調べたところ,両温度区とも漬けダイコン中の硝酸塩は漬け込み日数経過に伴い減少し,漬け汁中では増加した。亜硝酸塩は20℃下においたもので漬け込み後3日に漬けダイコン中で30ppm,漬け汁中では230ppmの生成がみられた。しかし,これをピークにその後減少した。両温度区で亜硝酸塩の生成量には顕著な差がみられ,6℃下では生成が少なかった。
  • 大豆加工食品のトリプシンインヒビターに関する研究(第1報)
    谷村 和八郎, 鴨居 郁三, 松本 信二, 小原 哲二郎
    1978 年 25 巻 5 号 p. 287-292
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ゆばを実験室規模で製造したときの生成順によるゆばおよび残豆乳のTI活性を測定し,更にセファデックスG-75およびDEAE-セルロースにより,それ等に含まれるトリプシンインヒビター(TI)のゲル濾過を行ない,TIパターンを調べた。
    (1) ゆばのTIはゆば1g当り4.71~5.02×108μg含まれており,1枚のゆばに17~23×103μg含まれていた。豆乳中のTIはゆばに24.32%が移行し,最終残豆乳に38.94%が残存した。失活したTIは36.74%であった。4枚目ゆば生成までに全失活TIの60.22%が活性を失なった。ゆば中のTIの比活性は7.14~7.40で生成枚数による差はなかった。残豆乳中のTIの比活性は12.41~8.51と工程が進むにしたがって低下した。
    (2) 豆乳,ゆばおよび残豆乳のTIをセファデックスG-75でゲル濾過すると2種類のピーク(A, Bピーク)が得られた。ゆばのAピークは溶出位置が豆乳のAピークより早くなった。また4枚目ゆばと12枚目ゆばを比べるとAピークは減少していた。
    (3) セファデックスG-75でゲル濾過して得られたTI画分をDEAE-セルロースにより分画すると7種類の画分が得られた(F1~F7)。豆乳のTIは6種の画分と1つのトレース画分(F5)に分画された。ゆばと残豆乳中のTIパターンを比較すると,ゆばではF7画分がトレースであるが,残豆乳中には11.6~22.5%含有されていた。4枚目ゆばと12枚目ゆばを比較すると,4枚目ゆばではF2画分が31.4%であるが,12枚目ゆばではトレースであった。これは工程中の加熱による失活と考えられる。
  • 湯木 悦二, 守本 京三, 石川 行弘
    1978 年 25 巻 5 号 p. 293-301
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国において,加工用として比較的多量に消費されている落花生原料を用いて,実験室的または工場規模において落花生加工品を調製し,その酸化的変質の特性について検討した結果次のことが認められた。
    (1) 落花生に含まれる油脂の安定度はかなり大きいが,その加工品の酸化安定性は著しく小さい。また,油脂の安定度と加工品の酸化安定性の間に相関関係が認められない。
    (2) フライ製品,焙煎製品ともに,加熱の度合の小さいものと過度に加熱されたものは酸化安定性が大きく,適度に加熱されて食用に適するものが最も酸化安定性が小さい。
    (3) 落花生加工品の保存中の酸化的変質において,酸素の供給状況が最も重要な因子であり,酸素透過性の小さいフィルムを使用して密封包装を行なえば,空気包装の場合でもある程度酸化を抑制することができる。
    (4) 落花生原料を保存する場合,保存条件が適切であれば保存によって酸化安定性が低下することはない。
    (5) フライ製品と焙煎製品を比較した場合,全体の油のPOVの増加にはほとんど差が見られないが,焙煎製品の場合は表面の油の酸化が進みやすい。フライ製品の場合でも鍋の中の揚油が過度に変質した場合には同様のことが考えられる。フライ製品にTocolをまぶした場合,全体の油のPOVの増加に対しては効果が認められないが,表面の油の酸化は効果的に防止される。
    (6) 落花生加工品の品質保持に窒素ガス包装が効果的であり,包装時の酸素濃度も2%程度で十分である。
    (7) 落花生加工品の酸化的変質に対して酸化酵素が関与している可能性が推定される。
  • 1978 年 25 巻 5 号 p. 302-306
    発行日: 1978/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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