日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 6 号
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  • 全卵液の乳酸発酵に関する研究(第2報)
    片峯 伸一郎, 間宮 米二, 関本 邦敏, 古川 徳, 山中 良忠
    1978 年 25 巻 6 号 p. 311-317
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    全卵液の滅菌及び発酵過程における卵蛋白質,リゾチーム活性及び遊離アミノ酸の変化を検討するため,グルコースを1%添加あるいは無添加の全卵液を間歇殺菌(58℃-30分,3回)により滅菌した後,L. acidophilusL54の休止細胞を接種し,37℃で静置培養した。卵蛋白質の変化はポリアクリルアミド電気泳動(PGE及びSDS-PGE)で検討した。
    グルコース添加では発酵10時間以後に,増殖速度,生酸性が,無添加に比べ増大し,20時間後には,生菌数及び滴定酸度が,それぞれ,無添加の3倍,5倍になり,pHは4.0に低下した。
    滅菌によりPGEパターンに若干変化が起り加熱変性を受けたが,変性度は比較的軽いと判断された。グルコース無添加では発酵による卵蛋白質の変化は認められなかったが,グルコース添加では発酵24時間後に電気泳動パターンに変化が起り,72時間後には,その変化が大きくなり,特に,PGEではγ-リベチン及びコンアルブミンのバンドが消失した。これらの変化は,主として,低pH(=4.0)条件下での不可逆的酸変性によるものであった。リゾチーム活性は滅菌により低下したが,その後の発酵過程における変化は認められなかった。
    全卵液の遊離アミノ酸総含量は滅菌及び発酵により,ほとんど変化しなかった。スレオニンが発酵により減少する傾向にあったが,他のアミノ酸の変化には一定の傾向は認められなかった。
  • 「日本産大豆トリブシンインヒビターについて」(第3報)
    柳井 昭二, 石谷 孝佑, 小城 年久
    1978 年 25 巻 6 号 p. 318-322
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    バウムクーヘン,カステラおよびカルカンに生育する糸状菌の種類と数について検討し,分離菌について生育最適温度および胞子の発芽時間の測定を行なった。
    カルカンは水分含量が比較的高く,Wallemia,Cladosporium, Penicilliumなどが主要な生育菌であった。カステラでは,Penicillium, Cladosporiumが減少し,Wallemia, Aspergillusが主要菌となり,水分含量の更に低いバウムクーヘンでは,好浸透圧性のAspergillusが主要菌となった。
    炭酸ガスは,空気と同程度の酸素の存在下でも,糸状菌に対してかなりの静菌効果を示し,特にその効果はWallemia Cladosporiumに対して著しかった。
  • 谷村 和八郎, 中村 博治, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1978 年 25 巻 6 号 p. 323-326
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    日本産大豆(鬼裸埼1号)の水溶性蛋白質をセファデックスG-75によるゲル炉過で分画し,TI活性画分を得た。TI活性は2つのピークに分れ(A, Bピーク),それぞれのピークを等電点電気泳動により分画し,280nm吸収,等電点,TI活性, CTI活性を測定した。
    Aピークは4つのTIに分画され,等電点はpI 3.75,4.20, 4.75および4.95であった。CTI活性はpI 3.75,4.20, 4.75にみられたが,pI 4.95にはなかった。 pI4.20のTIはAピークの中の最も大きなTI活性(93.53%)およびCTI活性(80.00%)を示した。
    Bピークは2つのTIに分れ,等電点はpI 3.75とpI 4.20であった。 CTI活性は両方のTIに見られた。TI活性はpI 4.20がpI 3.75より高かったが,CTI活性はpI 3.75の方が高かった。
    Aピーク,BピークのTI, CTI活性パターンを比較すると,両ピークともpI 3.75とpI 4.20のTI, CTI活性画分をもっているが,そのCTI/TI比には相違が見られた。
  • 漬物の品質と微生物の挙動に関する研究(第1報)
    宮尾 茂雄, 青木 睦夫
    1978 年 25 巻 6 号 p. 327-332
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    浅漬キャベツの保存温度とシェルフライフの関係について検討を加え,浅漬の品質保持限界は,漬液の濁度上昇に基づいて判断するのが適当と思われた。また白濁の原因である微生物の増殖は,中温保存で著しく,低温保存では緩慢であった。保存中の細菌叢変化は,初期にはグラム陰性細菌が優勢であるが,しだいに乳酸菌(Leuc. mesenteroides)が増殖し始め,乳酸の蓄積により,グラム陰性細菌は死滅し,Leuc. mesenteroidesが優勢となった。グラム陰性細菌の細菌叢変化に注目してみると,Flavobacterium, Pseudomonas, Enterobacterの順に死滅することがわかったが,分離菌株が耐塩性,乳酸耐性ともに,Ent. aerogenes>PS. fluorescens>Flavobacterium sp.の順に強いことから,以上の細菌叢変化を示したものと思われた。
  • 界面活性剤の食品への利用に関する研究(第6報)
    毛利 善一, 田村 順一
    1978 年 25 巻 6 号 p. 333-337
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) ショ糖脂肪酸エステルと重合リン酸塩を組合わせることにより,ミカンじょうのう内皮の剥皮効果は増強された。
    (2) ショ糖オレイン酸エステルとピロリン酸カリウムを主成分とする配合物(Additive A)は,水酸化ナトリウム共存下よりも塩酸共存下の方が,界面張力の低下は大きかった。
    (3) 早生温州の場合Additive Aは,0.1%濃度以上添加することにより,効果が発揮され,塩酸,水酸化ナトリウム濃度を無添加に比べて,おのおの2分の1以下に減少できた。
    (5) 早生温州の場合Additive A添加により,塩酸処理では無添加に比べて,10分以上処理時間短縮が可能であるが,アルカリ処理では,時間的な差は,ほとんど認められなかった。
    (5) 普通温州の場合処理温度が10℃では,AdditiveAの添加によっても,ほとんど剥皮されなかったが,20℃では,かなり剥皮され,Additive Aの添加効果も見られるようになり,温度の影響の方がAdditive Aに比べて,はるかに大きいことが認められた。
    (6) 中生温州の場合Additive Aの添加により,塩酸濃度を2分の1に,温度を8℃同時に低下させることが可能となり,さらに無添加に比べて,処理条件がおだやかになったために,ブロークンは2分の1以下に低下し,完全果は6~9%増加した。
  • 薄木 理一郎, 木村 俊明, 金田 尚志
    1978 年 25 巻 6 号 p. 338-341
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    シリコ-ン油(SO)の示すフライ油劣化防止効果の作用機構を知る目的でSOを大豆油に添加,添加濃度,重合度(粘度),加熱油の性状について検討し,つぎの結果を得た。
    (1) 180℃での通気加熱,およびじゃがいもフライ時とも,添加濃度は10ppmが適当と思われた。
    (2) 20, 200, 1000, 12500センチストークス(c/s)の4種のSO中,20および200c/sの両者により大きな効果を認めた。
    (3) 加熱油およびフライ油をケイ酸カラムクロマトで分画し,その特数を各々の無添加油の分画区分と比較したところ,各区分とも酸化の遅延を表わす特数値を示していたが,特にSO添加による顕著な変化は認めがたかった。これまでいわれているSOの種々の作用が各々に働き,全体として熱酸化を抑えているように思われた。
  • 松井 年行
    1978 年 25 巻 6 号 p. 342-347
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Since Japanese traditionally refined sugar (Wasanbon-to) seems to have posibility to be employed for Japanese style sweets such as generally mixing product, coating product, and rounding product, sensory tests were carried out on "Azuki-an", wheat flour Senbei and agar sweets by paired comparisons according to Bradley. The following results were obtained.
    There was no significant difference between "Azukian" made from Wasanbon-to and that from ordinary refined sugar. Wheat flour Senbei produced with shiroshita-to had better taste than that produced with Wasanbon-to or ordinary refined sugar. In agar sweet, there was no difference between Wasanbonto product and refined sugar product.
  • パンのテクスチャーに関する研究(第2報)
    辻 昭二郎
    1978 年 25 巻 6 号 p. 348-350
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Correlations between parameters of cohesiveness (measured with tensipresser by multi-point mensuration method) and sensory on mouth feeling (not only soft but spring) of commercial breads from six bakeries were investigated.
    Empirical formula of cohesiveness of every bread by multi-point mensuration method, y=ax+b (y : cohesiveness, x : clearance), was linear in limited clearance range. The value of b and the masticating index of bread were correlative with the evaluation by sensory test, indicating that these parameters were useful to appreciate the bread texture correlated to the mouth feeling.
  • 孫 国維, 薄木 理一郎, 金田 尚志
    1978 年 25 巻 6 号 p. 350-353
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    1) 現在使用されている各種豆腐用消泡剤のうち,高酸化油系消泡剤(泡消し油)は揚げ油を劣化させる。
    2) 泡消し油をエーテル可溶区,炭酸カルシウム区,ベンゼン可溶区,ベンゼン不溶区の4区分に分画し,各々の揚げ油におよぼす影響を検討したところ,特にベンゼン可溶区(0.8%)およびベンゼン不溶区(10.8%)の影響が著しかった。
    3) ベンゼン不溶区は脂肪酸カルシウム塩54.5%と炭酸カルシウム43.2%の混合物であり,この区分の示す劣化作用に脂肪酸カルシウム塩が関与していると思われた。
    4) 脂肪酸カルシウム塩を合成し,その劣化作用をみたところ,その作用を認めた。また,脂肪酸カルシウム塩に炭酸カルシウムを添加すると,劣化作用が促進された。
  • 松本 幸雄
    1978 年 25 巻 6 号 p. 354-356
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 25 巻 6 号 p. 357-362
    発行日: 1978/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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