日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 7 号
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  • 天然調味料に関する研究(第4報)
    石田 賢吾, 山本 淳
    1978 年 25 巻 7 号 p. 367-373
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    成鶏のLean meat, Skinなどの各部位,Lean meatについては蛋白画分ならびに脂質区分がクッキングフレーバーの生成にどのような役割を果しているかを官能検査法ならびに香気成分の分析によって調べた。さらに鶏肉のクッキングによって生成したフレーバー成分が,どの区分に移行して保持されるかを,天然調味料との関連において調べた。
    (1) 成鶏のLean meatのクッキングによって生成するフレーバーは呈味的に最も良好で典型的なチキンアロマを示した。Adipose tissueのみから生成するフレーバーは弱く,SkinおよびBoneからは強いアロマが生成した。Lean meatにAdipose tissueなどの脂質を多量に含む部位を添加してクッキングすることによりアロマはさらに強化されることを認めた。これらの結果はクッキング中に生成する硫化水素と揮発性還元物質の量ならびにガスクロマトグラムのプロファイルからも確認された。
    (2) Lean meatの蛋白画分のうち水溶性区分(ExtractとSarcoplasmic protein)から最も良質で強いフレーバーが生成したが,他のMyofibriliar proteinおよびStroma区分からもチキンようの香気が生成した。これらの区分もチキンフレーバーの前駆物質の一つであると予想される。
    (3) Lean meatとSkinの混合物を脱脂した後のクッキングによって生成するフレーバーのうち,呈味性には大きな差がみられないが,香気は弱くなりチキンの特徴が消失することを認めた。これに伴なってクッキング中に発生するカルボニル化合物の量が減少することを確認した。
    (4) チキンのクッキングによって生成するフレーバーのうち,呈味成分は水溶性のエキス区分に,硫化水素などの香気成分は主としてオイル区分に移行して保持されることを認めた。これらの両区分を共に調味料化することの重要性を認めた。
  • 酵母に対するトリオースレダクトンの影響(第1報)
    鹿田 幸治, 小幡 斉, 徳山 泰
    1978 年 25 巻 7 号 p. 374-377
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    トリオースレダクトンを10種のSaccharomyces属の酵母に作用させ,その生育と発酵に対する影響を調べた。その結果,1.0×10-2Mのトリオースレダクトン添加でSaccharomyces carlsbergensisが最も強い阻害作用を受けた。また,トリオースレダクトン,L-アスコルビン酸およびレダクチン酸をSaccharomyces carlsbergensisの静止菌体やパン酵母の細胞抽出液に作用させたところ,トリオースレダクトンのみがこれらの発酵作用を強く阻害した。したがって,トリオースレダクトンの酵母の発育や発酵に対する阻害作用は,レダクトン類の特徴であるエンジオール基や酸化還元電位および細胞膜の透過性に由来するものではないことが示唆された。さらに,この阻害作用は,酸化型ではなく還元型のトリオースレダクトンによることが明らかになった。
  • イチゴ果実の香気成分の生成に関する研究(第6報)
    山下 市二, 内藤 茂三, 飯野 久栄, 吉川 誠次
    1978 年 25 巻 7 号 p. 378-382
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    イチゴ果実をリン酸緩衝液とともに磨砕して調製したイチゴホモジネート(pH6.5)にα-ケト酸を添加して25℃で2時間インキュベートした後,ヘッドスペースガス3mlをガスクロマトグラフィー(GC),およびGC・質量分析計で分析し,以下の結果を得た。
    (1) イチゴホモジネートを煮沸すると,α-ケト酸からのアルデヒドの生成は起こらなかった。
    (2) α-ケト酸からアルデヒドが生成される反応の至適pHは6~6.5で,pH4以下,8以上では反応は起こらなかった。
    (3) アルデヒド生成におよぼすco-factorの影響を検討したところ,TPPおよびMg2+によって反応が著しく促進された。
    (4) (1)~(3)から,α-ケト酸からのアルデヒドの生成はpyruvate decarboxylase (2-oxoacid carboxy-lyase, E. C. 4.1.1.1)の触媒作用によるものと考えられた。
    (5) 種々の基質に対する反応を調べたところ,実験に用いた6種類のα-ケト酸すべてが非酸化的に脱炭酸され,炭素数の1つ少ないアルデヒドが生成されて,酵素の基質特異性が低いことが示唆された。
    (6) イチゴ種子ADHを添加することにより,α-ケト酸に対応する炭素数の1つ少ないアルデヒドとアルコールが生成された。
    (7) 本報で得られた結果と著者らが既に報告した知見とから,イチゴには,α-ケト酸からアルデヒド,アルコールを経てエステルに至る香気成分生合成経路が存在すると推察された。
  • 橋詰 和宗, 何 銀蘭
    1978 年 25 巻 7 号 p. 383-386
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カルシウム塩で凝固させた絹ごし豆腐は比較的柔かいが壊れ難く,GDL(グルコノデルタラクトン)で凝固させた絹ごし豆腐は比選的堅いが壊れやすい。この原因を明らかにするため,豆腐の堅さにおよぼすNEM(N-エチルマレイミド)の影響,溶解度におよぼす尿素,メルカプトエタノール,EDTAの影響を検討した。
    NEM添加の影響からCaゲルと同様GDLゲルもS-S結合がゲル形成に重要な役割を果していることが明らかになった。両者のゲルの溶解度におよぼす尿素,メルカプトエタノールおよびEDTAの影響から,GDLゲルはS-S結合,水素結合,疎水結合からなり,Caゲルにおいてはこれらの結合以外にCa橋が重要な役割を果していることが明らかになった。
  • 豆腐製造における豆乳の調製条件に関する研究(第2報)
    橋詰 和宗, 前田 正道, 渡辺 篤二
    1978 年 25 巻 7 号 p. 387-391
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    豆乳を100℃で長時間加熱するとこれより作ったゲルの堅さは減少した。これはSH基の空気酸化が主な原因であり,加熱前に窒素を吹込み,SH基の酸化を防ぐとゲルの堅さは高くなった。
    加熱後直ちに60~70℃に冷却した蛋白質溶液は80~90℃に冷却したものに比べSH基の減少の程度は少なく堅いゲルを作ることができた。
    ごの加熱と豆乳の回収率の関係は無加熱または100℃加熱より60~80℃に加熱してからおからを除いた方が豆乳の回収率が高かった。
    本実験結果から強いゲルを作るための豆乳の最適加熱条件を定めると,ごを70℃に加熱して豆乳とおからを分離し,直ちに100℃に加熱したのち70℃に冷却して凝固反応を行なわせることである。
  • はたけしめじの人工培養に関する研究(第3報)
    永曽 幸代, 吉川 光一
    1978 年 25 巻 7 号 p. 392-399
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    はたけしめじの液体静置培養における植物ホルモンの影響について検討した。
    すなわち,培地成分を種々変化させた42種の培地中,最も良好な発育を示したG5-D培地に,IAA, KIN及びGA3を種々の濃度に加え,さらに添加回数を変えて静置培養し,本菌糸体の生育状態の比較観察,培地のpHの測定,培地中の還元糖及び総窒素の定量,増殖菌体量及び菌体中の粗蛋白質を定量し,本菌糸体への影響について検討した。
    IAA, KIN及びGA3添加濃度0, 0.01, 0.03, 0.10, 0.30, 1.0, 10, 100, 500及び1000ppmの培地について25℃で2ヵ月間静置培養し菌糸体の生育状態を検討した結果,植物ホルモンの種類及び濃度により菌糸体の生育に相違がみられた。KINの10ppm, GA3の1ppm次いでIAAの1ppmにおいて比較的良好な生育を示し,添加初期に効果が認められるようであった。ホルモン濃度が高くなるほど発育抑制作用が働き,IAA及びKINの500及び1000ppmでは全く発育がみられなかった。GA3の1000ppmでは非常に顕著な抑制効果を示した。
    IAA, KIN及びGA3添加濃度0, 1.0, 10, 100, 500及び1000ppmの培地について,1ヵ月間隔で3回,植物ホルモンを添加して培養した結果は,IAAの1ppm,GA3の1ppm及びKINの10ppmが比較的良好な生育を示した。しかし,添加回数による影響はみられず,1回添加も2回及び3回添加も大差なかった。
    25℃にて一定期間培養後,10℃の低温恒温室にて1~2ヵ月間培養したが,その後,菌糸体の生育に変化はなく,子実体の形成にはいたらなかった。
    培地のpHは菌糸体の増殖とともに一次低下するが,次第に上昇し,最終値はアルカリ性を呈した。
    増殖菌糸体は,乾燥物中,約20%の粗蛋白質を含有していた。
  • 斉藤 慎一
    1978 年 25 巻 7 号 p. 400-401
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Amino acids (L-Val, L-Lys·HCl, L-Asp, L-Phe, L-Pro, DL-Met) were heated separately with D-glucose at 120°C, for 120 minutes in homogeneous powder state. The reaction mixtures were dialyze and nondialyzed portions (non-dialyzable melanoidins) were analyzed for amino acids after hydrolysis (6N HCl, 110°C, 18hrs). Considerably large amount of original amino acid and ammonia were found in hydrolysates. Thus, it was assumed that non-dialyzable melanoidin contained original amino acids, amino-radicals formed through deamination and acid amides presumably formed from oxydized glucose. Other amino acids and ninhydrin-positive substances were detected. IR spectra of non-dialyzable melanoidins were also measured.
  • 川村 信一郎
    1978 年 25 巻 7 号 p. 402-412
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 25 巻 7 号 p. 413-417
    発行日: 1978/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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