日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
26 巻, 11 号
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  • みその糖質に関する研究(第1報)
    本藤 智, 望月 務
    1979 年 26 巻 11 号 p. 461-468
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    みそ中の多糖類の挙動を構成糖の消長と酵素分解の結果から検討し,併せて大豆高圧蒸煮液の多糖類についても検討した。
    (1) 大豆高圧蒸煮液(Steamed waste water)の多糖類は煮熟液(Boiled waste water)に比べ,ガラクトマンナンの比率が非常に高いことを認めた。
    (2) 大豆多糖類はみそ中でガラクトースのみが著しい減少を示し,その結果ペクチン質の比率が半減してみその多糖類構成は,ペクチン質16%,ヘミセルロース28%,セルロース56%となる。
    (3) みそ用米麹酵素による大豆多糖類の酵素分解において,遊離糖の大半はガラクトースであり,ペントースの遊離は微弱であった。
    (4) みそ用米麹酵素の大豆多糖類に対する分解はendo wiseであり,アラビノースの遊離が非常に微弱であるのは,麹原料の成分組成の差異に起因する米麹酵素の分解特性であることを推定した。
    (5) みそ中の水溶性多糖類は熟成中に一部が低分子化する結果,ペントースの比率が非常に高い状態で存在することを認めた。
    (6) みそ中のデンプンは30℃の熟成において,熟成初期に急減し50日目には消失した。
  • みその遊離糖について
    本藤 智, 望月 務
    1979 年 26 巻 11 号 p. 469-474
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    みそ熟成中の遊離糖の消長を液体クロマトグラフィーにより検討した。
    (1) みそ中の遊離糖は単糖類が圧倒的に多く,70~80%がグルコースであり次いでイソマルトース,ガラクチュロン酸,フラクトースの順となり,アラビノース,キシロースの遊離は少なかった。
    (2) 遊離オリゴ糖はガラクトースとグルコースよりなり,ガラクトオリゴ糖とイソマルトース系のグルコオリゴ糖の存在を推定した。
    (3) 熟成中の遊離糖の消長は初期に大きな変化がみられ,グルコース,イソマルトース,フラクトースが急増し,マルトース,シュクロースが急減する。中期以降は酵母等の発酵によるグルコースの減少がみられ,またガラクトースとマンノースは全期に亘り漸増し,スタキオースは漸減し,ガラクチュロン酸はほとんど変動しなかった。
  • 浜野 光年, 岡安 誠, 杉本 洋
    1979 年 26 巻 11 号 p. 475-479
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    醤油,粉末醤油およびワインの水分定量を試みた。カール・フィッシャー自動滴定装置を用いてこれら試料の水分定量法を検討した。
    (1) 定量法として,ホルムアミド・メタノール混合溶液20mlを採り,カール・フィッシャー試薬で無水状態とし,次に試料量として醤油25~50μl,ワイン25μlおよび粉末醤油300~500mgをそれぞれ精秤し測定を行なった。
    (2) 本測定法は精度よく簡易迅速に測定できることが明らかになった。
    (3) 醤油では71~82%(w/v)の水分値であり,蒸発乾燥法とは0.1~0.9%の測定差があった。
    (4) ワインでは77~89%(w/v)および粉末醤油では1.6~2.5%(w/w)の水分値であった。
    (5) 粉末醤油では,試料が塊状や粒状だと精度のよい水分値が得られなかった。
  • 牛乳・乳製品の物性に関する研究(第2報)
    大橋 登美男, 芳賀 聖一, 山内 清, 藤野 博史, オールソン
    1979 年 26 巻 11 号 p. 480-486
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    宮崎県内の1地区で採取した牛乳を脱脂乳に調製し,まず85℃で5分間,その後直ちに135℃で瞬間加熱を行い,Ca及びカゼインミセル添加が高温加熱牛乳のレンネットカード物性に及ぼす影響について検討した。得られた結果の要点は次のとおりである。
    (1) 高温加熱牛乳のレンネットカード物性は今回の測定条件では測定できなかった。
    (2) Ca添加によって高温加熱牛乳のレンネットカード物性は幾分改善されたが,最も改善された80mg Ca/100mlの添加でも未加熱牛乳のレンネットカード物性に達しなかった。
    (3) 高温加熱牛乳にカゼインミセル(880mgN/100ml)を添加すると,レンネットカード物性が向上し,未加熱カゼインミセル比0.3において未加熱牛乳に近いレンネットカード物性に達した。
    (4) 高温加熱牛乳にCaを80mg/100ml添加し,さらにカゼインミセル(864mgN/100ml)を添加すると,レンネットカード物性が著しく改善され,未加熱カゼインミセル比0.05または0.1において未加熱牛乳に近いレンネットカード物性に達した。
    (5) 以上の結果から,高温加熱牛乳のレンネットカード物性の改善には可溶性Caと未変性カゼインの増加が必要であることを認めた。
  • 松岡 徹夫, 田村 太郎, 佐竹 秀雄, 澤田 芳夫
    1979 年 26 巻 11 号 p. 487-492
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) アミノ態窒素含量はおおむね収穫時期が遅れ,または追熟により熟度の進んだものは少なかった。また,果実の大きさ別では差は認められなかった。
    (2) 2~4℃で7~21日間の冷蔵によっても,アミノ態窒素含量は変わらなかった。
    (3) 実際に工場に入荷した果実ピューレー製造用原料のアミノ態窒素含量を測定した結果,JAS基準値の16mg%以上あったのは検体の約13%にすぎず,約50%の検体は7~12mg%であった。
    (4) 西洋ナシの主要なアミノ酸は,アスパラギン(約57%)およびアスパラギン酸(17%)とグルタミン酸(8%)であった。
    (5) グルタミン酸は熟度とともに減少し,果実硬度との間にかなり高い正の相関が認められた(r=0.9304)。
  • 佐々木 堯, 佐藤 陽子, 貝沼 圭二
    1979 年 26 巻 11 号 p. 493-497
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    もみがらヘミセルロースの糖化法について検討し次の諸点を明らかにした。
    (1) もみがらヘミセルロースのアルカリ抽出では,抽出効率が低く,約1/4の回収率であり,その糖組成比は,キシロース2,グルコース1であった。一方,アルカリ抽出液の75~95%アセトン画分の下層に褐色油状性のグリニンが回収された。
    (2) もみがらヘミセルロースからのキシロースおよびグルコースは,希酸分解法により効率良く抽出され,H2SO4よりもHClの方が高い抽出効率が得られた。その最適条件0.1N HCl, 120℃, 2時間の処理でもみがらからグルコキシラン由来の糖21.2%(キシロース14.5%+グルコース6.7%)が得られ,精製後,混合糖を結晶化することができた。この糖組成もキシロースとグルコースの比が2:1であった。
    (3) 以上の結果から,もみがらヘミセルロースは,約21%含まれており,キシロースとグルコース2:1から成るグルコキシランであると考えられる。
  • 米山 智恵子, 櫛田 忠衛
    1979 年 26 巻 11 号 p. 498-502
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    甲州種白ワインをPVPPで処理して〓液中の全フェノール量をフェノール試薬(FOLIN-CIOCALTEU試薬)を用いて定量し,PVPP添加量との関係を求めたところ,1.5%の添加で残存する全フェノール量は135ppm(没食子酸換算)となり,それ以上多くのPVPPを加えても全フェノール量はほとんど減少しないことを見い出した。
    PVPP処理した白ワイン中に残存するフェノール試薬陽性物質を明らかにするため,1.5%PVPPで処理した白ワインを約10倍に濃縮し,セファデックスG-10を用いたカラムで分離して5つの(A~E)フラクションを得た。これらのフラクションに含まれるフェノール試薬陽性物質を,ペーパークロマトグラフィー,UV吸収スペクトル,種々の呈色反応によって同定すると共に,各フラクションのフェノール試薬による発色の割合をPVPP処理ワインの発色に対して求め次の結果を得た。フラクションA:フラバノール型タンニン(4.4%),フラクションB:フラクトース及びグルコース(21.6%),フラクションC:キサンチン(18.1%),フラクションD:チロソール(30.6%),フラクションE:3種のケイ皮酸誘導体混合物(9.4%)。
  • 沢村 正義, 楠瀬 博三
    1979 年 26 巻 11 号 p. 503-507
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ユズ,ナオシチ,ムカクユ,オオユ,ベニユ,ユコウ,スダチ,ダイダイ,スミカン,キヨオカダイダイ,トコス,ウジュキツ,タチバナの13種類の酸用カンキツ及びウンシュウについて有機酸,糖,ペクチン,アスコルビン酸の分析を行った。
    (1) 搾汁率はトコス,ムカクユ,ユコウで30%以上あり,一方,ユズ,スミカン,ウジュキツでは20%前後と低かった。
    (2) 有機酸分析の結果,9~15個のピークが検出された。主要な酸であるクエン酸とリンゴ酸を始め,乳酸,酢酸,ギ酸,ピルビン酸,フマール酸,t-アコニット酸の存在が認められた。クエン酸とリンゴ酸を合せた濃度はほとんど酸用カンキツで4~6%に達した。
    (3) 糖酸比の逆数は酸用カンキツの特徴を明瞭にし,ウンシュウ1.0に対して,ムカクユ,ユズ,スダチ,オオユが20以上,キヨオカダイダイ,ダイダイ,ユコウ,ナオシチ,トコス,スミカンが10~20であった。
    (4) アスコルビン酸含量は,酸用カンキツでは40mg%以上のものが多く,とくにオオユ,キヨオカダイダイ,トコスで高かった。
  • 1979 年 26 巻 11 号 p. A50-A56
    発行日: 1979/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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