日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
26 巻, 4 号
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  • 柳本 正勝, 芝崎 真理, 杉浦 弘子, 島崎 恵美子, 梅田 圭司, 木村 進
    1979 年 26 巻 4 号 p. 151-155
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) オキアミの脂質は,その脂肪酸組成から予想されたよりも酸化の進行が遅い。
    (2) その酸化パターンの最も特異的なことは過酸化物の蓄積が全く認められないことである。
    (3) リノール酸にオキアミの脂質を添加すると過酸化物の生成が抑えられることにより,オキアミの脂質には抗酸化性物質が存在することが明らかになった。
    (4) トコフェロールが200~350μg/g・oil含まれているが,(3)で認めた抗酸化作用には主要な役割を果していないようである。
    (5) ケイ酸カラムで分画したところメタノール画分に抗酸化力が認められた。
  • 岩元 睦夫, 早川 昭, 河野 澄夫, 木村 進
    1979 年 26 巻 4 号 p. 156-161
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    光反射法を用いて,色むらのあるトマトの色彩判定装置を試作し,その表色法について検討を加え,次の結果を得た。
    (1) 着色むらのあるトマト果実で,果頂部と果柄部のそれぞれの部位における相対反射率の平均値から得られた平均相対反射率曲線は,果実が未熟から完熟に変化するにつれ,680nm付近での反射率が増加する傾向にあり,550nm付近では逆に減少した(図3)。
    (2) 果実の緑色(クロロフィル)度を表わす指標I2と,赤色(カロチノイド)度を表わす指標I2'を次のように定めた(図4)。
    I2=AR660/AR620
    I2'=AR550/AR620
    I2およびI2'とクロロフィルおよびカロチノイド含量との間には,次の関係式が成立した(図5)。
    log(CH)=-1.84I2+1.15log(CA)=-1.26I2'+1.12
    (3) 着色むらのあるトマト果実で,測色部位数を増やしても,測色部位を果頂部と果柄部の2個所にとった場合に比べ,I2およびI2'とクロロフィルおよびカロチノイド含量との間の相関は高くならない(表2)。
    (4) 緑色から赤色まで変化する果実の表色法として,指標I3を次のように定めた(表3)。
    I3とクロロフィルおよびカロチノイド含量との間には,次の関係式が成立した(図6)。
    log(CH)=-0.67I3+0.01
    log(CA)=0.83I3+0.08
    (5) 指標I3により,果実中のクロロフィルおよびカロチノイド含量を推定するときの誤差は,それぞれ4%および3.5%であった。
    (6) 追熟期のトマト果実の色彩判定に,指標I3を応用し,実用的に使用効果のあることを認めた(図7)。
  • リンゴの低温障害に関する研究(第1報)
    木村 繁昭, 岡本 辰夫, 原田 順厚, 目黒 正則
    1979 年 26 巻 4 号 p. 162-167
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 収穫直後の国光(適熟),スターキングデリシャス(適熟)の全脂質含量は国光の方がスターキングデリシャスに比較して多く,0℃保蔵2カ月では国光でやや減少し,スターキングデリシャスではやや増加した。4カ月後では国光,スターキングデリシャスともに増加したが,国光の方が増加の度合が大きかった。また全脂質中,複合脂質が80%前後含まれていた。
    (2) 収穫直後,0℃保蔵2カ月,4カ月後の国光(適熟)およびスターキングデリシャス(未熟,適熟,適熟)の不飽和脂肪酸割合は国光の方が多かった。
    保蔵2カ月後では国光(適熟)の各脂質区分の不飽和脂肪酸割合はやや減少し,スターキングデリシャス(適熟)ではやや増加した。保蔵4カ月後では国光(適熟),スターキングデリシャス(未熟,適熟,過熟)ともに不飽和脂肪酸割合は減少したが,スターキングデリシャスの方がその度合が大きかった。
    (3) スターキングデリシャスの不飽和脂肪酸は一般に未熟,適熟,過熟の順にすくなくなった。
  • 天然調味料に関する研究(第5報)
    石田 賢吾, 鍛治 義延, 山本 淳
    1979 年 26 巻 4 号 p. 168-174
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    安価で大量に入手できるチキンボーンを原料とするチキンエキスの製造にプロテアーゼ製剤を応用して収率およびフレーバーを向上させることを目的として1)チキンボーンプロテインのプロテアーゼによる分解特性,2)酵素分解によって生成した加水分解物の成分とフレーバーの特徴,3)酵素によっても分解されないで残存する不溶解物の性質,の3点について調べた。
    (1) チキンボーンプロテインは約26%のSarcoplasmic protein, 10%のMyofibrillar proteinおよび56%のStromaフラクションから成立っており,前者の2つは通常のプロテイナーゼによってよく分解されて低分子化されるが,Stromaフラクションは分解率が低い。このフラクションは加熱前処理を行うことにより分解率が向上することを認めた。
    (2) Sarcoplasmic proteinのプロテイナーゼによる分解物は旨味が強く苦味がないこと,Myofibrillar proteinのそれは苦味が強いこと,およびStromaフラクションの分解物は旨味苦味共に弱いが濃度感,コク味を示すことを認めた。これらの呈味性と薄層クロマトグラフィーのRfとの間に一定の関連性がみられた。
    (3) 熱水抽出法によるチキンボーンよりのボーンエキスの製造時に残存する熱変性蛋白を,エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼの両活性を有するプロテアーゼ製剤で分解することにより,エキスと同重量の加水分解物が得られ,これは分子量約5,000以下のペプチドを主成分にしていることを認めた。
    (4) 本加水分解物単独では鶏ガラエキス様のコク味と弱い旨味を示したが,同時に苦味も有することが認められた。本加水分解物とHVPおよびチキンボーンエキスとを共存させることにより苦味は殆んど感知されなくなり,良質のチキンフレーバーを有する天然調味料になることを認めた。
    (5) プロテイナーゼによっても可溶化されないで残存するフラクションは蛋白と脂質との複合体で,アミノ酸組成からエラスチンとケラチン様蛋白の混合物と予想された。
  • 真部 正敏, 中道 謹一, 新貝 亮之介, 樽谷 隆之
    1979 年 26 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    モモ果実のAn(1976年度,1977年度)とPP(1977年度)の消長に及ぼす追熟温度と貯蔵温度の影響について調べた。供試品種は1976年度は砂子早生と大久保,1977年度は砂子早生,大久保および高陽白桃である。
    (1) Anの発現は追熟温度が高くなるほど増大し,いずれの品種においても35℃区が最高の値を示した。しかし40℃では発現が抑えられ,大久保では追熟3日目以降に赤味がむしろ減少した。赤色の発現は品種によってかなり異なり,その強さは大久保,高陽白桃,砂子早生の順位であった。
    (2) 低温貯蔵中にAnの変動がいくらか認められたが,貯蔵温度とAnの生成量との間で一定の関係は認められなかった。
    (3) PP含有量は追熟や貯蔵中にかなり変動するが,AnとPPの間での量的な関係は認められなかった。
    (4) 加工用モモ果実を追熟するには,40℃の高温では着色は起こらないが,香味,肉質が著しく劣り,また35℃では着色が顕著に現われるため,30℃以下の冷涼な場所を選んで行なうのが望ましい。
  • 園芸食品の硝酸亜硝酸塩に関する研究(第9報)
    畑 明美, 茶珍 和雄, 緒方 邦安
    1979 年 26 巻 4 号 p. 180-188
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウとカボチャについて貯蔵中の硝酸塩の挙動と関連して硝酸還元酵素活性,亜硝酸還元酵素活性および生体内の代謝活性の変化について検討した。さらにホウレンソウを用いて貯蔵中に硝酸還元酵素活性を保持させることにより硝酸塩を減少させる方法についても調べた。
    (1) ホウレンソウでは貯蔵中硝酸塩含量は大きな変化はなかったが,硝酸還元酵素活性は著しく減少したのに対し,カボチャでは硝酸塩含量は著しい減少を示し,しかも硝酸還元酵素活性は漸増し,貯蔵後期ではとくにその傾向が顕著であることを認めた。
    (2) 亜硝酸還元酵素活性の貯蔵中の変化はホウレンソウ,カボチャいずれもほとんどみられなかった。
    (3) 硝酸,亜硝酸還元酵素の活性に必要なNADH,NADPHの供与に関係すると考えられる生体内の数種の脱水素酵素およびグルタミン合成酵素活性について,貯蔵中の両材料で比較したところ,ホウレンソウではグルタミン酸脱水素酵素を除いて,グルコース・6・リン酸脱水素酵素,グリセルアルデヒド・3・リン酸脱水素酵素,イソクエン酸脱水素酵素,リンゴ酸脱水素酵素,リンゴ酸酵素ならびにグルタミン合成酵素はいずれも貯蔵中その活性が減少するのに対して,カボチャではグルタミン合成酵素を除いて,これらの酵素活性が増大し,両者間で明らかな代謝活性の相違が認められた。
    (4) ホウレンソウを用いて環境ガス組成,アルコール類および生理活性物質の処理により,貯蔵中の硝酸塩含量ならびに硝酸還元酵素活性におよぼす影響をみた結果,ポリエチレン包装および100%炭酸ガス処理では硝酸塩含量に変化がなかったが,窒素ガス100%処理の葉身部でその含量が減少し,硝酸還元酵素の活性もかなり保持された。ただし亜硝酸塩の集積が認められた。
    (5) ホウレンソウにアルコール類,生理活性物質の処理を行ったところ,N-プロピルアルコール1%処理,N6-BAおよびC-AMP 0.1mM処理で硝酸還元酵素活性の減少が軽減されることを認めた。
  • 河野 美明, 秋田 澄男, 川村 吉也, 正井 博之
    1979 年 26 巻 4 号 p. 189-191
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    フレームレス原子吸光分析法による食品中の鉄の直接定量法について検討した。試料を直接供試して測定する本法は,共存成分の影響も少なくないが,標準添加法を用いることで,食酢,ブドウ酒,酒,ピール中の鉄を迅速に定量することができ,再現性についても,ほぼ満足できる結果が得られた。
  • 1979 年 26 巻 4 号 p. A18-A21
    発行日: 1979/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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