日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
26 巻, 9 号
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  • 筒井 知己, 小原 哲二郎
    1979 年 26 巻 9 号 p. 365-370
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鶏卵卵黄を超遠心分離して得たLDL,リベチン画分,HDLの酸,アルカリによる変性を濁度,遠心分離による沈殿量,粘度,ディスク電気泳動から検索した結果を要約すると次のごとくである。
    (1) 1%卵黄溶液のpH 2からpH 12までの処理で,濁度はpH 4からpH 9が最も高く,0.1%卵黄溶液ではpH 5.5濁度が最も高かった。また遠心分離による沈殿量もやはりpH 5.5が最も多かった。(2) LDL,リベチン画分,HDLの溶解性は,LDLはpH 7,リベチン画分はpH 4.5からpH 5が最も濁度が高く,遠心分離による沈殿量が多かった。HDLはpH 4より下,pH 11より上で濁度が増加し,遠心分離による沈殿量では,pH 2からpH 4で98.5%から85.5%の沈殿を得た。
    (3) 卵黄の異なるpHにおける粘度の変化は,pH 4より下,pH 10より上でそれぞれ酸変性,アルカリ変性による粘度の上昇が認められた。
    (4) LDL,リベチン画分,HDLの粘度変化はLDL,リベチンはpHの差による粘度変化は認められず,HDLはpH 5より下,pH 11.5より上で粘度の上昇が認められた。
    (5) ディスク電気泳動で,卵黄中で酸またはアルカリにより変化を受けるのはRf 0.2以下の蛋白質バンドであった。HDLではpH 4以下でRf 0.04から0.1の蛋白質バンドが消失し,リベチン画分はpH 5以下でRf 0.3以下の蛋白質バンドが消失した。一方LDLはpH 2とpH 12の処理であらたに4本から5本の蛋白質バンドが出現した。
  • スモモ果実に関する食品化学的研究(第8報)
    小宮山 美弘, 原川 守, 辻 政雄
    1979 年 26 巻 9 号 p. 371-374
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    山梨県産のソルダムスモモを使用し,3℃,10℃,20℃および30℃で15日間の貯蔵実験を行った。3℃,10℃,20℃では貯蔵温度が高くなるのに伴い品質は著しく低下するが,30℃貯蔵区では理化学組成や着色度合の変化が3℃に次いで少なかった。また外観は収穫期とほとんど変わらなかったが,果肉は若干高温によると見られる障害が認められた。官能的には3℃貯蔵区に劣るが,ある一定の期間は貯蔵が可能である様に思われた。
  • 高橋 治男, 高野 博幸, 小柳 妙, 田中 康夫, 真鍋 勝, 松浦 慎治
    1979 年 26 巻 9 号 p. 375-382
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酢酸を唯一の炭素源としてパン酵母の培養を行ない,得られた酵母について製パン性能の評価を行なって,つぎの結果をえた。
    (1) 酢酸培養酵母の食パン生地発酵能,高糖生地発酵能,および貯蔵性(耐久力)について検討した結果,酢酸を炭素源としてほぼ市販酵母に匹敵する性能の酵母を作りうる可能性が示唆された。
    (2) 本実験の培養条件下で得られた酢酸培養酵母の貯蔵炭水化物含量は,市販パン酵母よりも少なかった。
    (3) 酢酸培養酵母のマルトース適応能は市販パン酵母より著しく劣っていた。これは酢酸を炭素源として培養したことによるものであり,同一菌株を廃糖蜜によって培養した場合,マルトース発酵能およびマルトースへの適応能は市販酵母より優れていた。
    (4) 酢酸培養酵母のマイセル液内発酵力は市販パン酵母より著しく劣っていた。しかしマイセル液に小麦粉,小麦粉抽出液,麹汁,酵母エキスなどのいずれかを加えた場合,市販パン酵母にはみられぬ著しい発酵増大効果が認められた。
    (5) S. cerevisiae FRI-44を,酢酸を炭素源として培養した場合,グルコースによって培養した場合よりも遊離アミノ酸含量が低かった。
    (6) 酢酸培養酵母を用いて作ったパンは体積,品質共に市販パン酵母によったものよりやや劣っており,とくに香りの点で明らかな差が認められた。
  • 食品の酸味とその電気化学的測定に関する研究(第5報)
    岡山 謙一, 松本 清, 原田 章一, 坂根 康伸, 筬島 豊
    1979 年 26 巻 9 号 p. 383-390
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    水-エタノール混合溶媒,水-ピリジン混合溶媒を用いた電導度測定法に基づくマヨネーズ中の食塩および酢酸換算酸含量測定法を設定した。
    (1) 水-エタノール(67vol%)混合溶媒系におけるマヨネーズの300倍希釈液の比電導度と食塩含量の間には(1)式の関係が得られた。
    y=0.04561x-0.0259 (1)
    x:比電導度(μmho・cm-1), y:食塩含量(%)
    (2) 水-ピリジン(10vol%)混合溶媒中では,マヨネーズの300倍希釈液の示す実測比電導度値と食塩,酢酸それぞれの比電導度寄与分の計算値の和との間に良好な一致が見られ,(2)式の関係式が成立した。
    κtotal12 (2)
    κtotal:マヨネーズ希釈液の示す実測比電導度
    κ1:食塩の寄与による比電導度
    κ2:酢酸の寄与による比電導度
    水-ピリジン(10vol%)混合溶媒系において,食塩および酢酸溶液の300倍希釈液の示す比電導度と含量との間には次の関係が成立した。
    食塩:y=0.01961x+0.002 (3)
    酢酸:y=0.02742x-0.217 (4)
    x:比電導度(μmho・cm-1), y:含量(%)
    (3) マヨネーズ300倍希釈液の水-エタノール(67vol%)混合溶媒系および水-ピリジン(10vol%)混合溶媒系での比電導度実測値と(1)~(4)式を用いることによって,マヨネーズ中の食塩および酢酸換算酸含量を簡易,迅速に求め得ることを示した。
    (4) (1)式を用いて見積った食塩含量は銀滴定法で得られた値と0.02%以内の平均偏差で良好な一致を示し,
    本法で求めた酸含量値とアルカリ滴定法で得られた値は0.01%内の平均偏差で一致した。
  • 原 利男, 久保田 悦郎
    1979 年 26 巻 9 号 p. 391-395
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    新茶の香気特性とその保全方法を明らかにするため,1番茶期の上級煎茶の貯蔵中の香気成分の変化をガスクロマトグラフィーGC-MS法および官能検査などで調べ,次の結果を得た。
    (1) 新茶に多く含まれ貯蔵中に減少する香気成分として,n-ノニルアルデヒドとシス-3-ヘキセニルヘキサノエートを同定し,官能検査の結果からシス-3-ヘキセニルヘキサノエートが新茶の香気に少し寄与しているように推定された。
    (2) 新茶はプロピオンアルデヒド,1-ペンテン-3-オール,シス-2-ペンテン-1-オール,2,4-ヘプタジエナールおよび3,5-オクタジエン-2-オンなどは検出されないか,あるいはごくわずかしか存在しなかった。これらの成分は貯蔵中に生成するオフ・フレーバー成分と推定された。
    (3) 新茶の香気保全には超低温(-70℃)貯蔵の効果が著しかった。
  • 高橋 浩司
    1979 年 26 巻 9 号 p. 396-399
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The mung bean was immersed in water, homogenized and extracted with water several times. By this extraction, 74% of total N(TN) was re- covered. Furthermore, by subsequent extraction with 0.2% NaOH, 13% of TN was recovered. 92% of water-extracted nitrogen was proteinous nitrogen, 84% of which was precipitated at pH 4.5. Mung bean protein roughly resembled soybean in its amino acid composition and disc-gel-electrophoretic pattern. 78% of TN in the sprout was extracted by homogenizing with water, but its disc-gel-electrophoretic pattern indicated decreased molecular size. From the water-extract of mung bean, about 60% of starch could be presumably recovered. Some properties of this starch were as follows; moisture 11.13%, ash 0.04%. whiteness 83, and gelatinization temperature 62.1°C.
  • 久保田 清, 細川 嘉彦, 鈴木 寛一, 保坂 秀明
    1979 年 26 巻 9 号 p. 399-402
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    毛管形粘度計を使用して,5wt%米デンプン糊化液の流動特性を温度20~80℃において測定した。流動方程式は,次式によって表わされた。
    γ=(1/K)(gcτ-gcτy)n
    ここで,γ:せん断速度(sec-1),τ:せん断応力(gf/cm2), gc:重力換算係数(g・cm/gf・sec2)である。上式に含まれる流動パラメータK, nおよびτを,非線形最小二乗法を用いて求めた。τyは,ほぼゼロと近似でき,nの値は,1.2として取り扱える結果となった。n=1.2, τy=0.0と一定にして求めたKの値は,ANDRADEの式で表わされた。
    K=5.41×10-4exp(5.34×103/RgT)
    ここで,T:測定温度(°K), Rg:気体定数(cal/g-mol・°K)である。
  • 畑 明美
    1979 年 26 巻 9 号 p. 403-415
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 26 巻 9 号 p. A38-A43
    発行日: 1979/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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