日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
27 巻, 11 号
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  • 浅野 三夫, 柴崎 一雄
    1980 年 27 巻 11 号 p. 537-542
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酵母蛋白質は等電点沈でんすることによって約10%の核酸が蛋白質と共に沈でんしているが,これらの核酸を簡単に除去する方法を検討した。
    (1) 精製酵母RNAを用いて等電点時の蛋白質と核酸との相互作用を検討した結果,酵母蛋白質とRNAの比が10:1の場合,加えたRNAの95%が蛋白質といっしょに共沈することが明らかになった。
    (2) 蛋白質および核酸の溶解性を詳細に調べ,蛋白質は溶解せずに核酸のみ溶解するイオン強度(μ)およびpH条件を検討した結果μ=2.0, pH6~7が核酸除去の最適条件であった。
    (3) これらの方法で酵母蛋白質の核酸含量が, 10%から1.6%と約85%除去することが出来た。
  • 久保田 清, 松本 俊也, 鈴木 寛一, 保坂 秀明
    1980 年 27 巻 11 号 p. 543-549
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    前報において,簡便で,反復測定できる細管形粘度計を作製し,デンプン糊化液などの測定をしてきた。本報では,これを浮子式として,試料が容器壁に付着し,または着色し,さらには液面上に小さな泡が浮いて液面の判断がしにくい場合にも,利用できるような改良を行なって, 2, 3の市販の液状食品の流動特性の測定をした。また,粘性パラメータを非線形最小二乗法により求め,流動方程式を設定した。
  • 青木 宏, 永森 直美
    1980 年 27 巻 11 号 p. 550-558
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    三種類の,すなわち, n-パラフィン資化性(NP-),酢酸資化性(KN-),および亜硫酸パルプ廃液資化性(SL-)Candida utilisの乳化特性を,大豆タンパク質の乳化特性との関連において比較した。これら三種類の酵母からアルカリ抽出によって調製される分離タンパク質の乳化安定性(ES)および乳化力は,大豆タンバク質よりも優れ,その傾向は弱酸性域において特に顕著であった。ESは, SL-酵母>KN-酵母>NP-酵母>大豆タンパク質の順であった。これらの結果は,タンパク質調製時におこる部分分解の度合に主として依存するものと推定された。細胞壁を損傷させた酵母を希塩酸で部分分解することによって得られた加水分解物は,その中の不溶物を除いた場合も,不溶物を共存させた場合も,弱酸性域において高いESを示した。単細胞タンパク質を食品に利用する立場から,この単純な処理法は実用上特に注目すべきものと思われた。
  • 宮崎 正則, 美谷 誠一, 薮内 一雄
    1980 年 27 巻 11 号 p. 559-563
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴ品種「アメリカ」のへた取り作業を省力化ずる目的で,片手収穫によるへたなし果率を高める栽培方法を検討した。
    (2) ウイルスフリー株のへたなし果率はウイルスり病株のそれを上廻った。
    (3) 灰色かび病防止用の農薬散布により,へたなし果率が高まった。
    (4) へたなし果率には収穫時期別変化があり,収穫前半に高く,後半に低下した。
    (5) 農薬散布により収穫前半のへたなし果率が高まり,GA+KH2PO4処理で後半のへたなし果率が高まった。しかし実際栽培における省力化をはかるには,収穫最盛期のへたなし果率をより一層高める工夫をする必要性があると思われた。
  • 宮崎 正則, 美谷 誠一, 薮内 一雄
    1980 年 27 巻 11 号 p. 564-568
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴ品種「アメリカ」のへたなし果率の収穫時期別変化をもたらす要因について検討した。
    (2) 低温栽培(25℃-15℃)下の果実は高温(20℃-10℃)下の果実に比べ,成熟日数が長く,空隙率が高く,糖含量が高く,へたなし果率が高く,ほ場栽培の収穫初期の果実の状態に類似した。
    (3) 高温栽培下の果実は一般にへたなし果率が低く,他の状態もほ場栽培の収穫末期の果実に類似した。
    (4) しかし高温栽培下においても,そのへたなし果率は収穫初期には高く,その後急激に低下するものの,GA+NPK処理でその低下はゆるやかになった。
    (5) へたつき果は形態的に3種類に分類され,それぞれの発生率は収穫時期により異った。
    (6) へたなし果はへたつき果に比べ,空隙果率が高く,へた直下部とずい部との間でペクチン含量に大きな差異のあることが認められた。
  • 宮川 金二郎
    1980 年 27 巻 11 号 p. 569-572
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The change of heat with the progress of putrefaction at 30°C were measured by using a twin conductive calorimeter. The heat evolution caused by putrefaction of stirred whole egg and yolk occurred after 4 hours, however, it was not observed within 20 to 24 hours for non-stirred whole egg and stirred egg white. The heat change with putrefaction of a defrosted fish was faster than that of a raw fish. Because the thermogram with putrefaction of milk was good agreed with the growth curve of putrefactive bacteria, the change of heat with putrefaction was found to indicate the true process of putrefaction. When putrefactive bacteria were inoculated on soybean curd (Tofu), the more the number of putrefactive bacteria were, the more rapidly the heat evolution occurred. From these results, it was suggested that the calorimetrical measurement was a useful tool for analysis of putrefaction.
  • 高田 宮子, 佐々木 弘子, 松本 仲子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1980 年 27 巻 11 号 p. 573-575
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 干しシイタケ各銘柄の1974~1976年の3年間を通してのRNA含量は秋子の方が春子よりも有意に高い含量を示した。規格外品である黒子は他の銘柄よりも低い含量であった。
    (2) 1976年の春子と秋子のRNase活性は春子と秋子め間に有意な差はみられなかった。
  • 福田 満, 山口 淑子
    1980 年 27 巻 11 号 p. 576-578
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    簡単な比色法によって食品中のヒドロキシプロリンの定量を行なった。乾燥した食品を6N塩酸中で110℃, 18時間加水分解し,中和した後,ヒドロキシプロリン量を測定した。多種の食品についてヒドロキシプロリンの定量を行なった。一般に,動物組織は植物組織より多くのヒドロキシプロリンを含んでいた。さらに,動物組織は植物組織に比ベタンパク質量あたりのヒドロキシプロリン量において高い値を示した。0.6N塩酸によってかなりの量のヒドロキシプロリン含有タンパク質が動物組織から抽出されるが,植物組織から抽出される量は少なかった。
  • 森 高明
    1980 年 27 巻 11 号 p. 579-584
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鶏のもも正肉及び胸正肉と,正肉から皮及び脂肪を除いたもも肉及び胸肉を低密度ポリエチレンの袋に密封し,約5℃に保存したときの部位別保存性と真空包装の効果について検討した。
    (1) 皮及び脂肪が付いた正肉の状態ではももと胸の部位による保存性の差や,真空包装の効果は認められなかった。
    (2) 皮及び脂肪を除いたもも肉も真空包装の効果は認められず,もも正肉及び胸正肉と同じように,保存9日後に腐敗臭が発生した。皮及び脂肪を除いた胸肉はもも肉より保存性がよく,低密度ポリエチレンの袋でも真空包装の効果が認められた。
    (3) もも正肉及び胸正肉は中温細菌数107~108,アンモニア性窒素生成量18~23mg%になって腐敗臭が発生した。しかし,皮及び脂肪を除いたもも肉及び胸肉は中温菌数109~1011,アンモニア性窒素生成量28~34mg%になって腐敗臭が発生し,皮及び脂肪は腐敗臭を発生しやすいと思われた。
    (4) 胸肉はもも肉に比較して菌相の変化が遅かったが,真空包装した保存12日後の胸肉は腐敗臭を感じなくても分離細菌はPseudomonasMoraxellaのみであり, Pseudomonasが優勢で,鶏肉の風味が失われていた。
  • 津志田 藤二郎, 竹尾 忠一
    1980 年 27 巻 11 号 p. 585-589
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    茶の重金属の黒鉛炉原子吸光法による定量法の検討を行い,次のような結果を得た。
    (1) 試料溶液をそのまま黒鉛炉に注入し, Pb, Cdを定量する場合は,各測定の間に必ず約2100℃以上の高温空焼を1回行わなければ,次回の測定値が小さくなった。
    (2) 灰化試料を塩酸溶液にした場合はPbの測定が不可能になった。硝酸溶液にすると測定が可能になったが,不溶物が生ずるなどの問題点があった。
    (3) 干渉作用の一因としては, NaCl, KClなどアルカリハライドが上げられるが,特にNaClは0.04Mで97.6%の阻害率を示した。
    (4) KI-MIBK抽出を行えば,測定値の再現性が高くなり,しかも標準添加曲線の傾きは試料間による差がほとんど無くなり,測定回数を減らすことができた。
    (5) 各県の茶54点について, Cu, Pb, Cdを黒鉛炉法で測定したところ,同一母集団の試料について既に著者らが報告したフレーム法による場合と同じような傾向が見られた。 PbとCdはフレーム法より測定値がやや小さくなった。Cuの平均値は11.9μg/g, Pbは0.31μg/g,Cdは0.023μg/gであった。
  • 1980 年 27 巻 11 号 p. A53-A58
    発行日: 1980/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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