日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
27 巻, 2 号
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  • 山口 直彦, 内藤 茂三, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1980 年 27 巻 2 号 p. 51-55
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆蛋白質加水分解物と豚脂とからなる乾燥系モデル食品について蛋白質加水分解物の抗酸化力を測定した結果,
    (1) 9種の酵素による大豆蛋白質加水分解物の分解率は3.7~17.7%の範囲内にあり,分解率3.7~7.8%の試料区には,ほとんど抗酸化力は認められないが,加水分解率17.7%の2つの試料は顕著な効力を示した。
    (2) 酵素No.4による大豆蛋白質加水分解物の分解率は5.6~31.2%の範囲にあったが,その抗酸化力は加水分解率の上昇とともに増大した。また,加水分解物区は50℃での保存によって着色化する傾向が認められた。
    (3) 大豆蛋白質加水分解物(分解率19.6%)のセルローズ・パウダーに対して1~100%の範囲内で添加した結果, 3%以上の添加によって抗酸化力が認められた。
    (4) 加水分解率17%以上の大豆蛋白質加水分解物区には油脂過酸化物の分解作用が認められた。
    (5) 大豆蛋白質加水分解物はd-δ-トコフェロールと相乗性を示した。
  • 山口 直彦, 内藤 茂三, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1980 年 27 巻 2 号 p. 56-59
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    塩酸による卵白加水分解物及び7種の酵素による大豆蛋白質加水分解物添加ビスケットの酸化安定性を試験した結果は次のとおりである。
    (1) ビスケットに対し塩酸による卵白加水分解物を0.25~5%の範囲内で添加した結果,各試験区ともに著しい酸化安定性の向上が認められ,その効力は添加量とともに顕著に増大した。なお1%以上の添加区にはかっ色化現象が認められた。
    (2) 7種の酵素による大豆蛋白質加水分解物を1及び3%の割合でビスケットに添加した結果,いずれの試験区にも酸化安定性の向上が認められた。その効力は加水分解率と関係があり,分解率20%前後の加水分解物の抗酸化力は分解率5~6%の加水分解物と比較して著しく強い。また, 1%添加区に比して3%添加区ビスケット区の酸化安定性は顕著な向上を示した。さらに, 3%添加ビスケット区には,かっ色化現象が認められた。
  • 木内 幹, 掛沢 雅章, 海老根 英雄
    1980 年 27 巻 2 号 p. 60-67
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    味噌醸造における添加酵母S.rouxiiのフレーバー生成への影響を検討するために,リノール酸酸化能の欠損した変異株を化学処理して獲得した。本報ではその変異株の性質を親株のそれらと比較検討した。i)変異株35株について,その生育に対するpH・温度の効果を調べた結果,大部分の変異株が親株と同様の挙動を示し,実際の醸造にも応用が可能であると推定された。ii)リノール酸酸化能欠損の変異株は,グルコース・フラクトース・エタノールは酸化可能である事から,酸化能の欠損は,リノール酸に対する特異性であることが明らかになった。iii)各変異株の菌体脂肪酸組成を調べた結果,23株の変異株が親株と異なった脂肪酸組成を示した。iv)Acyl-CoA synthetaseの活性を調べた結果, 20株が親株と比較して活性が低い事が認められた。
  • 友田 五郎, 松山 惇, 長野 明子, 生田目 光子, 守田 勝昭
    1980 年 27 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ブラジル・サントス種コーヒー生豆にγ線を照射(0, 0.05, 0.5および1.5Mrad)し,焙煎後それぞれ0, 0.5, 1.5, 3.0および6.0ヶ月貯蔵した各試料について,香味の変化を官能的に検査(カップテスト)すると共に,カルボン酸類の定量を行ない次の結果を得た。
    (1) 非照射,焙煎直後のカルボン酸組成は,クロロゲン酸:オキシカルボン酸:モノカルボン酸:その他=73:18:7:2で,カルボン酸の全量は約6,000mg/100g(焙煎豆)であった。
    (2) γ線の0.05Mrad照射では香味はほとんど影響がないが, 0.5Mrad照射では本来のものと異なる刺激的な酸味が現われ, 1.5Mrad照射では刺すような酸味に苦味が加わった。
    (3) 焙煎豆の貯蔵による品質の劣化は, 0.5ヶ月で主として香りに現われ,以後酸敗臭を伴なう執ような刺激的な酸味が遂次強くなった。あらかじめ生豆に適量のγ線を照射しておくとこの劣化は或程度抑制された。
    (4) コーヒーの品質の劣化に際しては一般に酸味に大きな変化が現われるが, γ線の照射では焙煎豆の貯蔵の場合とは明らかに異質の酸味の質的な変化が見られた。γ線照射コーヒーの品質には総酸量よりもオキシカルボン酸類とモノカルボン酸類の含有量比が関係が深いようである。
  • 太田 英明, 渡部 博和, 山田 公政, 芥田 三郎, 筬島 豊
    1980 年 27 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    アントシアニン色素の化学構造と安定性との関連を実験的に立証する一環として,数種のフラビリウム化合物を合成し,それらの分光学的挙動を系統的に比較検討した。
    (1) 0.1%塩酸-メタノール溶液中において,合成フラビリウム化合物の可視部吸収極大波長(λvis.max)に及ぼす置換基の効果を調査した。 3位の水酸基は5位および7位の水酸基よりもλvis.maxを大きく深色移動させた。B環(3', 4'および5'位)の置換基はベンゾピリウム環(3, 5および7位)の置換基よりもλvis.maxを長波長側に移行させた。
    (2) 供試したフラビリウム塩はその構造およびpH上昇に伴う紫外-可視吸収スペクトルの挙動によって次の3グループに大別し得た。 i)フラビリウム塩に起因する可視部吸収の減少およびカルコンに起因する近紫外部吸収の増大が見られる7-ヒドロキシ, 5, 7-ジヒドロキシならびに8-メトキシフラビリウム化合物, ii)フラビリウム塩の吸収の減少およびアンヒドロベースの吸収の増大が見られるベンゾピリリウム環に置換基を持たない化合物, iii)フラビリウム塩に由来する515nmと272nmの吸光度の減少,ならびに290nmの吸光度の増加が観察されるpeonidinのような3位に置換基を有する化合物。
  • 太田 英明, 芥田 三郎, 筬島 豊
    1980 年 27 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アントシアニン色素の化学構造と安定性との関連を明らかにするために,アントシアニン色素4種類および合成フラビリウム塩13種類を用い, 0.2M酒石酸ナトリウム-酒石酸緩衝液(pH2.5~4.5)中で色素の安定性に及ぼす置換基の効果を系統的に検討し,より安定な色素の検索を行なった。
    (1) 供試した17種類のフラビリウム塩のpK値(平衡定数)を分光学的に求めた。
    (2) ベンゾピリウム環7位への水酸基の導入は色素分子の安定化に大きく貢献し, 3位への水酸基の導入は逆に色素分子を著しく不安定化した。
    (3) B環(3', 4'および5'位)への水酸基の増加が色素分子を不安定にすることからdelphinidin系色素などB環に隣接水酸基を有するアントシアニン色素が安定性に欠けると示唆された。
    (4) B環へのメトキシル基の導入が色素分子を安定化することを明示すると共に, peonidin系色素(メトキシル基1個)よりもmalvidin系色素(メトキシル基2個)が安定性に富むことを認めた。
  • 小嶋 操, 中野 芳明
    1980 年 27 巻 2 号 p. 86-88
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    セイヨウワサビ(ホース)粉,カラシ粉および粉わさび貯蔵中の成分変化について,内部標準物質にn-プロパノールを用いるヘッドスペース法により検討した。
    材料を密閉貯蔵すれば,貯蔵中にn-プロパノールのピーク面積に対するアリル芥子油, iso-プロピル, sec-ブチルおよび3-ブテニル芥子油の比率は漸減した。材料の含水率が大になれば,辛味成分の減少率も大になった。また,材料の加水分解物は, 30℃および5℃の貯蔵条件下では,貯蔵中にiso-プロピル芥子油の百分率は不変であったが,他の芥子油の百分率は減少した。しかし, -15℃では,これらの値は全く変化しなかった。
  • 中嶋 恭三, 今井 信江
    1980 年 27 巻 2 号 p. 89-91
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    塩化カルシウムによる豆乳の凝結に際し,その初期にみられる系の濁度の増加の速度係数kは,豆乳の固形分濃度,系中のカルシウムイオンの濃度,凝結温度,豆乳中に溶存しているナトリウム塩の存在などによって変動することを明らかにした。
  • 遠藤 勲, 柳瀬 肇, 竹生 新治郎
    1980 年 27 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    米飯のテクスチュロメーターによる測定において,米飯の付着性検出の感度を高めると同時に,各特性値の測定を省力化する目的で新しく付着性強調アームを試作した。このアームを使用することにより,測定回数を従来の方法の1/2に短縮でき,測定能率の向上をはかることができた。
    さらに市場出回り品種を用いて,標準アームおよび付着性強調アームによって,それぞれ両者のテクスチュロメーター特性値と米飯の食味評価との相関関係の比較を行ない,標準アーム,付着性強調アームとも,ほぼ同様の結果が得られた。これらより標準アームを付着性強調アームに置きかえてもさしつかえないことが判明した。
  • 矢野 俊正
    1980 年 27 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 27 巻 2 号 p. A6-A9
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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