日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
28 巻, 12 号
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  • 天然調味料に関する研究(第7報)
    石田 賢吾, 鍛治 義延
    1981 年 28 巻 12 号 p. 615-619
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    優れたエキス系調味料の製造を目的として,金属封鎖剤などの添加物が鶏肉より生成するチキンフレーバーにどのような影響をおよぼすかについて,硫化水素と揮発性カルボニル化合物の生成量,クッキング中の油の酸化度の測定あるいは官能検査によつて調べた。
    (1) 鶏肉のクッキング時のpHの上昇(pH2→7)に伴って,硫化水素の生成が増大すると共にチキンフレーバーも強化された。
    (2) トリポリリン酸ソーダの添加により,硫化水素の生成量の増大と揮発性カルボニル化合物の生成量の減少がみられ,同時にチキンフレーバーも強化された。硫化水素生成量の増大は,トリポリリン酸ソーダによるpH上昇作用に起因するものとの予想された。
    (3) クッキング時に銅イオン(Cu2+)が共存することにより,硫化水素の生成量が激減し,一方,揮発性カルボニル化合物とTBA値は増大した。これに伴いチキンフレーバーは殆んど生成されなかった。この現象は,トリポリリン酸ソーダの添加により殆んど完全に解除された。
    (4) ピロリン酸ソーダ,クエン酸,フィチン酸などの金属封鎖剤は,いずれも揮発性カルボニル化合物の生成量とTBA値を減少せしめ,しかもチキンフレーバーを強化する作用を示した。これは,鶏肉中に含まれるプロオキシダントとしての金属類の封鎖作用に基くものと予想された。
    (5) アスコルビン酸の添加により,硫化水素の生成量は増大したが,揮発性カルボニル化合物およびTBA値は低下し,同時にチキンフレーバーも強化,改良されることが明らかになった。
    (6) 以上の結果より,鶏肉のクッキングによって生成するチキンフレーバーには,適量の硫化水素が生成することと,クッキング中の脂質の酸化防止が重要な因子になるものと予想された。
  • モーラ ゴーラム, 高野 克己, 浅利 喬泰, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1981 年 28 巻 12 号 p. 620-626
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    フィリッピン産バーティー種のバナナを幅1.2cmにスライスし,各時間でスチームブランチング処理を行い,各々について酵素活性を測定し,その活性変化と色調並びに成分変化とも相関を調べた。
    (1) 溶媒で抽出・分画した3種のパーオキシダーゼは1分間のブランチングにより,その活性の92~96%が失活した。また抽出,分画した2種のポリフェノールオキシダーゼは同様のブランチングによりその98~99%の失活が見られた。なおブランチング処理した試料の色調を経時的に色差計により測定した結果,色の変化も酵素活性には相関があり,両酵素がバナナの褐変に関与していることが認められた。
    (2) 溶媒で抽出・分画した3種のペクチンエステラーゼは5分間のブランチングにより,フラクションIでは95%,フラクションIIでは80%,フラクションIIIでは85%の失活が見られ,各画分により耐熱性に差が見られた。また,水溶ペクチンのメトキシル基含有量を測定した結果,その変化は酵素活性と相関があり,ペクチンエステラーゼの失活と共にメトキシル基含有量の減少傾向は少なくなり,4分間以上のブランチングでは生バナナとほぼ同じ値を示した。なお,バナナ中のフェノール化合物量及び酸度についても測定を行ったが,ブランチングの影響は認められなかった。
  • 沢わさびと西洋わさびの揮発性成分の研究(第3報)
    伊奈 和夫, 信國 美香子, 佐野 昭仁, 木島 勲
    1981 年 28 巻 12 号 p. 627-631
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) アリル芥子油の含水メタノール中での分解におよぼす諸因子の影響を37℃, 2日間の反応で測定した。
    (2) アリル芥子油はn-ヘキサン,アセトン,酢酸エチル中では全く分解せず,水,メタノール,含水メタノール中では分解が起った。
    (3) 光の明,暗は分解には関係なく,温度は-18,-5℃では全く分解せず,20, 37℃と温度が上昇するに従って分解は急速であった。pHは酸性側では抑制するが,アルカリ性側では分解は促進された。
    (4) 添加物質ではクエン酸,糖エステル,サラダ油に抑制効果があり,これらは添加量の増加により抑制効果も増大した。
    (5) クエン酸,糖エステル,サラダ油の効果には協同効果,相乗効果は認められなかった。
  • 緑茶の遊離糖について(第1報)
    阿南 豊正, 高柳 博次, 池ヶ谷 賢次郎, 中川 致之
    1981 年 28 巻 12 号 p. 632-637
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    緑茶遊離糖の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量法について検討した。その結果は次のとおりであった。
    (1) Shodex Ionpak S-801カラムで移動相に水を用いた場合,カラム温度が60℃,流速が0.5ml/minで,グルコース,フラクトース,シュクロース,ラフィノース,スタキオースが良好に分離できた。
    (2) 内部標準物質としては,キシリトールが適当であった。又,分析時間は33分であった。
    (3) 試料の調製方法は以下のとおりとした。すなわち,緑茶粉末300mgにキシリトール4mgを添加し熱水50mlを加え15分間沸とう水中に放置した。冷却後,陽,陰イオン交換樹脂(IR-120B, IRA-45,各15ml)カラムにかけ,水100mlで溶出し,約5mlに濃縮後遠心分離し,0.45μmのミリポアフィルターでろ過し約10mlを注入した。なお,検出は示差屈折計を用いた。
    (4) 回収率は99.2~102.1%であった。又,同一試料を12回くり返して分析した場合の変動係数は,グルコースが2.15%,フラクトースが2.52%,シュクロースが1.80%,ラフィノースが5.73%,スタキオースが11.51%であった。
    (5) HANES法の改良法と比較した結果,HPLCによる定量値は改良法の約80%前後であった。
  • 佐々木 堯, 貝沼 圭二
    1981 年 28 巻 12 号 p. 640-646
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    甘藷のデンプン粒内の顆粒結合性デンプン合成酵素の可溶化法について検討し,次の諸点を明らかにした。
    (1) 甘藷の生デンプン粒に認められるデンプン合成活性は,ADP-[14C]グルコースの方がUDP-[14C]グルコースよりも高いとり込み活性を示した。
    (2) デンプン粒へのとり込み活性は,尿素濃度の変化と共に増加し,ADP-[14C]グルコースからのとり込み活性は,7M尿素処理で約4.5倍促進されたが,UDP-[14C]グルコースの場合は5M尿素にとり込みの最大活性を示した。
    (3) 生デンプン粒は尿素分画により,デンプン内層部(尿素可溶性区分)と外層部(尿素不溶性区分)に2分される。この方法を用いて生デンプンにとり込まれた放射能分布についてみると,ADP-[14C]グルコースからのとり込みはデンプンの外層部に主として認められ,UDP-[14C]グルコースを用いた場合は,放射能はデンプン内層部に約1/3,外層部に約2/3とり込まれていた。この結果は,ADPGおよびUDPGを基質とするとり込み活性が局在していることを示唆している。
    (4) デンプン合成活性のある尿素不溶性のデンプン外層部は,プルラナーゼ法で可溶化される。これを遠心分画した沈殿区分は,ADP-[14C]グルコースあるいはUDP-[14C]グルコースからのとり込活性を有していたが,上清区分におけるとり込み活性はUDP-[14C]グルコースに特異性があり,ADP-[14C]グルコースのとり込みは認められなかった。
  • 上田 成子, 千葉 明子, 桑原 祥浩
    1981 年 28 巻 12 号 p. 647-649
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    フライ用冷凍食品60検体のパン粉衣の微生物学的検討を行なった。32検体の生菌数は103/gのオーダーにあり,13検体が104/g以上であった。それらの主な細菌はグラム陽性芽胞形成菌(Bacillus spp.)とグラム陽性球菌であった。Bacillus属の菌は51検体から,球菌は55検体から検出された。分離された151株のBacil-lus spp.はB. subtilisが55%とB. licheniformisが25%であり,これら2菌種が優勢であり,その他B.cereus, B. sphaericus, B. megateriumが少数検出された。170℃で揚げた後のコロモ中の菌叢はBacillus spp.のみとなり,25℃で24時間放置した場合,菌数は10102/gから104/gに増加した。
  • 山野 善正, 坂本 幸二, 園部 順子, 三木 英三
    1981 年 28 巻 12 号 p. 650-652
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    極性脂質であるレシチンを0~1.2%,丸大豆,脱脂大豆豆乳,及び11Sタンパク水溶液に添加して調製したゲルの硬さは,レシチン濃度に対してほとんど変化せず,本試料のような多成分系では,極性脂質のマクロな物性への影響は現われないと考えられた。
    粉末油脂の主成分である,パーム油,カゼインソーダ及びデキストリンのゲルの硬さへの効果は,それぞれ3.5%まで増加しそれ以上は一定,濃度の増加とともに直線的に増大,及び濃度の増加とともに直線的に減少という結果になり,実際の粉末油脂の3成分含有比におけるゲルの硬さの和は,始めやや増大,のちやや減少するという結果となり,粉末油脂濃度とともにぼほ直線的に増大するという現象とはかなり異なる様相を示した。
  • 真部 正敏
    1981 年 28 巻 12 号 p. 653-659
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 28 巻 12 号 p. N65
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 28 巻 12 号 p. A60-A66
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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