日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
28 巻, 11 号
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  • 菊池 栄一, 井筒 雅
    1981 年 28 巻 11 号 p. 569-577
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 調理直後のモデルソース中の小麦粉のりは,細い糸状物からなる多孔性に富んだ網目構造を形成していたが,凍結により糸状物の大部分は消失し,部分的に小さな粒状物が鎖状に凝集した構造に変化した。
    (2) 凍結によりゲル状物を形成したソースは,200kg/cmcm2以上の圧力で均質処理することにより,ざらつきの感じられないものになった。
    (3) 凍結または冷蔵保存した対照品は経日的にみかけ粘度が上昇し,やがてゲル形成したのに対し,均質処理品は経日的に若干粘度変化したがゲルの形成は見られなかった。
    (4) 均質処理品へのしょ糖脂肪酸エステルとアルギン酸ナトリウムの添加は,離水防止と粘度調整のために必要であった。
    (5) 均質処理品のテクスチャーはなめらかで,白ソースとして高い嗜好性をもつものであった。
  • 緑茶の加熱による化学成分変化と味との関係(第2報)
    阿南 豊正, 高柳 博次, 池ケ谷 賢次郎, 中川 致之
    1981 年 28 巻 11 号 p. 578-582
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アマドリ転位によって生成するアミノ酸-糖化合物で緑茶中に存在し末同定のものについて定性を行なった。その結果,緑茶にはすでに存在が報告されているTheanine-Fの他に,新たにAsp-F, Thr-F, Ser-F, Ala-Fが存在することが明らかとなった。
    さらに,これらの含量が,荒茶を加熱する際にどう変化するかを調べるために,荒茶を110℃, 130℃, 150℃で10, 30, 50分加熱した試料について各アミノ酸-糖化合物含量を調べた。その結果,いずれもある程度の加熱程度まで増加し,それ以上過度の加熱では減少することがわかった。次に,これらの試料の火入れ度を官能検査により調べ,各アミノ酸-糖化合物含量と火入れ度の関係を検討した結果,いずれもやや火入過度の付近で含量が最大となった。
  • 薄木 理一郎, 遠藤 泰志, 金田 尚志
    1981 年 28 巻 11 号 p. 583-587
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    抗酸化性物質を油脂に添加した際に起る極微弱化学発光の発光量(CL)の減少を「極微弱光測定装置」で計測し,抗酸化効力の簡易微量判定への応用を試みた。
    (1) 5種の既知抗酸化剤を5gのナタネ油脂肪酸メチルに0.02%添加し100℃でCLを測定すると,添加しない対照区よりCLが減少し,抗酸化効力の有無が判定できた。
    (2) 従来の抗酸化効力の判定法として用いられるAOM試験およびオーブンテストと比較すると,α-トコフェロールを例外として,AOM時間とCLは非常によい相関を示した。
    (3) 2種の新抗酸化性物質についても同様にCLの減少が認められ,抗酸化剤開発上の予備的スクリーニングとして非常に有用といえた。
  • 田代 豊雄, 藤田 悦子
    1981 年 28 巻 11 号 p. 588-593
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 装置に日立034形液体クロマトグラフ,充充填剤に日立アニオン交換樹脂2630,試料に市販標品の核酸関連物質を用い,段階溶出法にてアニオン交換クロマトグラフィーを行った。
    方法1. 第1溶離液の0.05M塩化アンモニウム-アンモニァ(pH 5.6)によりヌクレオシド類,核酸塩基類を溶出させ,第2溶離液の0.3M塩化アンモニウム-アンモニア(pH 9.7)によって5'-CMP, 5'-UMP, 2'-CMP,3'-CMP, 5'-GMP, 5'-IMP, 2'-AMP, 2'-GMP, 3'-AMP, 3'-GMPを分別することができた。
    方法2. 第1溶離液の0.1M酢酸アンモニウム-酢酸(pH 4.6)によりヌクレオシド類,核酸塩基類を溶出させ,第2溶離液の0.3M塩化アンモニウムーアンモニア(pH 10.3)によって5'-AMP, 2'-UMP, 3'-UMPを,さらに方法1でも分別可能な5'-CMP, 5'-IMP, 3'-AMP,2'-GMP, 3'-GMPも分別することができた。
    方法3.第1溶離液の0.2M酢酸アンモニウム-酢酸(pH 4.6)によりヌクレオシド類,核酸塩基類を溶出させ,第2溶離液の0.3M酢酸アンモニウム-アンモニア(pH 9.5)によって2'-GMP, 3'-AMP, ADP, 3'-GMPを,第3溶離液の0.6M塩化アンモニウム(pH 5.2)によってATPを分別することができた。
    (2) レタス,白菜,キャベツなどの煮沸水による抽出物について,アニオン交換クロマトグラフィーを行い,これら葉菜類の5'-CMP, 5'-UMP, 5'AMP, 5'-GMP,ADP, ATPをそれぞれ定量することができた。なお,これらの葉菜類には5'-IMPは検出されなかった。
  • 浅川 明彦, 山口 勝巳, 鴻巣 章二
    1981 年 28 巻 11 号 p. 594-599
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生食した場合のホッコクアカエビの食味にいかなる成分が関与しているかを明らかにする目的で,筋肉エキス中の諸成分を分析した後,天然および合成エキスの呈味性を比較するとともに,特有の“とろみ”を与える成分の解明を試み,次の結果を得た。
    (1) エキスの遊離アミノ酸ではグリシン(526mg/100g筋肉,以下同様),アルギニン(181mg),アラニン(90mg),プロリン(71mg)などが多く,甲殼類に共通したパターンを示した。核酸関連物質ではIMP(35mg),ヒポキサンチン(14mg), AMP(8mg)などが主で,4級アンモニウム塩基ではトリメチルアミンオキシド(537mg)とホマリン(304mg)が多く含まれていたが,グリシンベタインは検出されなかった。糖は痕跡量で,有機酸ではプロピオン酸(28mg),酢酸(23mg)が比較的多かった。無機成分はNa+(170mg),K+(139mg), Cl-(241mg), PO43-(358mg)が主なものであった。
    (2) 上記の分析結果に基づき34種の試薬を混合して調製した合成エキスの呈味は,天然エキスとよく類似していることが官能検査で判明し,ホッコクアカエビの甘味は主にグリシンに由来すると考えられた。
    (3) ホッコクアカエビ筋肉の水抽出液の粘度は他の4種のエビのものに比べ格段に高く,水抽出液中には多量のタンパク質が含まれていた。
    (4) 以上より,ホッコクアカエビは元来エキス窒素量が少なく,加熱した場合には不味なエビとされるが,生食した場合は水に抽出されやすいタンパク質が多量にあるため高い粘性を与え,これが味の増強作用を発揮して特有の甘味と“とろみ”をもたらすものと推測した。
  • カンキツ果実の酵素的褐変に関する研究(第1報)
    藤田 修二, 東野 哲三
    1981 年 28 巻 11 号 p. 600-605
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 温州ミカンの未熟果のポリフェノール抽出液(PP)を酸化する酵素をイオン交換クロマトグラフィー,ゲル濾過等により約100倍に精製した。得られたPPO標品は1,2,3-トリヒドロキシベンゼンであるピロガロール,没食子酸およびo-ジフェノールであるクロロゲン酸を強く酸化し,それらの反応液は速やかに褐変した。その電気泳動におけるPPおよびクロロゲン酸による染色バンドの位置はほぼ一致した。
    (2) PPO標品のChO活性およびPPとクロロゲン酸の褐変反応に及ぼすpH,加熱,種々化合物等の影響について調べた。ChOの最適pHは7.2付近にあり,pH5~8で安定であった。本酵素は熱にやや不安定であり,65℃, 5分間の加熱により失活した。ChO活性はシアン化カリウム,ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム,L-アスコルビン酸,チオ尿素等により阻害された。一方,PPおよびクロロゲン酸の褐変反応に及ぼすpH,加熱,種々化合物の影響もChO活性に及ぼすそれらの影響ときわめて高い類似性がみられた。
    以上のことから,PPを酸化する未熟果酵素の本体はChOであろうと推定された。
  • 福田 照夫, 松浦 陽一, 楠元 小百合
    1981 年 28 巻 11 号 p. 606-607
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The addition order of reagents affected remarkably on the formation of nitrosodimethylamine in the study of the effect of erythorbic acid on the formation of nitrosodimethylamine from dimethylamine and potassium nitrite. The reactions of dimethylamine with potassium nitrite and erythorbic acid with potassium nitrite occurred in a moment and the following addition order of reagents had most Significant inhibitory effect on the formation of nitrosodimethylamine: acetic acid, erythorbic acid, potassium nitrite and dimethylamine.
  • 筬島 豊
    1981 年 28 巻 11 号 p. 608-613
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 28 巻 11 号 p. A52-A59
    発行日: 1981/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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