油脂添加大豆タンパクゲルへの油脂の取り込みと,11S及び7Sタンパクの影響を調べたところ,次のような結果が得られた。
(1) 添加油脂は,油脂量の10%程度まではほぼ全量が大重タンパクゲル中に取り込まれるが,20%を越えると取り込み率は70%程度になる。ゲル中の脂肪粒子の大きさは,油脂添加量とともに大きくなり10%でその分散状態は不均一になる。n-ヘキサン,石油エーテルによるゲルからの油の抽出量は,添加量に比例して増大するが,取り込み率の増大率は,油脂量の増大とともにやや落ちてくる。
(2) 脱脂大豆ゲルの硬さは丸大豆ゲルの硬さより小さく,油脂添加に対する増加率も小さかった。保水力も硬さと同じ傾向であった。硬さ及び保水力が油脂添加量とともに増大することは,油脂添加により緻密な硬い構造が生成していることを裏づけている。
(3) 油脂添加ゲルのテクスチャーにおいても,11Sタンパクが主要な役割を演じているが,7S及び油脂との量的関係が微妙な影響を示すと結論される。
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