日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
28 巻, 5 号
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  • リンゴの低温障害に関する研究(第3報)
    木村 繁昭, 敦賀 順一, 比内 秀己, 千葉 順一, 岡本 辰夫
    1981 年 28 巻 5 号 p. 235-240
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1)国光はスターキングデリシャスに比較し全リン脂質が多く含まれ,リン脂質各成分についてはphospha-tidylcholine, phosphatidylethanolamine, phosphati-dylinositol, phosphatidylserine, phosphatidic acid phosphatidylglycerol, cardiolipinが含まれていた。
    (2)保蔵後は国光,スターキングデリシャスともに全リン脂質含量が減少し,特にスターキングデリシャスの方が著しかった。各リン脂質成分含量の減少はスターキングデリシャスの方が著しかった。
    (3)国光はスターキングデリシャスに比較するとmonogalactosyldiglyceride (MGD), digalactosyl-diglyceride(DGD)が多く含まれ, DGDの方がMGDより多く含まれていた。
    (4)全ステロイド,遊離ステロイド,結合型ステロイドは国光の方がスターキングデリシャスと比較すると多く含まれていた。
  • 大豆タンパク質の乳化特性に関する研究(第6報)
    青木 宏, 折茂 則子, 種山 小栗, 北川 郁子
    1981 年 28 巻 5 号 p. 241-246
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    メタノール,エタノール,イソ・プロパノールおよびノルマル・プロパノールを用いて,大豆タンパク質の乳化安定性におよぼすアルコール処理の効果を検討し,以下の結果を得た。いずれのアルコール処理によっても,大豆タンパク質の乳化安定性は中性から酸性領域にかけて,とくに等電点付近において著しく向上した。アルコール処理の効果は,処理時のpHによって大きな影響を受けた。水溶性タンパク質区分に依存する未処理大豆タンパク質の乳化安定性は,エタノール処理によって,逆に,不溶性タンパク質区分に依存するように変化した。ノルマル・プロパノール処理によって,油相-水相界面へのタンパク質の吸着量は約3倍に増加した。
    以上のことから,アルコール処理による大豆タンパク質の乳化安定性の変化には,アルコール変性に伴うタンパク質分子の疎水化が密接に関係することを考察した。
  • 若松 利男, 佐藤 泰, 斉藤 芳子
    1981 年 28 巻 5 号 p. 247-252
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    This experiment was carried out to elucidate the effect of frozen storage time on the properties of egg yolk including viscosity, solubility, emulsifying capacity (EC) and emulsion stabilizing capacity (ESC). Plain yolk and salted yolk with 10% NaCl were frozen and stored at -20°C being sealed tightly in the period of 3 to 180 days. Under these conditions, the increase of free fatty acid was practically not detected. However, their thiobarbituric acid value increased gradually during frozen storage. Apparent viscosity of plain yolk was markedly increased and its solubility was decreased by storage for 3 days. During subsequent storage, apparent viscosity increased gradually. Reduction of EC and ESC of plain yolk virtually corresponded to the viscosity change. Although the apparent viscosity of frozen-thawed salted yolk increased gradually in proportion to storage time, lowering of its solubility was not detected. As in the case of plain yolk, EC and ESC of salted yolk were reduced during frozen storage. However, their reduction rate was smaller than in plain yolk.
  • -流水中における単一氷球の融解-
    田中 俊一郎, 石橋 貞人, 中原 拓郎
    1981 年 28 巻 5 号 p. 253-259
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    冷水式冷却装置の性能向上を図るために,氷槽の所要氷量算定法に関する基礎的設計資料を得ることを目的として,流水中における単一氷球の伝熱融解機構を下記の条件の下で研究した結果,次のようなことがわかった。
    流速 U=5.8~36.3cm/sec
    レイノルズ数 Re= 2000~16000
    水温 t=14~21℃
    乱流強度 T.I.=1%
    プロッケージ比 D/L=0.2
    (1) 氷球は,前半部はほぼ球形を保ちながら,後半部は特異な形状に変化しながら融解する。
    (2) 剥離点はレイノルズ数の増加と共にわずかずつ前方へ移動する。
    (3) 局所ヌーセルト数は両淀み点付近で大きく剥離点で小さい分布を示し,レイノルズ数への依存性は前方淀み点付近が最小で,後方淀み点付近が最大である。
    (4) 低レイノルズ数ほど,氷球全表面への伝熱量に対する球前面への伝熱量の占める割合が大きくなり,高レイノルズ数ほど,球背面のそれが大きくなる。
    (5) 平均ヌーセルト数は次式で与えられ,
    氷球全表面: Nu0=2+0.30Re0.59Pr1/8
    前面 :NUf=2+0.87Re0.49Pr1/3
    背面 :NUw=2+0.061Re0.74Pr1/3
    平均ヌーセルト数が融解を伴わない場合に比べて小さいのは,融解水膜が伝熱抵抗になるためであろうと推察された。
  • 野田 勝彦, 見城 尚義, 高橋 強
    1981 年 28 巻 5 号 p. 260-263
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    粉乳中のセレンの測定法につき,ひ素に引き続いて還元気化による原子吸光法を検討した。セレンの場合は前処理分解中における揮散を防止するために,過塩素酸,硝酸による湿式分解法を採用した。還元気化,原子吸光分析には,分解調整した試験液を塩酸濃度が7Nとなるように塩酸添加したあと,還元剤として塩化第一すずを加え,さらに微粉末状亜鉛分散液を注入して発生したセレン水素化物を貯留することなく原子吸光分析した。本法を粉乳に用いたときの回収率は88~104%を示した。全粉乳,脱脂粉乳および調製粉乳に関して試験した結果0.04~0.12ppmのセレンが検出された。粉乳の種類の違いによるセレン含有量の差は認められなかった。
  • 三木 登
    1981 年 28 巻 5 号 p. 264-268
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるトマト製品中のアスコルビン酸(AsA)の定量法を設定した。
    Fine SIL C18-10を充填したステンレスカラム(4.6×250mm)を用い,移動相(1%リン酸液)を1.0ml/minの流速で送液し,検出にはUV検出器(254 nm)を使用した。試料は40%メタリン酸液で稀釈し,ミクロフィルター(0.45μ)で濾過し,その濾液3μlを液体クロマトグラフに注入した。
    AsAの保持時間は4分20秒で,1試料の分析時間は14分以内であった。この方法におけるAsAの回収率は平均98.6%であった。トマト製品中のAsAをHPLCとインドフェノール法(AOAC法)で分析したところ,HPLCに比較してインドフェノール法の分析値が,トマトジュースでは平均7.9%,ベジタブルジュースでは14.4%それぞれ多かった。これはAsA以外のレダクトンによるためと考えられた。
    加熱あるいは空気酸化したトマトジュースを両分析法で分析し,HPLCがAsA以外のレダクトンの影響を受けずに,正確にAsAを分析できることを明らかにした。製造工程中または製品貯蔵中におけるAsAの減少量を,正確かつ迅速に知る上でHPLCによる分析はきわめて有効と判断した。
  • 食品中の塩基成分の非水電気化学に関する研究(第2報)
    松本 清, 立石 理世子, 筬島 豊
    1981 年 28 巻 5 号 p. 269-274
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    非水電導度測定法によるカフェインの定量法を設定した。クロロホルム:無水酢酸:0.01N 過塩素酸/酢酸=10ml:5ml:3mlの混合溶媒系にカフェインが(1~5)mg含まれている場合,実測電導度とカフェイン量との間に良好な直線関係が成立した。実測電導度y(μho)とカフェイン含量x(mg)との間に次の関係式を得た。
    y=-11.1x+b(電導度セル定数c=0.096 cm-1)y切片bの算定には標準カフェイン溶液による実測電導度を用いる一点補正方式を採用した。すなわち,カフェイン30mgを含む標準溶液をFig.1(A)の操作によりクロロホルム相に抽出し,前記組成の混合溶媒系で電導度を測定した。得られた電導度値を式,y=11.1x+b,に代入しy切片bを決定した。
    本法を茶葉のカフェインの定量に適用し公定法と比較した。本法はケルダール法およびガスクロマトグラフ法との比較においてその定量値が良好な一致を示すと共に他の2法に比べより簡易迅速であった。
  • 竹尾 忠一
    1981 年 28 巻 5 号 p. 275-277
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    カリウム,リン,マグネシウム,マンガンとアルミニウムの濃度が高い試料,茶のカルシウム定量において,プラズマ発光分析法では灰分の塩酸溶液を用いて直接定量出来ることを認めた。
    一方原子吸光法では,分析試料の性状をみて,リンの干渉防止剤(ストロンチウム)の添加濃度を加減することが必要であった。
  • 辻 昭二郎
    1981 年 28 巻 5 号 p. 278-283
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    米飯の老化に伴うテクスチャーの変化を,米粒レベルの2点測定法とバイト試験で検討した。測定はテンシプレッサーにより既報の方法で行った。
    (1) 米飯粒のテクスチャーの2点測定法は米飯の老化に伴う変化の検討にも有用であった。
    (2) 老化に伴う米飯の食感の変化はadh./hard.またはadh./slope Iなどのパラメーターでよく示された。
    (3) 米飯粒のバイト試験も米飯のテクスチャーおよび老化の検討に有用であった。
    (4)バイト試験による米飯粒の老化に伴うfracturabilityの変化は,米飯の変化を明瞭に示すよいパラメーターであった。
    (5) 米飯粒のバイト試験によるfracturability/hardnessは米飯の食味とも相関性が認められた。
  • マルチタイプピックルインジェクターによるハム類の製造法に関する研究(第3報)
    新村 裕, 山田 順一, 藤井 静江, 春日谷 郷子, 高坂 和久
    1981 年 28 巻 5 号 p. 284-289
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    本試験はマルチタイプピックルインジェクターを使用してハム類を製造するための技術的基本条件を確立することを目的に実験した。
    ピックル注入率15%,肉中食塩含量2.2%を基本にNaNOa, NaNO2+NaAsの添加試験を実施した結果,次のことが明らかとなった。
    (1) 短期間の塩漬で,NO2-残存量はNaNO2添加量に大きく依存していた。すなわち,1日塩漬後はr=0.983(P<0.01),2日後は0.952(P<0.01)であった。
    この期間の塩漬で食品衛生法の規制値70ppm以下にNO2-残存量を抑制するためにはNaNO2添加量を100ppm以下にすることが望ましかった。
    (2) NaNO2添加量と発色率は相関があり(P<0.01),100,200,300ppmの範囲内の添加で比較すると添加量が多いほど高い発色率を示した。
    (3) NaNO2添加量を100 ppmに保ち, NaAs添加量を増加させるとその増加量に応じて発色率は高くなった。特に300ppm以上添加した時に効果的であり,またNO2-残存量は食品衛生法の規制値以下に的確に減少した。
    (4)退色テストでは,NaNO2(100 ppm)のみを添加したものは30分後に明らかにa値が減少していた。NaAsを併用したものはa値の大きな減少が認められず,b値が高くなり,添加量が多いものほどこの特徴が強かった。加熱塩漬肉色の経時的変化は最初の30分間で大きく,それ以後は小さな変化しか観察されなかった。
  • 1981 年 28 巻 5 号 p. A21-A26
    発行日: 1981/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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