日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
28 巻, 6 号
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  • 天然抗酸化物質に関する研究(第2報)
    内藤 茂三, 山口 直彦, 横尾 良夫
    1981 年 28 巻 6 号 p. 291-296
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ネギ類植物から製取した試料の抗酸化力を検討し次の結果を得た。
    1. リノール酸のモデル系においては,ニンニク(Allium sativum L.),タマネギ(A. cepa L.),ニラ(A. tuberosum Rottler),ワケギ(A. fistulosum L. var. caespitosum Makino),ネギ(A. fistulosum L.),ラッキョウ(A. bakeri Regel)の抽出液のいずれにおいても抗酸化力が認められた。
    2. 肉だんごの酸化安定性に効果を示したネギ類植物はニンニク,タマネギのみであった。
    3. サルファイド類の含量はニンニク,ニラ,ワケギに比較的多量に認められた。
    4. ネギ類植物の臭気の前駆物質であるS-アルキル-L-システインスルホキサイドはニンニク,ラッキョウ,ニラ,ワケギに比較的多量に検出された。
    5. 加熱,高周波処理を行うことによりネギ類植物の抗酸化力は増加し,又臭気も除去された。
  • 曽田 武富, 加藤 潤子, 桐渕 滋雄, 青木 宏
    1981 年 28 巻 6 号 p. 297-302
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    食品加工的立場から,そばタンパク質の性状を検討し,以下の知見を得た。すなわち,粉砕後期に得られる三番粉は,粉砕初期に得られる一番粉の5倍近いタンパク質を含有し,その80%が水に可溶であった。水抽出液からの酸沈殿タンパク質は小麦グルテンに似た物性を示し,とくに一番粉からのそれは「とりもち」状のつよい粘弾性を示した。一番粉の水抽出タンパク質は三番粉のそれにくらべ,加熱による著しいタンパク質間の相互反応を示した。一番粉のタンパク質は三番粉のそれにくらべて高い粘性を有し,とくに酸沈殿タンパク質では10倍前後の値を示した。また,これらの粘性は食塩の共存で著しく低下した。そばタンパク質の極限粘度は大豆グロブリンのそれの10~40倍の値を示した。
    これらの結果および,めん線の電子顕微鏡的観察から,めん線形成とそばタンパク質との関連について考察した。
  • 山口 直彦, 山田 篤美
    1981 年 28 巻 6 号 p. 303-308
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    11種類の糖及び16種類の蔗糖の抗酸化力を測定し,次のような結果を得た。
    (1) 11種類の糖類について抗酸化力を測定した結果,五炭糖,六炭糖は酸化を促進し,また,それらの二糖類はリノール酸の酸化安定性にほとんど影響しないか,やや抗酸化的に作用する。一方,黒糖は著しい抗酸化的作用を示した。
    (2) 16種類の蔗糖のリノール酸の酸化安定性に及ぼす影響を試験した結果,グラニュ糖の抗酸化力はほとんど認められず対照区と同じか,やや酸化促進的な作用を示した。また,三温糖には顕著な酸化促進性が認められ,さらに黒糖は著しい抗酸化力を示した。三温糖の酸化促進性,また黒糖の抗酸化力は,これら蔗糖に含まれる微量成分(鉄,銅,アミノ態窒素,全窒素及び着色物質)のバランスの上に成立すると推論した。
    (3) 粗糖,グラニュ糖及び廃糖蜜の抗酸化力を測定した結果,グラニュ糖<粗糖<廃糖蜜の順であった。
    (4) 黒糖(L)の非透析物のDEAE-セルロースによる分画の結果,6つのピークに分別された。それら各ピークの抗酸化力を420nmの吸光値当りで比較した結果,ほとんど同じ程度の効力を示した。
    (5) 黒かりん糖(黒糖使用)は白かりん糖(上白糖使用)に比較して著しく安定であった。
  • マアジ脂質に関する研究(第1報)
    田代 勇生, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1981 年 28 巻 6 号 p. 309-317
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    マアジ総脂質の含有率,一般性状,脂質組成および脂肪酸組成ならびに各脂質の脂肪酸組成を調べ,部位による相違および漁獲時期による相違について検討し,次のような結果を得た。
    (1) 含脂率は肉部,内臓部とも春に高く秋に低かった。TLのヨウ素価は,夏に低く冬に高く変動が大きかった。ケン化価および屈折率には大きな変動はみられなかった。
    (2) TLの構成脂質は,PGを含めて7区分に分画された。すなわち,主要区分は,TGであり,次いでCL,ST, PG, FFA, SEおよびDGの順であった。TLの含量は,春,夏に多く,その現象は,TGの増加が主因であった。一方,CLは年間を通じて大きな変動はみられなかった。
    (3) TLの構成脂肪酸は,肉部,内臓部とも30種認められ,主要脂肪酸は,16:0, 18:1, 22:6, 18:0,20:5および16:1酸の順であった。TLの脂肪酸組成の季節的変動をみると,16:0酸の比率は,年間を通じてほとんど変動がみられなかった。一方,変動の大きかった脂肪酸は,18:1酸と22:6酸であり,18:1酸の比率は春,夏に高く,逆に22:6酸の比率は秋,冬に高かった。
    (4) TGの脂肪酸組成の変動は,TLの場合と同様であった。FFAやSEでは,16:0酸の変動が大きかったが,TLのそれにあまり影響がなかった。CLの場合は,常に22:6酸が多く,特に冬期にTLの22:6酸含有率に影響を及ぼしていると考えられた。
    (5) 肉部は内臓部に比べてTL量が少なく,TL中のTGの比率も低かった。脂肪酸組成では,肉部より内臓部の方がFFAを除くすべての脂質でモノエン酸の比率が高かった。
  • 甘藷を素材とするスナック食品の開発(第1報)
    馬場 透, 河野 利治, 山村 頴
    1981 年 28 巻 6 号 p. 318-324
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    スィートポテトチップの硬さと変色に関係する要因について検討した。結果を要約すると次のようである。(1)チップの硬さは,油分含量と組織内に形成される空胞によって大きく左右される。(2)スィートポテトチップには,空胞が著しく少なかった。このことが硬い最大の原因と推定した。(3)空胞が形成されにくい原因は,甘藷組織が,フライ時に内水分の膨張蒸気がスライス外にたやすく抜け易い,構造特性を有していることによると推測した。(4)原料甘藷には,ほとんど存在しないマルトースがフライ中に生成され,チップの変色を早める一因となる。
  • 千葉 善根, 佐藤 泰
    1981 年 28 巻 6 号 p. 325-327
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ゴーダ・タイプチーズの苦味ペプチドを精製し次のことがわかった。(1)ゴーダ・タイプチーズには500から2,000の分子量をもつ4種類以上の苦味ペプチドが存在する。(2)苦味ペプチドはカゼインのアミノ酸の一次構造を参考とすれば,β-カゼイン,およびαs1-またはk-カゼインから由来するものと考えられた。
  • 野田 勝彦, 見城 尚義, 高橋 強
    1981 年 28 巻 6 号 p. 328-331
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    乳飲料および乳酸菌飲料中へ微量混入,移行したサッカリンを検出定量する方法につき検討を加えた。
    (1) サッカリン含有の微量レベルにおいて透析による抽出後,ジアゾメタンによるメチル化,FPD-GLCあるいはECD-GLCによる定量が可能であった。
    (2) サッカリン測定法は試料中のサッカリン含有量に応じて分類される。FID-GLCはサッカリンを甘味料としての効果を目的として添加した試料に適し,FPDGLCは原材料等からの混入が考えられる微量分析に適用できる。さらにECD-GLCは極く微量の分析に適する。
    (3) 乳飲料等の試料からの有機溶剤抽出法は回収率が劣るため実用できなかった。
  • マルチタイブピックルインジェクターによるハム類の製造法に関する研究(第4報)
    新村 裕, 山田 順一, 藤井 静江, 春日谷 郷子, 高坂 和久
    1981 年 28 巻 6 号 p. 332-337
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    本研究はマルチタイプピックルインジェクターを使用してハム類を製造するために必要な技術的基本条件の確立を目的に実施した。重合リン酸塩は製造上不可欠な添加物ではないが,低食塩の製品が好まれることや冷凍肉を利用することが多くなったことによる保水力低下を補うため,必要性は高まっていると考えられた。そこで,トリポリリン酸塩を主体とする重合リン酸塩混合物を添加して影響を調査した結果,次のことが明らかとなった。
    (1) 食塩含量をほぼ2%に保持して肉の保水力に対するピックル注入率と重合リン酸塩添加量の影響を調査した結果,重合リン酸塩添加量は1%水準で有意に影響した。そして0.3%以上の重合リン酸塩添加で保水力は90%以上の値を示し,ほぼ安定した。
    (2) 加熱塩漬肉色は重合リン酸塩添加量が少ない時はほとんど影響されなかったが,0.5%添加ではL,b値が著しく低下した。
    (3) 重合リン酸塩はNO-2残存率,発色率に有意に影響し,添加量の増加はNO-2残存率を高め,発色率を低下させたが,0.5%添加では発色率の低下が顕著であった。
    (4) 注入された重合リン酸塩は肉の内部で偏在した。そのため,濃度の高い部分は品質低下の可能性が示唆された。
  • 上田 修
    1981 年 28 巻 6 号 p. 338-346
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 28 巻 6 号 p. N37
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 28 巻 6 号 p. A27-A30
    発行日: 1981/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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