日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
28 巻, 8 号
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  • 野口 明徳, 佐藤 修, Zahurul HAQUE, 斎尾 恭子
    1981 年 28 巻 8 号 p. 405-411
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    空気分級,静電分級による,蛋白質含量の高い米粉調製を試みた。得た結果の要約は以下の通りである。
    (1) 米は胚乳外表部より約25%内胚乳まで,蛋白質含量の高い領域を持つ。
    (2) 搗精により調製された米粉は,それ自体で約14%の蛋白質含量を示し,空気分級により最高17.5%まで高められた。
    (3) 静電分級は,凝集が認められる粉体に対しては,ほとんど効果はないが,分散が良好な粉体に対しては有効であり,かつ繰返し処理で分級効果を高められる事が判明した。
  • シアン化合物含有雑豆を使用した製あんに関する化学的研究(第4報)
    原川 守, 辻 政雄, 小宮山 美弘
    1981 年 28 巻 8 号 p. 412-417
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    製あん工程中のシアン配糖体の挙動を調査する目的で,パター豆より抽出したシアン配糖体分解酵素と試料より抽出したシアン配糖体との反応により配糖体の定量を検討した。また数種の市販酵素と鉱酸を用いてシアン配糖体の安定性を調べた。
    (1) 豆から調製した粗酵素液によるシアン配糖体の定量的加水分解条件はpH 5.6, 50℃, 1.5時間が最適で,この時のシアン配糖体の回収率は89.1%であった。
    (2) 浸漬工程においては,原料豆に含まれる50%以上のシアン配糖体が未分解であり,そのほとんどは浸漬豆に存在した。
    (3) シアン配種体は各種グルコシダーゼや鉱酸では分解しにくく,豆より抽出した分解酵素以外の方法ではかなり安定であった。
  • シアン化合物含有雑豆を使用した製あんに関する化学的研究(第5報)
    原川 守, 辻 政雄, 小宮山 美弘
    1981 年 28 巻 8 号 p. 418-423
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    食品衛生法により義務づけられている浸漬を省略してシアン配糖体含有雑豆から製あんする場合の工程中の遊離シアンとシアン配糖体の挙動について検討した。
    (1) 浸漬を省略し,豆を水とともに加熱して煮沸するとシアンの遊離はほとんど起らなかった。一方未分解のシアン配糖体は豆と排水中の双方に存在し,その割合は6:4であった。
    (2) 豆から抽出したシアン配糖体分解酵素は100℃,20分の加熱で完全に失活した。
    (3) 浸漬を省略したモデル製あん実験では,シアンの遊離は少なく,しかも煮沸工程においてそのほとんどが豆より除去できた。また製品生あんに残在するシアン配糖体は浸漬を行なった場合と比べて大差なかった。
    (4) 浸漬を省略した製造法を実際の工場で応用した結果,製品生あんに含まれる遊離シアンはシアン化水素として0.02mg/kg,また未分解のシアン配糖体はシアン化水素として0.01mg/kgでいずれも現行製あん方法で製造した生あん中の含量と差がなかった。
  • 山野 善正, 宮本 佳美, 三木 英三
    1981 年 28 巻 8 号 p. 424-429
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    構成脂肪酸組成の異なる7種類のモノグリセライド(MG)を用い,水及び水と油との混合物の相転移現象を観察し相図を作成したところ,次の結果が得られた。
    (1) MG-水系試料を加熱すると低水分ではまずneat相(N),次にviscous isotropic相(VI)へ,更にfluidisotropic相(FI)へ転移した。水分の多い所では,まずdispersion (Dn),次に(VI+水)へ,更には(FI+水)へ転移した。N, VI, Dn及び(VI+水)の中間4相は液晶相である。冷却によりVIからN及び(VI+水)からDnへの転移はおこらない。
    炭素数の多い飽和脂肪酸MGは各相が高温側に位置し,炭素数の少い飽和脂肪酸MG,不飽和脂肪酸MGはその逆であった。各相の温度範囲もこのような脂肪酸組成により異なり,これらの現象は構成脂肪酸の分子量,不飽和性及び融点と密接に関連していると考えられる。
    (2) MG-水系に大豆油を10%添加した試料の相転移をみると,大豆油の添加により凝固温度が2~5℃低下し,中間4相の占める温度範囲が狭くなった。また,大豆油含量を増加させるとますます中間4相の温度範囲が狭くなり,油が液晶相に影響を及ぼしていることがわかる。
    (3) MG-水系に塩化ナトリウムを添加すると,N及びDnの存在範囲は縮少しついには消失し,結晶から直接VI又は(VI+水)へ転移する。またNaCl含量の増加により,VI及び(VI+水)の存在範囲が増大した。MG-水-油系へNaClを添加すると,MG-水系への影響と同じ影響がみられ,更に中間4相の存在範囲が減少した。
  • 豆類もやしの栽培と鮮度保持に関する研究について(第5報)
    田尻 尚士
    1981 年 28 巻 8 号 p. 430-436
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    最近,消費者間で要求度の高い「太もやし」の生産について,大豆,緑豆,小豆を用い人工光線照射の効果を検討した。人工光線(太陽灯,赤外線灯,紫外線灯,各500lux)の照射は,栽培3日より毎日60分間ずつ栽培7日で計5回行なった。
    栽培方法は,既報で最良の結果を示した条件,0℃・6か月貯蔵した原料豆を30℃で発芽させる方法を用いた。
    各豆類もやしとも,太陽灯照射開始後1~2日(栽培3~4日)で伸長,肥大,重量増が著しく促進され,硬度も増強され,ビタミンC含有量も通常栽培法より増加し,品質優良な「太もやし」が得られた。赤外線灯照射でも同様の傾向であったが,太陽灯よりは多少効果が劣った。照射開始後3~5日では胚軸部は伸長過度となり,細化し,側振数が増して品質が低下した。紫外線灯照射1~2日では,通常栽培法に比べ伸長が抑制された。色調は人工光線,とくに太陽灯照射により黄色化したが,処理2日ではなお市場性が保たれていた。
    以上のように,太陽灯あるには赤外線灯の短時間照射により,「太もやし」の栽培日数が,通常栽培法に比べ1~2日短縮される可能性が見出さのた。
  • 渡瀬 峰男, 西成 勝好
    1981 年 28 巻 8 号 p. 437-443
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    同一産地から採集した夏草寒天のゲル形成能の差異を調べるために,超音波,動的粘弾性および応力緩和実験を行なった。夏草寒天は春草寒天に比べて,分子量および硫酸基含量が大きい。これまでの研究で,分子量が増加すれば,ゲル形成能が高くなり,硫酸基含量が増加すれば,逆にゲル形成能は低下することが知られている。
    本報告における実測の結果,夏草寒天は春草寒天より還元緩和ヤング率,貯蔵弾性率およびゲルの融解点とも高い値を示した。高濃度ゲルにおいて緩和スペクトルは夏草寒天が春草寒天より長時間側に移動した。しかし,低濃度ゲルにおける緩和スペクトルの両試料の差異はほとんど見られない。
    以上のことから,高濃度ゲルでは分子量の差異がゲル形成能を決める主要因であるが,低濃度ゲルになると寒天分子の硫酸基含量の影響も現われるものと考えられる。
  • α化食品に関する研究(第3報)
    新井 貞子, 澤山 茂, 川端 晶子, 谷村 和八郎, 小原 哲二郎
    1981 年 28 巻 8 号 p. 444-450
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    うるちα化米およびもちα化米の調理科学的特性を明らかにする目的で,各精白米を対照とし,物性の測定と食味の官能評価を行い,次のような結果を得た。
    (1) 試料の糊化度は,うるちα化米は79.2%,もちα化米は95.8%であった。
    (2) 米粉のアミログラフィの結果,うるちα化米は65℃あたりより粘度は増加するが,立ち上がりはゆるやかであり,ブレークダウンはみられなかった。糊化度の高いもちα化米は,測定開始直後に最高粘度を示す特異なアミログラムを示した。
    (3) 米飯のテクスチャー特性では,うるち,もち米ともに,α化米は精白米よりも硬く,凝集性も大であった。粘りはうるち米よりももち米が大きく,両者ともα化米は精白米よりもやや大きかった。
    (4) 米飯の静的粘弾性について,クリープ曲線を解析した結果,いずれの試料も,フックの弾性率,2組のフォークトの粘弾性体およびニュートン粘性体の6要素模型で示すことができ,弾性率は105~106dyn/cmcm2,粘性率は107~1010poiseであった。瞬間弾性率はうるち米,もち米ともに,α化米は精白米よりも大であり,定常流動部の粘性率はもち米はうるち米に比べてかなり大きかった。
    (5) 米飯の食味特性について,7点嗜好尺度法による官能評価の結果,うるちα化米は,粘り,硬さおよび総合評価において,うるち精白米よりも高い評点を得た。また,もちα化米は,粘りと硬さで,もち精白米よりもやや高い評点を得た。しかし,うるち・もち米飯ともに,外観については,α化米は,精白米よりも低い評点を得,好まれない傾向が認められた。
  • 古川 忠康, 太田 恵教
    1981 年 28 巻 8 号 p. 451-456
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    大豆分離蛋白質の製造において採用される加熱処理の効果を考察するために,大豆酸沈殿蛋白質の加熱変性と機能性発現との関連性について検討し,次に示す結果を得た。
    (1) 酸沈殿蛋白質溶液を70℃以上に加熱すると,ゲルロ過法による会合体生成率は加熱温度,蛋白質濃度の上昇によって増大することを認めた。またこの加熱処理溶液は構造粘性を示し,網状構造の形成がみられた。会合体生成を促進すると見かけの粘度は上昇,一方,指数法則による流動指数は低下し,網状構造の形成は会合体の生成とよく対応した。
    (2) 酸沈殿蛋白質溶液を加熱処理後噴霧乾燥して調製した分離蛋白質の保水性ならびに加熱ゲル形成性と会合体生成率との間には正の相関がみられた。これら両特性の発現には,分子会合による網状構造形成が関与するものと考えられ,高保水性ならびに高ゲル形成性を得るには,予め全蛋白質の約50%以上を会合体化しておくことが必要であった。
  • 南極産オキアミのにおいに関する研究(第5報)
    久保田 紀久枝, 小林 彰夫, 山西 貞
    1981 年 28 巻 8 号 p. 457-460
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    漁獲直後,船上で行われる煮熟処理のオキアミ加熱臭に及ぼす影響について,対照として,生オキアミ加熱臭と比較することにより検討した。
    (1) NICKERSONらの連続蒸留抽出法により匂い濃縮物を調製した。GLCにおいて,生オキアミとボイルオキアミの相違が最も顕著な2画分について検討した。
    (2) 生オキアミの加熱臭成分にはピラジン類が多量に含まれていたのに対し,ボイルオキアミでは,煮熟処理中に,水溶性窒素化合物の一部が失われるため,ピラジン類は減少し,チアルジン類やトリチオラン類などの含硫化合物が多く含まれていた。
    (3) 生オキアミとボイルオキアミの加熱臭の差異は,遊離アミノ酸およびアンモニア態窒素の量のちがいに起因する匂い成分の生成機構の相違によるものと推察された。
  • 福田 靖子, 大澤 俊彦, 並木 満夫
    1981 年 28 巻 8 号 p. 461-464
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) ゴマ油には従来いわれていたように強い抗酸化性があるが,油の調製法により多少の差がみられた。
    (2) ゴマ油のメタノール抽出物についてHPLCを行い,セザモールはμ-Bondapak C18で,γ-トコフェロールはDevelosilでそれぞれ分離定量できることを示した。
    (3) セザモールは生ゴマ油や生かすのメタノール抽出物には殆んどなく,焙煎すると増加するが,0.003mg/goil程度の微量であった。
    (4) ホットメタノール抽出物中のγ-トコフェロールは原油で約190μg/goil,精製油で減少して60~70μg/goilであった。
    (5) 以上よりゴマ油メタノール抽出物中のセザモール,γ-トコフェロールを測定することにより,主として抗酸化能はγ-トコフェロールに由来することが明らかにされたが,一方かすのメタノール抽出物中には,セザモールやγ-トコフェロールがほとんど検出されないにもかかわらず,強い抗酸化活性があることから,他の活性物質が存在するものと考えられる。現在この物質について単離精製を行っている。
  • 1981 年 28 巻 8 号 p. A36-A41
    発行日: 1981/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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