日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
29 巻, 11 号
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  • 西野 友善, 長尾 精一, 馬場 忠, 久島 繁, 酒井 愿夫, 伊藤 達郎
    1982 年 29 巻 11 号 p. 635-641
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    前報に続いて,小麦テーリングからのペプチドグリカンの抽出法について研究した。
    (1) α-アミラーゼ消化とプロナーゼ消化を組み合せることによって,テーリングからの粗ペプチドグリカンの分離法を設定し,日本産コムギの代表品種,農林61号のテーリングからA, B2つの粗ペプチドグリカン分画を得た。さらに,DEAEセルロース・カラムクロマトグラフィーとSephadex G-25によるゲル濾過によって,8つの精製ペプチドグリカン分画を得た。
    (2) 各分画の加水分解物をガスクロマトグラフィーにかけた結果,どの分画でもアラビノースとキシロースが主な構成糖であることが分った。しかし,たん白質と糖の比率及びマンノースとガラクトースの含量が分画によって差があることから,たん白質と糖の結合様式はさまざまであると推定される。
  • 福家 洋子, 松岡 博厚
    1982 年 29 巻 11 号 p. 642-648
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    国産キウイフルーツ(ヘイワード,ブルーノ)の生育中および追熟果の糖,デンプン,有機酸,遊離アミノ酸の含有量を測定した。
    (1) 総糖量は,両品種ともに受粉後4か月まで0.5%以下で,5か月目以後増加しはじめ最終採収日の総糖量は,ブルーノ5.2%,ヘイワード1.8%であった。追熟後はそれぞれ6.3%,6.4%に増加した。
    (2) 追熟果の糖は,グルコースとフルクトースが,総糖量の約90%を占め,2者の比はほぼ等しかった。
    (3) 生育中のデンプン含量は,受粉後5か月で約6.0~6.5%に達し,その後減少しはじめ,追熟果では,両品種ともに約0.3%であった。
    (4) キウイフルーツの主要な有機酸は,キナ酸,クエン酸,リンゴ酸であり,生育中および追熟果の総有機酸量は,2000~3000mg/100gであった。また生育に伴って増加する有機酸は,クエン酸であった。受粉後4~5か月で主要な3つの有機酸の比は,ほぼ1:1:0.2に達した。
    (5) 総遊離アミノ酸量は,30~70mg/100gで,生育中,追熟によって変化はあまりみられなかった。
    生育に伴って増加する遊離アミノ酸は,アスパラギン酸,グルタミン酸,アラニンなどであった。含量の多いものは,アルギニンで総遊離アミノ酸の30~60%を占めていた。また追熟果では,アルギニン,アラニンが主体でさらにγ-ABA,グルタミン酸,スレオニンが多く含まれていた。
    有機酸の分析にさいし,ヤクルト本社中央研究所付属分析センターの皆様に深謝いたします。
    本研究の大要は,日本食品工業学会第29回大会(1982年4月,於東京都)で発表した。
  • 佐藤 博二, 大沢 直人, 坂村 貞雄
    1982 年 29 巻 11 号 p. 649-655
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ブドウ酒発酵後のブドウ果皮部に含まれるアントシアニンを回収して食品着色料として利用する研究の一環として,青紫色ブドウ交配品種,キャンベル・アーリーを用い,発酵後の果皮からアントシアニン色素を抽出し,セルロースカラム,M-PPCで分画精製を行い,アントシアニン色素11種を単離した。各色素を分光学的特性および分解反応などで同定を行ない,malvidin 3-p-coumaroyl glucoside, cyanidin 3-p-coumaroyl glucoside, delphinidin 3-p-coumaroyl glucoside, malvidin 3-p-coumaroyl glucoside 5-glucoside, peonidin 3-glucoside, malvidin 3-glucoside, cyanidin 3-glucoside, peonidin 3, 5-diglucoside malvidin 3, 5-diglucoside, delphinidin 3-glucoside, cyanidin 3, 5-diglucosideの11種を,同定した。このうちcyani-din 3-p-coumaroyl glucoside, cyanidin 3-glucoside, cyanidin-3, 5-diglucosideおよびdelphinidin 3-p-coumaroyl glucosideの4種は新たにキャンベル・アーリー種より同定されたアントシアニン色素である。
    発酵前後のキャンベル・アーリー種の果皮のアントシアニンの分布をCPCおよびPPCで比較した。発酵後の果皮より得られる粗色素(0.63g/200g果皮)は,新鮮果皮より得られる粗色素(2.139/200g)のほぼ1/3の収量であった。しかも粗色素中に含まれるI Acyは,発酵過程中の変化を受けて減少しており,アシル化アントシアニン類やdelphinidin系統の色素が減少が顕著であった。
  • 福井 尚之
    1982 年 29 巻 11 号 p. 656-664
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販の脱脂米ぬかを原料として繊維含量の高いパンを製造する実験を行なった結果,以下のことがわかった。
    (1) 脱脂米ぬかを,ジアスターゼ処理,熱水処理,熱エチルアルコール処理して製造した1%の繊維含量のパンは無添加のものに比べて,味,香り,比容積,すだちの点で劣り,表皮および内相の柔らかさの点で同程度であった。
    (2) 脱脂米ぬかをジアスターゼ処理,酸・アルカリ処理して精製した米ぬか繊維を5%含有したパンは,味,比容積,すだちの点では無添加のものに比べて劣ったが,香り,表皮および内相の柔らかさの点では同程度であった。
    (3) 米ぬか繊維粉末の粒子は大きい方が香り,内相の柔らかさの点で小さいものより優れていた。
    (4) 小麦粉グルテン粉末の添加効果は認められなかった。
    (5) 他の配合条件は吸水量65%,食塩量1.5%,砂糖量12%,ショートニング量5%が適量であった。
  • 金子 憲太郎, 黒坂 光江, 前田 安彦
    1982 年 29 巻 11 号 p. 665-671
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    漬物のクリスプ性はマグネシウム塩やカルシウム塩により向上することが現象的に明らかになっている。しかし,その理由については不明な点が多い。
    前報の結果から,そのことは,それらの塩類とペクチン質の関係に依存するところが大きいと推察された。従って,本報では大根の塩蔵中におけるペクチン質とマグネシウム塩・カルシウム塩の関係について検討し,併せてクリスプ性との関連性について考察した。
    (1) 大根の粗細胞壁ペクチンにたいする熱水可溶性,ヘキサメタリン酸可溶性,塩酸可溶性ペクチンの割合は,10:63:27であったが塩蔵によってヘキサメタリン酸可溶性ペクチンから熱水可溶性ペクチンヘの移行が顕著に起り,塩蔵31日目の割合は71:9:20であった。けれども,ペクチン総量はほとんど変化していなかった。
    しかし,塩化マグネシウムと硫酸カルシウムは,この変化を阻止し,後者にその作用が強かった。
    (2) 大根粗細胞壁のマグネシウムとカルシウムは,それぞれ約185mg%,約560mg%であったが,塩蔵31日目にはマグネシウムが約25%,カルシウムが約45%に減少し,ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンも少なかった。しかし,塩化マグネシウムないし硫酸カルシウムを添加した塩化ナトリウムで塩蔵したものは,それぞれマグネシウム,カルシウムが顕著に多く,ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンも多かった。従って,塩蔵によるヘキサメタリン酸可溶性ペクチンの減少は大根からマグネシウムやカルシウムのような多価陽イオンの溶出に起因すると考えた。
    (3) 塩化マグネシウムを添加した塩化ナトリウムで塩蔵した大根の粗細胞壁から抽出した熱水可溶性ペクチンのマグネシウムと硫酸カルシウムを添加して塩蔵したそれのカルシウムは塩蔵によって生成した熱水可溶性ペクチンと結合し,分子量の増大などを引き起した結果,ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンを再生すると考えた。また,ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンの再生力はマグネシウムよりカルシウムが強く,その結果,硫酸カルシウムを添加した塩化ナトリウムで塩蔵した大根は,塩化マグネシウムを添加して塩蔵したものよりもヘキサメタリン酸可溶性ペクチンが多いと考えた。
    (4) 塩蔵中におけるクリスプ性の変化をテクスチュロメーターによる“硬さ”で検討したところ,硫酸カルシウム,塩化マグネシウムともに“硬さ”を増加させたが,前者にその作用が強かった。このことは,硫酸カルシウムを添加した塩化ナトリウムで塩蔵した大根は塩化マグネシウムを添加して塩蔵したものよりもヘキサメタリン酸可溶性ペクチンの多いことから,カルシウムは,マグネシウムよりもペクチンに架橋結合の増加による網状構造の緻密化を起しやすく,それ結果,マグネシウムよりも“硬さ”の増加にたいして効果があると考えた.
  • 太田 義雄, 高谷 健市
    1982 年 29 巻 11 号 p. 672-674
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    広島菜漬の搾汁液にアリルからし油およびEtOHを添加し,貯蔵中(10°C)の液の透過率および生菌数変化から,その保存効果を検討した。
    (1) アリルからし油には顕著な,EtOHには若干の透過率低下抑制と抗菌作用とが認められ,その効果は,アリルからし油5mg/100ml+EtOH 2%添加>アリルからし油5mg/100ml添加>EtOH 2%添加>無添加の順であった。
    (2) アリルからし油は,5mg/100mlの濃度でグラム陰性菌に対し殺菌作用があり,乳酸菌に対して発育阻害作用があった。
    なお,本研究の概要は,昭和56年4月,日本食品工業学会第28回大会(福岡)で発表した。
  • 眞部 孝明
    1982 年 29 巻 11 号 p. 675-676
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販の脱脂米ぬかを原料として繊維含量の高いパンを製造する実験を行なった結果,以下のことがわかった。
    (1) 脱脂米ぬかを,ジアスターゼ処理,熱水処理,熱エチルアルコール処理して製造した1%の繊維含量のパンは無添加のものに比べて,味,香り,比容積,すだちの点で劣り,表皮および内相の柔らかさの点で同程度であった。
    (2) 脱脂米ぬかをジアスターゼ処理,酸・アルカリ処理して精製した米ぬか繊維を5%含有したパンは,味,比容積,すだちの点では無添加のものに比べて劣ったが,香り,表皮および内相の柔らかさの点では同程度であった。
    (3) 米ぬか繊維粉末の粒子は大きい方が香り,内相の柔らかさの点で小さいものより優れていた。
    (4) 小麦粉グルテン粉末の添加効果は認められなかった。
    (5) 他の配合条件は吸水量65%,食塩量1.5%,砂糖量12%,ショートニング量5%が適量であった。
  • 眞部 孝明
    1982 年 29 巻 11 号 p. 677-679
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    西条ガキの脱渋前後における可溶性タンニン,アルコール不溶性窒素とAIS中のペクチン質および無機質の分析を行った。AISは脱渋後約2倍に増加した。この増加は主に,タンニン物質,窒素化合物および無機質の不溶性に基づいていた。脱渋後には,不溶性タンニンが約13倍,アルコール不溶性窒素および無機質が約2倍に増加していた。カキのタンニンは窒素化合物と無機質の不溶化を伴って縮合し,その結果渋味が除かれると推論した。
  • 村山 徹雄, 家花 充紀, 天道 俊孝
    1982 年 29 巻 11 号 p. 680-684
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    N/P比が異なるスキムミルク人工排水を調製して活性汚泥処理を行ない,N, Pの除去効果を検討した。さらに汚泥からPの溶出を試み,溶出したPの効果的な除去についても検討した。
    (1) N/P比が高い排水の活性汚泥処理では,汚泥g当たりのN消費量が多く,N/P比が低い排水では,P消費量が多かった。また,N/P比が高い排水を処理した汚泥はN含量が高く,N/P比が低い排水を処理した汚泥はP含量が高かった。
    (2) 活性汚泥処理後の汚泥は,長い静置時間(24h)により溶存酸素を消費して還元状態になり,汚泥中のPの一部が溶出した。静置時間24h後の上澄液には静置時間30min後の上澄液の3倍量のPが含まれた。また,上澄液および汚泥中の硝化したNは還元され脱窒した。
    (3) 汚泥から溶出したPは上澄液に濃縮することができ,クロレラを培養してPを除去することができた。
    食品工場で広く行なわれている活性汚泥処理法にN, Pを除去する方法を取り入れて,1つのフローとして纏めることができた。
    終りに臨み,ご懇篤なご指導をいただいた工業技術院公害資源研究所公害第3部第1課田中稔課長に深く感謝いたします。
  • Jenny K.D. SAONO, 細野 明義, 友松 篤信, 加藤 清昭, 松山 晃
    1982 年 29 巻 11 号 p. 685-692
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 29 巻 11 号 p. A66-A69
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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