生肉類をガス充填包装する場合の利点について調べることを最終目的とし,その第一段階として,消費者向け包装として,牛肉を酸素/炭酸ガス系の雰囲気中に15日間(0℃)保存して,その効果を見た。その結果,以下のような知見が得られた。
(1) 牛肉の色は,当初酸素濃度が高いガス区ほど良好であった。しかし,酸素単体の場合は他のガス区より変色が早かった。これは炭酸ガスによる静菌効果が期待できないため,細菌の増殖が多いためと考えられる。
(2) においに関しては,当初は炭酸ガス濃度が高いガス区において酸臭が認められ,評価が低いが,保存の末期では,逆に炭酸ガス濃度の高いガス区ほど良好であった。
(3) 味についても,炭酸ガス濃度が高いガス区においては,保存期間を通じて若干の酸臭が認められ,保存の前半では比較的評価が低かった。しかし,酸素濃度の高いガス区の劣化のほうが早い傾向にあり,酸素単体の場合には, 12日目で味に腐敗味を感じた。
(4) 細菌数の増加は,酸素単体において最も大きかった。しかし,炭酸ガスを含む3者のガス区では一様に細菌の増殖は抑制され, 3者間に差はなかった。
(5) 消費者向け包装としてシェルフライフを総合的に判断すると,酸素/炭酸ガス=2/1のガス区が最も良好と判断された。
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