日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
30 巻, 1 号
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  • 渡辺 敦夫, 馬場 透, 大谷 敏郎, 安井 明美
    1983 年 30 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    熱塩化カルシウム溶液を利用し,サツマイモとサトイモの表皮をゆるめ剥皮する方法について検討し,剥皮歩留および品質の点から極めて有効であることを確認した。サツマイモの場合, 130~140℃の塩化カルシウムの溶液に2.5~3分間浸漬することにより,良好な剥皮を行ないうることがわかった。剥皮ロスはわずか8.5%程度であった。本方法で剥皮したサツマイモは外観ならびに色調がよく,アルカリ剥皮法と比較して変色が少なかった。品種,収穫期により剥皮効率に影響が出ることがわかった。サトイモの場合120~130℃,浸漬時間2~3分で容易に剥皮でき,剥皮ロスは約12%であった。
  • 菅原 龍幸, 松本 仲子, 佐々木 弘子, 青柳 康夫
    1983 年 30 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    10%, 30%, 50%リンゴ果汁について,酸濃度,糖濃度のちがいと嗜好の関係,果汁濃度と嗜好の関係を明らかにするために官能検査を行ない次のような結果を得た。
    (1) 本実験で好まれた果汁の酸濃度および糖濃度は30果汁では0.45%酸濃度のものが0.25%酸濃度のものに比較して5%危険率で有意に好まれたが, 10%,50%果汁のばあい各酸濃度間の嗜好差は小さく有意な差は認められなかった。糖濃度は10%, 30%, 50%果汁ともにBrix 13.0, 12.0のものが好まれる傾向が認められた。
    (2) 酸味は酸濃度に比例して強まるが,加える糖量の影響をうけ酸味が弱められること及び果汁濃度が高まるに従ってその程度が緩慢になる傾向が認められた。甘味も酸量によって味が弱められるが,その傾向は小さかった。
    (3) 酸味と甘味のバランスの良否は総合評価の結果とよく一致する傾向が認められた。これを糖酸比の面から検討したが特定の糖酸比を示すものが好まれるとは限らず糖の絶対量が嗜好に及ぼす影響の方が大きいと判断された。
    (4) 果汁濃度の嗜好については50%, 30%果汁が10%, 100%果汁に比べて有意に好まれた。
  • 小野 智子, 相沢 勲
    1983 年 30 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    濃度とのり化温度の二要因下でのコンニャク精粉ゾルの粘度を測定し,その解析を行なった。その結果から,ηmaxゲルを調製し,その力学的性質を測定して,粘度及び精粉濃度との関係を検討した。
    (1) ηmax到達時間は高温域で20~30分,低温域で90分前後で,低温ほどηmax持続時間が長かった。
    (2) 精粉ゾルは降伏値をもつ擬塑性を示した。高濃度ゾルではワイセンベルグ効果の発生が観察され,弾性液体の特性を示した。
    (3) 精粉ゾルの凝集構造は温度依存性が認められた。しかし,高濃度ゾルは比較的温度依存性が小さく,粘性低下が少ない反面,凝集構造のずり速度依存性は大であった。
    (4) ηmaxゲルの硬さは,同一濃度においては温度による差異がほとんど見られず,ほぼ一致した。
    (5) 最大粘度とゲルの硬さとの間には,高い線形相関があった。
    (6) ゲルの圧縮後の弾性回復は濃度依存性が大きく,高濃度ゲルほど弾性の回復率が高かった。
  • 勝田 啓子, 早川 功
    1983 年 30 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    低濃度大豆タンパク質dope(10~14%)の粘弾性挙動と紡糸特性の関係を検討し,次の結果を得た。
    (1) タンパク質濃度14%, pH8.6のdopeは完全なアルカリ解膠体ではないが,可紡性を有し,糸条体を形成し, KELLEYらの説と異った。
    (2) dopeの粘弾性値は, pH11付近でもっとも高い値を示し,その挙動は大きく変化した。即ち,アルカリ量の増加に伴い,粘弾性値が上昇し,周波数依存性は小さくなり, pH11以上では,逆に粘弾性値は減少し始め,周波数依存性が大きくなった。
    (3) タンパク質濃度が低下して,可紡性を示さなくなったdopeにι-カラギーナンを添加すると,紡糸特性が改善され,優れた繊維が得られた。
  • 富岡 芳彦, 安田 松夫, 土屋 恵美子, 横山 理雄
    1983 年 30 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    生肉類をガス充填包装する場合の利点について調べることを最終目的とし,その第一段階として,消費者向け包装として,牛肉を酸素/炭酸ガス系の雰囲気中に15日間(0℃)保存して,その効果を見た。その結果,以下のような知見が得られた。
    (1) 牛肉の色は,当初酸素濃度が高いガス区ほど良好であった。しかし,酸素単体の場合は他のガス区より変色が早かった。これは炭酸ガスによる静菌効果が期待できないため,細菌の増殖が多いためと考えられる。
    (2) においに関しては,当初は炭酸ガス濃度が高いガス区において酸臭が認められ,評価が低いが,保存の末期では,逆に炭酸ガス濃度の高いガス区ほど良好であった。
    (3) 味についても,炭酸ガス濃度が高いガス区においては,保存期間を通じて若干の酸臭が認められ,保存の前半では比較的評価が低かった。しかし,酸素濃度の高いガス区の劣化のほうが早い傾向にあり,酸素単体の場合には, 12日目で味に腐敗味を感じた。
    (4) 細菌数の増加は,酸素単体において最も大きかった。しかし,炭酸ガスを含む3者のガス区では一様に細菌の増殖は抑制され, 3者間に差はなかった。
    (5) 消費者向け包装としてシェルフライフを総合的に判断すると,酸素/炭酸ガス=2/1のガス区が最も良好と判断された。
  • 渡辺 尚彦, 鈴木 徹, 高井 陸雄, 仁科 淳良, 長谷川 浩
    1983 年 30 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    市販のマヨネーズ・トマトケチャップ・中濃ソース・ミソについて,広いせん断速度域での流動特性を測定した。その結果,これらの食品の流動特性はオストワルド型の流動を示し, CROSSの流動方程式にあてはめ可能であることがわかった。
  • 伊東 清枝
    1983 年 30 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    米味噌水溶性タンパク質を米麹と関連づけて,電気泳動法,免疫生化学法を用いて検索した。
    (1) 米味噌水溶性タンパク質は5種で,その分子量はそれぞれ19000, 25100, 53000, 56200および65000daltonsであった。いずれも糖タンパク質で,米麹および米味噌用種麹の胞子と共通抗原タンバク質であることがわかった。
    (2) 米麹水溶性タンパク質の中胞子と同様の7種のタンパク質は豆麹水溶性タンパク質と共通抗原を有し,それらの中の5種は米味噌水溶性タンパク質と, 5種の中の3種は豆味噌水溶性タンパク質と共通抗原タンパク質であることがわかった。
  • 伊東 清枝
    1983 年 30 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    米味噌水溶性タンパク質を米麹との関連から熟成過程中の変化および酵素活性の有無などについて電気泳動法,免疫生化学的方法を用いて検索した。
    (1) 米味噌水溶性タンパク質5種が米麹の胞子と同様のタンパク質であることを熟成過程を検討した結果から確認することが出来た。
    (2) 米味噌水溶性タンパク質5種の中に酵素が含まれていた。推定分子量53000 daltonsの酸性糖タンパク質はアミラーゼで熟成完了期頃に失活した。また,推定分子量25100 daltonsの酸性糖タンパク質はプロテアーゼであった。
  • 山野 善正, 坂本 幸二, 向井 和男
    1983 年 30 巻 1 号 p. 48-50
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    粉末パーム油を添加した大豆タンパク質-油-水系ゲルにニトロキシドラジカルを添加してESR解析を行なったところ,ゲルはhydrophilic及びhydrophobicな環境を含んだ規則性のある構造を形成しており,油は定量的にゲル中に取り込まれ,更に,油の量の増加とともにゲルの水相のミクロな粘度が増大し,マクロな硬さの変化と対応するという結果が得られた。これらの結果から,大豆タンパク質-油-水系ゲルの微細構造や硬さの検討にスピンプローブ法が一つの有効な手段となり得ると考えられる。
  • 林 徹, 川嶋 浩二
    1983 年 30 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    照射馬鈴薯の検知を行うために照射線量を表わすパラメータとして, 50kHzと5kHzにおけるインピーダンスの比(Z50k/Z5k)を用いた。このパラメータは,同一品種なら,馬鈴薯の栽培地の影響は受けず,線量にのみ依存しており,長期間貯蔵後も一定であった。非照射馬鈴薯に対するこのパラメータは,品種間の差はなく一定であった。これらの結果に基づいて,非照射馬鈴薯と照射馬鈴薯の識別および照射線量の推定の可能性について論じた。
  • 露木 英男
    1983 年 30 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 30 巻 1 号 p. A1-A7
    発行日: 1983/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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