日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
30 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 安田 正昭, 上地 玄作, 宮里 興信
    1983 年 30 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    豆腐〓製造に適した紅麹の製麹方法について,特に酵素活性の面から検討した。
    (1) 麹の品温は種麹接種後38時間目から上昇した。製麹過程で麹の水分含量が40%前後になるように散水を行なうことにより良質の麹が得られた。麹中のα-アミラーゼ,糖化型アミラーゼ,酸性プロテアーゼ活性及び紅色色素量の生成からみた本麹菌の製麹期間は150時間目付近が適当であった。供試紅麹菌株の生酸性は極めて低かった。
    (2) ウルチ米を加圧蒸煮して製麹した麹の酵素活性及び紅色色素生成量はともに普通蒸煮法による麹に比べて高い値を示した。特に色素生成量は4倍以上も増大した。
    (3) 紅麹を-20℃で12ケ月間保存しても酵素活性及び紅色色素量は全く変化を受けなかった。 4℃で12ケ月間保存すると酵素活性は60%前後に,紅色色素量は90%に減少した。
    (4) 供試紅麹菌株のα-アミラーぜ及び糖化型アミラーゼのアルコールに対する安定性はプロテアーゼのそれに比べて高かった。
  • 野村 孝一, 弓削 博昭, 松本 清, 筬島 豊
    1983 年 30 巻 2 号 p. 68-72
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    電導度測定法に基礎を置く柑橘果汁中の糖含量測定法の実用化,汎用化の一環として電導度測定用セルの試作を行った。
    (1) 通電用電極を再現性よく交換し得る4電極セルを試作し,電導度測定法としての交流4電極法の特性を検討した。
    (2) プローブ電極間インビーグンスは通電用電極および測定周波数の影響を受けず,正確な液抵抗を示していることが示唆された。
    (3) 本研究の結果に基づいてセル定数θ=68.1cm-1の投げ込み型4電極セルを試作した。セル本体に合成樹脂(ポリカーボネイト樹脂)を採用したことにより,セル破損のおそれが著しく減少した。
    (4) 本試作セルの応答時間は事実上零秒であり, 30分間の連続測定においても測定値の変化は認められなかった。
    (5) 0.6M塩化カリウム溶液の繰り返し測定結果は変動係数C. V.=0.02%を与え,本試作セルによる測定の再現性は極めて良好であった。
  • 山野 善正, 上田 和彦, 三木 英三
    1983 年 30 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆レシチンの粗梢製物によるモデル乳化系の安定性,粒度分布及び粘度に及ぼす,種々の条件の影響を調べたところ次の結果が得られた。
    (1) レシチン濃度が高いほど,エマルションの安定性は高く,予め水に分散するより油に分散した方が,また,二重円筒式ディスパーサー法より注射器法による乳化の方が安定性は高かった。
    (2) レシチンを水に分散する場合の分散法による安定性は,ディスパーサー法>加温撹拌法>超音波法の順に高かった。
    (3) 顕微鏡による粒度分布測定の結果,レシチン濃度が高いほど,水分散よりも油分散の方が,また,ディスパーサー法より注射器法による方が粒度が小さかった。
    (4) 乳化温度が高いほど,また,乳化後の静置温度が高いほど,エマルションのクリーミングに対する安定性は低くなった。
    (5) エマルションの粘度は,レシチン濃度が高いほど,また,水分散より油分散の方が高かった。静置温度の上昇とともに粘度は低下するが,ずり速度に対するみかけ粘度の変化は,乳化条件(分散法,濃度)により異なる様相を示した。
    これらの結果から,レシチンエマルションの粒度が小さいものほどクリーミングに対する安定性が高く,また粘度も大きく,これらの間に相関関係が存在することがわかった。
  • 田代 勇生, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1983 年 30 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マアジを7月と9月に採取し,普通肉,血合肉,皮膚,肝臓および内臓の5部位を試料として,脂質の性状の部位別相違を調べた。以下に得られた結果を示す。
    (1) TL含有量は,内臓で最も多く,普通肉で最も少なかった。
    (2) TLの外観および屈折率は,普通肉,血合肉および皮膚ではほぼ同様であったが,肝臓と内臓では前3者と異なっていた。 TLの酸価は, 7月では肝臓と内臓で,9月では血合肉と普通肉で高かった。ケン化価は肝臓で高く,ヨウ素価は普通肉と血合肉で高かった。
    (3) TLをNL区分とCL区分に分画した結果, NL区分がTLの79.0~96.4%を占め,特に,皮膚と内臓に高かった。 CL区分の含有量(g/100g試料)は,肝臓で多かった。
    (4) NL区分の構成脂質は, TG, ST, FFA, HC, SE,DG, MGの7種であり,主要脂質はTGで93.6~97.5%を占めていた。 NL区分中の各脂質の含有率には部位別相違はほとんどみられなかった。
    (5) TLを構成する脂肪酸は約30種認められ,主要脂肪酸は, 16:0酸, 18:1酸, 22:6酸, 20:5酸, 18:0酸および16:1酸であり, 18:1酸含有率が肝臓において特に高かった。肝臓以外の4部位の脂肪酸組成には部位別相違はほとんどみられなかった。
    (6) NL区分を構成する脂質のうち, TG, FFA, SEの構成脂肪酸は, TLの場合と同様に約30種認められ,主要脂肪酸は, 16:0酸, 18:1酸, 22:6酸, 20:5酸,18:0酸および16:1酸であった。部位別相違をみると,TGはTLの場合とほぼ同様であり,肝臓において18:1酸含有率が高かった。 FFAとSEは部位別相違に明白な傾向がみられなかった。
  • 大西 邦男
    1983 年 30 巻 2 号 p. 88-93
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    みそ熟成中の脂質変化を知ることを目的とし,みそにエタノールを添加することによって,グリセリドの分解および遊離脂肪酸のエチルエステル化に及ぼすエタノールの影響について検討し,次の結果を得た。
    (1) みそ熟成中の脂質変化において,みそ中のリパーゼ活性が最も重要な役割を果たしていた。しかし,それは遊離脂肪酸および脂肪酸エチルの総量に影響を及ぼすが,遊離脂肪酸のエチルエステル化率には,ほとんど関与しなかった。
    (2) エチルエステル化率は,みそ中のエタノール濃度が高くなる程高くなり,熟成日数に無関係に,エタノール濃度(xmg/100g・みそ)とエチルエステル化率(y%)の関係は,次の回帰式のように表された。
    y=2.079x0.5-2.070(r=0.986)
    (3) 脂質分解率は,みそ中のリパーゼ活性が高いみそ,熟成日数が長いみそにおいて高い値を示した。同じ熟成条件では,みそ中のエタノール濃度が高いみその方が高い値を示し, 30℃, 60日間熟成のみそにおいて,エタノール濃度(xmg/100g・みそ)と脂質分解率(y%)の関係は次の回帰式で表された。
    (4) したがって,みそ熟成中の酵母の醗酵は,香気成分を生成し,みその香りに寄与するだけでなく,エタノールを供給することによって,間接的に脂質変化にも寄与していると考えた。
  • 金子 憲太郎, 黒坂 光江, 前田 安彦
    1983 年 30 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大根の塩蔵中における粗細胞壁と熱水可溶性ペクチン中のナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム含量について検討し,塩蔵によるカリウム,カルシウム,マグネシウム溶出の機構と熱水可溶性ペクチンの増加の機構について考察した。
    (1) 大根粗細胞壁のナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムの含量はそれぞれ521, 424, 750, 185mg/100gであったが,塩蔵10日目には,ナトリウムが約2.4倍に増加し,他はそれぞれ約67%,約33%,約21%に減少していた。(Table 1)
    (2) 塩化ナトリウム濃度が8~24%の塩化ナトリウム溶液で塩蔵した大根粗細胞のナトリウムの増加とカリウム,カルシウム,マグネシウムの減少の間には逆相関関係が認められた。
    以上の結果(1, 2)から大根の塩蔵中に粗細胞壁から溶出するカリウム,カルシウム,マグネシウムは塩化ナトリウムの浸透に大きく依存すると考えた。
    (3) 熱水可溶性ペクチン中のナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムはそれぞれ1483, 1472, 31,35mg/100gであり,粗細胞壁中の含量と比べてナトリウムとカリウムがきわめて多かった。(Table 5)
    塩蔵によって熱水可溶性ペクチンが増加するのに伴い,その中に含まれるナトリウムが急増し,カリウムは急減したけれどもカルシウムとマグネシウムは粗細胞壁中の含量が塩蔵によって減少する(Table 1, 2)のにもかかわらず,ほとんど変動しなかった(Table 5)。
    このことは,熱水可溶性ペクチン中のカルシウムやマグネシウムとペクチンを熱水に不溶化しているそれらの多価陽イオンの間には結合の形などの差のあることを示していると思われる。
    これらのことから,塩蔵による粗細胞壁のカルシウムやマグネシウムの溶出に依存するヘキサメタリン酸可溶性ペクチンから熱水可溶性ペクチンへの移行は,ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンに結合しているカルシウムやマグネシウムが塩化ナトリウムのナトリウムとおきかわることに理由があると推察した。
  • 加藤 美千子, 木内 幹, 森 隆, 田部井 英夫, 鷹見 勲
    1983 年 30 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) カルボン酸分析計でみその有機酸含量と組成を測定した。市販みそで乳酸,クエン酸,コハク酸について,1.0N HClで抽出して90%以上の回収率を得た。第23回全国味噌鑑評会出品辛口米みその中から無作為に選択した淡色系みそ43点,赤色系みそ52点から,上述の方法で全有機酸を抽出し分析した結果,ピログルタミン酸とクエン酸含量の高いみそが多く,乳酸含量はみそによって変動が大きかった。酢酸は50~100mg/100g程度含まれているみそが多かった。全部で15種の有機酸を検出しえたので,みそ中の有機酸のパターンを求めた。鑑評会の成績と有機酸組成とは関連は見られなかった。
    (2) カルボン酸分計による方法とGC法を比較すると,前者の方が,前処理の簡便さ,有機酸に対する定量性が良いという点で有利であった。
    (3) 相関分析で,みそ中の各有機酸の相関性を求めた。みそ中の主要な4つの有機酸(乳酸,クエン酸,酢酸,ピログルタミン酸)と酸度Iとの間には,相関係数0.608の正の相関が認められた。クエン含量と,乳酸含量の逆数にも正の相関がみられた。
    (4) みそから分離されたPc. halophilus 6株はみそ懸濁培地中でクエン酸を資化した。さらに改変した今井らの培地で生育曲線との関係を調べた結果,対数期から定常期にかけてよくクエン酸を資化し,乳酸を生成することが明らかとなった。
  • 坂根 康伸, 二反田 貴浩, 下田 満哉, 筬島 豊
    1983 年 30 巻 2 号 p. 108-110
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー抽出液の品質評価を目的として,内部標準法によるコーヒー抽出液ヘッドスペースガス分析法を設定した。
    本法における再現精度(n=10)は変動係数として2.2~9.6%であった。
  • 金子 憲太郎, 黒坂 光江, 前田 安彦
    1983 年 30 巻 2 号 p. 111-113
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カルシウム塩を添加してから再塩蔵した大根は,粗細胞壁のカルシウム含量と0.4%ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンが増加した。しかし,熱水可溶性ペクチンは減少した。また,その大根のクリスプ性は増大した。
    これらのことから,カルシウムはペクチン質の架橋結合を増加させることによって,塩蔵大根のクリスプ性を増大させると考えた。
  • 時間-温度とメイラード反応
    野口 明徳, ジャンクロード シェフテル
    1983 年 30 巻 2 号 p. 114-124
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    水分,供給速度,スクリュー速度,バレル温度の種々条件下で, 42%小麦粉, 20%トウモロコシデン粉, 20%ショ糖, 11%大豆分離タンパク, 6%カゼイン, 1%NaClから成る原料を二軸型エクストノしーダー(Crensot-Loire BC 45)で処理した。バレル内での物質滞留時間,原料温度と圧力について検討を加えた。ショ糖の加水分解が認められ,初期含量の2~10%に達し,メィラード反応によるFDNB反応性リジンの損失は0~44%に達した。ショ糖加水分解量とリジン損失のモル比は1.2以上であった。リジン以外ではシスティン,アルギニンにも損失が認められる。水分を13%からに18%増加した場合,リジン損失は抑制される。クエン酸,グルコノデルタラクトンによるpH低下はリジン損失を促進することが判明した。
  • 浜野 光年
    1983 年 30 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 30 巻 2 号 p. A8-A14
    発行日: 1983/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top