日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
30 巻, 3 号
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  • 伊東 裕子, 下田 満哉, 筬島 豊
    1983 年 30 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー豆粉粉末の香気定量法として用いる内部標準を使ったヘッドスペースガス分析法において,粒度および焙煎度の影響を検討した。
    (1) コーヒー豆粉末ヘッドスペース中の香気成分量は粉末粒度に大きく影響され,中程度の粒径(20~28メッシュ)において最大となった。
    (2) 内部標準物質のピーク高は粒度が小さくなるに従い減少し,コ-ヒー豆粉末粒子表面積との間に高い相関(r=-0.974)が見られた。従って内部標準物質のピーク高を粒度分布に関して補正することが可能となった。
    (3) 焙煎が深くなるに従い,内部標準物質のピーク高は減少し, L値との間に高い相関(r=0.965)が認められた。そこで,焙煎度の異なる試料の比較において,一定のL値における内部標準物質ピーク高に換算する補正法を設定した。
  • 河邊 誠一郎, 宇佐美 昭次
    1983 年 30 巻 3 号 p. 140-144
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    柑橘内果皮に含まれるペクチンを利用し,パパインの固定化と,その活性化について検討し,次の結果を得た。
    (1) 柑橘内果皮をアルカリ処理して得られる低メトキシルペクチン質含有物懸濁水溶液に酵素パパインを混ぜ, 1M塩化カルシュウム溶液中に注入すると,容易にパパインを包括した固定化物を得ることができた。しかし,同時にゲル化剤Ca2+は,パパインの活性中心であるSH基とも結合し,活性を阻害した。
    (2) 金属キレート剤EDTA・2Naを含む活性化剤により, Ca2+ゲル化固定化パパインの活性は,ほぼ回復するが,同時に担体のCa2+も除去され,担体の崩壊を引きおこした。
    (3) あらかじめパパインの活性基をHg2+によって修飾した後,固定化を行なった。このCa2+ゲル化固定化マーキュリーパパインに対し, L-システイン単独使用により活性化したところ,完全に活性を回復すると共に,担体への影響は全くないまま, 25回以上の連続活性が可能となることが認められた。しかも,この固定化パパインの活性は,水溶液パパインに劣らない高い活性を示した。
    (4) 担体としては,ペクチン質単独よりも,柑橘内皮に含まれるセルロースをそのまま含有させた担体の方が,優れた性質を示した。
  • 奥 忠武
    1983 年 30 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    揚げかまぼこにガンマ線照射(3 kGy)を行なった場合,また,照射品を引き続き貯蔵した場合のアミノ酸含量の変化を調べる目的で,スケトウダラ冷凍すり身を主原料とした揚げかまぼこを用い,揚げかまぼことそのエキス中のアミノ酸量を測定した。同時に,総菌数,粗タンパクなども測り,以下の結果を得た。
    (1) 揚げかまぼこの18種の個別アミノ酸の照射による損失はほとんどなかった。(2) 照射により,メチオニンの酸化生成物であるメチオニンスルホキシドおよびスルホンが僅かに生成された。 (3) 照射品の30℃貯蔵では, 1g当りの総菌数は照射前で<30, 6~7日後に104~106に, 21日後に107を越えた。照射品の全アミノ酸含量は14日後においても照射直後と大差がなく,21日後に約4.5%の減少が認められた。しかしながら,エキス中の全アミノ酸含量は経日的に急増し, 21日後に照射直後の3.5倍に達し,微生物による揚げかまぼこタンパクの分解,易溶化が明らかに認められた。(4)照射品を10℃で56日間貯蔵した場合,揚げかまぼこおよびエキス中のアミノ酸含量に顕著な変化は全く認められず,照射と低温貯蔵の併用効果が明白であった。
  • 北田 善三, 蓮池 秋一, 佐々木 美智子, 谷川 薫, 堀内 龍太郎, 弓場 秀雄
    1983 年 30 巻 3 号 p. 151-154
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鶏肉中のIMPを含むATP関連化合物の変化を調べるとともに,大和肉鶏とブロイラーの比較を行った。
    (1) IMPは,胸筋・腿筋・ささみ・首筋に分布し,皮や内臓からは検出されなかった。また,週齢とともに増加する傾向がみられ,特に,ブロイラーで著しかった。
    (2) と殺後のIMPとK値の変化を調べたところ,IMPはと殺後2~3hで最高に達し,その後は保存温度が高い程,減少速度も大きかった。また, K値はIMPと負の相関を示し,保存温度が高い程上昇速度も大きく,20℃保存では3日目で90%を超えた。
    (3) 調理方法の違いによるIMP, K値の変化を調べたところ, IMPは煮た場合にもっとも損失が大きく,一方, K値は揚げた場合にもっとも上昇した。
  • 橋口 亮, 松本 文夫, 露木 英男
    1983 年 30 巻 3 号 p. 155-161
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) +5℃冷蔵の場合,両魚種とも冷蔵2日ではK値が約20%と低く,官能検査も良好であった。さらに総脂質の酸化状況をみると, AV, POV, COV, TBA値とも低く,刺身として食用可能であった。冷蔵4日ではK値がやや上昇し,官能検査からも煮焼き用としての使用に該当した。さらに総脂質の酸化状況をみると, AV, COV,TBA値は若干高い値を示したが, POVは低かった。冷蔵6日に入ると, K値は初期腐敗の段階となり,官能検査からも腐敗初期に該当した。一方, AV, COV, TBA値は顕著に高い値を示したが, POVはあまり高くなかった。
    (2) 刺身用のK値から-3℃PF 10日第の試料をみると,両魚種とも約20%と低く,官能検査も良好であった。この時の総脂質の酸化状況は, AV, POV, COV, TBA値とも低く,刺身用として食用可能であった。煮焼き用としての限界K値に達したPF20日の試料(K:約40%)をみると,官能検査では若干,劣化がみられた。またこの時の総脂質のAVはやや高い値を示したが, POV,COV, TBA値ともあまり高い値を示さず,煮焼き用として食用可能であった。PF 30日に入ると,両魚種とも,K値では腐敗初期(K値:約60%)にあたり,官能検査の結果も悪かった。この時の総脂質のAVは両魚種とも高かったが, POVは低く, COV, TBAでは両魚種に差があったが,総合的にみて腐敗初期に該当した。
    (3) -20℃冷凍60日間をみると,両魚種ともk値,POV, TBA値は実験最終日まで,あまり上昇せず,官能検査からも刺身として食用可能であると判断した。しかし, AVとCOVは最後まで徐々に上昇し,若干高い値を示した。
  • 真部 正敏, 西井 浩恵
    1983 年 30 巻 3 号 p. 162-167
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    低う蝕性の特性を有する天然甘味料GSのペクチンゼリーへの応用,及びGSのペクチンゼリー中での安定性を知る目的で実験を行なった。
    (1) HMPゼリーではラピッドセットペクチン及びスローセットペクチンのどちらを用いても, GS単用で好適ゲル強度のゼリーが得られた。糖65%,ペクチン0.75~1.0%のモデルゼリーでは, GS単用の好適ゲル強度を形成するpHは3.2~3.5付近にあり,ショ糖の場合に比べてラピッドセットペクチンゼリー,スローセットペクチンゼリーともに少し低pH側に移行した。
    (2) LMPゼリーでは, GS単用の好適ゲル強度は糖30%, pH3.8, Ca2+25mg/gペクチンにみられた。 GSはショ糖の場合に比べて, Ca2+,ペクチン,糖のすベての要素でゲル形成が容易であり,また,好適ゲル形成を示すpHはGSの方がショ糖に比べて少し高pH側に移行した。
    (3) 好適ゲル強度を有するペクチンゼリー中でのGSは, HMPゼリーの場合, pH3.3以上, LMPゼリーの場合, pH3.6以上でほとんど分解されず安定であった。
  • 田代 豊雄, 藤田 悦子, 安永 千里
    1983 年 30 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 装置に日立034形液体クロマトグラフ,充填剤に日立アニオン交換樹脂2630,試料に市販標品の核酸関連物質,溶離液に0.1M酢酸アンモニウム-酢酸(pH4.6)を用いてアニオン交換クロマトグラフィーを行い,ヌクレオシド類,核酸塩基類を展開の当初に集中的に溶出させて分取し,ヌクレオチド類と分別した。
    (2) アニオン交換クロマトグラフィーによって分取し得たヌクレオシド類,核酸塩基類について,充填剤に日立カチオン交換樹脂2613を用いてカチオン交換クロマトグラフィーを行い,段階溶出法にて,第1溶離液の0.05Mリン酸一カリウムーリン酸(pH2.4)によりUrd,Ura, Thy, Ino, Xanを,第2溶離液の0.4Mリン酸一カリウムーリン酸(pH3.4)によりHyp, Guoを,第3溶離液の0.4Mリン酸一カリウム-水酸化カリウム(pH5.0)によりAdo, Cyd, Gua, Ade, Cyoを分離することができた。
    (3) あまのり(乾のり)の過塩素酸による抽出物についてアニオン交換クロマトグラフィーを行い,ヌクレオシド類,核酸塩基類を分取し,さらに,その分取したものについてカチオン交換クロマトグラフィーを行い,あまのりに微量含まれているAde, Gua, Ado. Cyd, Urdを定量することができた。
  • 上野 清一, 小山田 則孝, 久保田 かほる, 黒沢 勝則, 石崎 睦雄
    1983 年 30 巻 3 号 p. 172-174
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The rec-assay using spores of Bacillus subtilis strains, H17 Rec+ and M45 Rec-, was carried out on foodadditives from natural origin. For metabolic activation, 9000g supernatant solution of the liver homogenateof Sprague-Da wley male rat previously treated withphenobarbital and 5, 6-benzoflavone was used. Asa results, nine tested samples were all negative inthe spore rec-assays with and without metabolicactivation. Among nine samples, hop oil and garlicoil showed slightly inhibitory effects against Bacillus subtilis.
  • フローレズ ドゥルセ・M, ガルシア バーヒリオ・V, 瓜谷 郁三
    1983 年 30 巻 3 号 p. 175-177
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    熱帯地域においてキャッサバ・フラワーを製造する適切な方法を確立し,又キャッサバ・フラワーやチップを食品品質として評価する方法を確立することを目的として,キャッサバ・フラワー製造法と乾燥中のクマリン生成との関係を調査することとした。キャッサバ・フラワーのアルコール抽出液を薄層クロマトグラフィーにより展開し,その後UVランプで検査してみたところ,その抽出液中にキャッサバのストンス化合物であるスコポレチン,エスクリンおよびスコポリンが存在することを知った。このクマリン誘導体から生じる螢光の強さは,キャッサバ・フラワーを製造する方法に対応して異なることがわかった。急速に乾燥すると,キャッサバ組織切片はこれらクマリン誘導体をほとんど生成すること浮できず,そのため品質のよいキャッサバ・フラワーがつくられるものとみられた。
  • 平井 俊次, 山崎 喜美江
    1983 年 30 巻 3 号 p. 178-180
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市田柿の糖組成について, GCとTLCを用いて検討した。そして,次の結果を得た。
    (1) GCより求めた柿の糖含量はベルトラン法の値と一致した。
    (2) 生柿果の遊離糖は,主にフラクトース(39%),グルコース(38%),そして,スクロース(23%)であった。
    (3) 干柿の果肉の遊離糖は,単糖類が圧倒的に多く,51%がフラクトース,次いでグルコース(48%)で,スクロース(1%)は少なかった。
    (4) 果実表面に析出した白粉のフラクトース(22%)は,干柿の果肉(51%)に比較して,全糖(遊離糖)中の割合が低かった。
  • 小巻 利章
    1983 年 30 巻 3 号 p. 181-189
    発行日: 1983/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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