マアジの普通肉,血合肉,皮膚,肝臓および内臓の5部位より抽出したTLを試料とし,それらよりケイ酸CCおよびTLCを用いて分画したCL区分の性状の部位別相違を調べた。得られた結果を次に示す。
(1) 生鮮試料100g中のCL区分の含有量は,肝臓で最も多く,次いで内臓,血合肉の順であった。
(2) CL区分の構成脂質として,どの部位も未知脂質を含めて10種の脂質の存在が推定され, PC, PE, CA,PSおよびSphが主要な脂質であった。
(3) CL区分の脂質組成の部位別相違をみると,普通肉と血合肉の場合は比較的類似しており,肝臓と内臓の場合も類似していた。しかしながら,前者と後者の間では, PCとCAの含有率にかなりの相違がみられた。皮膚の場合は,これら両者の中間的な脂質組成であった。
(4) 個々のCLの脂肪酸組成をみると,どの部位も約30種の脂肪酸の存在が推定されたが,主要脂肪酸は,各脂質により異なっており, PCでは22:6酸と16:0酸,PEでは22:6酸と18:0酸, CAでは22:6酸, 18:1酸および16:0酸, PSでは18:0酸と22:6酸, Sphでは16:0酸, 18:1酸および22:6酸であった。
(5) 個々のCLの主要脂肪酸組成の部位別相違をみると,どの脂質の場合も,肝臓と内臓の脂肪酸組成が他の3部位のそれと相違していた。
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