日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
30 巻, 4 号
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  • 南場 毅, 加藤 煕
    1983 年 30 巻 4 号 p. 191-199
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 各種みそ,しょうゆの酢酸菌に対する生酸促進効果を明らかにするために,単用試験,酒粕への補足試験,基本培地への補足試験を行なった。その結果,無塩豆みそがいずれの試験でも,他のみそ,しょうゆに比べて最も強い促進効果を示した。
    (2) 無塩豆みそは基本培地に対して1%以上の添加により,発酵初期の酸生成の促進と最終生酸度の増加が認められた。無塩豆みそに食塩を1%添加することにより発酵における生酸阻害がみられた。無塩豆みそ中の有効成分はイオン交換樹脂に吸着されない中性区分と弱塩基性樹脂に吸着される有機酸区分であり,アミノ酸区分の示す効果は微弱であった。
    (3) 中性区分中の主有効成分はグリセロールであることをバイオオートグラフィー,ガスクロマトグラフィーにより確認した。酸性区分からは生酸促進に有効な乳酸,コハク酸などの有機酸が検出された。
    (4) 無塩豆みそに基本培地成分や0.5%の酵母エキスならびにコハク酸+KH2PO4+MgSO4を補足した場合,いずれも微工研2号菌の生酸促進に有効であったが,無塩豆みそは単用でも食酢培地として優れた成分組成を有することを認めた。
  • 太田 英明, 吉田 企世子, 百留 公明, 青柳 英夫, 岡部 光雄, 薄田 亘
    1983 年 30 巻 4 号 p. 200-208
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    殺菌温度,殺菌時間,ヘッドスペース量ならびに貯蔵温度が温州ミカン缶詰果汁の品質に及ぼす影響について調査した。 12°Brixの温州ミカン果汁を250ml容TFS缶に,殺菌温度60~93℃,殺菌時間30秒~10分,ヘッドスペース量0~20mlの条件で充填,巻締し,水冷後,20℃と37℃で6カ月間貯蔵した。アスコルビン酸,ヒドロキシメチルフルフラール(HMF),褐変度(O. D. 430mm),色調および官能検査を経時的に分析,調査した。
    ヘッドスペース量および貯蔵温度が果汁品質に最も大きな影響を与えた。ヘッドスペース量が大きく,貯蔵温度が高いほど,アスコルビン酸およびL値は減少し,褐変度およびHMF含量が増加した。また,官能評価もヘッドスペース量が大きいほど悪い評点が得られた。
    殺菌時間および殺菌温度は,本実験条件下で一定の傾向を与えなかった。以上から,ヘッドスペースおよび貯蔵温度が温州ミカン果汁の品質を保持する上で重要な役割を演ずることが明らかとなった。
  • 木村 繁昭, 関村 照吉, 山本 光夫, 岡本 辰夫
    1983 年 30 巻 4 号 p. 209-215
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リンゴ低温障害機構解明をmolecular speciesレベルより明らかにするため実験を進めた。スターキングデリシャスおよび国光のphosphatidylcholineのmolecularspeciesを硝酸銀薄層クロマトグラフィーで調べた結果,収穫直後後では各々10band, 7bandに分離された。それぞれのbandの構成脂肪酸を検討した結果, bandは1つ, 2つまたはそれ以上のmolecular speciesより成り立っていた。リンゴのphosphatidylcholineのmo-lecular speciesは数多くのものより成り立っている事が明らかになった。品種間でmolecular speciesが異なる事が明らかになった。また収穫年次によりmolecularspeciesが同品種間でも異なる事が明らかになった。さらに冷蔵貯蔵期間がたつにつれmolecular speciesの数は減少し,特に不飽和脂肪酸を含むmolecular speciesが減少した。
  • 大町 睦子, エリ イシャク, 本間 清一, 藤巻 正生
    1983 年 30 巻 4 号 p. 216-220
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    四角豆は蛋白質35~40%,脂質15~20%含む熱帯性のマメ科植物である。この豆の利用を考えるため,煮熟による軟化および豆腐に加工する際の蛋白質の加工特性についてしらべた。
    (1)収穫直後の豆は比較的やわらかいが貯蔵にともない硬さが増し,圧力鍋による加熱でも十分には軟化しにくい。この際,加熱前に重曹溶液に浸漬すると軟化にかなり効果が認められたが,細胞壁多糖類の溶解酵素液による浸漬処理は効果がなかった。
    (2)蛋白質はグロブリン型が主体であり,実際には水により大部分抽出される。また,この水抽出蛋白質はほぼpH 4.5に等電点がある。
    (3)四角豆の豆乳から,硫酸カルシウムおよびグルコノデルタラクトンを凝固剤に用いて豆腐を試作したところ,かさのある凝固物は得られなかった。大豆の豆乳と四角豆の豆乳を混合すると,四角豆の豆乳が30%以下の場合において豆腐状のカードが得られた。
  • 小田 求
    1983 年 30 巻 4 号 p. 221-227
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ショクヨウアナツバメ(Collocalia fuciphaga)のエンソウ粘質物を用いて,その化学組成,特にアミノ酸について検討した。
    (1) 化学組成は水分14.3, 糖質27.5, N9.3,灰分4.8, Ca0.693, P0.004, S0.70%であった。画分(F)の元素分析ではH6.49, C45.29, N10.60%であった。
    (2) 材料10gから温水抽出法,ゲルろ過法で分別した画分(F-Ia)は1.9gを得た。その分子量は100000~500000と推定された。 F-Iaの糖(還元糖):タンパク質の含量比は1:2.4であった。
    (3) 画分(F)の構成糖はPPCによって,ガラクトース,マンノース,フコースより成る。この構成糖の含量比はGLC分析によって,ガラクトース84.7,マンノース10.5, フコース4.8%となった。
    (4) 画分(F-Ia)の構成アミノ酸はアミノ酸分析によって,アスパラギン酸11.7,セリン10.7,バリン10.2,スレオニン10.1%を多く含んでいた。
  • 浅野 三夫, 山口 重則, 柴崎 一雄
    1983 年 30 巻 4 号 p. 228-234
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    酵母蛋白質は調製方法によって機能特性の1つである乳化力(Emulsifying Capacity=EC)が大きく変ることを前報で明らかにし,調製方法の重要性を示唆した。今回は,同様の条件で乳化安定性(Emulsion Stability=ES)を測定すると同時に顕微鏡的にも検討を加えた。
    (1) 酵母蛋白質IIおよびIIIは,調製時の苛酷な条件が影響して,各pHでESが低かったが,酵母蛋白質Iは,等電点附近を除き最も良好なESを示した。
    (2) 酵母蛋白質のESに対するアルカリ処理の影響を検討した結果,前報のEC同様1時間以上の処理では,ESを約半分に減少した。
    (3) 各種イオン強度の効果は,イオン強度0.01で酵母蛋白質IIのESを改善した。
    (4) ESにおよぼすレシチンの効果は, EC同様,各蛋白質いずれも0.1%濃度が最もESの増加する比率が高かった。
    (5) 酵母蛋白質I, II, III,カゼインおよび大豆蛋白質のESを測定すると同時にそのエマルジョン粒子を顕微鏡的に検討した結果,酵母蛋白質Iが最もすぐれていることが確認された。
  • 田代 勇生, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1983 年 30 巻 4 号 p. 235-244
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マアジの普通肉,血合肉,皮膚,肝臓および内臓の5部位より抽出したTLを試料とし,それらよりケイ酸CCおよびTLCを用いて分画したCL区分の性状の部位別相違を調べた。得られた結果を次に示す。
    (1) 生鮮試料100g中のCL区分の含有量は,肝臓で最も多く,次いで内臓,血合肉の順であった。
    (2) CL区分の構成脂質として,どの部位も未知脂質を含めて10種の脂質の存在が推定され, PC, PE, CA,PSおよびSphが主要な脂質であった。
    (3) CL区分の脂質組成の部位別相違をみると,普通肉と血合肉の場合は比較的類似しており,肝臓と内臓の場合も類似していた。しかしながら,前者と後者の間では, PCとCAの含有率にかなりの相違がみられた。皮膚の場合は,これら両者の中間的な脂質組成であった。
    (4) 個々のCLの脂肪酸組成をみると,どの部位も約30種の脂肪酸の存在が推定されたが,主要脂肪酸は,各脂質により異なっており, PCでは22:6酸と16:0酸,PEでは22:6酸と18:0酸, CAでは22:6酸, 18:1酸および16:0酸, PSでは18:0酸と22:6酸, Sphでは16:0酸, 18:1酸および22:6酸であった。
    (5) 個々のCLの主要脂肪酸組成の部位別相違をみると,どの脂質の場合も,肝臓と内臓の脂肪酸組成が他の3部位のそれと相違していた。
  • ゴーラム モーラ, 高野 克己, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1983 年 30 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    バナナポリフェノールオキシダーゼ(PPO)の褐変作用に対する各種フェノール化合物の影響を調べた。すなわち,フェノール化合物としてバナナより抽出・分画したタンニン9画分及び市販品6種を各々ドパーミンに添加して,褐変度の変化を測定した。なお,ドバーミンが酸化褐変する間の一連の変化についても検討した。
    (1) バナナタンニンをセファデックスLH・20により分画し, 9画分を得た。主要画分はI, IV及びIXピークであり,各画分のPPOに対する影響を試験した結果,ピークIのみがドバーミンの褐変に影響を与えた。
    (2) Resorcinol, Phloroglucinol, p-Hydroxybenzoicacid, Cinnamic acid, Protocatechuic acid及びo-Coumaric acidのPPOに対する影響を調べた結果,PPOはResoricinol, Phloroglucinolによって賦活された。一方, p-Hydroxybenzoic acid, cinnamic acid及びProtocatechuric acid, o-Coumaric acidによって阻害され,前者は非拮抗阻害を,後者は拮抗阻害を示した。
    (3) バナナPPOによってドパーミンが酸化褐変する間の変化を分光分析した結果, PPO-Bでは反応中に540nmに吸収を持つIndole-5-6-quinoneと推定される物質の生成が認められたが, PPO-Aでは認められなかった。
  • 野村 孝一, 弓削 博昭, 松本 清, 筬島 豊
    1983 年 30 巻 4 号 p. 252-256
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    電導度測定法に基礎を置く柑橘果汁中の糖含量測定法の実用化の一環として温度補正法の設定を行った。本法によると5~35℃での測定が可能であり,温度の違いによる測定値のバラツキは変動係数として約1%であった。
    本温度補正法は電導度測定用セル中に温度センサーを備えることにより容易に自動化することが可能であり,また,塩化カリウム濃度の変動に起因する誤差をも同時に補正するようにした新しい方法である。
  • 1983 年 30 巻 4 号 p. A20-A25
    発行日: 1983/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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