日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 10 号
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  • 未利用国内産油脂資源(第1報)
    山崎 恵, 長尾 昭彦, 笠野 秀雄, 木村 正義
    1984 年 31 巻 10 号 p. 619-623
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    国内で栽培された4品種(INRA 6501, ISG 907, Pe-redovik, Sunbred 212)の油脂用ひまわり種子の成分および脂質の品質性状を明らかにした。
    (1) 種子中の殼の割合は,INRA 6501が4品種中一番高く28.5%を占めた。これに対応し同種は油分が低く37.7%であった。ISG 907, Sunbred 212の種子中の脂質量は59.8%, 59.4%を示し,種子中では44.9%,45.2%と高い油分を示した。各種とも殼中に2.0~3.2%の脂質を含有していた。種子中の蛋白質含量は15.4~19.3%を算え蛋白資源としても有望と考えられる。
    (2) 種子脂質のヨウ素価(135.8~138.3)は高く,乾性油としての性質を示すものであった。不けん化物は1.3~1.5%存在した。
    (3) 種仁脂質中のトリグクセリドは97.3~98.9%の高割合を示した。殼中脂質の主成分は種仁脂質と同じようにトリグリセリドであったが,トリグリセリド以外の成分として遊離脂肪酸,ステロール類,ステロールエステル類をそれぞれ数%含有していた。
    (4) 種子脂質の主要脂肪酸はリノール酸で67.7~70.5%を占めた。調理および保存上問題となるリノレン酸は非常に低量で0.1~0.2%程度のものであった。
    (5) 種子脂質はビタミンEとしてのTocを728~965(μg/g)含有していた。生体内での酸化防止活性がToc異性体中で最も高いと言われているα-Tocを94~96%含有していた。
  • 小谷 弘一, 河村 貫二, 和田 武夫, 佐谷 英二
    1984 年 31 巻 10 号 p. 624-629
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    To investigate the characteristics of some kinds of "Fushi" produced from different fish species, the proximate analysis and the contents of free amino acids and 5'-ribonucleotides were determined on 27 samples of "Fushi" (14 samples of Katsuo-bushi (dried skipjack), 2 of Sodakatsuo-bushi (dried frigate mackerel), 4 of Saba-bushi (dried mackerel), one of Muroaji-bushi (dried mackerel scad), 2 of Urumeiwashi-bushi (dried round herring), and 4 of Niboshi (dried anchovy). The results obtained are as follows: 1) The total-nitrogen contents of Katsuo- and Sodakatsuo-bushi were somewhat higher than those of other kinds of "Fushi". 2) Sada-, Muroaji- and Urumeiwashi-bushi showed higher values in crude fat. 3) Katsuo- and Sodakatsuo-bushi were higher in total free-amino acid and lower in 5'-ribonucleotide than Saba-, Muroaji-bushi and Niboshi. 4) The ratio of histidine in the total free amino acid was considerably high in Katsuo-bushi. The ratios of histidine and taurine were high in Sodakatsuo-, Saba- and Muroaji-bushi. Also in Urumeiwashi-bushi and Niboshi, histidine and taurine were dominating, and some samples contained more taurine than histidine. 5) Principal component analysis showed that the classification by the chemical components coincides with the classification by the fish species.
  • 小谷 弘一, 和田 武夫, 河村 貫二, 飯田 敦, 佐谷 英二
    1984 年 31 巻 10 号 p. 630-635
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    To describe the sensory characteristics and to clarify the relationship between the sensory characteristics and the chemical components of soup stock ("Dashi-jiru"), the odor, taste and flavor of "Dashi-jiru" prepared from 27 samples of some kinds of "Fushi" were organoleptically evaluated. "Dashi-jiru" could be characterized more effectively by odor and flavor rather than by taste, and they could be classified into the following three groups according to their sensory characteristics; Group I: Katsuobushi-like flavor, Group II: Smoked flavor, in addition to Katsuobushi-like flavor, Group III: Fishy ("namagusai"), rancid and Niboshi-like flavors, bitter taste, "Umami" and "Egumi" tastes. Most of Katsuo- and Sodakatso-bushi were classified in Group I or II. Sababushi was classified in Group II or III and most of Muroaji-, Urumeiwashi-bushi and Niboshi were in Group III. The intensity of "Umami" taste was correlated with the contents of glutamic acid and 5'-ribonucleotide, while that of the sour and bitter taste had no correlations with any of free amino acid contents.
  • 三浦 靖, 山内 文男
    1984 年 31 巻 10 号 p. 636-641
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆レシチンが大豆タンパク質-水分散系の流動特性およびその加熱ゲルの力学特性やゲル構造に及ぼす影響を検討した。市販粉状分離大豆タンパク-水分散液(12%w/v, pH 7.8)に市販大豆レシチンを0, 0.5, 1, 2,4, 6% (w/v)の濃度で添加した分散系について,加熱・冷却処理前後の流動特性および加熱・冷却過程における粘性挙動を測定した。また,レシチンを0, 0.5, 1, 2, 3,4% (w/v)の濃度で添加した大豆タンパク質(15% w/v)の加熱ゲルについて,テクスチャープロファイル分析(TPA)および走査型電子顕著鏡(SEM)観察を行なった。結果は以下の通りである。(1) 分散系とその加熱ゲルは,レシチン添加物によってチキソトロピー性が減少し,粘稠性が増大した。
    (2) 加熱ゲルは,レシチン添加により流動しにくいが脆いゲル特性になった。
    (3) ゲルのmicrostructureは,レシチン添加により不規則なネットワーク構造をとり,ultrastructureも空隙率の大きい粗いネットワーク構造になった。
  • パン製造における乳酸菌の効果(第1報)
    武田 泰輔, 岡田 早苗, 小崎 道雄
    1984 年 31 巻 10 号 p. 642-648
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    穀類粉のなかの,小麦粉による発酵生地の代表的食品であるパンにおいて,乳酸菌がどのような働きをしているかを究明する実験によって,以下の結果が得られた。
    (1) 製パン工場の食パン生地及びバターロール生地中の酵母と乳酸菌の菌数を計測した結果,4時間の発酵過程中に酵母は生地1g当たり108個のオーダーで,乳酸菌は生地1g当たり106個のオーダーで存在することを認めた。
    (2) この乳酸菌の主たる由来を原材料中の生イースト及びドライイーストに求め,これら13試料について乳酸菌数を計測した。その結果,生イースト7試料については製品1g当たり108~1010個のオーダーで,またドライイースト6試料(うち2試料は国産,4試料は欧米よりの輸入品)については製品1g当たり102~106個のオーダーで存在していた。
    (3) 上述の各試料より総計81株の乳酸菌を分離取得し,形態,発酵タイプ等の特徴から各試料に優勢を占める株を代表株として計15株を選び詳細な同定試験を行ってBERGEY'S MANUAL第8版に照合し種名を決定した。
    (4) その結果,パン生地からはLactobacillus planta-rum, L. casei,生イースト及びドライイースからは,L. plantarum, L. casei, L. brevis, L. cellobiosus,及びBacillus coagulans系統の乳酸菌が同定された。これらは,発酵性糖を高濃度に含む植物質の発酵液などによく見られるタイプである。
    (5) これら分離乳酸菌が,増殖のない状況下でどの程度の生物活動をし得るかを調べた。パン生地と生イーストから分離した代表株9株について,3%ブドウ糖を含むGYP液体培地に,1ml当たり菌数が108~109個となるように多量の菌体を接種して48時間培養後,その乳酸生成量を測定した結果,いずれの乳酸菌株も,多い少いの差はあるが,すべて乳酸を生産した。このことから,これら乳酸菌は,生地中の分裂増殖がない状況下でも何らかの活動をするものと考えられる。よってパン生地発酵過程中で,乳酸菌は生地やパンの品質,味覚等に何らかの影響を及ぼしているものと考えた。
    (6) 研究室の実験規模で,酵母と乳酸菌をそれぞれ別々に純粋培養し,酵母だけで生地発酵して焼いたパンと,酵母と乳酸菌を混合して生地発酵して焼いたパンとで風味等を比較した結果,前者はいわゆる酵母臭があったのに対し,後者ではそれが消失することや,生地の伸展性が良好になるなど,両者間に差があることを認めた。
    (7) 以上のことから,培養酵母を添加して造る通常のパン生地発酵には,乳酸菌も関与しており,パンの品質や味覚などに何らかの好ましい影響を与えていると考えられる。従って,旧来の自然発酵生地(パン種)中の固有の乳酸菌を究明し,パン製造に適した優良な乳酸菌を見つけ出して,今日のパンの品質や味覚等の向上改善をはかることが,可能であると考える。
  • 食用キノコの成分に関する研究(第1報)
    数野 千恵子, 三浦 洋
    1984 年 31 巻 10 号 p. 649-655
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    シロタモギタケについては子実体の傘の直径が1cm以上のものと,それ未満のものとに分け,かつ傘,柄及び基部に分け,各部位別に水分,灰分,無機成分,粗脂肪,遊離脂肪酸,有機酸,遊離アミノ酸,糖アルコール及び単糖の調査を行った。
    1. 水分は一株全体としての含量は89.2%で柄にやや多く,傘,基部にやや少ない傾向がみられた。
    2. 灰分は一株全体としての含量は1.0%であり,傘にやや多く柄に少ない傾向がみられた。なお子実体の大きさによる差はみられなかった。
    3. 無機成分はカリウムが100g中,339.8~604.5mgと最も多く,次いでリン,マグネシウム,ナトリウムが多く含有されていた。傘と柄を比較すると,これらの成分はいずれも傘の部分に明らかに多く含まれていた。
    4. 粗脂肪量は一株全体としては100g中164mgであり,部位別では傘の部分に最も多く,次いで柄,基部の順であった。
    5. 遊離脂肪酸はミリスチン酸,ペンタデカン酸,パルミチン酸,ヘプタデカン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸が検出され,各部位共にリノール酸が最も多く,次いでパルミチン酸,ステアリン酸が多くそれらで90%以上を占めた。部位別による比較では傘に多く,かつ小さな子実体に多く含まれる傾向がみられた。
    6. 有機酸はギ酸,酢酸,乳酸,シュウ酸,コハク酸フマル酸,リンゴ酸,ピログルタミン酸,クエン酸が検出された。リンゴ酸及びピログルタミン酸が多く,それらは柄に多く含有されていた。また大きな子実体に多く含有される傾向がみられた。
    7. 遊離アミノ酸はオルニチン,アスパラギン酸,グルタミン酸が比較的多く含有され,味覚に関与する,アスパラギン酸,グルタミン酸は柄,かつ子実体の小さなものに多く含まれる傾向がみられた。
    8. 糖アルコールはマンニトール及びグルシトールが検出された。マンニトールはグルシトールに比較して多く含有され,傘,柄及び基部と下部に行くに従い多くなる傾向がみられた。
    9. 単糖はマンノースとグルコースが検出された。いずれの部位もグルコースが多く検出された。マンノースは傘,柄,基部と下部に行くに従い明らかに多くなる傾向を示した。
  • 渋谷 直人, 岩崎 哲也
    1984 年 31 巻 10 号 p. 656-660
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    胚乳細胞壁の部分々解が,米の炊飯性および米飯のテクスチャーに及ぼす影響を,2種の酵素標品(Streptomyces sp. E-86の精製キシラナーゼおよびAspergillus japonicusの粗酵素)を用いて検討した。テクスチュロメーターによる測定から,細胞壁の部分々解により米飯は柔かくなり,また,粘りが増すことが明らかとなった。酵素処理した米粒は過剰の水の存在下では,未処理のものに比べ,膨潤の程度が大きかった。また,この酵素処理は精白米粉未のアミログラムの粘度を低下させたが,これは老化過程でとくに著しかった。精製エンドキシラナーゼは単独で上記のような効果を示したが,このことは胚乳細胞壁の物理的性質にとって,ヘミセルロース多糖が重要な意義をもっていることを示唆している。
  • 田中 篤治, 深津 玖允, 菅浦 敏夫, 榎田 静雄, 寺本 進, 小玉 健太郎, 古谷 航平, 内藤 敦
    1984 年 31 巻 10 号 p. 661-664
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    樹液から分離した酵母902株を用いて,少量高糖生地膨脹力試験法により高糖生地を充分に膨脹させ得る耐糖性酵母の検索を行った。その結果,対照としたパン酵母,Saccharomyces cerevisiae SANK 50981よりも高糖生地の膨脹力が優れている菌株,SANK 50268を見出しS. roseiと同定した。また,本菌株が対照株より強い耐糖性を有することを明らかにした。さらに,本菌株はイースト工業会法の高糖生地膨脹力試験法のショ糖30gをブドウ糖15gと果糖15gを混合したものに代えた非常に浸透圧の高い生地を充分に膨脹させ得ることを見出した。
  • 差スペクトルに基礎を置く分光測光法によるアスコルビン酸の定量(第5報)
    東野 哲三, 藤田 修二
    1984 年 31 巻 10 号 p. 665-668
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    20種類の青果物について,それらの総C,還元型C(AsA)および酸化型C (DAsA)を差スペクトル(DS)法とヒドラジン(DNP)法とにより定量した。その結果,DS法によるAsA値はDNP法による値と近似する傾向がみられたが,総CおよびDAsA値はDNP法による値よりかなり低かった。総C値についてはDNP/DS比とDNP/DNP-TLC比とが多くの試料でほぼ一致することより,DS法による分析値がDNP-TLC法による真値とかなり近似することが認められた。
  • 赤塚 愼一郎
    1984 年 31 巻 10 号 p. 669-671
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本邦においては,畜肉製品の製造にマトンを使用する場合が多い。しかしながら,マトンには特有の不快臭があるので,消費者に敬遠されがちである。そこで,本研究では,卵白の部分分解物を添加してマトン配合ソーセージを製造し,クレーマー法と3点比較法にしたがって官能検査を行った。その結果,マトン配合ソーセージに卵白の部分分解物を添加すると,製品の風味の改善が顕著であるこを認めた。
  • 特に無機成分について
    岩根 敦子, 堤 忠一, 安井 明美
    1984 年 31 巻 10 号 p. 672-676
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    湯葉製造過程における1番目の生成膜(f1)から最終の14番目の生成膜(f8)までを8区分の試料(f1~f8)とし,一般成分として水分,たんぱく質,脂質,灰分及び差し引きによる炭水化物,ならびに無機成分としてNa, K, Mg, Ca, Fe, Mn, Cu, ZnおよびPを定量し,各区分の成分含量の変化を考察した。
    (1) たんぱく質はほとんど変化せず,脂質は順次減少したが,炭水化物及び灰分は順次増加し,最終生成膜ではそれぞれ2.1倍と3.3倍となった。
    (2) f1~f8の各無機成分含量をたんぱく質1g当たりの量に換算し,それらをf1に対する比率で比べた。この比率はf1~f7においてCa, Fe, Mn,およびPがほぼ同一であり,Znがわずかずつ増加し,Na, KおよびMgがかなり増加を示した。f8での比率は,NaとKが4.3, Mgが1.98, Znが1.28, Pが1.13, Caが1.07,Mnが1.02, Feが0.49であった。この比率の大きい順が各無機成分の水への溶解性の程度と推察した。豆乳中の無機成分には,水に大部分溶解している成分と,たんぱく質に対しある一定の割合で結合している成分の存在が考えられた。
  • 金子 憲太郎, 前田 安彦
    1984 年 31 巻 10 号 p. 677-682
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 好井 久雄
    1984 年 31 巻 10 号 p. 683
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 10 号 p. A73-A78
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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