日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 12 号
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  • レモンの香りの変性機構(第4報)
    木村 恵子, 西村 弘行, 岩田 伊平, 水谷 純也
    1984 年 31 巻 12 号 p. 761-764
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酸性下におけるレモン香気の変性機構を明らかにするために,クエン酸水溶液中におけるレモンオイルおよびレモン酒香気成分の経時的な変化を,GC, GC-MSおよびmass chromatographyによって検討した。その結果,すでに鞍告したように,citralから中間体p-mentha-1,5-dien-8-olやp-mentha-1 (7), 2-dien-8-olが生成され,p-cymen-8-olを経由して,悪臭原因最終産物のp-cymeneやα, p-dimethylstyreneへといたる経路が確認された。変性速度は,レモンオイルよりもレモン酒の方が遅く,60日後に中間体が検出された。レモン香気成分の中のβ-pineneは,酸性下で不安定でレモン酒変性香気の主戒分のα-terpineolやfenchyl alcoholなどへと変化した。また,d-limoneneやγ-terpineneは,酸性中に長時間放置すると,それぞれα-terpineolやp-cymeneを生成した。
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1984 年 31 巻 12 号 p. 765-771
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    15種の野生キノコ類,4種の栽培キノコ類の遊離糖および遊離糖アルコール分布を検討し,以下の結果を得た。
    (1) 各種キノコ類の乾物重量100g当りの遊離糖含量は0.2~16.3g(平均5.8g),遊離糖アルコール含量は0.1~15.0g(平均4.2g)の広範囲に分布し,キノコの種により含量にかなりの差異が認められた。
    (2) キノコ類に含まれる遊離糖および遊離糖アルコールとしてトレハロース,グルコース,フルクトース,マンニトール,アラビトール,meso-エリトリトールおよびグリセロールが同定された。各種キノコ類の遊離糖ならびに遊離糖アルコール構成は4~7種類の糖および糖アルコールよりなり,それらの8割以上が1~3種類の糖および糖アルコールで構成され,その分布パターンもキノコの種により特徴を有していた。
    (3) キノコ類に含まれるアラビトールとマンニトールのキラリティーを7種のキノコについて検討したところ,両糖アルコールともにD-体であることが知られた。
  • 低食塩化食品における腐敗微生物の抑制に関する研究(第3報)
    山本 泰, 東 和男, 好井 久雄
    1984 年 31 巻 12 号 p. 772-776
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食品保存への応用を目的として,各種の酵母に対する酢酸の生育抑制作用について検討した。
    (1) 非耐塩性酵母に対し酢酸は,pH 5.0において1%以上で対数的な生育抑制を示し,完全に生育を阻止するには3.5~4.0%を要した。
    (2) 完全生育阻止に必要な非解離型酢酸分子濃度は1274~1456mg/100mlであった。
    (3) 食塩の共存下で完全に生育を阻止するのに必要な酢酸の濃度は(5%-食塩%)0.7~+0.5%の範囲にあり,エタノール共存下で完全に生育を阻止するのに必要な酢酸の濃度は(6%-エタノール%)0.58~0.5%の範囲であった。
    (4) 耐塩性酵母の生育を完全に阻止するには,食塩18%培地では1.3~1.4%,エタノール1%を含む食塩18%培地では0.4%の酢酸が必要であった。
  • ゼラチンと海藻多糖類混合ゲルのレオロジー的研究(第4報)
    渡瀬 峰男, 西成 勝好
    1984 年 31 巻 12 号 p. 777-782
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    アガロースのゲル化に際して,ゼラチンの寄与をさらに詳しく調べるために,ゼラチンを無水コハク酸でアシル化してゼラチンの側鎖基を変えたアシル化ゼラチンとアガロースとの混合ゲルのレオロジー的性質に与えるpHの影響を研究した。低分子量のアガロース濃度を1%(w/w)に統一し,その中に2~18% (w/w)のアシル化ゼラチンを加えて混合ゲルを調製した。さらに高分子量のアガロースの濃度を1% (w/w)に統一し,アシル化ゼラチン濃度を3% (w/w)および12% (w/w)にして混合ゲルを調製した。これらのゲルのpHは4.01および9.18に統一し,動的粘弾性測定を行なった。既報6)と同様に岡野の式を非圧縮性物質の場合に書きなおした式を用いて混合ゲルの弾性率を計算し,実測値と比較した。さらに,これらとあわせて,アシル化ゼラチンゲルの熟成後のE'の経時変化を調べた。その結果は以下のとおりであった。
    (1) 低温領域において,アシル化ゼラチン濃度が3%(w/w)では,等イオン点とpHの値が遠い場合は混合系のE'に極大値が見られた。また,高温領域において,アシル化ゼラチン濃度が約10% (w/w)以上でE'の減少する傾向に差異が見られた。
    (2) アシル化ゼラチン濃度が3% (w/w)では,等イオン点とpHの値が遠い場合は混合系のE'の実測値は計算値より高い値を示したが,近い場合はそれの逆になった。
    (3) アシル化ゼラチン濃度が12% (w/w)では,等イオン点とpHの値に関係なく混合系のE'の実測値は計算値より低い値を示した。
    (4) アシル化ゼラチンゲルをアニーリング後,一定温度におけるE'の変化は約2日間続いた。さらに,ゲルを2日間熟成後,一定温度に保ったとき,E'が一定値を示すのに約4時間以上必要であった。
  • 三浦 靖, 山内 文男
    1984 年 31 巻 12 号 p. 783-789
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピューター接続型応力緩和測定システムと協同流動理論に基づく解析処理プログラムを開発し,応力緩和現象に関するレオロジー的性質と走査型電子顕微鏡観察から,食品ゲル素材のハイドロゲルの構造解析を試みた。得られた主要な結果は,以下のとおりである。
    (1) 応力緩和パラメーターの解析処理時間は1データファイル(8000データ)当たり約10分間で,応力緩和解析のバッチ処理が可能なため,解析操作の省力化と迅速化に役立つことが明らかとなった。
    (2) 1% (w/w)寒天ゲル,2% (w/w)低メトキシルペクチンゲル,1% (w/w)κ-カラギーナンゲル,3%(w/w)ゼラチンゲルの4種類のゲルにおいて約0.3秒からの緩和現象が把握できた。
    (3) 寒天ゲルを除く他の3種類のゲルでは,ゲル構造単位がlamellar様構造などの1次元的最密充てん状態とfibril様構造などの2次光的最密充てん状態の混在した状態にあり,ゲル構造の内部結合エネルギーはそれほど強くないことが示唆された。
    (4) 緩和時間が長いゲルほど密なゲル構造をとっていた。また,ネットワーク構造を形成しているゲル(寒天,ペクチン,カラギーナン)には,少なくとも短時間側(10-1~10s)と長時間側(10~103あるいは10~104s)の2段階の緩和機構が存在し,密な粒状構造をとっているゼラチンゲルには,長時間側(<104s)のみの緩和機構が存在することが考えられた。
    (5) 協同流動理論を食品素材ゲルの粘弾性解析に導入する場合,単一に近いレオロジー的挙動をとる試料については,その構造解析に有用であると考えられた。
  • 食品中の糖含量の電気化学的測定に関する研究(第4報)
    野村 孝一, 坂本 雄司, 松本 清, 筬島 豊
    1984 年 31 巻 12 号 p. 790-794
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    牛乳-強電解質溶液系の導電率に及ぼす主要乳固形成分の影響を純粋系および準純粋系において調べた。
    (1) 乳糖はその含量の増加に伴い導電率を直線的に低下させた。この導電率の低下率は共存する強電解質の濃度の影響を受けず一定の値,1w/w%(無水物,初濃度)当り1.47%を与えた。
    (2) カゼインは乳糖と同程度の導電率低下率,1w/w%(初濃度)当り1.25%を示すことが推定された。
    (3) 脂肪は乳糖,カゼイン同様その含量の増加に伴い導電率を直線的に低下させるものの,1w/w%(初濃度)当り約0.55%と低い導電率低下率を示した。また,脂肪はサスペンジョンの状態にある方がエマルジョンである場合よりも導電率低下率が若干大きいことを明らかにした。
  • 食品中の糖含量の電気化学的測定に関する研究(第5報)
    野村 孝一, 坂本 雄司, 松本 清, 筬島 豊
    1984 年 31 巻 12 号 p. 795-797
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    強電解質濃厚溶液を媒体とする牛乳の全固形分含量測定法を設定した。本法により算出した全固形分含量は平均0.07%の偏差内でAOAC法により求めた値と一致した結果を与えた。添加試薬として特級塩化ナトリウムおよび脱イオン水の代わりに市販食塩および水道水を用いても測定結果には何ら影響は認められず,本法の実用性は極めて高いものと考える。
  • 広末 トシ子, 川井 英雄, 細貝 祐太郎
    1984 年 31 巻 12 号 p. 798-804
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食品中のカフェインをGC法によって測定した。その結果,缶コーヒー,チョコレートおよびあめの一部に300mg%以上のカフェインを含有する食品が認められたが,大多数の食品は50mg%以下であった。
    また,コーヒーを含む食品に比べ,茶を含む食品の方が,カフェイン含有量の少ないものが多く認められた。
  • コーヒーの香りに関する研究(第6報)
    下田 満哉, 和田 浩二, 筬島 豊
    1984 年 31 巻 12 号 p. 805-809
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー抽出液の香気成分を定量するにあたって,ヘッドスペースガス捕集装置の温度の影響を検討した。コーヒー抽出液のインキュベート温度を75℃としたとき,インキュベート水浴上部雰囲気の温度は,コーヒー香気成分および内部標準物質(p-アニスアルデヒド)の捕集量に重大な影響を及ぼした。内部標準ピーク面積の変動を5%以下にするためには,上部雰囲気の温度を40±0.3℃に保つことが必要であった。
  • 真部 正敏, 猶原 順, 三好 英晁
    1984 年 31 巻 12 号 p. 810-813
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ミカン缶詰製造工程中に排出する酸,アルカリ廃液よりペクチンの分離,回収を酸沈殿法で試みた。
    (1) アルカリ廃液では,pH 1.8でペクチンが最もよく沈殿し,ペクチンの回収率は約90%であった。
    (2) ペクチンの回収率はアルカリ廃液に溶存するペクチンの濃度が高まるほど増大した。
    (3) 酸廃液については,酸廃液をアルカリで脱メチルした後,ペクチンを酸沈殿するが,回収率が最も高かったのはpH 1.8であった。
  • 大久保 一良
    1984 年 31 巻 12 号 p. 814-820
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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