日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 2 号
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  • 辻 昭二郎
    1984 年 31 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食感の変化を機器によるバラメーターで表現することを検討した。測定にはテンシプレッサーを使用した。
    (1) そばとうどんの食感の基本的な違いも両者のfract.特性の差として示せる。
    (2) 測定や解析が簡便で再現性のよいパラメーターとして,新たにfract. indexを導入して検討した。
    (3) Fract. indexはそばのfract.特性および“のび”にともなう食感の変化を数字的に表現するのに極めて有用であった。
    (4) Fract. indexの値で0.74近辺がそばの食感として最適なfract.であり,これよりある程度高くなるとうどんに類似し,逆にこれよりある程度低くなると“のび”たそばの食感に類似するものと考えられる。
    (5) そばの放置にともなうテクスチャーの変化においてadhesivenessの変化がかなり大きく,これも“のび”にともなう食感の変化と大きく関係している。
  • 坂根 康伸, 二反田 貴浩, 下田 満哉, 筬島 豊
    1984 年 31 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    焙煎直後の新鮮なコーヒー豆と脱気コーヒー豆とのブレンドー抽出では,各香気成分のヘッドスペース中の濃度はブレンドした新鮮なコーヒー豆粉末の割合に比例した。すなわち,両者のブレンドでは相加性は成立したが,香気パターンの変化は見られなかった。一方,種類の異なる新鮮な豆同士のブレンドでは香気成分間に相互作用が生じ,単純な相加性は成立しなかった。また,エチルアルコール,ミルク,蔗糖のコーヒー抽出液への添加は,ヘッドスペース中の香気成分を減少させた。エチルアルコールおよびミルクの添加では,ピーク2(未知成分),4(n-ヘキサン),7(プロビオンアルデヒド),9(2-メチルフラン)のみが減少した。一方,蔗糖を添加した場合には,全香気成分において,その減少が認められた。すなわち,コーヒー抽出液100mlに,エチルアルコールを1.0ml添加した場合,香気成分は10.0%減少し,同様にミルクを5.0ml添加した場合3.2%,蔗糖を10g添加した場合18.4%それぞれ減少した。
  • 川崎 聖司
    1984 年 31 巻 2 号 p. 72-78
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    紡糸法を用いて調製した微生物蛋白質(SCP)繊維のテクスチャー特性を調べるため,パン酵母を原料として実験を行った。また紡糸の際にカラギーナンを添加して得られた繊維との比較を行った。通常,蛋白質繊維はさらに加工,処理工程を経て最終製品として市販されているので,本実験では繊維の結着剤として卵白を用い繊維および結着剤の2相から成るモデル食品を試作して万能引張試験機により圧縮,貫入試験を実施した。さらに数種の市販食品を比較に用いてモデル食品の力学的性質について検討した。
    カラギーナンを添加したSCPモデル食品は無添加の場合に比較して圧縮応力は70~80%程度であった。SCPモデル食品は結着剤だけの場合よりも圧縮特性が高く,さらにこれらの差は二,三回目の圧縮時に顕著であった。これらの結果から,繊維と結着剤との綱目構造によって組織がこわれにくく弾力性が増加すると推定された。さらに,貫入試験時における第一回目の貫入応力はカラギーナンの添加の有無によらず魚肉ソーセージや混合ソーセージよりも高い結果が得られた。
    圧縮試験の結果をもとに算出したモデル食品のテクスチャー特性は供試市販食品と同等かあるいはそのうちの一部よりも優れていることが知られ,これら食品と同様な機械的特性を有しているものと推定される。またモデル食品に油脂や小麦グルラン,大豆蛋白質などを添加することによってもこれらの力学的特性を改良できるものと思われる。
  • 斎藤 衛郎, 薄木 理一郎, 金田 尚志
    1984 年 31 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    小麦胚芽油と大豆油,綿実油,コーン油との熱酸化および自動酸化の安定性を比較した。また,加熱油中に生ずる栄養阻害作用をもつグリセリド二量体を測定した。さらに,小麦胚芽油中の不ケン化物の組成を明らかにするとともに,Toc以外の抗酸化性成分の検索を行った。
    (1) 熱酸化油は,180±2℃で1日8時間,計48時間加熱して調製した。熱酸化油の一般特数の測定から,小麦胚芽油の熱酸化に対する安定性は大豆油よりは良いが,綿実油とコーン油には劣っていた。新鮮油と熱酸化油の自動酸化に対する安定性をオーブン試験により検討したところ,熱酸化に対する安定性と同様な傾向にあった。
    (2) 熱酸化油中のグリセリド二量体量は各油間にほとんど差はなく,その生成量は栄養的に問題となる量ではなかった。
    (3) 小麦胚芽油中の不ケン化物は大部分がステロールであり,Tocの量は少ないが,他の植物油と比べればその量は極めて多く,とくに生理活性の強いαとβが多かった。
    (4) 不ケン化物中のToc以外の抗酸化性成分の検索を行ったが,その存在は認められなかった。
    (5) 小麦胚芽油は熱酸化に対する安定性は余り良くないので,フライ油には適していないと思われる。しかし,リノール酸と生理活性の強いα-とβ-Tocを多く含むので,かけ油など新鮮油としての摂取が望ましい。
    本研究は財団法人食生活研究会の研究費によった。ここに厚く謝意を表する。
  • 柏木 豊, 馬替 由美, 佐々木 堯
    1984 年 31 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Aspergillus nigerのセルラーゼをブロムシアンによって活性化したSepharose CL-6Bに固定化した。蛋白の90%以上が固定化され,セルラーゼ活性の24%が保持された。この固定化セルラーゼの性質を調べて,nativeセルラーゼと比較した。
    (1) 固定化セルラーゼの活性のpH曲線は,nativeセルラーゼに比べて変化しなかった。しかし固定化セルラーゼはpH 2~8の範囲で安定となった。
    (2) 固定化セルラーゼは熱安定性が向上し,pH 4,60℃, 1時間のインキュベートではカルボキシメチルセルロース(CMC)分解活性の90%を,pH 2, 50℃では60%の活性を維持した。
    (3) pH 2, 25℃で8日間保存した後の残存活性は50%であった。
    (4) 固定化セルラーゼからの酵素の流出はなく,くり返し15回の反応を行っても1回目の80%の活性を維持した。
    (5) 固定化セルラーゼによるCMCの加水分解物のペーパークロマトグラフィーから,反応生成物はnativeセルラーゼ同様グルコースであることが認められた。
    本研究にあたり,基質CMCサンプルを供与された第一工業製薬株式会社に感謝いたします。なお,本研究は,農林水産省技術会議事務局バイオマスプロジェクト(82-V-1-6)の予算によって実施されたものである。
  • 長沢 太郎, 宮川 博, 水口 建治, 加藤 良, 島村 誠一, 桑原 邦介, 川島 拓司, 小此木 成夫
    1984 年 31 巻 2 号 p. 92-103
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    保存性の良い豆腐を得るため,豆乳中の芽胞形成菌を破壊し,かつ豆腐の物性を損わない加熱処理方法を検討した。その結果,Heat activationとGermination工程をUHT処理と組み合わせた豆乳の新しい製造方法(HGU法)を確立した。得られた主要な結果は以下の通りである。
    (1) B. subtilis ATCC 6633株を用いて豆乳中でのHeat Activationの条件を検討したところ,80℃, 10分の加熱で芽胞の発芽率は無処理の63%から74%に上昇し,更にGermination工程(37℃, 30分)で発芽率は86%に達した。
    (2) 豆乳中の芽胞が原料由来か,あるいは豆乳調製時の2次汚染であるかにかかわらず,Heat activationとGermination工程は保存性にとんだ豆腐の製造に不可欠であり,しかもこの2つの工程は連続して実施することが極めて有効適切であることが明らかとなった。
    (3) 100℃, 4分の加熱で得た豆乳を直ちに発芽誘発操作を行なうよりは,低温で長時間保持(5~15℃, 17時間)後に行なう方がより効果的であった。
    (4) 発芽誘発操作を行なった豆乳をUHT処理したところ,130℃の場合に比らべ生残菌がより多く存在する125℃処理の方が発芽誘発の効果が顕著であった。
    (5) HGU法で得た豆乳からの豆腐は,従来の製法による豆腐に比して色,組成,硬度などの理化学的性状にほとんど差がなく,風味,保存性にすぐれていた。
  • 辻 昭二郎
    1984 年 31 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食感の異なる市販の9種のかまぼこを用いて,テンシプレッサーによるバイト試験(多点測定)を行い,各種のパラメーターやバイトフロファイル曲線を解析し,食感との関連を検討した。プランジャーは棒状,ナイフおよび板状の3種を使用し比較した。
    (1) テンシプレッサーを用いた,3種のプランジャーによるバイトプロファイル曲線の解析は,プランジャーにより若干の差が見られたが,かまぼこの食感の差を検討するのに極めて有用であった。
    (2) かまぼこの食感の検討にも,既報の板状プランジャーによるバイト試験が最も有用であった。
    (3) かまぼこのかたさの食感の差の解析,cohesivenessによる食感の評価,αA(0.20~0.95)などの比較の上で多点測定が必要かつ有用であった。
    (4) HY, HR, αA1(0.20~0.95), fract. index, Coh(0.5)などが,かまぼこの食感の内容を数字的に示す主要なパラメーターで,これらはいずれもかまぼこの足や総合的な食感と密接に関連している。
    (5) 既報のfract. indexはかまぼこの総合的な食感の差を示す指標としても有用であった。
  • 青木 章平, 矢萩 雄二, 田村 太郎
    1984 年 31 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    成熟したリンゴの果肉のメタノール抽出液を不溶性ポリビニルピロリドンのカラムで処理し,得られた溶出液の紫外部吸収を測定し,クロロゲン酸を相当量として定量した。
    (1) カラム処理によって果肉メタノール抽出液中の共存物はかなり良く除去され,カラムより得た溶出液の紫外部吸収曲線はクロロゲン酸と極めて類似した。
    (2) カラムより得た溶出液は薄層クロマトグラフィーにおいて標品クロロゲン酸と等しい位置に明瞭なスポットを示し,テーリングもわずかであった。
    (3) 収穫後0℃に冷蔵したリンゴの果肉中のクロロゲン酸は冷蔵2~3か月後に若干増加した。
  • 天然抗酸化物質に関する研究(第6報)
    山口 直彦, 加納 正男, 池田 公子, 木島 勲
    1984 年 31 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    西洋わさび粉,芥子粉の抗酸化力及びトコフェロール製剤に対する相乗性を試験し,次の結果を得た。
    (1) 芥子粉は西洋わさび粉に比較して強い抗酸化力を示した。
    (2) 酵素ミロシナーゼを失活し,アルキル芥子油の生成を抑えると,芥子粉,西洋わさび粉の双方に抗酸化力の増大が認められた。
    (3) 芥子油配糖体の主成分であるシニグリンには抗酸化力が認められるが,その効力は弱い。
    (4) 芥子粉の脂質は抗酸化力を示さなかった。しかし,脱脂によって,芥子粉の抗酸化力は約2倍の増大が認められた。
    (5) 芥子たんぱく質は芥子たんぱく質分離液より抗酸化力が強い。しかし,芥子たんぱく質は芥子粉より効力が弱かった。
    (6) 芥子粉(加熱)はトコフェロール系抗酸化剤の2倍以上の抗酸化力を示した。
    (7) 芥子粉(加熱)は味そとは相加的に,トコフェロールとは相乗的に作用し,抗酸化力の著しい増大が認められた。
    (8) 芥子粉(加熱)を添加したビスケットを試作し,保存試験を行った結果,芥子粉添加ビスケット中のラードの酸化安定性は著しく向上した。
  • 岩元 睦夫, 趙 来光, 魚住 純, 飯野 久栄
    1984 年 31 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    近赤外拡散反射法(近赤外法)を粉末とうがらし中のカプサイシン含量の測定に応用する目的で,粉末とうがらし及び関連物質としてカプサイシン,シュークロース,フラクトース,グルコース等の1.1~2.5μm域のスペクトルを測定し,帰属について考察した。
    化学分析により得た粉末とうがらし13個体のカプサイシン含量と2次微分スペクトルとの重回帰分析を行った。2.422, 2.358, 1.974, 1.622, 1.820μmの5波長における吸収を用いた場合,化学分析値と回帰からの推定値との間の相関は高く,相関係数0.993,標準誤差±0.0036%であって,近赤外法をカプサイシンの定量に使いうることが確認された。
  • 三浦 靖, 谷井 聡, 木村 通秀, 山内 文男
    1984 年 31 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    テクスチャープロファイル分析(TPA)のためのパーソナルコンピューター接続型レオメトリーシステムと解析処理プログラムを開発し,その実用性について検討した。レオメーターからコンピューターへのデータのサンプリング速度は35msで,テクスチャー特性値の解析処理時間は1データファイル(2400データ)当たり2分間であった。また,測定データの記録が行なえるのでテクスチャー特性解析のバッチ処理(データファイル作成後の一括処理)が可能であった。更に3%ゼラチンゲル,1%寒天ゲル,2%低メトキシルペクチン(LMP)ゲル用いたTPAにおいて,コンピューター解析と従来からの手作業解析との間に良好な相関関係(r=0.99)が得られたことから,本システムは十分実用に耐えうるとともに,分析操作の省力化と迅速化に役立つことが明らかとなった。
  • 藤井 豊
    1984 年 31 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 大久保 行真
    1984 年 31 巻 2 号 p. 140-144
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 2 号 p. A9-A14
    発行日: 1984/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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