日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 5 号
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  • 大豆多糖類加工品の食品への利用研究(第1報)
    中尾 行宏, 矢田 英雄
    1984 年 31 巻 5 号 p. 299-305
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆多糖類加工品について食品加工への利用を目的に機能性を検討し,次の結果が得られた。
    (1) 大豆多糖類加工品は吸水率が大きく,1gあたり6g以上の水を吸う。吸水したものはこしあんのような状態である。
    (2) 吸水率は食塩,蔗糖,pHによる変化が少ない。
    (3) アルコール水溶液の吸液率はアルコール濃度と共に低下し,アルコールのみでは約2倍である。
    (4) 吸水率は加熱により増加し,とくに100℃以上の加熱で大きくなる。吸水したものは加熱してもゲル化せず120℃で加熱すると,吸水率,粘度,ペーストの硬さは増加する。
    (5) 吸水率は冷凍-解凍をくり返しても変化しない。
    (6) 吸油力は1~2倍量の水を加えたのち,油を加えると大きくなり,3倍以上の油を吸収する。また吸エマルション率は大きい。
    これらのことより大豆多糖類加工品は種々の食品の吸水・保水剤として使用できることが推察される。
  • 大豆多糖類加工品の食品への利用研究(第2報)
    中尾 行宏, 矢田 英雄
    1984 年 31 巻 5 号 p. 306-313
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆多糖類加工品の調理加工食品への利用について濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,小麦グルテンなどと比較検討し,次の結果が得られた。
    (1) 肉/脂肪のモデル系に大豆多糖類加工品を加えると,練食品の硬さが増加し,焙焼時のクッキングロスが減少する。これらの効果は濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,小麦グルテンの場合より大きい。
    (2) 野菜からの分離水を吸水する能力は大豆多糖類加工品が濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,パン粉,小麦グルテンより著しく大きい。
    (3) ハンバーグへ大豆多糖類加工品を添加すると生地の硬さが増加し,成形性が向上する。又焙焼時のクッキングロスが減少する。
    (4) ギョウザの具へ大豆多糖類加工品を添加すると,成形時の具の硬さが増加し具の蒸煮時のクッキングロスが減少する。具の保水性が良く,具の遊離液が皮へ移行しないことは,品質上好ましいことである。
    (5) ホテトコロッケ,クリームコロッケの中身へ大豆多糖類加工品を添加すると,中身の硬さが増加し成形性が改良される。ポテトコロッケのフライ時の破裂が誠少する傾向が認められる。
    以上のように大豆多糖類加工品はすぐれた吸水・保水剤であり種々の調理加工食品への利用が期待される。
  • 飯野 久栄, 垣内 典夫, 小沢 百合子, 大和田 隆夫, 山下 市二
    1984 年 31 巻 5 号 p. 314-320
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    モモ果実缶詰の甘味度に対する嗜好性を評価するため黄肉桃'C-6-35','錦'および白肉桃'大久保'を用いて,それぞれ2シーズンにわたり糖度別の缶詰を製造し,開缶検査と官能検査を行い,およそ次のような結果が得られた。
    (1) 缶詰専用種の黄肉桃と白肉桃(大久保種)とでは,嗜好に若干の相違がみられた。すなわち,黄肉桃は糖度13%区で回答が2分するが,白肉桃では評価が低かった。
    (2) 全般に,Bx°15~°19区間では“うまい”と評価した数は圧倒的に多く,嗜好順位はBx°13<Bx°15<Bx°17=Bx°19とみなされた。
    (3) 缶詰製造の主要製品の糖度はBx°17附近が妥当と考えられた。
    (4) 農林規格の糖度基準(可溶性固形分)の改定は消費者及び生産者の両者にとって好ましい措置とみなされた。
  • 阿南 豊正, 加藤 博通
    1984 年 31 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    緑茶から抽出した粗カテキンと茶葉の主要な4種のアミノ酸類(グルタミン酸,セリン,テアニン,アルギニン)を混合し,凍結乾燥後150℃で加熱した。加熱後,沸騰している脱イオン水に溶解し可視吸収スペクトルを測定するとともに,各物質の含量を測定した。その結果,粗カテキンと4種のアミノ酸類を混合加熱した場合の方が,各々単独で加熱した場合よりも,溶液の着色程度および4種のカテキンならびにテアニンの減少程度が大きかった。
    次に,(+)-カテキンとアミノ酸類やアミンを混合し凍結乾燥後加熱した結果,(+)-カテキンの減少程度は両者を混合加熱した場合の方が(+)-カテキンを単独で加熱した場合より大きかった。ただし,酸性アミノ酸は他よりやや影響が少なかった。
  • 渡辺 尚彦, 高井 陸雄, 三堀 友雄, 長谷川 浩
    1984 年 31 巻 5 号 p. 327-332
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    破砕したスケトウダラ筋肉を回分式攪拌槽により水晒し,水溶性タンパク質の溶出速度を測定した。また,破砕魚肉の粒径分布がROSIN-RAMMLER分布に従うと仮定した数学モデルを用いて,境膜物質移動係数kが溶出率の関数として表わし得ることを示した。溶出率の実験結果をこの関係式により解析し,破砕魚肉からの水溶性タンパク質の溶出速度に及ぼす攪拌速度の効果を検討し,攪拌の効果が顕著な領域とそうでない領域のあることを示した。
  • 大豆タンパク質の乳化特性に関する研究(第7報)
    青木 宏, 白瀬 好子, 加藤 潤子, 渡辺 雄二
    1984 年 31 巻 5 号 p. 333-338
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆タンパク質(SP)の乳化特性がミルクカゼイン(SC)の共存によってどのような影響をうけるかを中心に検討し,次の結果を得た。SPおよびSCが形成する乳化物の性状は著しく異なり,タンパク質濃度の増加とともに前者が固形化するのに対し,後者は流動性を失わなかった。加熱処理したSP溶液の粘性および乳化安定性はそれぞれ高い値を示したが,これらはSCの共存にようSC単独系の低いレベルまで激減した。SC単独系およびSP-SC混合系の粘性をデンプンの添加によってSPの水準まで増加させたところ,それらの乳化安定性はSPと同等の水準まで増加した。しかし,低濃度タンパク質溶液を用いた実験の結果などから,SCの共存によるSPの乳化安定性低下の原因には,連続相の粘度低下以外に,SPおよびSCの分子構造そのものに由来する因子が関与しているらしいことを考察した。
  • 名倉 秀子, 赤羽 ひろ, 中浜 信子
    1984 年 31 巻 5 号 p. 339-345
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/06/23
    ジャーナル フリー
    濃度0.5~2.0g/100mlの寒天ゲルについて,5~60Cの温度範囲における粘弾性定数を動的および静的方法より求め,温度依存性,および静的粘弾性定数と動的粘弾性定数の対応について検討を行った。
    1) 寒天ゲルの動的弾性率E'および動的損失E″は温度範囲10~60℃において,E'は30~40℃, E″は40-50℃に最大値を持つ凸型の曲線を示した。
    2) 損失正接tanδはどの濃度の寒天ゲルについても,温度上昇にともなって単調に増加した。
    3) E'およびE″の温度履歴曲線は,温度上昇時にはE'では30~40℃, E″は40~50℃に最大纏を持つ凸型曲線となった。温度下降時には,E', E″ともに昇温前の値に近づいた。
    4) 寒天ゲルの測定温度を昇温,降温,再昇温することにより得られた温度履歴曲線は,昇温時と再昇温時の曲線がほぼ一致した。
    5) 寒天ゲルのクリープ曲線から得られた4要素の静的粘弾性定数のフック部の弾性率EHは,温度範囲10℃から60℃において.30℃に最大値をもつゆるやかな凸型の曲線となった。
    6) 静的粘弾性定数から変換式を用いて算出した動的粘弾性定数E'sおよびE″sは動的粘弾性率E'およびE″と類似の傾向を示し,一応の対応がとれた。
    7) 5~30℃までの弾性率の増加の傾向は,寒天ゲルの弾性がエンドロビー的であることを示唆するものである。
  • 米屋 武文
    1984 年 31 巻 5 号 p. 346-349
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    アルコール発酵性カビであるRhizopus javanicus ATCC 44037の生産するセルラーゼの各種セルロース性物質への分解特性およびセルラーゼ合成に与えるカルボキシメチルセルロース(CMC),グルコースの影響について検討した。本酵素のCMC,キシラン,アビセル,ろ紙に対する相対的分解活性はおのおの,100, 88, 36, 12であった。CMCは菌の発育には阻害約であったが,セルラーゼ合成には必要で,CMC濃度0.4%で発育したときに最大の比活性が得られた。一方,グルコースは発育を促進するけれども,セルラーゼ合成には阻害的であり,更にβ-glucosidase合成も阻害することが分った。
  • 山下 民治, 小林 登史夫
    1984 年 31 巻 5 号 p. 350-355
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    冷凍ショーケース4台(リーチ・イン,上面スライド,セミオープンの3型式,有効内容積145~292l)を対象にして,それの消費電力量と稼動率に影響を及ぼす要因について検討した。また,赤外線温度計で冷凍ショーケースの表面温度を測定し,表面放熱量と消費電力量との関係を検討した。得られた結果は次の通りである。
    (1) 気温が22~28℃の領域において,日光や風の直接的な影響のない場合の気温と消費電力量,および,気温と稼動率の間の関係を測定し,それそれ,式(2),式(4)に示される結果を得た。
    (2) 気温が22~23℃,強制風速のない環境の下で,冷凍ショーケースのガラスカバーやナイトカバーを開けた状態で運転したときの消費電力量と稼動率は,カバーを閉じて運転したときに比べて1.1~1.6倍大きかった。
    (3) 気温が25~26℃の下で,冷凍ショーケースの放熱器に1~2m/sの風を当てたり,発泡ポリスチロールでカバーをして運転したときの消費電力量と稼動率は,風やカバーの影響のない状態で運転したときに比べて,前者は2.2%小さく後者は3.8%大きかった。
    (4) 冷凍ショーケースの表面放熱量と消費電力量との間には,明確な相関性は認められなかった。その理由としては,冷凍ショーケースの附属品(コンプレッサー,防露ヒーター,照明電灯等)から生じた熱が冷蔵庫内に短絡された形で循環する現象が無視できないことによるものと考えられた。したがって,一般的には,自己熱源と冷蔵庫内との間の断熱材の設計が,効果的な省エネルギーにたきく寄与するものと考えらわる。
  • 小川 俊次郎, 鈴木 英世, 豊田 正武, 伊藤 誉志男, 慶田 雅洋
    1984 年 31 巻 5 号 p. 356-359
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品からBPを有機溶剤抽出し,カラムクロマトグラフィーにてBAを除去し,BPを分画後,BAに分解しガスクロマトグラフィーにより定量する方法を示した。BPは試料よう中性下でエーテル抽出することにより分解が防止された。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより過酸化ベンゾイルはエーテル・n-ヘヤサン(1:9)混液で溶出し,安息香酸は溶出しない。BPはヨウ化カリウムと反応させることにより100%BAに変換した。回収率は30ppmで約90%で,検出限界は約0.5ppmであった。
  • パン製造中の工程条件に関する研究(第4報)
    弘中 泰雅
    1984 年 31 巻 5 号 p. 360-363
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    中種法食パンの発酵条件を直交表L8(27)に基づいて実験の割り付はを行ない,製品のpH, T.T.A.,比容積,残存糖量に与える4つの工程要因(中種捏上温度,中種発酵時間,本捏捏上温度,フロアタイム)の効果を検討した。
    (1) 製品のpHは中種発酵時間が長く,中種捏上温度が高い方が低下するが,本捏捏上温度,フロアタイムの影響はうけなかった。
    (2) 製品のT.T.A.は中種発酵時間,中種捏上温度,本捏捏上温度の順で影響をうけ,フロアタイムの影響はうけなかった。発酵時間は長く,温度は高い方がT.T.A.は増加した。
    (3) 製品の比容積に対して,各工程要因の効果は認められなかった。
    (4) 製品の残存総糖量は中種工程の影響をうけ,中種捏上温度が低く,中種発酵時間は短い方が多く残存した。本捏捏上温度,フロアタイムの影響はうけなかった。
    (5) 中種法食パンにおいては,製造工程の後半において生地の変化が少なく,安定している。このことは中種法が大量機械化生産に適した製法であることを示唆していると考えられる。
  • 鈴木 敦士
    1984 年 31 巻 5 号 p. 364-370
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 5 号 p. A32-A39
    発行日: 1984/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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