日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 7 号
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  • 五島 義昭, 久保 光司, 岡田 幸久, 大橋 一二, 柘植 治人
    1984 年 31 巻 7 号 p. 429-435
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    10種の起源から得た澱粉粒の脱脂前後,及びパルミチン酸を再導入した標品を調製し,それぞれの溶解度,膨潤力,糊化温度及びアミログラムを測定して特徴を調べた。糊化温度は標品が脱脂されているか,再導入されているかによって大きな変化はなく,澱粉の特性の基準として役立ない。また,澱粉中の脂質含量との間に相関関係はない。膨潤力及び溶解度は,もち系澱粉を除いて,パルミチン酸の再導入によって抑制された.未脱脂,脱脂及び再導入澱粉のアミログラムのパターンに基いて,澱粉を5つのグループに分類した。
    I トウモロコシ澱粉系, II バレイショ澱粉系,III モチ澱粉系,IV やまいも澱粉系, V マメ澱粉系
  • シイタケの脂質に関する研究(第1報)
    橋口 亮, 伊藤 真吾, 露木英男
    1984 年 31 巻 7 号 p. 436-442
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生シイタケ(傘の開ききったシイタケ)の傘部および柄部に含まれる脂質の化学的性状を比較するために,ケイ酸カラムクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー,シンクログラフィー,ガスクロマトグラフィーを用いて実験を行い,次のような結果を得た。
    (1) 総脂質含有率は,傘部で0.50g/100gfr. wt,柄部で0,45g/100g fr. wtであり,これらを無水物換算すると傘部で4.58%,柄部で2.65%となり,傘部が柄部よりやや多い値を示した。
    (2) 傘部,柄部とも総脂質を構成する脂肪酸は約10種認められ,その主要脂肪酸は両部位とも18:2酸(傘部:71.8%,柄部:76.3%), 16:0酸(傘部:19.1%,柄部:15.8%)および18:1酸(傘部:4.8%,柄部:5.0%)であった。
    (3) 両部位とも総脂質中に占める各脂質区分の含有率は,中性脂質区分(46.7~48.8%)とリン脂質区分(42.0~43.8%)が高く,糖脂質区分は9.2~9.5%と低い値を示した。
    (4) 両部位とも中性脂質区分を構成する脂質は5種認められ,その主要脂質はトリアシルグリセロール(傘部:58.0%,柄部:58.5%)であり,さらにステロールエステル(傘部:16.9%,柄部:17.4%),ステロール(傘部:16.4%,柄部:15.6%),ジアシルグリセロール(傘部:6.0%,柄部:5.8%),モノアシルグリセロール(傘部:1.1%,柄部:1.3%)とつづいた。
    (5) 両部位ともリン脂質区分を構成する脂質は5種認められ,主要脂質はホスファチジルエタノールアミン(傘部:60.2%,柄部:58.3%)であり,次いでホスファチジルコリン(傘部:17.3%,柄部:19.5%),カルジオリピン(傘部:14.0%,柄部:12.8%),リゾホスファチジルコリン(傘部:4.8%,柄部:2.8%)とつづいた。
    (6) 両部位とも中性脂質区分,リン脂質区分を構成する脂肪酸は約10種認められた。主要脂肪酸は,18:2酸(63.7~92.7%)であり,次いで16:0酸(3.1~21.8%)と18:1酸(1.5~8.8%)であった。
  • ホテイアオイの根部を用いる溶液中の金属の除去および回収
    安井 明美, 小泉 英夫, 堤 忠一
    1984 年 31 巻 7 号 p. 443-449
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ホテイアオイの乾燥した根部が,溶液中から鉛,銅およびカドミウムを吸着することが明らかとなった。これにより,ホテイアオイの根部による金属吸着は,ホテイアオイの生理的作用ではなくて,根の組織成分による化学的作用に基づくことが示唆された。
    乾燥根部1gあたりの飽和金属吸着量は,鉛,銅およびカドミウムで,その金属単独の場合,それぞれ(43~52)×10-5グラム当量,(48~53)×10-5グラム当量および(31~34)×10-5グラム当量であった。
    根部に対する金属の吸着には選択性があり,実験した3元素のなかでは,鉛がもっとも強く吸着され,ついで銅,カドミウムの順であった。
    根部に吸着された金属は,0.1N塩酸を流すことで,ほぼ100%回収された。同時に,根部の金属吸着能は再生され,くり返しての使用が可能であった。
  • 中林 敏郎
    1984 年 31 巻 7 号 p. 450-453
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー褐色色素が,焙煎中にクロロゲン酸とショ糖の熱反応で形成されることから,ヒマワリ種子脱脂粕からの分離蛋白の品質向上もかねて,脱脂粕よりクロロゲン酸を抽出,これを利用してコーヒー様褐色色素の製造を試みた。
    (1) 6種のヒマワリ種子胚乳部の成分を分析し,脂肪ついで蛋白が多く,クロロゲン酸は平均1.25%含まれることを確かめた。
    (2) 脱脂粕の80%メタノール抽出物にショ糖を加えてモデル焙煎した結果,ミディアムローストコーヒーのそれに類似し,実用にたえるコーヒー様褐色色素を製造することができた。
    (3) メタノール処理した脱脂粕から得た分離蛋白は殆んど白色で,メタノール処理によるクロロゲン酸の除去が分離蛋白の品質向上に有効であることを確かめた。
  • 中村 豊郎, 吉野 裕一, 井上 志保子, 永井 智子
    1984 年 31 巻 7 号 p. 454-458
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    と畜血液の有効利用の一環として,凍結プラズマの用途拡大をはかる目的で限外濾過により濃縮プラズマを調製し,その諸性状を調べて食肉製品用原料肉代替としての可能性を検討した。
    また,食肉加工上重要な因子である加熱ゲル強度に及ぼす濃縮プラズマのタンパク含量,加熱温度・時間,pH,食塩含量,リン酸塩含量,還元剤添加などの影響を調べた。その結果を要約すると次の通りである。
    (1) 分画分子量200000までの限外濾過膜を使用し,濃縮倍率を2~3倍に設定すれば,濃縮プラズマの加熱ゲル強度はソーセージと同程度となり,原料肉の代替としての可能性がある。
    (2) 濃縮プラズマの加熱ゲル強度は,タンパク含量の増加につれて高くなり,15%程度でソーセージと同程度になった。また,タンパク含量が約20%のものは,70℃, 40分間の加熱でゲル強度はすでにソーセージと同程度となり,濃縮の効果が顕著にあらわれた。
    (3) pHの上昇に伴い加熱ゲル強度は高くなったが,食塩,リン酸塩,還元剤添加の影響はほとんどみられなかった。
  • 池ケ谷 賢次郎, 高柳 博次, 阿南 豊正
    1984 年 31 巻 7 号 p. 459-461
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/06/23
    ジャーナル フリー
    抹茶,玉露および煎茶のトコフェロール含量をHPLC法により測定した。分析条件はカラムがFinpack-SIL (4.6×250nm:粒径10μm),移動相はn-ヘキサンーイソプロピルアルコール(99.5:0.5v/v),流速は1ml/minチャートスピードは2mm/min,トコフェロールの検出はUV検出器を用い波長280nm(AUFS0.08)で測定した。
    試料の調製はMcMURRAYらの方法,食品分析法に示された方法に従い,内部標品は(6-hydroxy-2, 2, 5, 7, 8-pentamethyl chromanを用いた。
    検量線はα・β・γ・δトコフェロールの標品および内部標品の0.5~2.0×10-6gのクロマトグラムのピークの高さをもとに作成した。なお,これらは試料注入量に合わせて,5μlに0.5~2.0×10-6g含まれる様に調整した。
    抹茶のα-トコフェロール含量は24.1~35.9mg/100g,玉露では23.9~24.0mg/100g,煎茶では55.6~71.4mg/100gであった。
    β,γ-トコフェロールは抹茶には認められなかったが,玉露と煎茶には少し含まれていた。
  • 上田 成子, 桑原 祥浩
    1984 年 31 巻 7 号 p. 462-464
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    1982年5月から12月までの間,エアーサンプラー(バイオテスト・RCS型)を用いて,東京都区内の鶏肉小売専門の3店舗内の空中浮遊細菌を捕集し,細菌数および菌叢の季節的変動を検討した。
    各店舗内の浮遊菌数は測定期間を通して,それぞれ平均0.44±0.19, 0.51±0.20,および0.49±0.41/lであった。各店舗ともに菌数は春から夏の間は少なく,秋から冬にかけては多くなった。おもな浮遊菌叢構成菌はグラム陽性球菌とグラム陽性の芽胞形成桿菌と非形成桿菌であった。最も優勢な球菌叢は,ほぼ65~70%のStaphylococcusと30%のMicrococcusから構成されていた。そして,これら構成菌のうち球菌は夏季に多く,芽胞形成桿菌は秋から冬にかけて多く分布していた。また,球菌のうちStaphylococcusは夏季に多くなる傾向を示した。
  • 高力価試薬を用いる高水分食品へのカールフィッシャー法の適用
    小泉 英夫, 安井 明美, 堤 忠一
    1984 年 31 巻 7 号 p. 465-469
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    加熱に際し水以外の揮散あるいは分解成分を含むと推定される多水分食品の水分測定法として,高力価KF試薬を用いるKF法の適用のため,加熱乾燥法との比較検討を行なった。
    みそおよびしょうゆはKF法が減圧加熱乾燥法より1.5~1.7%低い測定値を示し,全脂無糖ヨーグルト(プレーンタイプ)はKF法が減圧加熱乾燥法より0.3%,常圧加熱乾燥法より0.5%低い測定値を示した。これらの食品では,エタノール等の揮散成分あるいは分解成分を含むと推定されたため,KF法の適用が望ましいと考えられた。
    脱脂加糖ヨーグルト(普通タイプ),およびマヨネーズは,KF法と減圧加熱乾燥法および常圧加熱乾燥法の測定値と,果汁はKF法と減圧加熱乾燥法が実質的に一致した。従ってKF法は加熱乾燥法より精度は若干劣るが,実用的な測定精度を示し,かつ測定結果が短時間で得られることから,迅速さが要求される場合はKF法が有効であると考えられた。なお,マヨネーズのKF法における酢酸の影響は解明できなかった。
  • 石井 勝
    1984 年 31 巻 7 号 p. 470-476
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 7 号 p. A46-A54
    発行日: 1984/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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