日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 9 号
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  • 下田 満哉, 坂根 康伸, 和田 浩二, 熱田 純生, 筬島 豊
    1984 年 31 巻 9 号 p. 549-557
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    15種類のコーヒー豆の抽出液について,各香気成分を定量的に比較するとともに,各成分量をその閾値濃度に基づいて変換した勾い強度を求め,各成分の勾い特性との関連のもとに比較検討した。
    (1) 内部標準物質としてp-アニスアルデヒドを用い,75℃定温下でヘッドスペースガスをTenax-GCカラムに捕集しガスクロマトグラフィーに供する方法を設定した。
    (2) 本分析法によるとコーヒー豆の種類に関係なく全試料から43個のピークが得られ,主要成分の再現精度は変動係数として3.6~9.6%であった。
    (3) GLCデータの比較により,ロブスタ種とアラビカ種の違いを示すことができたが,アラビカ種間の豆についてはその違いを論ずることは困難であった。
    (4) 各成分の勾いの特性および勾い強度によりカップテストとの関連づけを行ったところ,ロブスタ種は焦臭,グラス,しょう油様の勾いによってアラビカ種と明瞭に識別された。
    (5) 各成分の濃度および勾い強度を用いて主成分分析を行った結果,いずれの方法によってもロブスタ種とアラビカ種を識別し得たが,アラビカ種間の豆については,勾い強度による方法がカップテストとより高い相関を示した。
  • 宮崎 正則, 美谷 誠一, 佐藤 宏, 木多 武雄, 若狭 勝, 奥 正和
    1984 年 31 巻 9 号 p. 558-564
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴ品種'アメリカ'のへた取り作業を省力化する目的で,GAおよびユーパレン散布と関連して片手収穫栽培法を検討し,特に収穫盛期のへたなし果率を高める方法を検索した。
    (2) GA 5ppmを開花始およびその後10日間ごとに2~3回茎葉に散布し,さらに灰色かび病防除農薬ユーパレンを4回散布し,収穫時に片手収穫を行うことにより,へたなし果率は収穫盛期には80%以上となり,全へたなし果率も70%以上になった。本法によるへたなし果率は,慣行栽培法と考えられるユーパレン散布区における片手収穫法よりもはるかに高かった。
    (3) その結果,本法におけるへた取り所要時間はユーパレン散布・慣行収穫法に比べて大幅に短縮された。さらにユーパレン散布・片手収穫法に比べても約1/2に短縮された。
    (4) 本法における灰色かび病による腐敗果の発生率は,ユーパレン散布区における慣行収穫法および片手収穫法に比べて低かった。また果実およびジャムの品質はユーパレン散布・慣行収穫法の果実およびジャムの品質と異ならなかった。
  • 宮崎 正則, 美谷 誠一, 佐藤 宏, 木多 武雄, 若狭 勝, 奥 正和
    1984 年 31 巻 9 号 p. 565-569
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴ品種'アメリカ'の片手収穫において,へたなし果とへたつき果の発生する原因を明らかにする目的で,へた離れ力の測定やへた離れ部位の観察を行った。
    (2) へたなし果はへた離れ部位のへた直下部とずい部との間で組織的,あるいはサフラニン,ルテニウムレッド,塩化亜鉛ヨウ素反応の違いが生じており,へた離れ容易な状態になっていた。
    (3) へたつき果はその形態から,がく片つき果,果梗つき果およびへたつき奇形果の3種類に分類でき,それぞれのへたつき原因は異っていた。
    (4) がく片つき果は,へた直下部は除去されているが,がく片だけは残っている果実で,へたの下部にある空隙が原因となって発生すると考えられた。
    (5) 果梗つき果は長い小果梗のついた果実で,小果梗の付着力が果実のへた離れ力よりも小さいために生じると考えられた。
    (6) へたつき奇形果はへた直下部とずい部との間で,組織的,あるいはサフラニン,ルテニウムレッド,塩化亜鉛ヨウ素反応の違いが充分に生じていないために,へた離れし難い状態にあり,これは緑色小果の状態に似ていた。
  • 野並 慶宣, 斉藤 信, 鹿野 恭司, 茂出木 文男, 鈴木 敦士
    1984 年 31 巻 9 号 p. 570-576
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    中種法による食パンの焼成後の容積はドウに卵黄を添加することにより増大する。卵黄,卵黄プラズマおよびグラニュール,卵白,全卵の製パン工程における作用を明らかとするため,これら成分のパンの容積,微細構造に対する影響を検討した。
    これら卵成分を小麦粉重量の3%添加すると醗酵後のドウの容積には成分による大差はないが,卵黄,卵黄プラズマを添加したドウの焼成中の膨張は卵白,全卵のドウより大きく,パンの容積も大である。
    パンの中心部より採取した試料の透過型電顕図によると,卵黄プラズマはドウの蛋白質マトリックス中あるいはでん粉粒等の周囲に膜状組織を形成し,この組織が焼成中のドウの伸展性あるいはガス保蔵性を良好にし,パンの容積を大とするものと推定された。この膜は卵黄リポ蛋白質と小麦粉の蛋白質あるいは脂質に富む含有物IIとの相互作用により形成されたと考えられる。卵白を添加したパンの蛋白質マトリックスは不連続で,でん粉粒等から離れる場合が多く,その結果でん粉粒等の周囲に空白部が生じた。またこのマトリックスおよび糊化したでん粉中には,卵白蛋白質が焼成中に凝固,凝集したと考えられる電子密度の高い粒子が含まれている。このようなマトリックスがパンの容積を小さくしたものと推定される。
  • 山口 直彦, 小田 恒郎
    1984 年 31 巻 9 号 p. 577-580
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    キシローズとグリシンとからメラノイジンを調製し,このものをラネーニッケルの存在下で水添し,メラノイジンと水添メラノイジンとの抗酸化力を比較するとともに,このように調製したメラノイジン及び水添メラノイジンをセファディクスG-15によって分画し,各画分の抗酸化力を測定すると同時に,両者の抗酸化力のパターンを比較した結果は次のとおりである。
    (1) ラネーニッケル7g/200ml,水素初圧100kg,cmcm2,反応温度200℃の条件下では,反応時間30分まではメラノイジンの着色度,還元力とも減少した。
    (2) 水添時間0分(No. 1), 30分(No. 2), 1時間(No. 3), 2時間(No. 4)及び3時間(No. 5)の各メラノイジン試料の抗酸化力を測定した結果,その効力の順位はNo. 1>No. 3>No. 5>No. 2>No. 4の順であった。
    (3) 水添メラノイジンのセファディクスG-15による分画の結果,着色物質についてメラノイジンに認められた大きなピークが消失し,ブロードな溶出曲線を示した。さらに,還元性物質についてはメラノイジンに大きな2つのピークが認められたが,水添メラノイジンにおいては,そのようなピークは消失し,ブロードな溶出バターンを示した。
    (4) メラノイジン及び水添メラノイジンのセファディクスG-15による分画物の抗酸化力を測定した結果,メラノイジンはフラクションNo. 18~26,水添メラノイジン(No. 2)はフラクションNo. 22~31,同じくNo. 3の水添メラノイジンはフラクションNo. 27~34に著しく強い効力が認められた。
  • 原 敏夫, 林 栽允, 藤尾 雄策, 上田 誠之助
    1984 年 31 巻 9 号 p. 581-586
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州みかん果皮を直接炭素源として培養したAsp. niger 35-1株から2種類のエキソポリガラクチュロナーゼ(exo-PG)を得た。Exo-PG IおよびIIはCM-Se-phadex C-50, DEAE-Sephadex A-50の各カラムクロマトグラフィー,Sephadex G-75ゲル濾過によりそれぞれ15および25倍に精製され,ペクチン酸に対するKm値はそれぞれ20および3.85mg/mlであった。両酵素の分子量はそれぞれ66000と63000で,等電点は5.6と5.8であった。また,両酵素の至適pHは異なったが,両酵素のpH安定性,至適温度および温度安定性は同じであった。一方,exo-PG IはHgCl2により活性化されたが,exo-PG IIは活性化されなかった。
  • 菅野 彰重, 高松 晴樹, 高野 伸子
    1984 年 31 巻 9 号 p. 587-595
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    糸引納豆10社34点,ヒキワリ納豆8社11点の計45点における,B. nattoが生産する揮発性代謝産物を分析した。粘質物除去のため,硫酸銅溶液を抽出液として用いた。中性揮発性物質であるアセトインと2, 3-ブタンジオールはExtrelut pre-packed column 20を用い,酢酸メチル・エタノール(9:1)にて抽出し,GC分析した。揮発性有機酸は塩化ナトリウム飽和下酒石酸酸性における水蒸気蒸留にて調製し,GC分析した。これらの方法を用いることにより,各揮発性成分はいずれも平均90%以上の回収率を示した。
    市販納豆及びヒキワリ納豆から,アセトイン,2, 3-ブタンジオール,酢酸,プロピオン酸,イソ酪酸,2-メチル酪酸及び3-メチル酪酸を検出した。アセトインの含有量は0~1646.5mg/100g(平均319.5), 2, 3-ブタンジオールは0~164.3 (38.1),酢酸は116.1~921.0(378.1),プロピオン酸は1.5~14.2 (7.9),イソ酪酸は20.2~286.5 (123.5), 2-メチル酪酸は5.3~332.5(104.4),3-メチル酪酸はtrace~375.0 (77.0)であった。(乾燥重量値)
    アセトインと2, 3-ブタンジオール及び3種の分岐酸の間には,高い正の相関(相関係数0.82以上)が認められた。
    納豆から新たに検出された2-メチル酪酸は,そのp-ブロモフェナシルエステルの旋光度,及びその水酸化カリウムによる加水分解物の旋光度が,各々〔α〕21D+10.3,+7.0であったので,(S)-(+)-2-methylbutyric acidと同定した。本物質は納豆の香りに関与するものと推定された。
  • 大坪 研一, 柳瀬 肇, 橋本 勝彦, 豊島 英親, 戸谷 昭夫
    1984 年 31 巻 9 号 p. 596-603
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 国内産ハトムギの利用拡大を目標として,一軸型エクストルーダーによるハトムギの膨化処理を行ない,スナック様食品化が可能であることを確認した。
    (2) 処理に際し,ハトムギの種類によって膨化性の相違があり,主に粗脂肪含量が低いほど,またアミログラフィーの粘度の高いほど膨化性が良いことが判明した。
    (3) ハトムギの水分含量は10~15%,脱殼後の搗精歩留りは80%以下,エクストルーダーのノズル温度は約160℃で良好な膨化条件が得られることを確認した。
    (4) 粗脂肪含量の多いために膨化性の劣る原料の場合,(1)搗精度の上昇(2)溶剤脱脂処理(3)コメとの混合膨化等の有用性について示唆した。本研究に際し,ハトムギ試料を提供下さった,農産工学研究会,兵庫県農業総合センター,青森県農業試験場および農水省農蚕園芸局農産課に御礼申し上げます。
  • ガルシア バーヒリオ・V, フローレス ドゥルセ・M, ラピタン オルガ・B, 瓜谷 郁三
    1984 年 31 巻 9 号 p. 604-608
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    貯蔵キャッサバ塊根フラワー中のクマリン,フェノール含量及びペルオキシダーゼ活性とその食品品質との関係が調査された。その食品品質については,収穫直後の,又10日間及び20日間貯蔵されたキャッサバ塊根の健全組織から調製されたフラワーから非発酵性のフト(“puto”,一種の蒸しパン)を製造し,その官能評価によって決めることとした。先ず塊根の貯蔵が長引くとそれだけ二次代謝産物含量やペルオキシダーゼ活性が高まることを確認した。更に,貯蔵塊根フラワー中のこれらの増加は,これらのフラワーから製造されたプト製品の品質に関する数種官能要因,特に絶対評価と逆の相関にあることを明らかにした。
  • グロリア リディア・A, 瓜谷 郁三
    1984 年 31 巻 9 号 p. 609-612
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キャッサバ(品種:ゴールデンイエロー)の黄色塊根中のオレンジ色の色素はほとんどβ-カロチンであることがわかった。組織中のβ-カロチン量は乾物1g当たりおおよそ10~70μgの範囲にあり,その量は乾物1g当たりにして最内層(C-部位)において最も多く,次に中間層(B-部位,生理的変質が起こる部位)であり,最外層(A-部位)において最も少なかった。B部位やC部位における含量は生理的変質の発現と激しさに対応して減少した。
  • 弘中 泰雅
    1984 年 31 巻 9 号 p. 613-616
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    加糖中種法菓子パンの発酵条件を直交表L8 (27)に基づいて実験の割り付けを行ない,製品のpH, TTA,比容積,残存糖量に与える4つの工程要因(中種捏上温度,中種発酵時間,本捏捏上温度,フロアタイム)の効果を検討した。
    (1) 菓子パン生地において製品のpHを指標として生地の熟成度を管理することはできない。
    (2) 加糖中種法においても有機酸の生成は中種工程中におこる。
    (3) 中種捏上温度,中種発酵時間,本捏捏上温度,フロアタイムの4つの発酵条件は製品の比容積に独立して影響を与えることはない。
    (4) 食パン生地に比べて菓子パン生地は不安定である。
    (5) 製品中の残存糖量は本捏工程以後の発酵条件の影響をうけた。
    (6) 本捏添加の蔗糖はほとんど有機酸の生成には関与しないと思われた。
    (7) 生地中の蔗糖は速やかに単糖に分解される。
  • 岡田 稔
    1984 年 31 巻 9 号 p. 617-618
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 9 号 p. A65-A72
    発行日: 1984/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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