白色レグホーン種の産卵鶏を,油脂(大豆油,ココヤシ油,ラードあるいは牛脂)を10%配合した半精製飼料で飼育して,産卵された鶏卵の卵黄脂質の脂肪酸組成および鶏卵の機能特性に及ぼす投与油脂の影響を調べた。
大豆油の投与によって,卵黄脂質の脂肪酸ではC
18:1酸が顕著に減少し,C
18:2酸の著しい増加が見られた。ココヤシ油投与で,卵黄脂質にC
14:0酸やC
16:1酸の増加とC
18:1酸やC
18:2酸の減少するのが認められた。ラードあるいは牛脂の投与ではC
18:1酸が増加し,C
18:2酸の減少が見られた。飼育試験の結果生産された鶏卵の卵黄脂質の脂肪酸組成は,投与した油脂の脂肪酸パターンを反映する面もあると見られた。また,飼育期間中の卵黄脂質の脂肪酸組成の変動は,試験飼料の投与を始めてから10日頃までの間が顕著で,飼育の20日目あたりから試験終了の50日までの期間は,いずれの試験区でも比較的に一定した脂肪酸組成を示していた。
鶏卵の乳化性は,卵黄と乳化容量と乳化安定性について調べた。試験の結果は,いずれの試験区の間にも乳化容量に有意な差は認められなかった。また,乳化安定性にあっても,それぞれの試験区の鶏卵で有意差が見られなかった。従って産卵鶏への投与油脂は,生産される鶏卵の乳化特性には,ほとんど影響を与えないと見られた。
鶏卵の泡立ち性は,スポンジケーキ試験によって調べた。試験の結果,大豆油区とラード区とではケーキ容積に有意差は見られなかった。牛脂区からの鶏卵では,大豆油やラード投与区からのものに比べて,ややケーキ容積が小さい傾向があったが,その差は有意なものとは認められなかった。これに対してココヤシ油区の鶏卵から作ったケーキの容積は,他の3区のものよりも有意に小さいことが認められた。
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