日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
32 巻, 12 号
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  • すんきに関する研究(第9報)
    板橋 雅子, 高村 範子
    1985 年 32 巻 12 号 p. 859-863
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    木曽地方の現地で行なわれているすんき漬の方法(漬種添加,ズミ果実添加,ヤマブドウ果実添加)を実験室で同一条件下に漬処理を行ない,以下の結果を得た。
    (1) 粗たんぽく質および総アミノ酸の含量はズミ果実破砕物添加漬製品が最高で,ヤマプドウ破砕物添加漬製品が最低であった。
    (2) 漬処理初期と終期のpHはヤマブドウ丸のまま添加漬製品が最低で,漬処理終期のpHはヤマブドウ破砕物添加漬が最高であった。
    (3) ズミ果実破砕物添加漬製品は遊離アミノ酸含量が最低であるにも拘らず,官能試験で最高の評価を得た。これは恐らく破砕されたズミ果実中のリンゴ酸,コハク酸,クェン酸および果糖,ブドウ糖が漬物中に浸透したためと考えられる。
  • 増川 健二, 小松 広由, 藤村 紀夫, 福山 司, 福島 正範, 石川 勉
    1985 年 32 巻 12 号 p. 864-869
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) HPLC法による温州ミカン缶詰シラップ,及びそのジュース中のヘスペリジンとその酵素分解物の分離定量法を確立し,酵素ヘスペリジナーゼの清澄効果の判定に利用できた。更に共存するナリルチン及びその酵素分解物の同時分離定量が可能である。
    (2) 柑橘類中のヘスペリジン,ネオヘスペリジン,ナリルチン及びナリンギンの同時分離定量ができた。
    (3) 酵素ヘスペリジナーゼ中のβ-グルコシダーゼ存在の有無の検定に利用できた。
  • 河村 眞也, 長尾 昭彦, 山崎 恵
    1985 年 32 巻 12 号 p. 870-875
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    てん茶の脂質構成を明らかにするために,主な品種('やぶきた','さみどり','あさひ','きょうみどり','こまかげ','うじみどり')について,脂質関連成分の定量を行い,次のような結果を得た。
    (1) てん茶の脂質含有率は3.32~4.74%であり,供試品種の中では,'さみどり'が最も高く,'きょうみどり'が低かった。
    (2) 糖脂質が総脂質の63.8~69.2%を占めていた。
    (3) 主要な極性脂質はMGDG, PC, DGDGであった。
    (4) 総脂質中の主要な脂肪酸はリノレン酸,リノール酸,パルミチン酸であり,不飽和脂肪酸が全脂肪酸の約80%を占めていた。糖脂質ではリノレン酸の割合が著しく高かった。
    (5) 総トコフェロール含量はてん茶100g当たり11.1~14.4mgであり,ほとんどがα型で,微量のβ型,γ型,δ型を含んでいた。
  • 平 宏和
    1985 年 32 巻 12 号 p. 876-885
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    落花生の大粒種として,青森,千葉および宮崎の各県で生産された中間タイプ:4品種(実験1)と千葉,愛知および長崎の各県で生産された中間タイプおよびバージニアタイプ:各2品種(実験2)について,脂質含量と脂肪酸組成に及ぼす品種と生産地の影響を検討した。
    (1) 品種については,脂肪酸組成において実験1および2のオレイン酸およびリノール酸含量,さらに実験2のパルミチン酸,ベヘン酸およびリグノセリン酸含量に有意差のみられる品種が認められた。
    (2) 中間タイプにおいては,バージニアタイプとスバニッシュタイプの脂肪酸組成を示す両タイプの品種がみられた。
    (3) 生産地では,脂質含量について実験1の生産地に有意差が認められた。脂肪酸組成では,北より南へ向って増加する傾向のあるものとしてステアリン酸,オレイン酸およびアラキジン酸が,一方,減少する傾向のあるものとしてリノール酸,エイコセン酸,ベヘン酸およびリグノセリン酸がみられた。これらのうちステアリン酸オレイン酸,リノール酸,アラキジン酸およびベヘン酸は実験1および2において,エイコセン酸およびリグノセリン酸は実験1において,それぞれ生産地に有意差が認められた。
  • ガスクロマトグラフィーによる“粉わさび”の品質鑑定に関する研究(第13報)
    小嶋 操, 浜田 浩, 利光 典子
    1985 年 32 巻 12 号 p. 886-891
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    沢ワサビ根茎を,低温通風乾燥および真空凍結乾燥し,これらの乾燥粉末加水分解物中のカラシ油類を,FPDを用いるガスクロマトグラフィーにより,生沢ワサビと比較して次の結果を得た。
    (1) 生および乾燥ワサビのいずれにも,iso-プロピル,sec-ブチル,n-ブチル,アリル,3-ブテニル,4-ペンテニル,5-ヘキセニル,3-メチルチオプロピルおよびβ-フェネチルカラシ油の9種が検出され,未知成分2種も検出された。
    (2) 3-ブテニルカラシ油の分布率は,乾燥により増加の傾向を示した。
    (3) アリルカラシ油含量は,生ワサビでは0.217~0.324%(w/w),乾燥粉末では0.856~1.335%(w/w)で,乾燥によりわずかに減少した。
    (4) β-フェネチルカラシ油含量は少量で,セイヨウワサビの約1/10量であり,乾燥による含量変化はなかった。
  • 平田 明弘, 西野 松之, 木村 貞司, 大武 由之
    1985 年 32 巻 12 号 p. 892-898
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の産卵鶏を,油脂(大豆油,ココヤシ油,ラードあるいは牛脂)を10%配合した半精製飼料で飼育して,産卵された鶏卵の卵黄脂質の脂肪酸組成および鶏卵の機能特性に及ぼす投与油脂の影響を調べた。
    大豆油の投与によって,卵黄脂質の脂肪酸ではC18:1酸が顕著に減少し,C18:2酸の著しい増加が見られた。ココヤシ油投与で,卵黄脂質にC14:0酸やC16:1酸の増加とC18:1酸やC18:2酸の減少するのが認められた。ラードあるいは牛脂の投与ではC18:1酸が増加し,C18:2酸の減少が見られた。飼育試験の結果生産された鶏卵の卵黄脂質の脂肪酸組成は,投与した油脂の脂肪酸パターンを反映する面もあると見られた。また,飼育期間中の卵黄脂質の脂肪酸組成の変動は,試験飼料の投与を始めてから10日頃までの間が顕著で,飼育の20日目あたりから試験終了の50日までの期間は,いずれの試験区でも比較的に一定した脂肪酸組成を示していた。
    鶏卵の乳化性は,卵黄と乳化容量と乳化安定性について調べた。試験の結果は,いずれの試験区の間にも乳化容量に有意な差は認められなかった。また,乳化安定性にあっても,それぞれの試験区の鶏卵で有意差が見られなかった。従って産卵鶏への投与油脂は,生産される鶏卵の乳化特性には,ほとんど影響を与えないと見られた。
    鶏卵の泡立ち性は,スポンジケーキ試験によって調べた。試験の結果,大豆油区とラード区とではケーキ容積に有意差は見られなかった。牛脂区からの鶏卵では,大豆油やラード投与区からのものに比べて,ややケーキ容積が小さい傾向があったが,その差は有意なものとは認められなかった。これに対してココヤシ油区の鶏卵から作ったケーキの容積は,他の3区のものよりも有意に小さいことが認められた。
  • 辻 政雄, 堀内 久弥
    1985 年 32 巻 12 号 p. 899-905
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    最適ホイップ終点を客観的に求めるため,生クリームのホイップ経過における物性変化を連続的に測定する方法を検討した。
    (1) 小型ながら実際の製造機械と同じ機構を持つミキサーを用い,狭い空隙に銅電極(長さ:40mm,径:0.7mm,電極間距離:2.3mm)を接着し,100kHzの交流インピーダンスを測定することにより,クリームの物性変化の測定が可能となった。
    (2) 生クリームのホイップ過程におけるインピーダンスの絶対値は,初め徐々に増加し,ホイップドクリームが固まりかける時点から急速に高くなり,最大値に達した後急激に低下する鋭い山型の曲線を示した。
    (3) インピーダンス曲線から最適ホイップ終点を求めるために,別に測定したオーバーラン,粘弾性,相分離,展延性,滑らかさおよび離水量の値と対応させ総合的に判断したところ,最適ホイップ終点はインピーダンスが急激に増加する直前であることがわかった。
    (4) クリームにショ糖を添加してかく拌すると,無添加区のものと比較してインピーダンスは増加し,最適ホイップ時間も短縮した。
    (5) 乳脂肪と植物脂肪クリームのインピーダンス曲線には著しい差異が見られ,ホイップ終了以前において乳脂肪では増加傾向にあるが,植物脂肪では長いプラトー領域が存在した。
    (6) ホイップ過程におけるインピーダンスの増加は気泡量の増加によると考えられた。
  • 酒〓饅頭に関する研究(第2報)
    天野 武雄, 山口 直彦
    1985 年 32 巻 12 号 p. 906-910
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酒〓饅頭の発酵生地で,どのような酵母が発酵に寄与するかを知るため製造過程から分離した酵母29株とパン酵母1株,清酒酵母5株,ブドウ酒酵母1株及びアルコール酵母2株の計38株を用いて実験し,次の結果を得た。
    (1) 麹エキス培地中でエタノール生成量の多い酵母はTTC染色赤色あるいはピンク色のもので,しかも台研396号を除いてキラー因子k1に感受性であった。
    (2) 麹エキス培地でのエタノール生成量が多い酵母群のうち,生地中でのエタノール生成量及び膨脹量は,ブドウ酒酵母OC-2,アルコール酵母発研1号,台研396号を除いて全て良好であった。
    (3) 酒〓饅頭の製造過程で分離した酵母のうち発酵生地中でよく増殖できる酵母19株とパン酵母を同定したところ,The Yeast第3版によれば,これらはSaccharomyces cerevisiaeに分類された。
  • 仲唐 英之, 太田 英明, 名城 政治
    1985 年 32 巻 12 号 p. 911-915
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    沖縄産パインアップル果汁の原料および現行製造法による果汁の品質を検討した。
    (1) 原料および果汁とも,夏実で可溶性固形分が最も高く,酸度は最も低かつた。冬実では酸度,還元型アスコルビン酸,灰分含量が高かった。アミノ態窒素含量は秋実で最も多かった。
    (2) 果実の部位では,果梗部の果肉で可溶性固形分が高く,熟度も進んでいた。硝酸態窒素含量はへた部が果肉部の約17倍も含有していた。
    (3) 現行製造法による搾汁率は,遠心分離で不溶性固形物を除去したシングルストレングス果汁として45%であった。
    (4) 剥皮搾汁の果汁が全果搾汁の果汁より品質的に優れていることを認めた。
  • 食品中の糖含量の電気化学的測定に関する研究(第8報)
    野村 孝一, 受田 浩之, 松本 清, 筬島 豊
    1985 年 32 巻 12 号 p. 916-919
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    電導度検出型糖含量測定用フローインジェクション分析(FIA)装置の汎用化の一環として,リンゴ果汁およびビート汁中の糖含量測定,並びに牛乳の全固形分(TS)含量の測定を試みた。本FIA装置を用いた場合,各試料ごとに専用の算出式を用いることにより全く同一のFIA運転条件下で糖含量あるいはTS含量の測定が可能であった。本法により算出した糖含量は平均0.24%の偏差でフェノール硫酸法により求めた値と一致した。一方,TS含量の測定においてはAOAC法と平均0.19%の偏差で一致する値を与えた。
  • とくにフレーバーについて
    安本 教傳
    1985 年 32 巻 12 号 p. 920-930
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 12 号 p. 931-932
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 12 号 p. A92-A99
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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