日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
32 巻, 2 号
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  • 柑橘類種子の脂質に関する研究(第1報)
    小林 益男, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1985 年 32 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    3種類の柑橘類種子(ユズ,ユコウ,スダチ)の種核および種皮部に含まれるTLおよびNLの脂質組成と脂肪酸組成を,ケイ酸カラムクロマトグラフィー,TLCおよびGLCを用いて比較検討し,次のような結果を得た。
    (1) 3種類の種子中のTL含有率は,種核部で22~24%(無水物換算,46.4~58.1%),種皮部で1~3%(無水物換算1.8~5.8%)であり,種核部にTLが非常に多かった。
    (2) TL中のNL含有率は,種類間では差異は認められなかったが,部位間では,種核部で95%以上,種皮部で70%以上といずれも高かった。NLの主要脂質は,種核部では,TG (91.5~93.1%)であり,さらに1, 2-DG(1.6~3.6%), 1, 3-DG (0.8~1.7%), St (0.6~0.9%),MG (0.6~0.7%), FFA (0.4~0.5%), SE (0.4~0.5%)およびHC (0.2~0.3%)とつづき,一方,種皮部では,TG (66.7~73.8%)であり,さらにSt (6.1~9.6%),MG (4.9~6.1%), 1, 2-DG (4.7~5.4%), FFA (3.0~3.4%), 1, 3-DG (2.5~2.9%), SE (1.9~2.4%)およびHC (1.0~1.2%)とつづいていた。
    (3) TL, NLおよびNLを構成する各脂質の構成脂肪酸は,11~12種認められたが,それらの脂肪酸組成には,顕著な相違はなかった。主要脂肪酸には,18:2酸,16:0酸および18:1酸の3種であり,これらを合計すると,80%以上を占めていた。
  • 金子 憲太郎, 渡辺 光代, 佐藤 千寿子, 前田 安彦
    1985 年 32 巻 2 号 p. 94-100
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    既報1)で大根ペクチンのK, Ca, MgはNaClのNaとイオン交換することを推察した。この現象は今まで明らかにされていなかったことであるし,さらにペクチンの化学反応性の基礎的知見としても重要と思われる。従って,本報では1%HCl含有メチルアルコールでの洗浄によって金属元素をほぼ除去した大根ペクチンにKCl,CaCl2・2H2O, MgCl2・6H2Oを混合・脱塩することによって各金属元素を付加させたK-, Ca-, Mg-ペクチネート及びそのらの混合コンプレックス溶液にNaClを添加・脱塩してからNa, K, Ca, Mgを分析し各ペクチネートの金属元素とNaClのNaとのイオン交換性を検討した。なお,調製した各ペクチネートは赤外線吸収スペクトルを測定して,各金属の結合を確認した。そして,その結果,各ペクチネートはNaClの添加によりそれぞれの金属元素が減少し,それとは逆にNaが増加した。そして,その現象はK-ペクチネートが最も顕著であり,以下Mg-ペクチネート,混合コンプレックスと続き,Ca-ペクチネートのCaの減少とNaの増加が最も少なかった。しかし,これら金属の増減には当量関係が認められなかった。
    以上の結果からペクチンに結合しているK, Ca, MgはNaClのNaとイオン交換反応を起こし,さらにその反応はK>Mg>Caの順で起こりやすいことが明らかになった。
  • 膨化ハトムギの加工と品質(第2報)
    大坪 研一, 柳瀬 肇
    1985 年 32 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    一軸型エクストルーダーによって,ハトムギの膨化加工を行い,原料と製品の性状比較を行った結果,以下の知見が得られた。
    (1) 精白ハトムギは,モチ精米と同等の良好な膨化性を示したが,膨化モチゴメに比べて硬度がやや高く,明度がやや低かった。
    (2) 膨化加工による化学成分,色調,アミノ酸組成の変化は,比較的小さかった。
    (3) 膨化加工によって,澱粉のα化,可溶化が起こり,糊化特性の著しい変化が認められた。
    (4) 膨化ハトムギは,原料に比べて,微粉砕が可能であった。
    (5) 膨化ハトムギは,低湿度貯蔵では過酸化物価の増加が起こるが,通常の湿度では40℃8週後も増加が起こらなかった。
    (6) 膨化加工によって,貯蔵中の脂肪酸度の増加が抑制された。
  • 中国酢の成分に関する研究(第1報)
    小泉 幸道, 中小路 忠彦, 柳田 藤治
    1985 年 32 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    中国酢の成分について,一般成分,糖成分,無機成分について分析を行い,日本産の米酢或いは粕酢との比較を行った。
    (1) 一般成分については,各成分とも日本産の食酢よりも含量が高かった。色については黒褐色で,沈でんがみられる製品も多くみられた。いずれも製造法等の違いによるものと思われる。
    (2) 糖組成については,ブドウ糖の含量が一番多く,次いでフラクトースであった。
    (3) 無機成分については,カリウム,カルシウム,鉄の含量が多かった。原料,水,製造中の器具等に由来するものと思われる。
  • 魚肉ねり製品用副原料の有効利用に関する研究(第1報)
    山下 民治, 米田 達雄
    1985 年 32 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    デンプンを添加した魚肉ねり製品を(2±1)℃に貯蔵し,貯蔵中に圧出水分率とゼリー強度の変化に及ぼすデンプンの種類や添加量,製品の水分量,pH,加熱条件の影響について検討を行い,次の結果が得られた。
    (1) ジャガイモやサツマイモのような地下デンプン添加区は,トウモロコシやコムギのような地上デンプン添加区に比べて,圧出水分率とゼリー強度の変化が大きかった。しかし,アミロメイズ,タピオカデンプン添加区には,このような傾向は認められなかった。
    (2) 製品の水分量が一定で,デンプン添加量が0~14.3%(W/W)の間においては,添加量が多い程圧出水分率とゼリー強度の変化が大きかった。
    (3) 製品のデンプン量が一定で,水分量が66.81~78.99%(W/W)の間においては,ゼリー強度の変化は水分量が多い程大きかった。しかし,圧出水分率の変化は,水分量との間には明確な関係が認められなかった。
    (4) 製品のpHが6.0~9.3の間においては,圧出水分率とゼリー強度の変化は,pH 7付近が最も小さかった。
    (5) 加熱温度が70~95℃,加熱時間が30~110分間の間においては,加熱条件の違いが圧出水分率とゼリー強度の変化に反映していることが認められた。
  • 板橋 雅子, 高村 範子
    1985 年 32 巻 2 号 p. 120-123
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    一般に食用とされているフキの葉柄および葉身のほか,ツワブキ,ゴボウ,ギシギシ等の葉身と葉柄の栄養素成分を分析して以下の結果を得た。
    (1) すべての試料について,葉身の方が葉柄より栄養素成分が多い。故に葉身も食用に供することが望ましいと考えられる。
    (2) 上記の植物を食用とする場合,いわゆるアク抜きのための茹処理をするが,茹処理による栄養素成分の減少度は葉柄より葉身の方が少ないことが知られた。
    (3) 野草のギシギシは,一般には食用とされていないが,その栄養素成分は栽培野菜よりはるかに多く,また,味覚的にも優れていることが知られた。
  • 板橋 雅子
    1985 年 32 巻 2 号 p. 124-126
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    乳酸菌源としてLactobacillus plantarumのみを含むピックルスターターを用いて大根(ラディシュの1種)の葉をすんき漬法,すなわち,大根葉を熱水に浸したのち,エナメル容器中にピックルスターターと交互に重ねて漬けた。その漬物(試料B)の諸性状を粗たんぱく質,遊離アミノ酸,全アミノ酸および官能試験について測定し,漬種を用いて同時に漬けたすんき漬(試料C)の諸性状と比較した。そして以下の結果を得た。
    (1) 粗たんぱく質含有量は漬処理によって増加する。試料Bの増加率(28.44%から34.00%)は試料Cの増加率(28.44%から31.24%)よりも大きい。
    (2) 試料Bの遊離アミノ酸全量の含有量(2490mg/100g)は原料のそれ(1218mg/100g)の約2倍であり,また試料Cの含有量(418mg/100g)は非常に少なかった。試料Bは官能試験において試料Cよりすぐれていた。
    (3) 大根の葉には適当量の必須アミノ酸が含まれていて,それらは漬処理をしても残存していた。
  • Chakamas WONGKHALAUNG, 佐々木 堯, 貝沼 圭二, 太田 輝夫
    1985 年 32 巻 2 号 p. 127-129
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    グルコアミラーゼ(Rhizopus niveus起源α-1, 4グルカングルカノヒドロラーゼ)の水溶性高分子への固定化法とその特性について検討し。グルコアミラーゼは,シアノゲンブロマイドで活性化したデキストランへ固定した。ついで,セファデックスG-200カラムにより未反応の遊離酵素を除いて固定化酵素を精製した。使用した酵素タンパク質の92%が固定され,活性の82%が保持される結果を得た。固定化グルコアミラーゼの最適pH,pH安定性は,未処理の酵素とほぼ同じ値(pH 5.5)を示した。しかしながら,本固定化酵素の特長は熱安定性に認められ,未処理酵素の50℃に対し,50~60℃の広い範囲で安定であり,55℃, 60分の加熱処理に対しても60%の残存活性を示した。
  • 山崎 恵, 長尾 昭彦
    1985 年 32 巻 2 号 p. 130-132
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 誘電率法によるなたね種子油分の簡易,迅速測定法を検討した。ホモジナイザーになたね種子とO-ジクロルベンゼンを加え,粉砕と抽出を同時に行った。濾過後,直ちにSteinlite Model 300 Losを用いて溶液のオイルテスター値を測定した。比較試験はエーテル抽出法を採用して行った。
    (2) オイルテスター値とエーテル抽出法による油分間に,相関係数(r) 0.942が観察された。
    オイルテスター値から油分の算出は次式により行った。
    Y(%)=0.63+0.86X(ただし,Y:油分,X:オイルテスター値)
    (3) 試料の粉砕,抽出及びオイルテスター値の測定を含めた全操作に要する時間は,短時間(5時間前後)であった。
  • 甘藷を素材とするスナック食品の開発(第3報)
    馬場 透, 河野 利治, 田之上 隼雄, 前屋 義孝, 田丸 保夫, 山村 頴
    1985 年 32 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    サツマイモを原料とするいもかりん糖のテクスチャーを改良する前処理方法として,ブランチング-凍結処理を検討し,極めて有効であることを確認した。ブランチング時間はタンザクの厚みによって異なることがわかった。最適ブランチング時間は厚み3mmのタンザクで25~30秒,5mmで30~40秒,7mmで40~60秒,10mmで60~90秒であった。凍結温度と凍結時間は通常の凍結過程を通しさえすれば,製品のテクスチャーに影響をおよぼすことはなかった。良好に改良されたいもかりん糖の硬さは無処理の硬さの1/2以下であり,油分はおよそ15~20%増加していた。
    前処理を行なったタンザクの適切な仕上げ油温は140℃附近であった。
    ポリフェノールによる変色はクリーンアップツーを使用することにより阻止できた。また酸性ピロリン酸ナトリウム溶液でプランチングを行なうとかりん糖の色調が改良された。
  • 前梶 健治, 河村 大造
    1985 年 32 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    こんにゃく製造工程中の微生物制御を図るための前段として,こんにゃくの微生物汚染の実態と汚染の要因を調べた。対象製品には生詰板こんにゃくを選び,汚染の指標としては主に生菌数を用いた。
    (1) 市販こんにゃくの生菌数は0~1.1×103/gと大きく変動した。この変動には製造後の貯蔵条件も大きく影響し,貯蔵温度が高いほど,そして貯蔵期間が長いほど菌数は少なかった。
    (2) 製造工程中のこんにゃくのり中の生菌数(当初は103/g台)は凝固剤添加直前まで増加し(106/g台),凝固剤添加で急激に,続く加熱操作でかなり減少した(103/g台)。製造工程中の増加は主に製造装置,特にこんにゃくのり輸送用ポンプの微生物汚染が原因と推定された。空中落下菌は,相対的にはほとんど無視し得る程度の数であった。
    (3) 原料中の生菌数は,こんにゃく精粉が103/g台で海草粉末が106/g台であった。また,耐熱性細菌数は,いずれも生菌数の10%程度であった。さらに,大腸菌群は,こんにゃく精粉では検出されなかったが,海草粉末では,耐熱性細菌数と同程度の数を示すものもあった。
    (4) こんにゃくのりの当初の生菌数は,そのほとんどが原料中の生菌数により,加熱後のそれは原料中の耐熱性細菌数によるものと推定された。
    (5) こんにゃくの着色料として使用される海草粉末は,生菌数が多いのみならず,大腸菌群も多数存在するため,衛生的な観点からも早急に対策を講ずる必要のあることが認められた。
  • 小此木 成夫
    1985 年 32 巻 2 号 p. 144-155
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 春見 隆文
    1985 年 32 巻 2 号 p. 156
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 2 号 p. A9-A16
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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