3種類の柑橘類種子(ユズ,ユコウ,スダチ)の種核および種皮部に含まれるTLおよびNLの脂質組成と脂肪酸組成を,ケイ酸カラムクロマトグラフィー,TLCおよびGLCを用いて比較検討し,次のような結果を得た。
(1) 3種類の種子中のTL含有率は,種核部で22~24%(無水物換算,46.4~58.1%),種皮部で1~3%(無水物換算1.8~5.8%)であり,種核部にTLが非常に多かった。
(2) TL中のNL含有率は,種類間では差異は認められなかったが,部位間では,種核部で95%以上,種皮部で70%以上といずれも高かった。NLの主要脂質は,種核部では,TG (91.5~93.1%)であり,さらに1, 2-DG(1.6~3.6%), 1, 3-DG (0.8~1.7%), St (0.6~0.9%),MG (0.6~0.7%), FFA (0.4~0.5%), SE (0.4~0.5%)およびHC (0.2~0.3%)とつづき,一方,種皮部では,TG (66.7~73.8%)であり,さらにSt (6.1~9.6%),MG (4.9~6.1%), 1, 2-DG (4.7~5.4%), FFA (3.0~3.4%), 1, 3-DG (2.5~2.9%), SE (1.9~2.4%)およびHC (1.0~1.2%)とつづいていた。
(3) TL, NLおよびNLを構成する各脂質の構成脂肪酸は,11~12種認められたが,それらの脂肪酸組成には,顕著な相違はなかった。主要脂肪酸には,18:2酸,16:0酸および18:1酸の3種であり,これらを合計すると,80%以上を占めていた。
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