日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
32 巻, 4 号
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  • 野並 慶宣, 斉藤 信, 斉藤 瑠美子, 鈴木 敦士
    1985 年 32 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    新鮮鶏卵およびあひる卵のオボムチンを希釈(1:4)または1NHCI (pH 5.50)により沈でんさせ,これを2%KClおよび水で十分洗浄して試料とした。未処理の試料,加熱(95~98℃,20分間),あるいは凍結(-20℃),あるいは加熱,凍結した試料を透過型電顕で観察し,電顕図上において次のことを明らかとした。
    (1) 鶏オボムチンでは高電子密度の線維状の像,あひるオボムチンでは高電子密度の塊または斑紋が集合した特有な像が認められる。
    (2) あひるに特有な像は酸オボムチンより希釈オボムチンにおいてより鮮明である。
    (3) これらの鶏およびあひるオボムチンの特徴ある像はオボムチンの加熱,凍結により消滅するものではない。
    (4) 鶏,あひるのいずれのオボムチンにおいても,電顕図上のマトリックスは加熱,凍結により凝固,凝集して高電子密度の粒状,塊状あるいは線維状の像を形成する。
  • 原 敏夫, 藤尾 雄策, 上田 誠之助
    1985 年 32 巻 4 号 p. 241-246
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    温州みかん生果皮を用いて無蒸煮アルコール発酵を試みた。温州みかん果皮の可溶化および糖化には,温州みかん果皮を基質として培養したAspergillus nigerの生産した加水分解酵素を使用した。100gの温州みかん生果皮から1日で5.2gのエタノールがパン酵母により生産された。留出液は精油由来の芳香に富み,d-リモネン,シトロネラール,リナロールやα-テルピネオールなどの高沸点成分が検出された。一方,アルコール発酵残渣の粗タンパク質含量は19.4%であった。したがって,みかん果皮からのアルコール生産はリキュール類の飲料用アルコールや家畜飼料のような有用物の生産に有効であろう。
  • 竹永 章生, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1985 年 32 巻 4 号 p. 247-254
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ヤマモモの種子および核に含まれるTLの脂質組成ならびに脂肪酸組成についてケイ酸CC, TLCおよびGLCを用いて研究を行った。原料として,森口,立石,紅玉の3品種のヤマモモを使用した。得られた結果は次のようなものであった。
    (1) TL含有率は,種子部46.2~50.1%,核部0.4~0.8%であった。
    (2) TL中のNL含有率は,種子部で96.5~97.1%,核部で66.2~70.3%であった。一方,TL中のGLおよびPL含有率はそれぞれ種子部で2.5~2.6%および0.3~0.9%,核部で22.4~24.5%および6.6~9.3%であった。
    (3) 両部位とも,NL中の主要構成脂質は,トリアシルグリセロール(TG,種子部で92.9~95.5%,核部で73.9~77.4%)であった。
    (4) 両部位とも,GL中の主要脂質は,ASGとMGDGであり,一方,PL中の主要脂質は,PCとPSであった。
    (5) 前記4脂質区分(TL, NL, GL, PL)の主要構成脂肪酸は,種子・核ともに,18:2酸,18:1酸,16:0酸であった。しかし,その含有率には,部位間,脂質間において多少の差異がみられた。
  • 橋本 俊郎, 木村 宏忠, 高橋 清
    1985 年 32 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    大豆から熱水抽出して得られる豆乳に,清酒酵母,ワイン酵母およびパン酵母を作用させ,豆乳臭のない大豆蛋白カードを製造した。
    (1) 清酒酵母を接種し培養させることにより,2%グルコースを補糖した牛乳,脱脂乳は凝固しなかったが,同条件で,豆乳は凝固,カード化した。
    (2) 清酒酵母,ワイン酵母およびパン酵母によって,豆乳から得られたカードは,いずれも蛋白質の凝固率86~88%,粗脂肪の凝固率100%と,他の豆乳関連食品(豆腐など)に類似していたが,淡白な味と不快でない発酵臭を有していた。
    (3) 豆乳に接種した清酒酵母は,アルコールと共に酢酸,コハク酸,リンゴ酸を生成し,これらの有機酸が豆乳蛋白質の凝固に主要な役割を果していると推定した。
  • 角田 潔和, 小泉 武夫, 吉沢 淑, 小玉 健吉, 野白 喜久雄
    1985 年 32 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    かつお煮熟水を主成分としたかつお節製造廃水に酵母を用いて処理することを目的に以下の実験を行なった。
    (1) 樹液酵母957株,食品工場排水溝周辺から分離した酵母713株を用いて,かつお節製造工場廃水処理に有効な酵母のスクリーニングを行った。
    (2) 1次,2次,3次スクリーニングを行ない優良な酵母1株を得,目的株とした。
    (3) 最終目的株No. 48を同定したところ,胞子の形状,炭素源の資化性,発酵性などより本株をHansenula anomala var. anomalaと同定した。
    (4) H. anomala var, anomala No. 48を用いて内容積20l容の酵母培養槽に廃水10l入れ,30℃, pH4.0, 0.5vvmの通気をして処理を行い,毎日6.5lずつ新鮮廃水と交換して20日間処理した。処理水のCODは6500ppm,全窒素810ppmまで低下し,酵母がアミノ酸,タンパク質を資化していることが推察された。
  • 平田 孝, 石谷 孝佑
    1985 年 32 巻 4 号 p. 266-273
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    コンピューターシミュレーションを利用した乾のりの防湿包装設計法について検討した。乾のり中のクロロフィルは1次反応で分解した。1次反応速度定数の対数と水分の関係は直線的であった。乾のり,シリカゲルの水分収着等温線は新しい経験式で表わすことができた。こられの結果を基に,乾燥剤封入包装した乾のり中のクロロフィル,水分変化をシミュレートするための数字モデルを開発した。数字モデルより予測された値と実測値は良く一致した。
  • アミ塩辛の香気 第6報
    崔 聖姫, 加藤 博通
    1985 年 32 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    南極オキアミをアミ類塩辛の代替として利用するためこれまで報告した塩辛製造方法をさらに改良した。すなわち保蔵性と風味をよくするため,一定量のソルビトールまたはエタノールを加え熟成させた結果,官能的に好ましいことがわかった。そのフレーバー成分について検討するため,ソルビトールを加えて作った塩辛は各試料に内部標準を入れ,連続蒸留抽出装置を用い,熱成中の香気成分の変化をGC, GC-MS分析を行い,ピラジン12種,アルデヒド8種,アルコール7種,ケトン7種,チアゾール2種およびその他の化合物10種を同定した。熟成によって特にピラジン類とアルコール類が増加した。また,従来の方法により製造した塩辛に比較し,スルフィドなどの含硫化合物およびフルフリルアルコールの含量が少なかった。アルコールを加えて作った塩辛はTenax GCを用いたヘッドスペース分析法により揮発性成分を採取,GCに導入分析した。その結果,醗酵臭を思わせる3-メチル-1-ブタノールと3-ヒドロキシ-2-ブタノンが少なかった。このような揮発性成分の定量的な差が改良した塩辛の好ましいフレーバーに寄与すると考えられる。
  • 梅津 博紀, 一島 英治
    1985 年 32 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    魚肉蛋白濃縮物のペプシン分解物から得られた苦味ペプチド画分に小麦カルボキシペプチダーゼを作用させると,アミノ酸の遊離とともに苦味が消失した。SephadexG-15によるゲルロ過分析の結果,小麦カルボキシペプチダーゼによる苦味ペプチド分解画分は,高分子画分,ジペプチド画分と遊離アミノ酸の3つの画分に分画された。ジペプチド画分におけるアミノ酸組成をみると全体のアミノ酸の50%をグルタミン酸とアスパラギン酸が占めていた。アミノ酸の遊離率が全体として38%のとき,アミノ酸の疎水度を示すΔf値(cal/mol)が1600以上の疎水性の高いアミノ酸の遊離率はプロリンを除いて40~84%と高かった。一方Δf値が1600以下のアミノ酸の遊離率は低い傾向にあった。以上より小麦カルボキシペプチダーゼは疎水性の高いアミノ酸を選択的に遊離させることと,それによって生成する酸性ジペプチドのマスキング効果との相乗作用により苦味を消失させるものと推論された。
  • 中国酢の成分に関する研究(第2報)
    小泉 幸道, 中小路 忠彦, 柳田 藤治
    1985 年 32 巻 4 号 p. 288-294
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    中国酢の遊離アミノ酸,有機酸,香気成分について分析を行い,日本の米酢と比較した。また,香味の官能試験を行った。
    (1) 遊離アミノ酸については,含量の多いのはアラニン,グルタミン酸,リジン,ロイシンで少ないのはトリプトファン,ヒスチジン,プロリン,シスチンであっ
    た。日本の米酢の全アミノ酸量と比較すると,中国酢の方が約10倍多かった。
    (2) 酢酸を除いた有機酸については,乳酸の含量が一番多く,次いでピログルタミン酸であった。
    (3) 香気成分については,アルコール類とエステル類の含量が非常に多かった。
    (4) 香味の官能試験については,酢酸の刺激臭が少なく,焦げ臭,苦味,渋味が感じられた。
    日本の米酢と比較すると,中国酢の方が各成分共,含量が非常に多いのは,原料や製造法の違いによる影響も大きいと推察した。
  • 差スペクトルに基礎を置く分光測光法によるアスコルビン酸の定量(第6報)
    東野 哲三, 藤田 修二
    1985 年 32 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    温州ミカンの果皮には,果実発育過程を通してアスコルビン酸酸化酵素(AAO)の活性が認められる3)ので,まずミカン果皮の分析用試験液の調製条件について検討した。その結果,(1) 試験液調製前に果皮のAAOをマイクロ波処理により完全に破壊しておくこと,(2) 果皮試験液中に含まれる総C定量に対する妨害因子を,あらかじめ酸性白土処理により吸着除去することが必要であることを認めた。これらの前処理を行った後に調製した果皮および果肉試験液中の総C, AsAおよびDAsAを差スペクトル法を用いて分析し,ミカン果実発育中のこれらビタミンCの変動を追跡した。
    ミカン果皮中の総C濃度は果実発育の初期(6月下旬)には高かったが,その後8月中旬までは急速に低下し,成熟期に這入って再び増加するという特徴的な季節的変化がみられた。この総Cのミカン果実中における動的変動を知るために,1果当りの総C量を計算したところ,その量は発育初期より8月下旬までは僅かな増加であったが,それ以降は急激な増加に転じてAsAが果皮内に急速に蓄積されて行くことが認められた。果肉中の総Cについても果皮の場合と同様の変動傾向がみられた。発育各段階におけるミカン果皮および果肉中の総CのほとんどすべてはAsAであり,DAsAは僅少であった。
  • 山下 市二, 川崎 賢一, 片山 脩
    1985 年 32 巻 4 号 p. 301-303
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ホタルイカの塩辛は冷蔵中にしばしば白色物質が析出し,それが消費者の購買意欲を損うため,その原因の究明が望まれていた。
    (1) 無機成分の分析の結果,食塩等の塩類ではないことが分った。
    (2) 析出区と非析出区のアミノ酸分析,顕微鏡観察および析出物質の部分精製後のアミノ酸分析の結果,白色析出物がチロシンの結晶であることが分った。
    (3) ホタルイカの肝臓中には,100gあたり約240mgのチロシンが遊離の形で含まれており,冷水に極めて難溶であるために,塩辛冷蔵中に結晶化するものと考えられる。
  • 島立 征夫
    1985 年 32 巻 4 号 p. 304-314
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 生田 博司
    1985 年 32 巻 4 号 p. 315-792
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 4 号 p. A25-A34
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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