温州ミカン搾汁かすの二次搾汁液から糖液を回収するため,遠心分離機,セライト濾過およびイオン交換樹脂の組合せによる精製条件を検討し,次の結果を得た。
(1) 温州ミカン搾汁かすの圧搾率は,消石灰0.3%添加区が30%を示し,無添加区の11.3%に比べ2倍以上の効果を示した。消石灰添加によりpH,灰分およびフラボノイド含量が高くなったが,全糖やアミノ態窒素への影響は認められなかった。
(2) イオン交換樹脂によるフラボノイドの吸着をバッチ法で行ったところ,HP-20の36.2%, S-861の35.2%およびWA-30の30.9%などが良い効果を示した。カルシウムの除去ではSK-1BおよびPK-218が約80%の除去効果を示した。
(3) カラム法による連続処理試験の結果,HP-20およびWA-30を用いた脱苦味処理で約4時間,SK-1Bを用いた脱カルシウム処理で約3時間の連続処理が可能であった。
(4) イオン交換樹脂の処理順序を検討した結果HP-20→WA-30→SK-1B→WA-30のA法およびWA-30→SK-1B→WA-30→HP-20のB法が良好な結果を示した。
(5) 二次搾汁液の時期別糖組成はシュクロース36.2~44.7%,グルコース26.3~31.0%,フラクトース25.3~28.5%およびマルトース3.7~4.9%で,1月以降後半になるほどシュクロース含量が高くなり,糖含量は1月中旬が11.3%で最高値を示した。
(6) 香気成分量はセライト濾過後に24.3%, HP-20の処理で4.2%,最終製品で0.7%に減少し,二次搾汁液の臭気はほぼ完全に除去できた。
(7) 二次搾汁液を脱苦味,脱色,脱臭後精製,濃縮し全糖60%の糖液を得た。糖組成はグルコース33.5%,シュクロース30.6%,フラクトース30.3%,マルトース5.6%でその他の成分は微量で無色透明の濃縮糖液が得られた。
(8) 二次搾汁液の精製工程で液ロスは3~5%を示し,全糖60%を含む最終濃縮糖液は,二次搾汁液に対し11%の収率を示し,温州ミカン原料に対し1.7%の収率となった。
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