日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
32 巻, 7 号
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  • 田中 芳一, 東 敬子, 平田 孝
    1985 年 32 巻 7 号 p. 457-462
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    保存中の市販無菌調製豆乳の品質評価指標を設定するために,各種生菌数,官能検査,色調変化,pH,酸化還元電位(ORP),化学発光量,遊離アミノ酸含量等について検討した。工場で入手した製造直後の豆乳を5, 25,37℃の各温度区で0~2カ月保存し,各実験に供した。菌数測定の結果,微生物汚染は観察されなかった。官能検査では25℃2カ月保存のもの,37℃半月保存のものは明らかな変質(P<0.01)が認められた。色調変化として黄色から白色,または退色への移行傾向があった。pHは保存直後にわずかに酸性側に変化した。高温に保存したものはORPが低下し,また化学発光量が増加した。遊離アミノ酸の組成や含量は変化しなかったが,アンモニアの生成が観察された。アンモニア含量は保存温度,保存期間に高い相関性をもっており,アンモニアが豆乳の品質評価指標として有効であると思われた。
  • 田中 芳一, 東 敬子, 平田 孝
    1985 年 32 巻 7 号 p. 463-466
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市販の無菌調製豆乳を,5, 25, 37℃にて0~2ヵ月保存したときに生成される揮発性物質を,GC,およびGC-MSで分析した。その結果,アセトン,n-ペンタンを含む14種類の揮発性物質を検出し,同定した。このうち,アセトアルデヒド,アセトン,n-ペンタン,n-ヘキサナールは豆乳の保存温度,保存期間に高い相関性をもって増加していた。アセトンとn-ペンタンの増加は特に著しく,豆乳を37℃で2ヵ月保存するとアセトンは約15倍,n-ペンタンは約17倍に増加した。アセトンは揮発性物質中に占める量も多いので,この無菌豆乳の品質評価指標として有効であることを示唆していた。次に,アセトン,およびアンモニアを指標として無菌豆乳のシェルフライフについて検討した。
  • 熊田 文子, 久保田 紀久枝, 小林 彰夫
    1985 年 32 巻 7 号 p. 467-470
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    未加熱および加熱時のビート調味液の揮発性成分を抽出し,GCおよびGC-MSを用い分析・同定を行い次の結果を得た。
    (1) 未加熱の調味液から揮発性成分として13種を同定し,甘いにおいには,ラクトン類,シクロペンテノン類,バニリンが,薬品臭および不快臭には,ビニルフェノールが関与していることがわかった。
    (2) 加熱時の調味液から揮発性成分として43種を同定し,未加熱時のにおい成分に加えて,3-メチルブタナール,含硫化合物,ピラジン類,メトキシフェノール類等が大きくにおいに寄与すること,加熱調理によりにおいがさらに複雑になることがわかった。
  • パーボイルド米に関する研究(第1報)
    伊藤 和彦, 川村 周三
    1985 年 32 巻 7 号 p. 471-479
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    比較的大型実験装置を用い,生もみを供試材料としてパーボイルドライスの合理的な調製条件を見い出すことを目的として実験を行なった。その結果,浸漬時間,蒸煮温度(蒸煮中の材料温度),蒸煮時間および糊化積算温度などパーボイリング条件とパーボイリング処理後のもみの乾燥速度および玄米品質との間に相関関係があることを知った。パーボイリング処理を行うことによってもみの乾燥速度は増加し,玄米物性も各種の変化を受けることを知った。すなわち,(1) 粒厚,容積重,白度が減少する。(2) 光度が増加し,胴割率が糊化積算温度400~1000(℃・min)の範囲内で増加する。(3) 剛度,吸水率が増加する,(4) 脂肪酸度はその増加が抑制される。
    良品質のパーボイルド米を少ないエネルギーで調製するためには原材料として高水分生もみを使用することが望ましい。
  • 魚肉内における塩類の移動速度(第2報)
    酒井 信, 鈴木 翼
    1985 年 32 巻 7 号 p. 480-485
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Penetration and extraction (desalting) of various salts in tuna flesh had been studied under various conditions in our previous paper. In this study, tranfer rates of NaCl have been measured for flesh of river chum (pre-spawning river chum salmon) and ocean chum (pre-spawning chum salmon caught in the North Pacific Ocean), in comparison to tuna flesh and the penetration rates into both salmon flesh through skin have also been evaluated. Observed concentration distributions and amounts of penetrated salt in flesh were explained by FICK's law of diffusion. And for both direction of diffusion, parallel to or perpendicalar to fiber, there were no differences in mechanism and in diffusivities. As flesh, especially in river chum, swelled and shrank in contact with certain concentration of salt solution, the amount of salt per unit volume of swollen flesh in equilibrium were used as surface concentration in the above calculation. And this treatment was certified experimentally in short time penetration. The rates of penetration into both flesh through skin were also expressed by diffusion in composite media and by diffusion accompanied surface resistance. The diffusivity of NaCl in the skin of river chum was larger than the other one, but its over-all resistance through skin was also larger caused by its larger thickness of skin.
  • パン製造中の工程条件に関する研究(第9報)
    弘中 泰雅
    1985 年 32 巻 7 号 p. 486-492
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    ストレート法フランスパンの発酵条件(捏上温度,発酵時間,パンチの有無,ホイロ時間)を要因とし直交表L8に基づいて実験の割り付けを行い,製品のクラムとクラスト中の香気成分量に与える各要因の効果を検討した。
    (1) クラム中でアルコール類はホイロ時間の延長に伴って減少したが,クラスト中のアルコール類に対して要因の効果は保証されなかった。
    (2) クラム中のiso-ブチルアルコールとアセトンの合計残量はパンチの実施,捏上温度の上昇により増加した。
    (3) クラスト中のアセトアルデヒドは捏上温度に強く影響され捏上温度が低い方が増加した。またアセトアルデヒドは発酵時間が短く,パンチを実施し,ホイロの長い方が増加したが,アセトンも同様であった。
    (4) プロピオンアルデヒド,iso-ブチルアルデヒドに対して4つの要因は効果を示さなかった。
    (5) ダイアセチルは捏上温度が低い方が増加した。
    (6) カルボニル化合物がクラムよりクラストに多いことより,これらの化合物が焼成中に生成されることが示唆された。
    (7) エチルアセテートは捏上温度が低く発酵時間が短い方が増加した。
  • 桑田 有, 大友 英生, 堀 悦子, 山本 良郎
    1985 年 32 巻 7 号 p. 493-499
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ホエータンパク質の溶解性,熱安定性向上には,脱脂より脱塩が効果的であった。また,ホエー濃縮等の製造工程上で生成する変性タンパク質量も低減された。
    ホエータンパク質の等電点付近での加熱,あるいは高濃度の塩類存在下での加熱によるタンパク質分子間での凝集は,脂肪の除去で若干促進された。
    ホエータンパク質の加熱による凝集不溶化は,可溶性凝集体(SA)の形成を経て起こるが,カルシウムのようなタンパク質分子表面の正味荷電を中和する効果の大きいカオチンは,微量の存在でSAの巨大化をも促進した。カルボキシメチルセルロースを用いて調製した塩類,脂質,糖質をほとんど含まないWPIは,タンパク質濃度1%において塩化ナトリウム共存下で加熱した場合(80℃ 15分間),0~0.15Mの添加まではSA量が顕著に増加したが,それ以上では不溶性の凝集体を形成し,溶解性が低下した。一方WPCは,塩類を既にある程度含んでいるため,SAの形成量はいずれの場合もWPIに比較して下まわった。
  • イオン交換樹脂によるカンキツ果汁の品質改善と果皮利用に関する研究(第4報)
    前田 久夫, 高橋 保男, 三宅 正起, 稲葉 伸也, 伊福 靖
    1985 年 32 巻 7 号 p. 500-508
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    温州ミカン搾汁かすの二次搾汁液から糖液を回収するため,遠心分離機,セライト濾過およびイオン交換樹脂の組合せによる精製条件を検討し,次の結果を得た。
    (1) 温州ミカン搾汁かすの圧搾率は,消石灰0.3%添加区が30%を示し,無添加区の11.3%に比べ2倍以上の効果を示した。消石灰添加によりpH,灰分およびフラボノイド含量が高くなったが,全糖やアミノ態窒素への影響は認められなかった。
    (2) イオン交換樹脂によるフラボノイドの吸着をバッチ法で行ったところ,HP-20の36.2%, S-861の35.2%およびWA-30の30.9%などが良い効果を示した。カルシウムの除去ではSK-1BおよびPK-218が約80%の除去効果を示した。
    (3) カラム法による連続処理試験の結果,HP-20およびWA-30を用いた脱苦味処理で約4時間,SK-1Bを用いた脱カルシウム処理で約3時間の連続処理が可能であった。
    (4) イオン交換樹脂の処理順序を検討した結果HP-20→WA-30→SK-1B→WA-30のA法およびWA-30→SK-1B→WA-30→HP-20のB法が良好な結果を示した。
    (5) 二次搾汁液の時期別糖組成はシュクロース36.2~44.7%,グルコース26.3~31.0%,フラクトース25.3~28.5%およびマルトース3.7~4.9%で,1月以降後半になるほどシュクロース含量が高くなり,糖含量は1月中旬が11.3%で最高値を示した。
    (6) 香気成分量はセライト濾過後に24.3%, HP-20の処理で4.2%,最終製品で0.7%に減少し,二次搾汁液の臭気はほぼ完全に除去できた。
    (7) 二次搾汁液を脱苦味,脱色,脱臭後精製,濃縮し全糖60%の糖液を得た。糖組成はグルコース33.5%,シュクロース30.6%,フラクトース30.3%,マルトース5.6%でその他の成分は微量で無色透明の濃縮糖液が得られた。
    (8) 二次搾汁液の精製工程で液ロスは3~5%を示し,全糖60%を含む最終濃縮糖液は,二次搾汁液に対し11%の収率を示し,温州ミカン原料に対し1.7%の収率となった。
  • 佐藤 恵理, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1985 年 32 巻 7 号 p. 509-521
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    野生および栽培キノコ113種について,アミノ酸自動分析計により非タンパク性アミノ酸11種を含む,遊離アミノ酸31種類の分離定量を行った。遊離アミノ酸組成はTable 2に示した。
    (1) 分析した試料113種の遊離アミノ酸量の総量は,乾燥試料1g当たり平均213μmolで,種によって大きく差異があった。
    (2) 遊離アミノ酸の分布は,アラニン,グルタミン酸,グルタミン等の含量が多く,ほとんどのキノコに存在が認められ,キノコ類の主要な遊離アミノ酸となっていた。一方,メチオニン,シスチン,トリプトファン,フェニールアラニン含量は低く,今回の分析では検出されない種もみられた。
    (3) 非タンパク性アミノ酸は,全般に微量であったがオルニチン含量が高く,γ-アミノ酪酸,シスタチオニン等と共に,広くキノコ類に存在が認められた。
    (4) 遊離アミノ酸組成のパターンからは,キノコの化学的分類の指標となるような明確な相関は認められないようであるが,一部のキノコに特定のアミノ酸が特異的に存在し,種の特徴となっているものがみられた。
  • 小宮山 美弘, 原川 守, 辻 政雄
    1985 年 32 巻 7 号 p. 522-529
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本邦産果実類14属17種類の成熟期や貯蔵中(20±3℃)における糖含量及び糖組成の変化をHPLCで分析調査し,主要構成糖に基づく果実類の分類と糖組成の変化に対する考察を行った。(1) 果実の主要構成糖はショ糖,ブドウ糖,果糖及びソルビトールであった。
    (2) 収穫適熟期の果実の糖組成から果実類を分類すると以下のようである。ショ糖型(全糖の50%以上を含む):カキ,モモ,ネクタリン,追熟後のバナナ,完熟期のスモモとメロン;還元糖型(全糖の50%以上を含む):(i) ブドウ糖型(果糖より25%以上多い):オウトウ,ウメ。(ii) 果糖型(ブドウ糖より25%以上多い):リンゴ,ナシ。(iii) 等量型(両者の差が25%以内):イチゴ,ナシ,ウンシュウミカン,トマト;平衝型(ショ糖,ブドウ糖,果糖含量の比が25%以内):イチゴ,スモモ;ソルビトール型:リンゴを除いたバラ科果実全てに含まれ,0.2~1.45%の含量を示す。
    (3) 成熟期ではイチゴを除いて顕著な全糖分の増加がみられ,なかでもショ糖の増加率が大きいが,完熟期になると減少する果実もみられた。スモモとメロンは他の果実に比較してショ糖の増加は特に顕著であった。
    (4) 貯蔵中の全糖分は,ウメ,スモモ,メロンのように減少率の大きい果実を除くとその変化は少なかった。構成糖の変化はショ糖の加水分解と思われるブドウ糖と果糖の増加がみられる果実が多く,カキは特に貯蔵後期に顕著であった。ナシ('長十郎')はブドウ糖のみが増加した。ウンシュウミカンではショ糖の著しい増加がみられた。一方ウメは還元糖,スモモとメロンは構成糖の全てが減少した。
    (5) ソルビトールは成熟期に増加し,貯蔵中で減少した。
  • 斎藤 正三郎
    1985 年 32 巻 7 号 p. 530-536
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 官能検査におけるデータ処理
    吉川 誠次
    1985 年 32 巻 7 号 p. 537-543
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 大槻 憲二, 後藤 洋一
    1985 年 32 巻 7 号 p. 544-545
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 7 号 p. A49-A54
    発行日: 1985/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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