日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
33 巻, 11 号
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  • 難波 和美, 長沢 太郎
    1986 年 33 巻 11 号 p. 745-751
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    豆乳にカルシウムを強化する目的で,豆乳の膠状的安定性に及ぼすカルシウム塩の影響について,遠心分離による可溶性窒素の減少率(%),pHおよび粘度などの諸点から検討した.また,豆乳のカルシウム塩による複雑な凝固現象解明のために,7Sおよび11Sグロブリンの影響についても併せて検討し,以下に示す主要な結果が得られた.
    (1) 豆乳および7S, 11Sグロブリン溶液に対して最も強い凝結力を示したものは供試塩中,塩化カルシウムであり,以下硫酸カルシウム,クエン酸カルシウム,リン酸カルシウムの順であった.
    (2) 7Sおよび11Sグロブリン溶液のCa2+による分散性は緩衝液のpHの上昇により向上した.
    (3) 安定剤として20mMリン酸水素2ナトリウムおよび20mMクエン酸ナトリウムを豆乳に添加後,19mMの塩化カルシウムを強化しても沈殿は生じなかった.一方リン酸塩の場合,ピロリン酸ナトリウムでは15mM,トリポリリン酸ナトリウムでは10mMで沈殿防止に有効であった.従ってリン酸塩の場合,リン酸の鎖長の増加により少量のモル濃度でカルシウムによる豆乳の分散性が改善された.
    (4) 20mMクエン酸ナトリウム,20mMリン酸水素2ナトリウム,15mMピロリン酸ナトリウム,10mMトリポリリン酸ナトリウムをそれぞれ添加した豆乳に19mMの塩化カルシウムを加え,4℃で1週間貯蔵した際,タンパク質やカルシウムの凝固,沈殿は認められず安定であった.
  • 包装食品の微生物変敗防止に関する研究(第10報)
    内藤 茂三, 志賀 一三, 山口 直彦
    1986 年 33 巻 11 号 p. 752-758
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 5~10℃で保存中に生じるゆで麺の紫変現象は微生物に起因し,本菌は冷却及び包装工程での二次汚染菌でありJanthinobacterium lividumと同定した.本菌による紫色素の生産は20℃, pH 6において最適であり,生育は5℃, pH 6が最適であった.また本菌は生育及び色素生産に充分な酸素を必要とし,酸素の供給が充分でない場合には生育も色素生産も認められなかった.
    (2) 今回,分離したJ. lividumは熱に極めて弱く,70℃加熱10分により完全に死滅した.また本菌のオゾン殺菌効果は2段階に分かれ,D値は10分間処理までは1.7,それ以降は5.0となった.またオゾン処理10分で色素生成が不能となり,すべて灰白色コロニーとなった.
  • 包装食品の微生物変敗防止に関する研究(第14報)
    内藤 茂三, 志賀 一三, 山口 直彦
    1986 年 33 巻 11 号 p. 759-763
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) ゆで麺より分離したJ. lividumの生産する紫色素をViolaceinと同定した.
    (2) 精製したViolaceinの抗菌力を18種類21菌株について検討した結果,B. megateriumについては4菌株について検討し3菌株に対して抗菌力が認められたが添加量を増加することによる抗菌力の増加は認められなかった.しかし高温性のBacillus 4菌株に対しては顕著な抗菌力が認められ,添加量の増加に伴い抗菌力は増加した.その他のBacillus, Micrococcusに対してもViolaceinは抗菌力を示した.一方,グラム陰性桿菌に対しては全く抗菌力を示さず,逆にJanthinobacterium, Chromobacterium及びPseudomonasに対しては増殖促進効果を示した.
  • 阿彦 健吉, 堂迫 俊一, 本多 芳彦, 井筒 雅, 川村 貞夫, 種谷 真一, 十河 幸夫
    1986 年 33 巻 11 号 p. 764-768
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 酸凝固させた径0.8mmの大豆タンパク質の糸状凝固物を室温で中和固定化すると,pH 4~6の酢酸ソーダまたは第二リン酸ソーダ溶液は等電点付近にまで数分間で中和したが,同じ条件で食塩水は長時間を要した.
    (2) 食塩水を用い,加熱して中和固定化すると,加熱温度50~80℃,加熱時間2.5~10分間の範囲で,高温,長時間の方がタンパク質溶出量が増加した.
    (3) 食塩水がpH 4.5のとき,または加熱温度50℃のとき,食塩濃度2.5%で有意にタンパク質溶出量が少なかったが,pH 6.5,または加熱温度65℃の条件下ではタンパク質の溶出量は食塩濃度に無関係であった.
    (4) 以上の結果から,食塩水による加熱中和固定化においては,pH 6.5の5%食塩水中で70℃ 10分間浸漬することが実用的と思われた.
  • そばの香りに関する研究(第2報)
    青木 雅子, 小泉 典夫
    1986 年 33 巻 11 号 p. 769-772
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 石臼挽きしたそば粉から連続蒸留抽出装置(SDE装置)にて香気濃縮物を得,ガスクロマトグラフィーによる分析を行ない主要成分の含有量を求めた.
    (2) 更に1の主要成分について官能検査の手法を用いて閾値を求め1の結果とから各物質についてのオーダーユニットを算出した.
    (3) 2の結果によりnonanal, octanal, hexanal等がオーダーユニットが高くそば粉の香気成分として重要なものであることが分った.
    (4) 一方,そばを石臼製粉した直後から経時的にその香気濃縮物をガスクロマトグラフィーにて測定した結果nonanalを主成分とするピーク,hexanal, salicylal-dehyde, acetophenoneの製粉後1~2日間に於ける減少が著しかった.
    (5) 以上の結果より,砕きたてのそば粉の香りを特徴付けるものとしてnonanal, hexanalが重要な香気成分であることが分った.
  • 沢村 正義, 黒岩 範久, 栗山 敏直, 楠瀬 博三
    1986 年 33 巻 11 号 p. 773-778
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    無核ユズの酸用カンキツとしての特性について緑色果および黄色果についてユズと比較し,検討した.
    (1) 無核ユズはユズに比較し,緑色果および黄色果共に果実重量は小さく1/2であるが,種子をほとんど含まず,搾汁率が約30%でユズより2倍高かった.
    (2) 酸糖比(糖酸比の逆数)は無核ユズの緑色果で3.29,黄色果で2.08であり,一方,ユズではそれぞれ,1.20, 2.44であった.
    (3) アルコール不溶性固形物中のペクチン含量は無核ユズで低く,ユズの1/2であった.果汁の物理恒数は粘度以外はほぼ同じであった.粘度は無核ユズの方がユズよりも低かった.
    (4) 果汁のカロテノイド含量,果汁の色,アスコルビン酸含量はいずれも無核ユズとユズで大差なかった.3点識別試験法による官能的評価では,食味の点で,無核ユズとユズとの間に有意差はみられなかった.
    (5) 果皮油の収量は黄色果の無核ユズでユズより約2倍多かった.果皮油の組成割合は無核ユズとユズでほぼ同じであった.
  • 中林 敏郎, 鈴木 邦男
    1986 年 33 巻 11 号 p. 779-782
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    焙煎に伴うコーヒー豆の著しい膨化と脆化の原因を明らかにする為に実験を行ない,次の事実を明らかにした.
    (1) 焙煎により豆の体積はイタリアンローストで約70%増となり,比重は生豆の1.16がイタリアンローストでは0.49と軽くなった.
    (2) 豆の圧縮強度は生豆の51.8kgからイタリアンローストでは1.72kgと著しく脆くなった.
    (3) 走査型電子顕微鏡観察により,焙煎の進行に伴なって表面のき裂は次第に大きく深くなると共に,豆の内部に球状の空胞が発達してスポンジ状となり,さらにイタリアンローストでは空胞壁の破壊もみられた.
    (4) この豆の内部組織のスポンジ化が豆の膨化と脆化の直接の原因であることを確かめると共に,焙煎時の熱反応の進行について組織学的に若干の考察を行なった.
  • 湯葉製造過程における生成膜中の成分含量の変化(第2報)
    岩根 敦子, 安井 健, 堤 忠一
    1986 年 33 巻 11 号 p. 783-785
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    湯葉に含まれる低分子量炭水化物の同定を行なった結果,シュクロースとスタキオースが多く,ついでラフィノースであった.
    この三種類の糖類を対象として,特定した鍋で連続的に生成した1番目の生成膜(f1)から最終の14番目の生成膜(f8)まで,湯葉の生成した順序に8区分の試料に分別し,含量の変動をみた.
    生成膜中のシュクロース,ラフィノースおよびスタキオース含量は加温初期に生成した膜で低く,加温終期に生成した膜で高くなる傾向が認められた.
    本実験の試料ではf4~f5以降に生成した膜において炭水化物含量の増加が認められた.
    豆乳中の低分子量炭水化物は水溶性のため,順次濃縮され湯葉生成に伴って水と共に膜中へ移行し,最終生成膜で高含量になることが推定された.
  • 三社柿の利用に関する研究(第2報)
    中川 秀幸, 中嶋 實, 山下 市二, 青木 章平
    1986 年 33 巻 11 号 p. 786-790
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    脱渋した三社柿の果汁を用いて,柿酢製造のためのアルコール発酵を行い,発酵過程中における有機酸組成,糖組成および遊離アミノ酸等の変化を調べた.
    (1) 脱渋した三社柿から調製した果汁(屈折計示度12)に予め前培養したワイン酵母を5%接種してアルコール発酵を行ったところ,25℃, 3日間で発酵がほぼ終了し,エタノール濃度は6.2% (w/v)となった.
    (2) 有機酸は,脱渋,凍結果汁中にはリンゴ酸およびガラクチュロン酸が比較的多く含まれていたが,発酵初期にリンゴ酸は急激に減少した.また,ガラクチュロン酸は徐々に減少した.
    (3) 脱渋,凍結果汁中では,グルコースおよびフルクトースが主要な糖成分であり,ほぼ等量含まれていた.アルコール発酵過程においては,グルコースの方がフルクトースより優先的に消費された.
    (4) 脱渋,凍結果汁中には,γ-アミノ酪酸およびグルタミンが遊離アミノ酸として多く含まれていた.大部分のアミノ酸は発酵過程中に減少したが,プロリンだけは逆に増加し,発酵開始後6日目には全遊離アミノ酸の67%となった.
    (5) 発酵開始後6日目の果汁について食味を調べたところ,脱渋はほぼ完全で渋味は感じられず,軽い口触りで若干の酸味があった.色彩は,黄色味を帯びた橙色であったが,わずかに白濁していた.
  • 堤 将和, 森 佳光, 金田 弘挙
    1986 年 33 巻 11 号 p. 791-797
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    産卵鶏初生ヒナ(雄)の有効利用の一方法として,これよりチキンエキスを調製した.まず高い窒素含量のエキスを得るため,二三の基礎的実験を行った.
    (1) 熱水抽出の前処理として,タンパク質分解酵素によるひき肉の酵素分解を試みた.この際ひき肉けん濁液の防腐のため,数種の抗菌剤の効果を検討し,1%グリシンと3%塩化ナトリウムの併用が防腐剤として適当であることを明らかにした.
    (2) 酵素分解の条件について検討した.その結果,ひき肉中の各種加水分解酵素の活用,豚の肝臓,すい臓,腎臓の混合ホモジネートの添加,市販のタンパク質分解酵素の併用により,原料ひき肉の総窒素の約82%が非タンパク質態窒素として可溶化した.
    (3) 以上のような結果を基に,ひき肉からチキンエキスを調製した.得られたエキスはフレーバーの生成が悪く,そのままでは調味料として不適当であったので,微生物用培地としての利用を試みた.チキンエキス培地はグラム陰性菌(Escherichia coli, Proteus vulgaris)用培地としてとくに栄養素の補足は必要でなかったが,グラム陽性菌(Bacillus subtilis, Staphylococcus aureus)用培地としては酵母エキスなど栄養素の補足が必要であった.酵母(Saccharomyces cerevisiae, Saccharomyces rouxii)用培地としてはグルコースの補足が必要であった.
  • 野口 明徳, 五十部 誠一郎
    1986 年 33 巻 11 号 p. 798-804
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 松本 幸雄
    1986 年 33 巻 11 号 p. 805-811
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 33 巻 11 号 p. A85-A92
    発行日: 1986/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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