日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
33 巻, 4 号
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  • 石田 欽一
    1986 年 33 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    穀粉ゲルの硬化抑制に対する各種酵素(α-アミラーゼ,β-アミラーゼ,グルコアミラーゼ,パパイン)の添加効果を検討した.
    (1) 米粉及び小麦粉のアミログラム最高粘度は酵素の添加により低下したが,中でもα-アミラーゼの影響が一番大きく,β-アミラーゼの影響が一番小さかった.またパパインは小麦粉により大きく影響し,β-アミラーゼは米粉により強く影響した.
    (2) 米粉ゲルに対する酵素の硬化抑制はβ-アミラーゼは他の酵素よりも多くの添加量が必要であるが,製造直後のゲルのゲル強度は酵素の無添加のゲルとくらべて差が少なく,かつ保存中のゲル強度の上昇が遅く,硬化の抑制効果が顕著であった.一方,α-アミラーゼ,グルコアミラーゼは添加することによってゲル強度の低下をもたらし,ゲル強度の上昇抑制効果はあるものの,製造後の粘弾性を変えずに硬化抑制をはかるという点からみると,好ましい添加効果でなかった.またパパインの効果は非常に弱かった.
    (3) 小麦粉ゲルに対してはα-アミラーゼの添加は非常に低濃度でもゲル強度の極めて低いゲルとなった.他の酵素では,β-アミラーゼ,パパインにわずかな硬化抑制効果がみられた.
    (4) 小麦粉ゲルの硬化抑制に対するβ-アミラーゼ,パパインの併用効果を検討したが,顕著な効果はみられなかった.(5) 高水分系穀粉菓子への応用としてβ-アミラーゼをういろうに添加した結果,0.05%の添加で著しい硬化抑制効果がみられた.
  • ジャガイモのグリコアルカロイドに関する研究(第1報)
    小机 信行, 水野 進
    1986 年 33 巻 4 号 p. 232-237
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィーによるジャガイモのグリコアルカロイド(PGA)の測定法を検討した.
    (1) ジャガイモよりPGAをクロロホルム:メタノール(2:1, v/v)で抽出した.HPLCの条件は,充填剤としてNucleosil NH2 (10μm)を4.0mm I.D.×15cmと4.0mm I.D.×25cmのステンレスカラム管にパックし,それを直列に連結した.溶離液はテトラヒドロフラン:0.025Mリン酸一カリウム緩衝液・アセトニトリル(50:25:25, v/v)を使用し,検出波長を208nm,流速を1ml/mimとした.
    (2) 本法よりα-チャコニンは7.4分,α-ソラニンは11.4分後に溶出し,2者は完全に分解することがわかった。また1分析するのに15分以内で完了し,本法がPGAを分析するのに良い方法であることを知った.
    (3) PGAの回収率を調べたところ,α-チャコニンは96.8%,α-ソラニンは89.8%であった.また両物質の熱安定性については,150℃までは比較的安定であったが,180℃以上になると分解が起った.
    (4) ジャガイモを3部位に分け,さらにそれぞれの部位における皮層部,髄質部のα-チャコニン及びα-ソラニンを測定したところ,両物質は皮層部に多く偏在し,α-チャコニンはα-ソラニンよりも約1.5~2.0倍多かった.また両含量は基部及び頂部の皮層部に多く,中央部は両端部よりも少なかった.なお髄質部は極端に少なく,ことにα-ソラニンは痕跡程度であった.
  • 柳本 正勝, 久保 直哉, 柳本 武美
    1986 年 33 巻 4 号 p. 238-243
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    系列データの新しい処理法である最大周辺尤度平滑化法により,家計調査年報(1963~1982年)を資料として野菜の消費傾向を解析した.本法がかかる解析に優れた手法であることが明らかになると共に,以下の知見を得た.
    (1) 生鮮野菜の家庭での年間消費量はこの20年で増加から減少に転じたといえ,そのピークは1973年と計算された.
    (2) 根菜の消費量がほぼ直線的に増加したのに対し,果菜の消費量は増加から減少に転じている.
    (3) 果菜のこの傾向は特定の品目によってもたらされたものでなく,果菜類の野菜6品目中5品目が似た傾向にあった.
    (4) 根菜類の中ではにんじんの消費が一番堅調であり,加速度的増加から直線的増加へと推移した.
    (5) 減少傾向が最も著しいのははくさいで,その消費は減少速度を速やめた.
  • 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1986 年 33 巻 4 号 p. 244-249
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    干し椎茸の水もどしと加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間が吸水量,褐変化ならびにRNA量と5'-GMPの消長に及ぼす影響を検討し次の結果を得た.
    (1) 干し椎茸の水もどしに要する時間は水温が高くなるほど,また菌傘が薄い程短くなる傾向にあり,平均して5℃で4時間,25℃で2.5時間で最大吸水量の90%に達する.
    (2) 高温での水もどしは吸水量の減少やもどし汁の褐変を進行させる.
    (3) 水もどしによりRNA量は経時的に減少し,水温が高くなる程減少の程度は著しい.(4) 水もどし中の5'-GMP量は低レベルであり,40℃以下の水もどしでは減少する.
    (5) 水もどし後の加熱調理により,RNA量は減少し,5'-GMP量は増加するが,長時間の水もどしや,高温での水もどしでは5'-GMPの増加が小さくなるか,ほとんどなくなる.
    以上の結果より干し椎茸の水もどしに好ましい条件として,低温か室温で必要な軟化を示す最少時間もどすことが適していると考察した.
  • 川井 英雄, 菅原 龍幸, 松沢 睦子, 角屋敷 佳代子, 青柳 康夫, 細貝 祐太郎
    1986 年 33 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    野生食用キノコ24種27点と栽培種5種6点について,K, Na, Ca, Mg, P, Fe, Cu, Zn, Mn, Cd, Pb, ASおよびHgの13種元素の含有量を測定した.これらのキノコは主に東京,東北地方,中部地方において,1979年および1980年に採取または購入したものである.
    元素の含有量は乾燥重量当たりで以下にご示す範囲であった.K: 1.1~5.3%, Na: 11~267mg/100g, Ca: 5~342mg/100g, Mg: 59~299mg/100g, P: 59~1938mg/100g, Fe: 4.9~419.4mg/100g, Cu: 0.2~23.2mg/100g, Zn: 0.4~16.3mg/100g, Mn: 0.8~10.2mg/100g, Cd:0.0~38.8ppm, Pb: 0.0~17.1ppm, AS:0.0~18.0ppm, Hg: 0.0~6.3ppm.
    キノコの種の違いによって無機質含有量に著しい差がみられた.同種間では無機質量にいくつかの特徴が認められた.
  • 山内 享, 木村 貞司, 梅沢 勝正, 大武 由之
    1986 年 33 巻 4 号 p. 256-262
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    豚骨脂あるいはグルコースを唯一の炭素源とする培地でCandida lipolyticaを培養した.
    グルコース培地での培養に比べて,骨脂培地のほうが菌体収量が明らかに多く,菌体の脂質含量も骨脂培地での培養は,グルコース培地での培養によるよりも多かった.菌体総脂質中の中性脂質含量は,両基質でほぼ同じであったが,骨脂培地での菌体はグルコース培地のものよりも,リン脂質が多く,糖脂質は少なかった.
    骨脂培地で酵母を培養した後の基質から抽出した脂質は,かなりの量の遊離脂肪酸と少量のジアシルグリセロールおよびモノアシルグリセロールを含んでいた.このことから酵母は,トリアシルグリセロールを加水分解して生長し,加水分解で生じた脂肪酸を菌体に取り込んで菌体脂質の構成に利用していると認められた.
    酵母菌体の中性脂質は,大部分トリアシルグリセロールと遊離脂肪酸より成り,それにジアシルグリロールと少量のモノアシルグリセロールおよびステロールエステルを含んでいた.酵母の極性脂質の主な成分は,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルコリン,ホスファチジルセリン,セラマイドモノヘキソサイド,セラマイドジヘキソサイドであった.
    これら酵母菌体の脂質成分の脂肪酸組成を,骨脂およびグルコース培地で培養したC. lipolyticaの菌体脂質について比較検討を行った.
  • 竹山 恵美子, 福島 正子, 川原田 璋, 岡本 奨
    1986 年 33 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆およびその加工品としてきな粉,納豆,味噌,おからについてVAN SOESTのdetergent fiber法を用いて食物繊維の分析を行い,セルロース,ヘミセルロース,リグニン量を求め,さらにペクチン,粗繊維を定量し,加工によりどのような影響を受けるか比較検討した.その結果味噌や納豆の発酵食品ではヘミセルロース,ペクチン等の減少が認められた.また,きな粉については加工中の加熱によりNDF値が著しく高くなることがわかった.一方おからでは食物繊維各成分および粗繊維が豊富に含まれており,食物繊維の素材として有用であると考えられる.
    次にきな粉のNDF値の異常に関連し,大豆の乾熱処理による影響を調べたところ,大豆は乾熱処理によってNDF以外の不溶性成分を生成し,それがNDF区分として分画されることがわかった.
    さらにこのNDF区分をケルダール法により定量したところ,乾熱の影響の大きいものほど窒素含量が多く,またペクチン含量もやや増加することがわかった.一方,脂肪の関与は見られなかった.
    Perkin Elmerの示差走査熱量計で大豆の乾熱処理の影響を調べたところ,脂肪による影響はほとんどみられず,水に不溶性の部分はその影響をほとんど受けないのに対し,水溶性の部分は乾熱の影響を受けやすいことがわかった.
    これらのことから,タンパク質成分を主とし,ペクチン等を含む水溶性成分が,乾熱の影響を受けて不溶化し,NDF区分に混入分画されたことを明らかにした.
    一方,これらの不溶性含窒素成分をタンパク質分解酵素で分解したところ,ほとんど消化された.この部分は食物繊維定量時に除去を要するので,試みにNDF定量以前に酵素処理を行ったところ,その結果にかなりの改良が見られた.
    したがって,大豆の乾熱加工品“きな粉”においては,VAN SOESTのdetergent fiber法をそのまま適用しても真のNDFを定量することは困難であり,タンパク質分解酵素を用いる等の改良が必要である.
  • 担子菌による甘蔗廃糖蜜の脱色(第2報)
    玉城 一, 岸原 士郎, 藤井 聰, 河本 正彦, 有田 郁夫, 平塚 直秀
    1986 年 33 巻 4 号 p. 270-273
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    廃糖蜜を担子菌の生育菌体で脱色処理する場合,担子菌中のPPOによる着色があった.廃糖蜜をPVPP処理し,PPOの基質となるポリフェノールを除くことにより,ほとんどの菌で,初期の着色現象なしに脱色させることが出来た.PVPP処理廃糖蜜にたいして高脱色能を有する担子菌としては,Coriolus versicolor IFO 4937(脱色率,84.4%), Coriolus hirsutus IFO 4917 (81.8%),Lenzites betulina IFO 6266 (80.6%)等が挙げられたが,これらの菌はいずれもスクロースを資化するTypeの菌であった.スクロースを消費せずに廃糖蜜を脱色する担子菌の一つの指標としてS/A値を導入した.その値に基づいて優良担子菌を選抜すると,グルコースのみを資化するTypeに属するPleurotus ostreatus IFO 6519 (S/A値18.56), Oxyporus populinus TMI 50016 (17.08)が優良菌株として挙げられた.
  • 村山 祐子, 小林 三智子, 赤羽 ひろ, 中浜 信子
    1986 年 33 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    濃度2.0~5.0% (w/v),加熱条件80℃, 98℃ 2, 30,90分加熱の馬鈴薯澱粉糊液および濃度5.0% (w/v),加熱条件98℃ 2分加熱のワキシーコーンスターチ,コーンスターチ,小麦澱粉糊液について,レオロメーターを用いた簡便な測定法により曳糸性を測定した.合わせて流動特性,動的粘弾性を測定し,曳糸性との関係を検討し,次のような結果を得た.
    (1) 曳糸性は馬鈴薯澱粉糊液が最も顕著であり,ワキシーコーンスターチ糊液でも幾分示された.しかしコーンスターチ,小麦澱粉糊液はほとんど曳糸性がみられなかった.
    (2) 馬鈴薯澱粉において,80℃加熱に比べ98℃ 2分加熱糊液では曳糸性が増加し,それ以上の加熱条件についでは一定の傾向は見られなかった.また,いずれの加熱条件においても,澱粉濃度が高いほど曳糸性は増加した.
    (3) 馬鈴薯澱粉糊液において,同一加熱条件の糊液では,粘稠性定数K,動的弾性率G',動的粘性率η'が増すほど曳糸性特性値L0は増加した.
    (4) 馬鈴薯澱粉98℃ 2, 30, 90分加熱の分散が進んだ糊液において,同程度の動的粘性率η'を示す糊液の間では,緩和時間τが増すほど曳糸性特性値L0は増加した.更に,L0とτ・η'の間にはL0=-1.02+28.6τ・η'の関係式が成立した.
  • 菅原 龍幸, 松本 仲子, 佐々木 弘子, 青柳 康夫
    1986 年 33 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    カキ果汁について酸濃度,糖濃度の違いと嗜好の関係,ピューレー含有率と嗜好の関係を検討するために官能検査を行い,次のような結果を得た.
    (1) 本実験で好まれた果汁の酸濃度は0.35%,糖濃度はBrix °13.0のものであった.
    (2) ピューレー含有率と嗜好性についてはピューレー含有率20%のものが好まれる傾向がみられたが,10%,20%, 30%の間には有意差が認められなかった.
    (3) 酸味は酸濃度に比例して強まるが,加える糖量の影響をうけて酸味が弱まる傾向が認められた.甘味も酸味によって味が弱められるが,その影響は小さかった.
  • サンセダ ノーリタ, 倉田 忠男, 荒川 信彦
    1986 年 33 巻 4 号 p. 285-290
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    フィリッピン産魚醤パティスの製造過程における揮発性酸の消長について調べるため,仕込み後3ヵ月,4ヵ月,10ヵ月および15ヵ月のパティス試料について揮発性酸の含量をGC分折等により測定した.また,実験室規模での魚醤製造を試み,その製造中間段階で得られる試料について同様の検討を行った.その結果,低分子揮発性酸は製造開始後24時間ですでにその生成が認められ,かつ,魚全体または魚肉部分よりは内臓部分からの生成量が大であった.また,時間の経過と共に生成する酸の種類生成量ともに増加する傾向がみられた.さらに,市販パティス中に同定された各種の揮発生酸は,製造開始後3ヵ月の試料中にすべて含まれていることが明らかになった.なお,食塩無添加時の揮発性酸の生成量は食塩添加時に比較して著しく増加していた.これらのことは,揮発性酸の生成に微生物が関与していることを示唆している.
  • 村瀬 行信
    1986 年 33 巻 4 号 p. 291-299
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 吉川 義夫
    1986 年 33 巻 4 号 p. 300-301
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 33 巻 4 号 p. A29-A38
    発行日: 1986/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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