日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
33 巻, 6 号
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  • 平井 俊次, 六波羅 明香, 清水 純夫
    1986 年 33 巻 6 号 p. 369-374
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    カキ果実の成熟,貯蔵および脱渋加工中のインベルターゼ活性および,糖含量の変化について,酵素処理前後の糖のTMS誘導体を用いて,ガスクロマトグラフィーで検討した.30℃における種々,pHの酵素活性について調べたところ,次の結果が得られた.
    (1) カキ果実のインベルターゼの至適pHは5.5付近で,至適温度は約30~40℃であった.
    (2) 果肉1gあたりのインベルターゼ活性は24時間の測定においてpH 5.5, 30℃で,80~230nKat (4.8~13.8U)とかなり強いことがわかった.
    (3) 果実中のインベルターゼは貯蔵および4つのアルコール脱渋法:25%アルコール,粉末アルコール,イオウ燻蒸後天日乾燥,あるいは無燻蒸の天日乾燥によってかなり強い活性を表わした.
  • 中村 豊郎, 吉原 忠志, 冨家 崇弘, 佐藤 雅彦, 井上 志保子
    1986 年 33 巻 6 号 p. 375-387
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    酵素分解による血球の食材化を検討した結果,以下のことが明らかになった.
    (1) 酵素分解試験の結果に基づいて設定した分解条件で,血球から血球酵素分解物をパイロットプラント規模で製造した結果,タンパク回収率は56%であった.
    (2) 血球酵素分解物の品質は吸湿性のある白色粉末で,塩味と多少の苦味を有していた.鉄分をほとんど含まない粗タンパク質含量の高いものであるが,プロティンスコアは5であった.又その分子量分布は1000~2000を中心とし500~5000の分布をもち,40種以上のポリペプチドから成立っていた.
    (3) 食品機能特性については溶解性を有しているが,乳化性,起泡性,ホイップ性,ゲル化性は認められず,グロリンの特性を消失していた.
    (4) 食肉加工品の製造試験ではロースハムに0.5%,ポークソーセージに2.5%,ハンバーグに2.5%の添加を限度として,タンパク質の増量材としての使用が可能であろうと判断された.
  • 中村 豊郎, 沼田 正寛, 小林 良司, 橋本 小由利
    1986 年 33 巻 6 号 p. 388-398
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    血球の有効利用として,これを酵素分解し,微生物の発育用培地への応用を検討した.この場合,血球の酵素分解物(EHB)は,培地組成中の窒素源として現在最も広く使用されているカゼインペプトンであるTrypti-caseとその効果を比較,検討した.結果は,次のとおりである.
    (1) EHBの分子量分布は,Trypticaseに比べ分布幅が狭く,より低分子のペプチドから成っていた.また,同アミノ酸組成は,ヒスチジン,アラニン,およびグリシンに富み,トリプトファン,メチオニンおよびイソロイシンが不足していた.
    (2) Trypticaseと比較した発育支持力は,供試したグラム陰性菌およびグラム陽性菌の一部に対しては同等かまたはそれ以上の効果をもたらした.
    (3) EHBの一部グラム陽性菌に対する発育支持力の低下は,特定のアミノ酸の強化,またはビタミン等の発育促進物質の添加によって回復した.また,これらは,EHB中に存在する発育阻害物質ではないことが考えられた.
    (4) ビタミン効果等の目的からEHPをEHBに添加した場合,M. luteusに対してはその効果が認められたが,P. fluorescens, S. aureus及びL. plantarumでは,EHPの添加によってその発育が抑制された.このことから,EHP中には特定の菌に対する発育阻害物質が含まれると判断された.
    以上の結果,EHBは,微生物の発育用培地の窒素源として充分利用できる可能性のあることが示唆され,同時にその利用は,血漿部も含めて総合的にその応用を検討する必要があると考えられるに至った.
  • あんに関する研究 (第12報)
    塩田 芳之, 根岸 智史, 畑中 千歳
    1986 年 33 巻 6 号 p. 399-406
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    アズキ子葉のペクチン性多糖に及ぼす煮熟の影響を知るために,加熱前後の子葉および煮液からペクチン質試料(加熱前,HXSP;加熱後,HWIP;煮液, HWSP)を調製し,DEAEセルロースで中性多糖(I)と酸性多糖画分(II, III, IV)に分画後,主成分のIIとIIIを中心に分析した.
    (1) IIとIIIのウロン酸含量はHXSPではそれぞれ約40%と45%であったが,HWSPとHWIPはいずれもIIでは約46%,IIIでは約50%であった.また,エステル化度は低く,IIとIIIはいずれもHXSPでは約20%,HWSPでは約10%, HWIPでは15%前後であった.
    (2) いずれの場合も,IIでは分子量数10万以上の高分子成分が主体であったが,IIIでは大半が分子量1万弱の低分子成分で占められ,特にHWIP-IIIで低分子区分が多かった.
    (3) いずれの場合も,けん化するとIIIではDEAE-セルロースに対する吸着力が増加したが,IIではほとんど変化しなかった.
    (4) HXSPとHWIPおよびその画分について中性糖組成を調べたが,加熱による変化は少なかった.IIとIIIはいずれもキシロースとアラビノースを多量に含み,合わせると中性糖全体の約70%に達した.キシロース:アラビノース比は,IIでは約1:1, IIIでは約4.5:1であった.ほかにかなりな量のガラクトースとマンノースおよび少量のラムノースとグルコースが検出された.
    (5) 加熱前と後の試料から得たIIとIIIについて不飽和ペクチン酸(ペクチンのトランスエリミネーションによる分解物)に対して特有なチオバルビツール酸反応を調たが,いずれも陰性であった.
    (6) アズキのペクチン性多糖は加熱に対してかなり安定であり,煮熟後も大部分は熱水不溶の状態で細胞壁中に残存することがわかった.このことは細胞壁の強靱さ,すなわちあん粒子の安定性と密接な関係を有するものと思われる.
  • 青山 稔, 丸山 武紀, 新谷 勲, 赤塚 慎一郎
    1986 年 33 巻 6 号 p. 407-413
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    α-,γ-,δ-Tocの抗酸化力について,豚脂およびパーム油でポテトチップをフライし,その保存試験により検討した.
    (1) 豚脂でフライしたポテトチップではTocは抗酸化作用を発揮した.この場合,α-Tocの効力はγ-,δ-Tocの効力よりも弱い.δ-Tocの抗酸化力はγ-Tocよりもやや強く,添加量は0.02%よりも0.05%のほうが効果的であった.
    (2) パーム油でフライしたポテトチップでは,添加したTocは抗酸化作用を発揮しなかった.むしろ,α-Tocの添加は酸化を促進する傾向を示した.
    (3) α-,γ-,δ-Tocを混合して豚脂に用いた場合,α-Tocの混合率が少ないほど抗酸化力は増大した.なお,この場合でもパーム油に対しては抗酸化力を示さなかった.
    (4) ポテトチップの保存中におけるTocの消失は,パーム油中よりも豚脂中のほうが速かった.同族体間ではα-Tocが最も速く次いでγ-,δ-Tocの順であった.
    (5) フライ後の油脂のAOM試験において,γ-,δ-Tocは豚脂のみならずパーム油に対しても強い抗酸化作用を示した.従ってパーム油で継続的にフライする場合,γ-,δ-Tocはその効果を発挿するものと推察する.
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1986 年 33 巻 6 号 p. 414-425
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    シイタケ子実体の発育過程ならびに収穫後における低分子炭水化物,高分子炭水化物および有機酸の動態を菌傘部,菌柄部の両部位より検討し,以下の結果を得た.
    (1) 発育過程における菌傘部および菌柄部の遊離糖含量は,乾物重量100g当り,2.3~7.0g, 2.9~4.5g,遊離糖アルコール含量は,8.8~12.8g, 12.5~23.3gであり,その含量変化パターンは部位により異なった.また,収穫後における含量は両部位ともに減少の傾向にあった.
    (2) 遊離糖,遊離糖アルコールとしてトレハロース,グルコース,フルクトース,アラビトールおよびマンニトールが同定され,主要成分はアラビトール,マンニトール,トレハロースの3成分であった.発育過程中の各成分の含量変化パターンはそれぞれ異なり,また,部位により挙動を異にし,とくに発育後期の菌傘部にトレハロースの,菌柄部にアラビトールの蓄積傾向がみられた.収穫後における各成分含量は減少の傾向にあり,とくにアラビトールの減少は顕著であった.
    (3) 発育過程における多糖成分含量は,菌傘部で38.8~40.2g,菌柄部で50.4~51.5gであり,菌柄部は菌傘部の1.25~1.32倍量の含量を示していた.6種の多糖画分中,熱ギ酸可溶多糖,アルカリ可溶・酸可溶多糖,熱アルカリ可溶多糖,アルカリ可溶・酸不溶多糖およびキチンは発育過程ならびに収穫後においてもほとんど含量に変化はみられなかった.しかしながら,グリコーゲン様多糖は収穫後において漸減傾向を示し,他の多糖画分とその挙動を異にした.
    (4) 発育過程における有機酸含量は,菌傘部で1.8~3.0g,菌柄部で1.3~1.9gであり,含量の変化バターンは部位により異なった.収穫後における有機酸含量は,両部位ともに3日目までは増加したが,以後は減少の一途をたどった.
    (5) 菌傘部および菌柄部より10種類の有機酸が同定されたが,主要成分はリンゴ酸,ピログルタミン酸,クエン酸およびフマル酸の4成分であった.発育過程中における各種有機酸の含量変化パターンはそれぞれ異なり,また,部位により挙動を異にした.収穫後における各種有機酸含量は減少の傾向にあったが,フマル酸,ピログルタミン酸およびクエン酸の3成分は,3日目までは増加し,以後は減少する含量変化パターンをとり,他の有機酸類とその挙動を異にした.
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1986 年 33 巻 6 号 p. 426-433
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    41種の野生キノコの遊離糖,遊離糖アルコールおよび有機酸分布を検討し,以下の結果を得た.
    (1) 各種キノコ類の乾物重量100g当りの遊離糖含量は0.1~29.3g(平均9.95g),遊離糖アルコール含量は0.7~29.3g(平均11.05g),有機酸含量は0.1~4.5g(平均1.56g)の広範囲に分布し,キノコの種により含量にかなりの差異が認められた.
    (2) キノコ類の遊離糖・糖アルコールとしてトレハロース,グルコース,フルクトース,ガラクトース,マンニトール,アラビトール,meso-エリトリトールおよびグリセロールが確認された.また,各種キノコ類に含有される遊離糖・糖アルコールは5~7種類であり,総遊離糖・糖アルコールの8割以上が1~3種類の糖・糖アルコールで構成され,その分布パターンもキノコの種により特徴を有していた.
    (3) キノコ類の有機酸としてリンゴ酸,クエン酸,コハク酸,フマル酸,ピログルタミン酸,シュウ酸,乳酸,α-ケトグルタル酸,酒石酸,酢酸およびギ酸が確認された.各種キノコ類に含有される有機酸は7~11種類であり,総有機酸量の8割以上が2~4種類の有機酸で構成され,その分布パターンもキノコの種により特徴を有していた.
  • 宮本 文夫, 佐伯 政信
    1986 年 33 巻 6 号 p. 434-440
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    保存料無添加食肉製品中のソルビン酸及び安息香酸の含有実態及びその由来を調査した.
    (1) 食肉製品中の微量のソルビン酸及び安息香酸の分析における抽出法は水蒸気蒸留・抽出法が適していた.(2) ソルビン酸は市販保存料無添加食肉製品47試料中17試料から0.1~2.4ppmの範囲で,安息香酸は全試料から0.1~8.6ppmの範囲で検出された.
    (3) 保存料無添加のウインナーソーセージの製造工程中のソルビン酸は6工場中5工場から検出され,蒸煮工程での検出例が多かった.安息香酸は全工場から充填工程で検出された.工場での保存料使用状況からソルビン酸は混入,安息香酸は食肉以外の原材料由来の可能性が示唆された.
    (4) 同一くん煙室における無添加ソーセージとソルビン酸添加ソーセージの乾燥,くん煙及び蒸煮実験によりくん煙室内での添加製品から無添加製品へのソルビン酸の一部移行が明らかとなり,これが混入の原因と考えられた.この混入はくん煙室のアルカリ液による充分な洗浄と無添加製品のみの製造により防止できることがわかった.
    (5) 香辛料,くん液及び炭化くん材から安息香酸が0.6~98.2ppm検出され,安息香酸が原材料やくん煙に由来することが確認された.
  • 川端 晶子, 澤山 茂, デルロザリオ リカード R., ノエル マリサ G.
    1986 年 33 巻 6 号 p. 441-449
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キャッサバおよびヤムビーン根茎の収穫直後,貯蔵中および加熱処理による構成糖の変化を高速液体クロマトグラフを用いて定量し,検討した.根茎類は室温(28~32℃,相対湿度66~88%)で,18~28日間貯蔵された.キャッサバ根茎中の合計糖含量は,貯蔵初期2週間に顕著な増加を示した.合計糖含量に対する比率では,シュクロースの含量が最も高かった.貯蔵期間中,フラクトースとグルコースが漸増するのに対し,シュクロースは漸減した.リナマリン(青酸配糖体)は,貯蔵1週間目に顕著な増加を示したが,その後減少し,貯蔵終期には殆んど消失していた.ヤムビーン根茎中からは,シュクロース,フラクトース,グルコースの3種の糖のみが定量された.4画分に分別定量したペクチン質では,少量ながら,貯蔵終期において水溶性ペクチンの増加の傾向が認められた.走査型電子顕微鏡によって組織を観察した結果,収穫直後に比べて,貯蔵28日後の細胞組織は崩壊し,また,加熱によるデンプンの変化などをとらえることができた.
  • 松本 清, 石田 耕一, 筬島 豊
    1986 年 33 巻 6 号 p. 450-455
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    醤油およびウスターソース中の食塩含量を測定するために電導度検出フローインジェクション分析法を適用した.フロー系の希釈率を醤油1に対して水885 (1:885)とした場合,回帰直線は相関係数0.994の直線を与えた.アミノ酸類や安息香酸ナトリウムなどのような共存電解質は測定を妨害しなかった.ウスターソース測定については,希釈率を1:354に設定した.回帰直線は相関係数0.997の直線を与えた.本法によって測定した食塩含量を銀滴定法,イオン選択性電極,炎光光度法によって測定した値と比較した.
  • 林 建樹
    1986 年 33 巻 6 号 p. 456-462
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 相島 鐵郎, 中井 秀了
    1986 年 33 巻 6 号 p. 463-470
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 伊庭 慶昭, 芝崎 勲
    1986 年 33 巻 6 号 p. 471-472
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 33 巻 6 号 p. A45-A52
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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