日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
33 巻, 8 号
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  • カレーに関する研究(第4報)
    永島 俊夫, 小泉 幸道, 山田 正敏, 柳田 藤治
    1986 年 33 巻 8 号 p. 561-565
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販調理済カレー缶詰12点の香気成分について,ガスクロマトグラフィーと官能検査により,比較検討した.
    (1) 全香気成分量は250ppm程度から600ppm程度の製品が多かった.また,主要香気成分はトランスシナミックアルデヒド,オイゲノール,イソチモールなどであった.各香気成分は製品によりやや異なっており,特に低沸点化合物量に大きな違いが認められた.
    (2) 低沸点化合物量,中沸点化合物量,高沸点化合物量および全香気成分量の4個を特性として主成分分析を行なったところ,4つのグループに分けられた.
    (3) 官能検査により香りを比較したところ,有意差が認められ,主成分分析の結果と併せて比較すると3つのグループに分けられ,最も好まれるグループは,全香気成分量の多少よりも低沸点化合物量が中間または多い製品であった.
  • 沢村 正義, 坂東 明子, 太田 宣幸, 楠瀬 博三
    1986 年 33 巻 8 号 p. 566-571
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    生食用として早生ウンシュウミカンと中晩柑類および酸用カンキツなど9品種のカンキツ果皮中のイソプレノイド関連物質について,その季節的変化を検討した.
    (1) クロロフィル総量は,一般に幼果期に8~15mg/100gであり,成熟に伴い減少した.クロロフィルaとbの割合は全時期ほぼ等量で推移した.
    (2) カロテノイドはウンシュウミカンとポンカンで11月期以降急激に増加し,それぞれ12, 8mg/100gまでに達した.一方,ブンタンおよび酸用カンキツでは2mg/100g以下と少なく,成熟期には減少傾向を示した.
    (3) α-トコフェロールはアルベドよりもフラベドに多く存在した.ほとんどの品種では9月期にもっとも多く,5~9mg/100g含まれていた.ウンシュウミカンでは11月期にもっとも多く,約17mg/100gであった.
    (4) β-シトステロールは,品種,生育時期を問わず,10~40mg/100gと果皮に多く集積していた.とくに,9月期のブンタン,7月期のポンカン,ナツミカン,イヨカン,ブンタンおよび11月期のウンシュウミカンでは,30~40mg/100g含まれていた.カンペステロール含量は全供試試料を通じて3~8mg/100gの範囲にあった.ほとんどの品種のカンキツでは,生育に伴い減少傾向を示したが,ウンシュウミカンでは生育後期に増加し,6.4mg/100gに達した.
  • 野田 勝彦, 遠藤 光春, 高橋 強
    1986 年 33 巻 8 号 p. 572-578
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    加糖練乳の増粘現象を検討する過程において,増粘に影響する要因のひとつとしてカルシウムをとりあげた.カルシウムの加糖練乳中での含量を調整した各種試料を実験室的に試作し,その保存中における粘度を比較した.また加糖練乳を保存したときのカルシウムの分布を調べ増粘の要因を考察した.
    (1) カルシウム含量を低減する試料を試作する方法として還元脱脂乳にオルトりん酸塩,ピロりん酸塩,くえん酸塩あるいはしゅう酸塩を加え,遠心分離したあと濃縮処理することにより25-70%のカルシウムを低減できることを確認した.
    (2) カルシウムを低減した試料は通常の加糖練乳に比べて増粘は速かった.荒煮前および濃縮後にカルシウムを20-100mg/100g添加した試料を保存した.濃縮後添加は急速に増粘した.荒煮前添加は通常の加糖練乳とほぼ同程度の増粘を示した.
    (3) カルシウムを添加して増粘した試料から超遠心分離したカゼイン複合体をゲル濾過した溶出パターンには増粘した通常の加糖練乳にみられる高分子量区分の増加が認められなかった.
    (4) 通常の加糖練乳のカルシウム分布を求めると,保存して増粘した試料ほど可溶性カルシウム量の減少が認められた.希釈液を遠心分離したときの沈殿部のカルシウム量は保存により増加した.
    (5) 通常の加糖練乳を希釈して遠心分離してえたクリーム層の,脂肪を溶媒抽出して除去したあとの不溶性カルシウム量は,増粘した試料では増加した.
  • 木内 幹, 森 隆, 鷹見 勲, 門間 美千子, 田部井 英夫
    1986 年 33 巻 8 号 p. 579-584
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Pyruvate production by Torulopsis etchellsii F-8 and S-9 strains was investigated with improved WHICKERHAM medium containing 8% salt. Both of the strains produced pyruvate during the log phase of the growth and stopped it at the stationary phase. The optimum glucose concentration in the medium was 5% with F-8 strain and 3 to 5% with S-9 strain. As a nitrogen source, vitaminfree casamino acid (Difco) was superior to the mixture of ammonium chloride and potassium nitrate. The effect of thiamine on the pyruvate production was ascertained: The medium without thiamine was the best, and the larger amount of thiamine was contained in the medium, the smaller amount of pyruvate was produced in the range between 0 and 40μg/l of thiamine. In order to investigate the effect of aeration on the pyruvate production by S-9 strain, 1l of a jar fermenter was employed. Only a little effect was observed in the range between 0.5 and 2.0VVM. The faster agitation was more effective in the range between 300 and 700rpm. In the culture with the jar fermenter, to the contrary with static culture, the larger amount of thiamine was in the medium, the smaller amount of pyruvate was produced. Five point one g/l of pyruvate was produced in the medium with 40 μg/l thiamine.
  • 金子 憲太郎, 佐藤 千寿子, 前田 安彦
    1986 年 33 巻 8 号 p. 585-591
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    メトキシル含量及び分子量などを明確にした,高及び低メトキシルペクチンに単一無機塩類ないし複合無機塩類を混合・置換することによって調製したK-, Na-,Mg-, Ca-,混合ペクチネートの金属元素含量を比較することによって各金属元素とペクチンの結合力の差異を検討した.その結果,高メトキシルペクチンに対する金属元素の結合力はMg>Ca>Na>K,低メトキシルペクチンに対する結合力はCa>Mg>Na>Kであることが明らかになった.これらのことは,低メトキシルペクチンに多価陽イオンの塩類を混合した際に生成するゲルの強度がCa塩>Mg塩であることの主要因になると考えられる.また,漬物の硬度保持剤としてCa塩が頻用されMg塩が利用されないことの要因とも考えられる.
  • スイートコーン種実中の種類に関する研究(第2報)
    建石 耕一, 熊谷 光広, 中村 明史, 小林 利江, 飯島 隆志
    1986 年 33 巻 8 号 p. 592-597
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    収穫適期の熟度(出穂後20日)で収穫されたスイートコーン,'ゴールデンクロスバンタム'を貯蔵し,貯蔵温度と糖類の種類及び含量の変化との関係を調べ,またそれらと呼吸量の変化との関係についても検討した.
    (1) 25℃貯蔵区では貯蔵開始3時間後にはすでにsucroseの減少がみられ,24時間後にはほぼ半減した.これに対し,5℃貯蔵区では7日後に半減した.収穫時に検出されなかったmaltose, stachyoseが両貯蔵区とも6時間後には検出され以後全貯蔵期間中検出された.
    (2) 多糖類としては,フィトグリコーゲンがデン粉より多く含まれていた.フィトグリコーゲン含量は,30℃貯蔵中漸増し,2℃貯蔵では当初漸増した後,減少した.デン粉は,30℃では顕著に増大した後,急減したが2℃ではあまり変化しなかった.
    (3) 貯蔵期間中の穂軸の呼吸量(CO2排出量)は貯蔵温度の高い程大きく,貯蔵当初に急減した.
    (4) 貯蔵中遊離糖(特にsucrose)含量の減少は,デン粉及びフィトグリコーゲンへの生合成及び呼吸による消費によるものであると推測された.
  • スイートコーン種実中の糖類に関する研究(第3報)
    建石 耕一, 小林 利江, 飯島 隆志
    1986 年 33 巻 8 号 p. 598-601
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    絹糸抽出後5~25日の成熟過程におけるスィートコーン(ゴールデンクロスバンタム)の糖及び多糖含量の消長を調べ,収穫適期を判断する基準を得るための実験を行った.また,絹糸抽出後17, 18. 19, 20日の熟度で収穫されたスィートコーンを30℃と2℃下に24時間貯蔵した後の遊離糖含量の消長を調べ,収穫適期と成熟過程との関連について考察し,以下の知見を得た.
    (1) 非還元糖含量は絹糸抽出後5~16日まで増加し,以後25日にかけて減少した.全糖含量は5~16日の間微増し,その後減少した.還元糖含量は5日から13~16日にかけて減少し,以後25日まであまり変らなかった.
    (2) デン粉及びphytoglycogenは13日になって初めて検出された.
    (3) Phytoglycogen含量は,どのstageの試料でも常にデン粉よりも多く,成熟が進むに従ってphytoglycogenのデン粉に対する比率が大きくなった.
    (4) 絹糸抽出後17~20日目の試料についての貯蔵実験の結果,20日目の試料が2℃, 30℃貯蔵で最も糖含量が保持され,この点から,収穫するのに最も適していると判断された.
  • 温州ミカンのペクチンの性状と機能 (第1報)
    真部 正敏, 猶原 順
    1986 年 33 巻 8 号 p. 602-608
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    わが国のかんきつ果実生産の中心である温州ミカンのペクチンについて,その性質を詳細に把握する目的で,系統,熟期,部位別に可溶性ペクチンを抽出,定量し,性状を調べた.
    (1) 4画分に抽出した可溶性ペクチンのうち,HSPが最も多く,AIS当たり15~25%であった.最も少ない画分のペクチンは,フラベド部を除く3部位ではASPであった.系統,熟期,部位を問わずHSPが最も高いのが温州ミカン果実の特徴といえる.従来の3画分のペクチンに加えて,抽出したアルカリ可溶性ペクチンのSSPは,AIS当たり約5~10%で,全ペクチン中約15~30%を占めた.
    (2) AISより抽出,調製したペクチンの無水ガラクツロン酸量はフラベド部のものが最も高く,さじょう部では最も低かった.ペクチンの酸性多糖分子中の中性糖量は8~11%であり,アラビノースが全体の約半量を占め,他にガラクトース,ラムノース等を含む7種類の糖が検出された.ペクチンのエステル化度は,じょうのう部のものが最も高く,70~80%であったが,反対に,フラベド部では50~55%の値を示す系統の果実が多かった.
  • 中間水分肉の性質に関与する諸因子に関する研究(第2報)
    六車 三治男, 中村 崇
    1986 年 33 巻 8 号 p. 609-615
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    実用価値の高い中間水分肉のモデルを作製する目的で,グリセロール添加量の異なる塩漬肉を調製し,さらに低温風乾によりaWを低下させた試料についてもその状態変化について検討した結果,次のことが明らかとなった.
    (1) グリセロール濃度の増加に伴って水分含量,aWはともに減少した.水溶性タンパク質の抽出性はグリセロール濃度に影響されなかったが,塩溶性の筋肉構造タンパク質はグリセロール濃度の増加に伴ってaWが減少するにもかかわらず増加する傾向が認められた.
    (2) SDS-PAGEによりタンパク質の分子種を検討すると,塩溶性タンパク質量の増加は筋肉構造タンパク質のミオシンに起因することが明らかとなった.塩漬時における食塩濃度を増加させるとミオシンに由来する筋肉構造タンパク質の抽出量は低下するが,10%グリセロール添加はそれを大きく改善する効果のあることが判明した.
    (3) 10%グリセロール存在下で塩漬後,風乾によりaWを0.90に低下させた筋肉から調製した筋原線維はMg2+-ATPの添加による収縮能を有していた.また同一試料からCAF活性も測定され,低温条件で1ヶ月以上保存した供試肉でも生物活性を有することが明らかとなった.
    (4) この供試肉を38℃で1ヶ月間保存しても,筋肉のpHは全保存期間を通じて低い値を維持した.
  • 渡辺 慶一, 広田 才之, 高橋 文次郎
    1986 年 33 巻 8 号 p. 616-620
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ果実の色素をカラムクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィーにより分析調査した.ショ糖カラムクロマトグラフィーにより色素は7画分に分離し,それぞれの色素をカラムの吸着帯の位置,吸収スペクトル,吸収極大値からクロロフィルa, b,フェオフィチン,カロチン及びキサントフィル類と推定した.キウイフルーツ果肉のカロチンの主体は薄層クロマトグラフィーによって標準カロチノイドと比較した結果,β-カロチンと同定した.
    薄層クロマトグラフィーにより,キサントフィル類は4画分に分離し,それぞれルテイン,ネオキサンチン,ビオラキサンチン及びルテイン様物質と推定した.ペーパークロマトグラフィーの結果,キウイフルーツ果実にはフラボノイド系色素は検出されなかった.以上のことから,キウイフルーツ果肉の主要色素はクロロフィルa及びbで,そのほか微量のβ-カロチン,キサントフィル類が存在した.
  • 芳賀 聖一, 大橋 登美男, 山内 清
    1986 年 33 巻 8 号 p. 621-627
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ミオシンBと大豆蛋白質CIF (Cold Insoluble Fraction)共存系の加熱ゲル形成について,その共存割合の影響を物理的特性の測定や走査型電子顕微鏡観察によって調べた.12mg/mlミオシンBに共存させる大豆蛋白質CIFの割合を増していくと,その加熱ゲル形成能も増し,特に,弾性率の値に反映することが明らかになった.走査型電子顕微鏡観察によるとミオシンBに共存させる大豆蛋白質量が多くなるにつれて,より長く,また,より広い骨格をもった網目構造が形成された.また,50mg/ml大豆蛋白質CIFにミオシンBを共存させると,破断エネルギーの値が増加する加熱ゲルが形成された.その微細構造は,より長く線維状に伸びた網目構造で構成されていた.このように,蛋白質ゲルの微細構造に観察された特徴的変化は,ゲルの物理的特性の変化と対応するものであった.
  • 川村 信一郎, 堤 忠一
    1986 年 33 巻 8 号 p. 628-629
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 33 巻 8 号 p. A59-A68
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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