日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
34 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 江坂 宗春, 岡田 貴代美, 鈴木 寛一, 久保田 清, 川上 英之
    1987 年 34 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    デンプン性食品を代表して,餅,食パン,おにぎり,生中華そばを用い,マイクロ波加熱による殺菌効果を検討した.
    (1) サーモラベルにより表面温度を,熱電対により内部温度を測定した.試料表面の温度分布のむらは,ポリ塩化ビニリデン包装により抑えることができた.
    (2) カビの発生を指標として,保存効果を調べたところ,餅では40秒,食パンでは20秒,おにぎり,生中華そばでは30秒のマイクロ波加熱で保存効果が得られた.その時の試料温度は50~90℃であった.
    (3) マイクロ波加熱による重量減少は,すべての試料で,2.0%以下であった.マイクロ波加熱の際,試料をポリ塩化ビニリデン包装することにより,その重量減少が抑えられ,試料の収縮・変形を防止することができた.
    (4) 前もって大腸菌を接種した試料に,マイクロ波加熱して,マイクロ波による殺菌効果を調べた結果,ポリ塩化ビニリデン無包装の場合,食パンでは20秒,おにぎりでは40秒,生中華そばでは30秒のマイクロ波加熱で,大腸菌は完全に死滅した.餅では30秒以上のマイクロ波加熱で殺菌効果が認められたものの,完全には大腸菌を死滅させることができなかった.おにぎりでは,ポリ塩化ビニリデン包装することにより,完全に大腸菌を死滅させるための時間をいくぶん短縮させることができた.
  • 米糠中の脂質分解機構に関する研究(第5報)
    高野 克己, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1987 年 34 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 米糠ホスホリピドアシルヒドロラーゼをn-デシルアミン・セファロース4Bゲル,ホスファチジルコリン-AH-セファロース4Bゲルおよび等電点電気泳動により分離・精製し,米糠中にpI 5.4 (AA-3画分)およびpI 9.5 (AB-3画分)の2種のホスホリピドアシルヒドロラーゼを認め,それぞれ比活性は酵素抽出液に比べ119倍および953倍に上昇した.
    (2) 主要ホスホリピドアシルヒドロラーゼ(pI 9.5)の性状は以下の通りであった.すなわち,分子量約40000,至適pH 8.5~9.0,最適温度37℃,活性はpH8.0以下および30℃以下で安定であった.
    また,活性に対する各種試薬の影響を調べた結果,活性発現にCa2+の存在は必須であり,Al3+, Co2+, Cu2+およびEDTAは著しい活性阻害を示した.
  • 菅原 龍幸, 松本 仲子, 佐々木 弘子, 青柳 康夫
    1987 年 34 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁にシィクワシャー果汁をブレンドすることにより,温州ミカン果汁入り清涼飲料のフレーバーが改善されるか否かを明らかにするため,官能検査による検討を行った.数種の混合比の混合果汁を含有する飲料を調製し,その混合比,果汁濃度,酸および糖濃度の違いと嗜好の関係ならびに各単独果汁との嗜好性の違いを検討した.
    (1) 混合果汁で嗜好性が高かったものは,混合比がミカン果汁:シィクワシャー果汁が9:1,果汁濃度10%,酸濃度0.55%,糖濃度14° Brixのもの,混合比9:1,果汁濃度20%,酸濃度0.55%,糖濃度12.5° Brixのものなどであった.
    (2) 混合果汁とミカンおよびシィクワシャーの各単独果汁群を比較したところ,混合果汁群が単独果汁群に比べて有意に好まれる結果が得られた.
  • 低食塩化食品における腐敗微生物の抑制に関する研究(第6報)
    山本 泰, 軽部 則夫, 東 和男, 好井 久雄
    1987 年 34 巻 2 号 p. 88-93
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    腐敗細菌27株,乳酸菌6株,酵母10株を対象としてアジピン酸の抗菌作用について検討した.
    (1) アジピン酸は誘導期及び世代時間の延長,最高菌数低下のいずれの生育相にも影響を及ぼすことが分った.
    (2) 細菌類に対する生育阻止pHは4.2~5.2の範囲にあり,BacillusやMicrococcus属などグラム陽性菌に対しては酢酸の生育阻止pHよりも高い値を示した.
    (3) 細菌類に対する生育阻止作用はpH 6.0では殆んど認められないが,pHの低下に伴って阻止濃度が低下し,pH 5.0では0.2%以下で大半の供試菌の生育を阻止した.
    (4) 乳酸菌に対する生育阻止濃度(pH 5.0)は0.4~1.8%の間にあり,実際上アジピン酸の単独使用によって乳酸菌の生育を完全に阻止することは困難と判断された.
    (5) 酵母の生育に及ぼすアジピン酸の作用は弱く,アジピン酸の添加によって酵母の生育を阻止することは不可能であった.
  • 鈴木 平光, 早川 清一, 和田 俊, 奥積 昌世, 菊池 武昭
    1987 年 34 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    魚肉中のビタミンDおよびプロビタミンDをHPLCを用い,簡易に定量する方法を検討した.魚肉中の脂質をクロロホルム-メタノールで抽出し,ケン化の後,HPLC用試料を作成した.ビタミンDおよびプロビタミンDは,ODSカラムにアセトニトリル-メタノール(80:20)の溶離液を用いることにより,良好に分離した.本法により,サバおよびサンマ可食部のビタミンD3およびプロビタミンD3を簡便に定量することができた.
  • 三浦 道雄, 西山 和夫, 桂木 達美, 赤塚 慎一郎
    1987 年 34 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    動・植物性蛋白質混合物を原料として塩酸と共に加熱,加水分解し,新しい形の調味料を開発するために,カツオミールおよび大豆ミールを用い,その配合割合,加水分解条件等を検討した.調味料の食塩含量を総窒素含量の8~9倍とし,またペプチドの穏和なうま味を活かすために,総窒素含量に対するホルモール窒素含量の割合を約60%に抑えることを目標とした.加水分解によって得られた調味料試料の分析および官能検査の結果,カツオミールと大豆ミールの比率は4:6,加水分解は3倍量の4.5N塩酸添加,12時間加熱が最適であった.この調味料試料を0.05~0.1%量の活性炭で処理すると品質は更に改善された.こうして調製された調味料試料は,両原料それぞれ単独から作られた調味料からは得られない特有の,ひろがりのあるうま味を持つものであった.
    この試料を噴霧乾燥することにより,水溶性および復元性に富む淡黄色の粉末製品が得られた.
  • 谷口 正之, 辻 利史, 森元 裕志, 柴田 正人, 小林 猛
    1987 年 34 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    3種類の米糠を超臨界二酸化炭素により処理を行なった.200気圧,40℃の抽出条件において,赤糠から80%以上の粗脂肪が抽出できた.粗脂肪の抽出率は,抽出圧力に大きく影響された.超臨界二酸化炭素により抽出された油は,ヘキサン抽出油に比較して着色度が低く,リン含量も低かった.オリザノールも超臨界二酸化炭素により抽出できた.また,超臨界二酸化炭素により脱脂した糠を麹抽出液で可溶化した.
  • 安井 明美, 藤原 樹, リン パンヨン, ウン ムイチェン
    1987 年 34 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    原魚氷蔵したエソ,氷蔵した水晒し肉,-20℃貯蔵した水晒し肉および-20℃貯蔵したすり身(水晒し肉にショ糖3%およびポリリン酸0.2%を加えて擂潰したもの)から,かまぼこを調製した.エソ肉の貯蔵中のK値,pH,トリメチルアミンオキサイド窒素,ジメチルアミン窒素,ホルムアルデヒト,総揮発性塩基窒素および肉糊粘度の変化を測定し,また,調製したかまぼこのゲル強度の測定,折り曲げ試験および官能判定による弾力性試験を行った.これらの結果から,氷蔵した原魚,氷蔵した水晒し肉,-20℃貯蔵した水晒し肉および-20℃貯蔵したすり身の水産ねり製品原料としての利用可能期間は,それぞれ,2~3目,約1週間,1週間未満および1ヵ月以上と判断された.3%のショ糖と0.2%のポリリン酸を含む冷凍すり身は,水産ねり製品原料として比較的長期間利用することができる.
  • 垣内 典夫, 森口 早苗, 市村 信友, 加藤 豊, 馬場 良明
    1987 年 34 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国の主要なリンゴ5品種を用いて生鮮果実と天然果汁の加熱殺菌に伴う香気成分の変化について調査し,さらにはこれら5品種の果汁加工適性について,香気成分の観点から検討を行った.供試原料果実は約200g('紅玉')から400g('陸奥')まで大差がみられた.全果実に対する混濁果汁の収量は,'紅玉'の65.7%から'はつあき'の77.2%の範囲であった.生鮮果実と加熱殺菌果汁ともに,ガスクロマトグラム上に検出された香気成分は70~80種に及んだ.そのうち,同定されたピークは39成分であった.それら成分の内訳はエステル類27,アルコール類6,アルデヒド類2,炭化水素類2,フェノール類1及び酸類1であった.加熱殺菌果汁の生鮮果実(破砕果汁)に対する香気成分の保持率は,供試5品種の平均値でアルコール類71.9%,エステル類50.7%,炭化水素類及びフェノール類は0%であった.加熱殺菌果汁の含有量は,'紅玉'が最も高く(7.58ppm),次いで'はつあき'5.83ppm,'陸奥'3.20ppm,'ゴールデン・デリシャス'1.44ppm,及び'ふじ'の1.41ppmであった.以上の結果より,'紅玉'とその血縁の'はつあき'は加熱殺菌後においても香気成分含量が多く,果汁加工適性の優れる原因であることがわかった.
  • 堀内 久弥
    1987 年 34 巻 2 号 p. 123-134
    発行日: 1987/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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