デンプン性食品を代表して,餅,食パン,おにぎり,生中華そばを用い,マイクロ波加熱による殺菌効果を検討した.
(1) サーモラベルにより表面温度を,熱電対により内部温度を測定した.試料表面の温度分布のむらは,ポリ塩化ビニリデン包装により抑えることができた.
(2) カビの発生を指標として,保存効果を調べたところ,餅では40秒,食パンでは20秒,おにぎり,生中華そばでは30秒のマイクロ波加熱で保存効果が得られた.その時の試料温度は50~90℃であった.
(3) マイクロ波加熱による重量減少は,すべての試料で,2.0%以下であった.マイクロ波加熱の際,試料をポリ塩化ビニリデン包装することにより,その重量減少が抑えられ,試料の収縮・変形を防止することができた.
(4) 前もって大腸菌を接種した試料に,マイクロ波加熱して,マイクロ波による殺菌効果を調べた結果,ポリ塩化ビニリデン無包装の場合,食パンでは20秒,おにぎりでは40秒,生中華そばでは30秒のマイクロ波加熱で,大腸菌は完全に死滅した.餅では30秒以上のマイクロ波加熱で殺菌効果が認められたものの,完全には大腸菌を死滅させることができなかった.おにぎりでは,ポリ塩化ビニリデン包装することにより,完全に大腸菌を死滅させるための時間をいくぶん短縮させることができた.
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